リスケジュール(債務の返済猶予)の方法とメリット・デメリット!

金融機関からの借入金が返済できずに困っている会社のために、「リスケジュール」という方法があります。

この記事では、リスケジュールの概念、中小企業での実行件数、リスケジュールがもつメリットとデメリット、リスケジュールの方法や手順について解説します。債務の返済が苦しい中小企業のオーナーなど、支払を猶予してもらうことで現状改善につなげられるよう、お役立てください。

リスケジュールとは

「リスケジュール」(リスケ・reschedule)とは、次のふたつの意味をもつ用語です。

1.日程や計画を変更する

2.債務の返済を延ばす

外資系などビジネスの場では、1の意味で用いられます。一方、金融機関においては2の意味で用いられ、具体的には、借主が銀行などの金融機関と交渉して、債務の返済条件を一定期間変更してもらう手続きを指します。

リスケジュールは資金繰りが必要な法人だけではなく、個人でも利用可能です。会社名義での借入ができずに個人名義で借入をしているオーナーや、諸事情で住宅ローンの返済が困難になってきた個人なども該当します。

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 中小企業におけるリスケジュールの件数

リーマンショックで倒産する企業が続出した2009年12月に、中小企業金融円滑化法が施行されました。これは、中小企業がリスケジュールを申し込んだ際には、金融機関は柔軟に対応するべく努力義務を設けた法律でした。

円滑化法が2013年3月に期限を迎えた後も、金融庁は金融機関に対して、引き続き円滑な資金供給やリスケジュールに努めるよう要請を重ねてきた経緯があります。さらに、新型コロナウイルスの影響を受け、2020年3月には円滑化法の実質的な復活を検討する動きも見せています。

こうした経緯から、中小企業は従来よりも金融機関へとリスケジュールの申し込みをしやすくなったといえます。2018年4月から2019年3月までに貸付条件の変更等(リスケ)を申し込んだ中小企業は740,452社、そのうちリスケが実行されたのは721,814社であり、実行率は97.5%と、ほぼ実行されているのが現状です。

参考:金融機関(1,326社)における貸付条件の変更等の状況(中小企業者向け)

リスケジュールがもつメリット

従来より申し込みしやすく実行率も高いとはいえ、リスケジュールを行うにはメリットとデメリットを踏まえておく必要があります。まず、リスケジュールがもつメリットから解説します。

メリット1:返済を一定期間猶予してもらえる

リスケジュールの大きなメリットは、一定期間返済を待ってもらえる点です。一定期間とは、原則的には6か月から1年となり、延長したい場合は、期間が終了する前に金融機関と再び交渉する必要があります。

6か月〜1年の一定期間といえども返済を待ってもらえれば、資金繰りは非常に楽になります。銀行への返済のためにノンバンクなどから高金利で新たに借金するといった、自転車操業に陥ることもなく、この期間内に経営を立て直すことも可能です。

メリット2:要件を満たせば、銀行から法的な回収措置をとられない

銀行は、融資先企業を「債務者区分」によって格付けしています。

・正常先(6段階評価)

・要注意先(「その他要注意先」と「要管理先」に分かれる)

・破綻懸念先

・実質破綻先

・破綻先

延滞が発生、または赤字決算など財務内容が不健全になると、まず「その他要注意先」に区分されます。さらに、3か月以上の延滞またはリスケジュールの実施で「要管理先」へと格付けが落ちます。要管理先への貸付金は不良債権とみなされ、銀行から法的な回収措置をとられてしまうのです。

しかし、リスケジュールを実施しても次の要件を満たす中小企業は、リスケ期間内に銀行からの法的な回収措置をとられることはありません。

1.「実抜計画」(実現の可能性が高く、抜本的である経営改善計画)を作成する

2.5年以内に「正常先」になる

3.(1が未達の場合)当期利益などが経営改善計画の8割以上で推移していれば、正常先になるまで5年超10年以内かかっても可

そのため、3か月以上の延滞が見込まれる場合は、実抜計画を作成してリスケジュールを実施した方が、法的な回収措置を免れるメリットを享受できます。

リスケジュールがもつデメリット

一定期間返済を待ってもらえて、期間内は銀行から法的措置をとられないリスケジュールのメリットは大きいです。

では、リスケジュールのメリットはどのような点なのでしょうか。

デメリット1:銀行の格付けである「債務者区分」の低下

前述したように、銀行は融資先企業を「債務者区分」によって格付けしています。リスケジュールを実施すると、「要注意先」内の「要管理先」に区分されるため、債務者区分が低下する点はデメリットです。ただし、実抜計画を作成したリスケジュールの場合は、要管理先には区分されません。

ほかにも、リスケジュールの実施が社外に知られれば、会社の信用リスクが低下するデメリットもあります。ただし、守秘義務が課せられている銀行担当者から情報が漏れる可能性は低いため、社内の情報管理を徹底できればこの点は防げるでしょう。

デメリット2:新たな融資が困難になる

リスケジュールを行うと、債務者区分が「正常先」ではなくなります。基本的には、銀行は「正常先」ではない企業に融資を行ないません。そのため、リスケジュールを申し込んだ銀行から新たな融資を受けるのは困難です。

さらに、リスケジュールを行う債務が、信用保証協会が保証をする「保証付融資」であるなら、リスケの情報は当然ながら信用保証協会にも流れます。この場合、リスケと関わりのない他の銀行から新たに融資を受けようとしても、信用保証協会の審査が通りません。

リスケジュール実施後に新たな融資を受けたい場合は、最低でもリスケジュールで猶予をもらっていた期間分の返済額を通常の返済額に上乗せし、本来の返済条件に沿った返済残高へと戻す必要があります。

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リスケジュールの方法

実際のリスケジュールは、次の手順で進めるのがよいでしょう。

手順1:銀行との交渉前に可能な資金繰りはしておく

リスケジュールを行う前でも、次のような資金繰りは可能です。

・資産の処分(不動産、高級車などの動産、ゴルフ会員権、生命保険など)

・役員報酬や人件費の引き下げ

・経費の削減

・支払条件の検討(手形サイトの延長など)

・売掛金の回収など

経営者側でできる努力を何もしないまま、銀行だけにリスケジュールというリスクを取らせるのは、銀行側の心象が良くありません。交渉前に可能な努力はしたという実績を作っておきましょう。

手順2:交渉を進めるための書類を作成

銀行からリスケジュールの承諾を得るには、会社の現状と未来を説明できる、分かりやすい書類が不可欠です。銀行との交渉に必要な書類は特に決められていませんが、次の書類を準備するのがよいでしょう。

・資金繰り予定表(6か月〜1年)

・合計残高試算表(直近)

・経営改善計画書

・損益予定表(5〜10年)

・金融機関別融資取引内訳表(金融機関ごとの返済計画)

銀行での審査基準は、リスケジュールの実施に妥当性や経済的合理性があるか、という点です。経営改善計画書にて、債務を返済できる計画が立てられているか、その計画が資金繰り予定表や損益予定表の数字にどのように反映されているかが審査されます。

手順3:融資を受けているすべての銀行と交渉する

リスケジュールにおいては、「他行一律同条件」という原則があります。すべての金融機関と一律同じ条件で交渉するという原則のため、融資を受けているすべての銀行との交渉が必要です。

このとき、借入残高が最も多い銀行(メイン)から相談するのがポイントです。借入残高が少ないサブの銀行へと最初に相談すると、メインの気分を害する可能性があります。ですが、メインのみ単独で進めても「うちの銀行だけリスクを負うのか」と誤解される可能性もあるため、交渉は同時並行で進めましょう。

手順4:返済金額・期間・金利などを交渉していく

リスケジュールによって変更が生じるのは、返済金額・期間・金利などです。

返済金額

返済総額の軽減については、よほど困窮していない限り応じてもらうのは難しいです。そのため、必ず返済するという意志を示しつつ、一定期間は毎月の返済額を減らしてもらう、可能なら金利の支払のみにしてもらうといったポイントから交渉するのがよいでしょう。

期間

前述したように、リスケジュールで返済を猶予してもらえる期間は原則として6か月〜1年です。1年以上の返済猶予を希望する場合は、最初から長期間で交渉するのではなく、6か月〜1年でリスケジュールを実施し、期間終了前に再び銀行と交渉して期間を延長してもらう方法がよく見られます。

期間を長めに交渉するには、経営改善計画を綿密に立て、計画に従うと長めの期間が妥当だと主張する方法をとってみましょう。

金利

リスケジュールの実施により銀行側は、債務者区分が下がるため貸倒引当金をより多く積む必要があるなどのリスクと手間を負担することになります。そのため、リスケジュールと引き換えに、金利の引き上げを提案されるケースも多いです。

その場合は、経営状況が悪化している自社に対して、メリットの少ないリスケジュールに応じてくれた銀行に花をもたせる気持ちで承諾する方がよいでしょう。

手順5:リスケジュールの実施

融資の取引があるすべての金融機関と交渉したのちに、リスケジュールが実施されます。リスケジュールの期間内は返済が猶予されるので、この期間内にできる限り経営を立て直せるよう、最善を尽くしましょう。

まとめ

リスケジュールは、金融機関と交渉して、債務の返済条件を一定期間変更してもらう手続きです。一定期間とは原則的に6か月〜1年であり、延長したい場合は期限前に再度交渉します。

中小企業金融円滑化法により、以前よりも中小企業がリスケジュールを申し込みやすく、金融機関による実行率も9割以上と非常に高いです。

メリットは、一定期間返済を猶予してもらえる点と、リスケ期間内は法的な回収措置をとられない点です。一方、債務者区分の低下や、新規融資が困難になるなどのデメリットがあります。

リスケジュールが上手くいくかは、返済が困難な状況を打開するための計画を立て、経営改善計画書や資金繰り予定表などの書類に反映できるかという点がポイントです。

とはいえ、経営者であってもこうした書類を自力で作成するのは困難です。そのような場合には、専門家である弁護士に相談し、リスケジュールひいては経営改善のためにより良い戦略のアドバイスをもらうのが近道といえます。ぜひ一度、気軽に相談してみてください。

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