事業譲渡契約書の逐条解説:事業譲渡の実行
弁護士法人M&A総合法律事務所のM&A契約書類のフォーマットはメガバンクや大手M&A会社においても、頻繁に使用されています。
ここに弁護士法人M&A総合法律事務所の事業譲渡契約書のフォーマットを掲載しています。
M&Aを検討中の経営者の皆様でしたらご自由にご利用いただいて問題ございません。
ただし、M&A案件は個別具体的であり、このまま使用すると事故が起きるものと思われ、実際のM&A案件の際には、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。
また、このフォーマットは弁護士法人M&A総合法律事務所のフォーマットのうちもっとも簡潔化させたフォーマットですので、実際のM&A取引において、これより内容の薄いDRAFTが出てきた場合は、なにか重要な欠落があると考えてよいと思われますので、やはり、実際のM&A案件の際には、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。
なお、詳細な解説につきましては、以下の弊所書籍「事業承継M&Aの実務」をご覧ください。
事業譲渡契約書の逐条解説:事業譲渡の実行
■■■第7条■■■■■■■■■■
第7条は、事業譲渡の実行(売主の義務)に関する規定である。 株式譲渡契約書と同趣旨であり、説明は省略する。 第3条から第6条において、売主から、買主に対して、資産・負債・契約・従業員を承継させるために必要な書類又は承継したことを証する書類、買主に対抗要件を取得するために必要な書類又は対抗要件を取得したことを証する書類などが、クロージング書類とされている。 ■■■第8条■■■■■■■■■■
第4条では、事業譲渡の実行(買主の義務)に関する規定である。 株式譲渡契約書と同趣旨であり、説明は省略する。 (1)事業譲渡価格と消費税問題なお、事業譲渡代金について、株式譲渡代金と異なり、消費税がかかることについては特に留意が必要である。また、事業承継M&Aにおいて、「株式譲渡には消費税はかからないが、事業譲渡には消費税がかかる」と一般的に言われることが多いものの、実態は詳細に考える必要がある。すなわち、株式譲渡に消費税がかからないのはその通りであるものの、事業譲渡なら事業譲渡価格にそのまま消費税がかかるというわけではなく、事業譲渡を構成する資産を課税資産・非課税資産に分けて考える必要がある。例えば、動産には消費税はかかるものの、土地には消費税はかからず、売掛債権にも消費税はかからない。事業譲渡の対象事業を構成する資産を分解し、ひとつずつ課税資産か非課税資産かを確認して、課税資産のみに消費税率をかける必要があります。また、特に、のれん(営業権)にも消費税がかかることには留意が必要である。無形資産なので消費税がかからないかのような誤解をしているクライアントもいることから、特に注意が必要である。また、事業譲渡に伴い、負債も事業の一部として承継する場合であっても、資産に対して消費税が課されるため、負債に相当する金額について消費税が減額されることはない。 筆者らが実際に経験したケースでは、買主が、誤って、事業譲渡代金に8%の消費税を加算して(課税資産・非課税資産の区別なく、事業譲渡代金そのもの全額に8%を加算してして)、事業譲渡代金の振り込みを行ってしまったところ、しばらくしたのち買主が誤りに気付き、売主に対して返金を要求したところ、売主は言を左右にしてなかなか返金せず、弁護士介入してようやく返金に応じた事例も存在するため、特に注意が必要である。おそらく、世間一般の事業譲渡において、このように事業譲渡代金そのもの全額に8%を加算してして支払い、そのままになっている事例は非常に多く存在するものと思われる。 (2)事業譲渡価格と印紙税問題本条3項に関連して、株式譲渡代金・事業譲渡代金の領収書の印紙税についても取り扱いが異なることには留意が必要である。 株式譲渡代金の印紙税は、個人の場合は「営業に関しないもの」として非課税(印紙税は不要)となる(法人の場合は印紙税が必要)ものの、事業譲渡の場合は、個人ではなく法人と思われることから、「営業に関しないもの」とはならず、印紙税が必要となる。 |