会社支配権紛争!

株式会社とは会社に対して出資した人が株主となり、その株主から委任を受けた経営者が事業を行なっていく仕組みになっています。

株主が一人で且つその会社の経営者であれば、会社の支配権に関する争いが起こることはありません。

しかし、その経営者が亡くなって相続が発生した場合や、支配権を持っている人が複数いる会社などでは、会社の支配権に関する紛争が起こる可能性があります。

今回は、どういう時に会社支配権紛争が起こるかや、会社支配権紛争を起こさないためにはどのような方法があるのかについて詳しく解説していきます。

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1 会社支配権紛争とは

会社支配権紛争とは、相続やその他多数の株主が存在するなどが原因で経営支配権を巡る紛争が起きることをいいます。

会社支配権紛争が起こると会社の組織や方向性が決定できなくなるため、その会社が深刻な経営危機に陥る場合もあるのです。

特に親族のみが株式を保有している中小企業に起こることが多く、感情面の問題や利害関係の絡み合いや相続発生などにより争いにまで発展していきます。

そして、会社支配権紛争が一度起これば、長期化や泥沼化してしまう傾向があるのです。

また、株主が一人しかいなくて経営者の場合は、会社支配権紛争に発展することはありません。

しかし、経営に何かしらで関わる株主が複数いる場所は、株主同士の経営方針が違うことも多々あります。

このことより、取締役の選任や解任、役員報酬の額の違い、株主総会の開催などの会社支配権紛争に発展していく可能性もあります。

2 会社支配権紛争の原因

会社支配権紛争が起こってしまうと、その会社が経営危機や存続危機にまで発展してしまう可能性があります。

それなのに何故会社支配権紛争が起こるのでしょうか?

ここでは、会社支配権紛争に発展する代表的な3つの原因について考えていきます。

(1)相続

まず第一の原因は、相続が発生した場合です。

同族会社であってオーナー社長が亡くなった場合などは、特に親族間の争いが顕著に現れます。

オーナー社長などの支配株主の死亡により株式が各相続人に分散した場合などは、 支配権は相続人間で争われ会社支配権紛争の生じやすい状態になるのです。

相続人が摘出子と非摘出子である場合は、余計に会社支配権紛争が起こりやすくなります。

他にも仮に兄弟間で株式を半分ずつ相続して共同して会社を運営したとしても、 その子供や孫の代になれば信頼関係が希薄化して会社支配権紛争が起こる可能性が高くなります。

このように相続による会社支配権紛争が起こるのは、以下のような問題が原因と考えられます。

  • 誰が自社株式を引き継ぐかによって、経営支配権に大きな影響を及ぼすこと。
  • 株式を引き継ぐ相続人と引き継がない相続人とで相続財産の額に大きな差がつくこと。
  • 相続税額が大きい場合は自社株式の保有を継続しながら納税資金を確保することが難しいため、自社株式と会社経営権を手放す必要があること。
  • 相続する株式が非上場会社株式である場合、時価評価の算定が困難であること

(2)共同設立

個人の出資ではなく共同で出資をして会社を設立した場合は、初めは同じ方向を向いていて関係も良好であることが多いでしょう。

しかし、年数が経過するとともに経営方針の違いが現れ、方針を巡って意見対立が生じると会社支配権紛争が起こる可能性が高くなります。

このように、共同設立による会社支配権紛争が起こる原因は、経営にいくらかでも関与する株主が複数いるために経営方針が違ってくることが考えられます。

また、複数株主による会社支配権紛争は、取締役の選任や解任、感情による対立からも泥沼化しやすく、社員まで巻き込まれてしまう可能性もあるのです。

(3)株式譲渡

複数の株主により会社経営を行っていた会社が、一部の株主の株式譲渡により会社支配権紛争が起こるケースです。

複数の株主による経営を今まで円満に行ってきたとしても、一部の株主が株式譲渡を行い新しい株主が経営に口出しすることで、株主間の関係が悪化することが会社支配権紛争の原因です。

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3 会社支配権紛争の予防方法

このように、相続や共同設立や株主譲渡などが原因で株式が分散することから会社支配権紛争が起きるのですが、紛争を予防する方法にはどのようなものがあるのでしょうか?

本頁では、会社支配権紛争の予防方法について詳しく解説していきます。

(1)そもそも株式を分散させない

会社支配権紛争が起こる最大の原因は複数の株主がいることのため、株式を分散させなければそもそも紛争は起こりようがありません。

株式を分散させない有効な方法としては、絶対多数株主グループを確立する必要があります。

元々会社設立時から絶対多数株主グループが確立していればまったく問題ないのですが、確立していないこともあるでしょう。

そのため、募集株式の第三者割当による新株発行などを行い友好的な第三者に新株を割り当てることで、絶対多数株主グループ形成することができます。

同時に、反対株主の持株比率を低下させることもできるのです。

また、新株予約権の第三者割当を絶対多数株主グループや経営陣に付与しておくことで、株主グループの株式を増加させることもできます。

(2)遺言により後継者への株式相続

会社支配権紛争が起こる原因として、相続による株式の分散があります。

相続人が複数存在した場合は、基本的に会社の株式も複数人で相続することになります。

このような相続による株式の分散を防ぐ方法として、遺言書の作成があります。

即ち、特定の相続人に株式を相続させるような遺言書を作成することで、相続による株式の分散をあらかじめ防ぐのです。

但し、気を付けておかなければいけないことは、遺言書の内容が他の相続人の遺留分を侵害してしまうケースです。

遺留分を侵害された相続人による遺留分減殺請求が行われた場合、株式の一部が侵害された相続人のものになってしまう可能性があるのです。

そのため、遺言書を作成磨るだけでは安心でなく、きちんと遺留分対策をしておく必要があります。

(3)従業員持株会に保有させておく

従業員持株会とは従業員持株制度によって自社株を従業員が取得できる組織のことをいいますが、この会を利用して株式の分散を防ぐ方法もあります。

従業員は従業員持株会を通じて毎月一定額の自社株を購入していきますので、会社に在職している間に積み立てる金額は相当な金額になります。

また、会社に在職している間は、基本的には株式を売却することはありません。

従業員持株会に株式を保有させておくことで絶対多数株主グループ形成と維持が図れますので、株式を分散させないためにはとても有効な方法と考えられているのです。

(4)名義株の解消

名義株とは、会社の株式名簿に記載されている株主と実際の所有者が異なる株式のことです。

会社にこのような名義株が存在している場合は、真の株主についての紛争が起きないように早目に名義を実際の所有者に書き換えておく必要があります。

または、真の株主が誰であるかを明確にしておかなければなりません。

そのため、株式名簿に記載されている株主と実際の所有者の間で、その株式が名義株であることや真の株主が誰なのかの念書を作成しておくとよいでしょう。

(5)株式買取任意交渉(自己株買い)

自己株式の取得とは、企業が一度発行して流通した株式を市場や保有株主から買い戻すことをいいます。

会社が自己株式を取得することにより、絶対多数株主グループの支配権を高めるこおができます。

また、反対株主に株式が渡ることを防ぐこともできるのです。

(6)スクイーズアウト(少数株式排除手続(少数株主株式売渡請求・相続株式売渡請求・株式併合スクイーズアウト))

スクイーズアウトとは、少数派株主の株式を多数派株主が強制的に譲渡させることをいいます。

スクイーズアウトによる少数株式の取得には、以下のようなケースが考えられます。

・少数株主株式売渡請求

少数株主株式売渡請求とは、90%以上の株を保有してい特別支配株主が少数株主に対して適切な価格を提示し通知すれば一方的に株式を買い取ることができるという制度です。

・相続株式売渡請求

会社法では相続人に対する株式の売渡請求を定款に定めておけば、相続が発生して株式を取得した者に対してその株式を売り渡すことを請求することができます。

・株式併合スクイーズアウト

株式併合スクイーズアウトとは、株式併合を行うことで少数派株主の排除を可能とする方法です。

例えば、株式を分散している株式会社が10株を1つの株式にまとめる株式併合を行うことで、9株を所有している少数派株主を1株未満の株主にしてしまうことができます。

4 まとめ

このように、会社支配権紛争を起こさないようにするには色々な対策がありますので、自社にあった方法を考えるのがよいでしょう。

それでも会社支配権紛争が起きてしまったら、専門家であるM&A総合法律事務所に相談してください。

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