共有状態の不動産は容易に処分できません。なぜなら、単有名義(不動産が単独名義になっている場合)より、権利関係が複雑になっているからです。

単有名義の不動産は名義人と足並みをそろえて不動産売却手続きを進めれば問題ありませんが、共有の場合は共有者全てとやり取りをしながら手続きを進めることになります。手続きの登場人物が多いため、単有名義より手続きも煩雑になってしまうのです。

だからこそ共有名義の不動産は、

1.安く買い叩かれてしまう(高く売ることは難しい)

2.対応してくれる不動産会社が少ない(手続きが煩雑で大変だから)

3.処分までに時間がかかりがち(登場人物が多いから)

という3つのデメリットがあります。

共有物は「売却したい」と思い立ち、即座に売却できる物ではなく、さらに「高値で売却したい」と考えても、高値売却は非常に難しいという現実があるのです。

しかし、「すぐに売却しにくい」「高値売却が難しい」という現実は弁護士による共有持分の売却により解決可能です。弁護士による共有持分売却の基礎知識や流れについて解説します。

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1 共有持分は持分売却ができます。

共有とは「2人以上で物を所有すること」です。不動産も共有が可能で、2人以上の共有になっている不動産は登記情報などで共有になっていることを確認することができます。

不動産の共有状態と言われても、なかなかピンと来ないかもしれません。共有という言葉から、「2人以上で不動産を所有すると、自分の所有分しか使えないのではないか」と不安に感じることもあるはず。決してそのようなことはありません。民法には「共有者は物の全部を使用できる」というルールがあるのです。

第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

たとえば、2人で1つの家を共有していたとします。権利は2分の1だったとします。

権利が2分の1なので、キッチンやトイレ、ダイニングなどをそれぞれ2分の1ずつしか使えないわけではありません。家の中に境界線を引いて、自分の境界線内でしか生活できないわけでもありません。共有状態でも、家は問題なく全部使えます。このあたりは単有名義と変わりません。

共有の場合は、「物の処分」や「物の維持管理」の点で大きな特徴があります。

第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

第二百五十三条 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。

共有物は、共有者同士で管理費用を捻出して維持管理しなければいけません。単有名義の不動産の場合、その名義人が主に費用を捻出して維持管理に務めます。共有の場合は「共有者同士でお金や労力を分担して維持管理してください」ということになるのです。

さらに、共有物に関しては、基本的に「多数決」になります。たとえば、共有者Aは共有不動産を売りたいと考えていたとします。しかし共有者BとCは売却に反対していました。Aが不動産を売りたくても、多数決で負けてしまいます。

共有者の数がさらに多かったらどうでしょう。共有者の数だけ意見が出ますし、多数決の場は揉めます。多数決で負けてしまった共有者にとっては、不本意な結果になることでしょう。

単有名義の不動産なら、自分の一存で売却などを決めることができます。対して共有不動産の場合は、多数決で全員が賛成しないと不動産売却できません。多数決による関係にうんざりして「共有関係を切ってしまいたい」と思うこともあるはずです。

2 共有持分を売却しても2-3割。共有不動産を全てまとめて売却する

共有持分のみの売却は可能になっています。共有持分のみ売却すれば、共有関係を切ることも可能です。

ABCの例で説明すると、多数決で負けてしまった共有者Aが「もう共有関係は嫌だ」と自分の持分を処分することもできます。共有不動産そのものを売却するためには全員の賛同が必要ですが、自分の持分の処分のみであれば、自由にできるのです。Aは自分の判断で持分の売却処分ができます。

しかし、Aが不動産持分の売却を考えても、話はそう簡単に進みません。すでにお話したように、共有不動産は「すぐに売却しにくい」「高値売却が難しい」という現実があるからです。共有不動産の持分も、事情は同じになります。

自分が不動産の購入を検討していたとします。その場合、不動産を単有名義で買おうと考えるでしょうか。それとも持分で買おうと考えるでしょうか。

基本的に、単有名義での購入を考えるのではないでしょうか。持分を買っても不動産を使うことができます。しかし、維持管理の費用を他の共有者と分担したり、他の共有者と多数決が必要になったりする等の複雑さがあるわけです。持分による所有は、単有名義と比較して「面倒だ」が結論になります。好き好んで共有持分を購入する人は少ないのではないでしょうか。

元の共有者が「面倒な共有関係から離脱したい」と考えたことと同じです。持分の取得は共有関係の輪に入ることだからこそ、嫌がる人が圧倒的に多いという現状があります。自分が購入する場合、どちらを購入するかを考えれば、共有持分や共有不動産がなぜ売却しにくいかがわかるはずです。

不動産会社は商品として売りにくい不動産は取り扱いを控えます。仮に不動産会社や不動産売却や不動産買取に応じてくれたとしても、需要が少ない上に売れにくいわけですから、高値はつきません。持分は基本的に2~3割の安値がつくのです。売りにくく安値がついてしまうという点で、持分の売却処分で即座に不動産会社に駆け込むことは悪手になります。

不動産会社に持分の売却処分を依頼する以外に、持分には処分方法があるのです。

弁護士に依頼して共有不動産をまとめて売却するという方法になります。

3 弁護士による共有持分の売却|共有不動産を全て取りまとめて売却する流れ

弁護士による共有持分の売却とは「共有物分割請求」という方法を使い、共有不動産を全てまとめて売却する方法になります。

不動産の共有持分は売却しにくく、安値がついてしまう存在です。しかし、共有持分をまとめて売却すれば、持分として売却するよりはるかに売却がスムーズになり、時価に近い高値での不動産売却に繋がるのです。共有物分割請求を使えば、不動産の共有状態からも、もちろん脱することが可能になります。

不動産の共有状態は、不動産問題だと考えがちです。しかし、共有状態は法律問題になります。法律問題は弁護士の扱う分野です。弁護士に依頼することで、スムーズな売却と解決をはかることができます。

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共有物分割請求とは

共有物分割請求は「共有物の共有関係を解決するための手続き」です。民法258条に規定があります。

第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。

共有状態の解消には、持分を即座に売却処分する方法や持分を他人や他共有者に譲渡してしまう方法などがあります。この共有物分割請求も、共有状態を解消する方法の1つです。

持分を即座に売却処分する方法には、前述したように、売りにくく安値がつくというデメリットがありました。持分を他人や他共有者に譲渡する方法は、贈与の場合は贈与税などの問題があるのです。また、他人が譲渡に応じてくれない可能性も高くなります。譲渡に応じるということは、共有関係の輪に入るということ。不動産が欲しいなら、他人は共有関係の存在しない不動産を買えばいいという話になります。

1人の共有者が「共有関係から脱したい」と考えるということは、他共有者も同じことを考えている可能性があるということ。たとえば、ABCの3人で共有関係になっていた場合、AがBに自分の持分を譲りたいと申し出ても、Bが応じない可能性はそれなりに高いと言えます。Aの持分を譲られても、Bは共有関係から脱することができないからです。

共有物分割請求は裁判所での手続きになるため、共有者個人での譲渡や売却よりもスムーズに共有関係の解消が可能になります。また、共有物分割請求は強力な権利です。裁判所も共有物分割請求により共有解消に積極的だという現実があります。共有状態より、共有状態を解消してしまった方が流通しやすいためです。1つの物(不動産)には1人の持ち主がいるという状態に近づけた方が、権利関係もスマートになるからでもあります。

共有物分割請求は、共有状態を解決するための非常に優れた方法なのです。

共有物分割請求の具体的な手法

共有物分割請求があると、不動産の共有状態を解消するために、手続きを進めて行きます。

共有物分割請求には、3つの解決方法があり、物の性質や物のある場所(不動産の住所など)の事情などを考慮して解決をはかることになるのです。

①    現物分割

現物分割とは、共有物をわけて解決する方法です。共有状態の物が2つ以上にわけられるときに、「共有者同士で現物をわけてしまおう」というかたちで解決をはかる方法になります。

ただし、不動産などの現物をわけることのできない物にはあまり使われません。持分2分の1ずつの2人の共有者がいたとします。現実問題として、不動産を半分に割るわけにはいきません。不動産の共有関係解消では、まず使われない方法です。

②    代償分割(全面的価格賠償)

共有者のうち1人が共有物を取得し、残りの共有者に対して代金を支払う方法になります。ABCの3人が不動産を共有している場合に、Aが不動産を取得して、BとCに金銭の支払いを行うケースが代表例です。

共有物分割請求の中で共有状態を解消でき、1人の所有物にできるため、その後の不動産処分がスムーズに進むことになります。共有不動産の共有解消や処分によく使われる方法です。

③    換価分割

換価分割とは、共有物を競売にかけ、その売却金を受け取る方法になります。代償分割は共有者の持分を買い取って1人の所有物にするという流れでしたが、こちらの換価分割は、競売してお金に換えてしまう方法です。

代償分割でも共有関係を解消することは可能ですが、換価分割でも第三者へ競売で売却するため、不動産の共有状態を解決することが可能です。

共有物分割請求を使って共有不動産を売る流れ

不動産は現物分割があまり使われないため、代償分割や換価分割を主にして解決をはかります。基本的にどちらの方法でも共有問題は解決できるという結論です。

また、代償分割を使えば、最終的な所有者になった1人が不動産売却をすることでスムーズに不動産を処分できますし、換価分割は競売を通して売るため、どちらの流れになっても「不動産を処分できる」という結論は変わらないことになります。

では、共有物分割請求を行ったとして、具体的にどのような流れで結論まで進むのでしょう。

弁護士に依頼して共有物分割請求を使い共有不動産をまとめて売却する流れは、次の通りです。

1.共有物をどうするか方針・計画を話し合う

2.他共有者に対して交渉を行う

3.共有物分割請求

4.共有物分割を実行する

1 共有物をどうするか方針・計画を話し合う

弁護士による共有物分割・売却を行う場合は、まずは依頼人と弁護士が「現状の共有」「共有物を最終的にどうしたいか」「どのような流れで進めるか」の3つの行うところからスタートします。

まず確認するのは、共有物の現状把握です。共有者は何人いて、持分はそれぞれどのくらいなのか。他共有者の共有に対するスタンスや意見はどうなのか。以上の点を、依頼者からのヒアリングや現状調査で確認します。共有物や共有状態などが不確定な状態だと、解決へと駒を進めることができないからです。

次に行うのは、共有物を最終的にどうしたいのか、依頼者の意思確認になります。基本的に「最終的に不動産を売却する」という流れで進めますが、本当に結論はそれでいいのかを確認するのです。依頼者によっては、共有状態を解消できれば、自分の所有物にしたいなどのニーズを持っていることもあります。そのため、共有の解決のために動き、最終的に不動産売却を進めるという方針で差し支えないのか、弁護士が確認を取るのです。

このステップで最後に行うのは、共有物分割請求から不動産売却までの流れの確認になります。共有物分割請求では、即座に裁判所手続きに入るわけではありません。交渉の余地があれば、弁護士が入って他共有者との交渉を行います。交渉から共有物分割請求訴訟までの流れを説明し、依頼者と弁護士が情報を共有しながら計画立案を行うのです。

2 他共有者に対して交渉を行う

共有物分割請求では、いきなり裁判所手続きに入らず、他共有者との交渉を行うことが少なくありません。

1人の共有者が「不動産の共有状態を解消したい」「不動産売却したい」「スムーズに解決したい」と考えているということは、他共有者も同じ気持ちを抱いている可能性があるからです。裁判所手続きを使わなくても、弁護士という法律の専門家が交渉を行うことで、平和的かつスムーズに解決できる余地があるということです。

弁護士による交渉によって共有物分割や売却が解決できる事例は、実際に50%以上であると言われています。依頼の半数ほどは、この段階で弁護士が交渉することでスムーズに解決可能なのです。弁護士による交渉によって解決できれば、裁判所での手続きを経る必要はありません。

1.他の共有者から共有持分を買い取る

2.他の所有者に共有持分を買い取らせる

3.他の共有者との共同売却を行う

以上のような方法で解決が可能です。

交渉が難しいケースや交渉が決裂したケースでは、3つ目の「共有物分割請求訴訟」に駒を進めて解決をはかることになります。

3 共有物分割請求訴訟

交渉が難しい。交渉に応じてもらえない。交渉が決裂した。このようなケースでは、裁判所に共有物分割請求訴訟を申し立てることになります。ステップ2の交渉までは、裁判所手続きではありません。このステップ3からが裁判所での手続きになります。

共有物分割請求訴訟は、ドラマの訴訟のように激論を交わすわけではありません。尋問が行われることも非常に少ないため、依頼者が裁判所に出頭することもほぼありません。

共有物分割訴訟では、次のような結論で共有物の売却や解決を行います。

1.他の共有者から共有持分を買い取る

2.他の所有者に共有持分を買い取らせる

3.他の共有者との共同売却を行う

共有物分割請求訴訟では、自分の共有持分を他共有者に買い取らせることになっても、共有関係の解消と不動産売却が可能です。他共有者から共有持分を買い取っても、最終的に自分名義の不動産として売却すればいいわけですから、共有関係の解消と不動産売却が可能という結論になります。競売の流れになっても共有持分を売却できるため、結論的に共有関係の解消と不動産売却ができるのです。

どの流れになっても最後は共有物分割請求訴訟で確実に(共有不動産全部を取りまとめて)売却できます。

4 共有物分割を実行する

共有物分割請求訴訟の結果に沿って、共有物分割を実行します。このステップ4で共有不動産の売却は完了です。

多くの共有物分割請求訴訟は1年ほどで終了するため、長引くこともあまりありません。早いケースでは、半年ほどで決着することもあります。

最後に

共有不動産は、売りにくく、安値がつきがちであるという問題点があります。持分のみの処分もできますが、持分を取得しても共有関係の輪に入るという煩わしさがあるため、やはり処分は難しいのが現実です。無理して売却しても、安値のせいで後悔する可能性もあります。

弁護士による共有物分割請求を活用すれば、共有不動産をスムーズに換金できるのです。交渉で解決できる可能性もありますし、共有物分割請求訴訟になった場合でも結論は「共有状態の解消」と「売却」になります。共有状態を総合的に解決できるため、共有不動産の持分を不動産会社で売却・買取するより、高値での売却処分が期待できるというメリットがあるのです。

共有物分割請求も不動産売却の1手法。共有不動産の売却で積極的に利用したい方法なのです。

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