M&Aにおける労使紛争・労働争議・労働組合問題について

M&Aにおいては、「重大な労働争議は存在せず、また、労働組合は存在しない。」ことを表明保証してもらうことが多い。

労働関連法については、近時、長時間労働や過労死の問題、未払残業代請求訴訟の乱発、働き方改革などの法律問題や法改正の多い分野であり、実際、事業承継M&Aに際しても、従業員に関する紛争は頻発している。

その中でも、存在した場合に特に大きく対象会社の企業価値を毀損するものが、労働争議や労働組合の介入である。

事業承継M&Aの対象会社である中小企業、零細企業において、労働組合が存在している事例は多くはないものの、存在している場合、労働組合に対する対応は、対象会社においては大きな負担となるため、労働組合が存在するか否かは、対象会社の企業価値を検討する際に大きな問題である。

M&Aにおけるユニオン(合同労組)の問題

また、中小企業、零細企業において、労働組合が存在している事例は多くはないものの、労働組合が存在している事例としては、従業員がいわゆるユニオン(合同労組)という外部の労働組合に加入している事例が多くなっている。

すなわち、従業員がユニオン(合同労組)に加入し、ユニオン(合同労組)が組合員である従業員の代わりに対象会社に対して団体交渉を申し入れて、労働環境の改善や不当な行為の停止、未払賃金・退職金等の支給を要求することが多くなっている。

また、このようなユニオン(合同労組)は、従業員の代わりに対象会社に対して団体交渉を申し入れて、労働環境の改善や不当な行為の停止、未払賃金・退職金等の支給を要求するために、従業員から依頼を受けている形であり、対象会社に対して、強く、労働環境の改善や不当な行為の停止、未払賃金・退職金等の支給を要求することが多く、対象会社のオーナーとしては、ユニオン(合同労組)に対する対応に非常にエネルギーを費消することとなる。

ユニオン(合同労組)の中には、対象会社の経営陣に、多大なエネルギーを費消させ、困惑させることによって、要求を飲ませようとするところも多いように見受けられる。

また、ユニオン(合同労組)の中には、対象会社の多数の従業員を巻き込み、対象会社の事業の運営に大きな支障が生ずることを厭わず権利行使を行ったり、対象会社の従業員を取り込み、ユニオン(合同労組)の思い通りに対象会社の事業の運営を行える状態としてしまい、対象会社の経営をほとんど支配してしまうこともあるようである。

そのようなことになってしまっては、もし仮に、買主が、事業承継M&Aにより、対象会社を買収したとしても、ユニオン(合同労組)の存在によって、実質的に、対象会社の支配権を確立することができないことが明らかであったり、対象会社の支配権を確立することが困難であったり、大きな支障になったりするような場合、事業承継M&Aの実現は非常に困難となる。

M&Aにおけるその他の労使紛争・労働争議・労働組合問題について

その他、対象会社に、ストライキ(同盟罷業)、ピケッティング(就労阻止等)、サボタージュ(同盟怠業)などの労働争議が存在する場合も、上記同様に、買主から見て、対象会社の企業価値は大幅に損なわれている状態であり、買主としては、事業承継M&Aを実行したとしても、想定した効果は得られないものとして、事業承継M&Aの実現は非常に困難になってしまう。

対象会社にこのような労働争議や労働組合が存在する場合、対象会社の正常化を実現してからでないと、事業承継M&Aの遡上には乗らない。

したがって、事業承継M&Aにおいては、株式譲渡契約書において、労働争議の不存在や労働組合の不存在について、売主に表明保証してもらうこととなる。

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