株主確認訴訟で株主であることを会社に認めさせる方法

株主が行使できる権利のことを株主権といいますが、この株主権を誰が保有しているかで問題になることがあります。

株主が誰なのかは、通常株主名簿を見ることでわかります。

しかし、実態は株が売買されることにより株主が変わっていることがあり、そのことを株主名簿にちゃんと記載されていないケースもあります。

また、株主名簿や株券が存在しない場合もあるのです。

今回は、このような場合に誰に株主権が帰属するかを裁判所に判断してもらうための「株主権確認請求」について詳しく解説していきます。

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1 株主確認訴訟とは

会社法上の株式会社とは基本的には株主の所有で、ほとんどの意思決定は株式を過半数以上保有している株主によって決定されます。

このことより、会社支配権紛争が起きた時は、誰がどれだけ株式を保有しているかがたいへん重要なポイントになるのです。

このように、会社の株主権の帰属を巡る紛争が起きた時に、話合いでは解決できない場合もよくあります。

そして、話合いで解決できない時は、訴訟を起こすことで誰に株主権が帰属するのかを裁判所に判断してもらう方法があります。

このように、誰に株主権が帰属するのかを判断してもらうための訴訟のことを、「株主権確認請求」といいます。

2 株主確認訴訟を起こす理由

会社支配権紛争に勝つためには、会社の株式の保有数(保有割合)をどれだけ増やすかがポイントになります。

会社の株式の保有数(保有割合)が多ければ多いほど、重要な意思決定を思うように行うことができるようになります。

そして、会社を支配することができるのです。

そのため、会社支配権紛争は、株主権の帰属に対しての争いという形で現れます。

この株主権の帰属に対しての争いを制するために、会社支配権紛争を行っているどちらかが株主確認訴訟を起こします。

そして、この訴訟を勝訴した者が会社の株主権を確立し、株式の価値を享受できるのです。

さらに、会社の株主権を確立し会社を支配した方が、相手方を会社から追い出すこともできます。

このように、株主確認訴訟を起こすことにより株主権を確立できれば、会社支配権紛争に勝つことができるのです。

3 株主権の帰属が問題となる理由は?

会社支配権紛争の原因として、株主権の帰属が挙げられます。

それでは何故株主権の帰属が問題となるのでしょうか?

ここでは、株主権の帰属が問題となる理由について詳しく解説していきます。

(1)名義株の存在

名義株とは会社の株式名簿に記載されている株主と実際の所有者が異なる株式のことで、他人名義である理由にはいろいろとあります。

例えば、役員や株主になるのは都合が悪かったり、会社設立の時に人数を揃える必要があったりです。

平成2年の商法改正前は会社設立には7人の発起人が必要とされていたため、実態の伴わない名義株が存在していました。

名義株の存続は、昔だけでなく現在においても株主権の帰属に対する大きな問題となっています。

(2)相続対策で株式の分散

相続税の支払いを避けるためなどの相続対策により、株式の名義を配偶者や子供も名義にしていることが多々あります。

このような相続対策による株式の分散は、会社支配権紛争が起きた場合に名義株と主張されることがあります。

また、一方では名義株ではなく実態の伴うものと主張されるので、株主権の帰属が問題になるのです。

(3)役員や従業員に株式を渡して分散

会社の業績を上げたり従業員のモチベーションを上げる方法として、役員や従業員に株式を分散させる方法があります。

しかし、必要以上に役員や従業員に自社株を保有させると、会社の経営バランスが崩れたり株主権の帰属の問題に発展することもあります。

(4)株式譲渡契約が存在していないため株式譲渡が無効

株式譲渡契約書は、株式を譲渡したり譲渡を受けたりする場合に作成される重要な書類です。

しかし、株式を無償で譲渡する場合には、株式譲渡契約書は必要ないと考える人もることにより、実質的な株主ということが証明できるのです。

(5)株式譲渡承認を得ていないため株式譲渡が無効

株式譲渡を行うには、法律上株主総会または取締役会での株式譲渡承認決議が必要です。

しかし、実際には株式譲渡承認決議が行われていない株式譲渡も数多くあります。

このケースは法律上では株式譲渡が無効のため、株主権の帰属が問題になります。

(6)株券を交付していないため株式譲渡が無効

株券発行会社の株式譲渡では、株券の交付によって効力が発生するのが原則です。そのため、株券の交付を行っていない株式譲渡は、無効となります。

このようなケースでも、株主権の帰属が問題になります。

(7)会社による株主名簿の偽造による株主権の無視

株主名簿とは、会社法によって株主や株券に関する事項を明らかにするために作成を命じられた帳簿のことをいいます。

株主名簿に名義がのっていなければ、会社に対する権利を行使することはできません。

そのため、会社によってこの株主名簿を偽造することで、株主権の帰属がわからなくなります。

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4 株主確認訴訟の主張立証方法

会社支配権紛争の中では、株主権の帰属についての問題がとても多いです。

即ち、会社の株主は誰で何株の株式を保有しているかが争点になるということです。

この株主権の帰属を明らかにさせるために、一方が株主権確認訴訟を起こします。

以下は、株主確認訴訟における主張の立証のための証拠になるものです。

(1)株式譲渡契約書

株式譲渡契約書は、株式の譲渡が発生する時に譲渡人と譲受人との間で交わす契約内容が記載された書面です。

この契約書があれば、株主権の帰属についての証明になります。

(2)株式譲渡承認請求書・承認書

株式譲渡承認請求書とは、自分が所有する株式を譲渡する場合に株式の発行会社に提出する書類のことをいいます。

会社法により譲渡制限株式を譲渡する場合は、必ず株式譲渡承認請求書の提出が必要とされています。

また、この譲渡請求の承認書があれば、証拠になります。

(3)株券の存在

実際に株券を所有していれば、株主権の帰属についての証明になります。

さらに、所有している株券が名義株ではなければ、絶対的な証明になるのです。

(4)株主名簿

株主名簿は、会社法によって規定された株主や株券に関する事項を明らかにするための帳簿です。

そのため、株主名簿に名前や所有している株数などが記載されていることで、株主権の帰属についての証明になります。

(5)原始定款

原始定款とは、会社の設立時に作成される定款のことです。

原始定款に発行可能株式総数を必ずしも記載する必要はありませんが、会社の設立までには発起人全員の同意により定款に記載しなければなりません。

そのため、ほとんどの定款に発行可能株式総数が記載されていますので、証拠となる可能性があります。

(6)確定申告書の同族会社判定明細書

同族会社判定明細書とは、法人税の確定申告の際に会社が同族会社及び特定同族会社に該当するかを判定する場合に作成する書類です。

その中で期末現在の発行済株式の総数又は出資の総額などを記載しますので、株主権の帰属についての証明になる可能性があります。

(7)配当所得の源泉徴収票

配当所得とは株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当などですが、所得税などが源泉徴収されます。

そのため、配当所得の源泉徴収票は、株主権の帰属についての証明になる可能性があるのです。

(8)出資金を振り込んだ際の預金通帳記帳・銀行記録

出資金を振り込んだ時の預金通帳記帳や銀行記録があれば、株式の実際の所有者である証拠になる可能性があります。

(9)送付されてきた株主総会招集通知

株主総会の招集通知があれば、株主であることの証明になります。

(10)株主総会に出席した事実

株主総会に出席した事実が証明できれば、株主総会の招集通知と同様に株主であることの証拠になります。

(11)帝国データバンク資料の株主構成の欄

帝国データバンクの企業信用調査などの資料には、株主名や持株数や持株比率などのデータが記載されている場合があります。

そのため、株主権の帰属についての証明になる可能性があるのです。

(12)その他手紙・社内メモ・議事録など

手紙や社内メモや議事録などにも、株主権の帰属についての証明になるような記載がされている可能性があります。

これらが証拠になるケースもありますので、確認が必要です。

5 まとめ

今まで見てきたように、株主確認訴訟を有利に進めるためには、専門家でないと難しいことが多くあります。

そのため、株主確認訴訟を起こそうと思った時は、株主問題に強いM&A総合法律事務所にご依頼ください。

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