株主総会開催がコロナにより遅れても問題ないのか?

2020年はまさにコロナ一色、その影響は計り知れず、業種を問わず多くの企業が多大なる損失を被っています。

また、通常ならば企業の決算や株主総会が最も集中する時期に緊急事態宣言が発出され、困惑している現場も少なくありません。

政府は人との接触の8割減少を強く訴え、テレワークを原則とする地域もあります。

そのような中、監査や決算作業や株主総会を推し進めるに足るだけの時間や人材を確保できている企業がどれほどあるかも疑問が残るところです。

そこで経営者が危惧するのが、「決算・監査や株主総会が遅れても問題ないのか?」という点でしょう。

決算や監査や株主総会とは会社法にてあらかじめスケジュールが決まってあるものであり、遅れた場合には100万円以下の過料が科されてしまう可能性もあります。

そこでこの記事では、新型コロナウイルスにより決算・監査や株主総会が遅れても問題ないのか、スケジュールやリスク等について弁護士が徹底解説していきます。

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・会社法における決算・監査や株主総会のスケジュールとは?

大会社(定時株主総会で承認又は報告された 貸借対照表において、資本金5億円以上、または負債額200億円以上を計上した会社)に該当する企業は、「会社法監査」が義務づけられています。また、監査役を設置している会社においては、監査役が監査を行う必要もあります。

監査とは?

「監査」とは、会社が会社法上の大会社に該当する場合に、会社法により監査を受けることが規定されているもので、「会社法監査」「法定監査」ともいわれます。

監査の基本概念は以下の通りです。

〇監査の目的・・・株主や債権者の利益の保護

〇該当する会社・・・定時株主総会で、承認又は報告された貸借対照表において、資本金5億円以上、または負債額200億円以上を計上する会社

〇違反した際の罰則・・・100万円以下の過料

「会社法監査」以外に、上場会社や有価証券報告書提出会社に求められる「金融商取引法監査」もあります。

監査が必要となるタイミング

会社にとって監査(会社法監査)が必要となるタイミングは、3月期において「資本金5億円以上」又は「負債合計が200億円以上」となる場合です。

また、仮に期の途中で増資を行い、資本金5億円以上となったとしても、期末までに減資して最終的に5億円未満となる場合には、監査は不要となります(負債も同様であり、期末時点で200億円以上にならなければ、監査は不要となります)。

決算・監査や株主総会のスケジュール

会社法における、決算・監査や株主総会のスケジュールは以下の通りです。

①取締役の計算書類等の提出

決算日に向けて、取締役は会社法に必要な4つの書類と附属明細書を作成します。

また、書類の提出に具体的な期限の定めはないため、計算書類などの一定の備置きの期間と株主総会招集通知の期間を確保することができる場合には、早期に株主総会を開催することも可能となっています。

②監査

取締役は、会計監査人に計算書類とその附属明細書を提供し、会計監査人は会計監査を行い、特定監査役及び特定取締役に対し監査報告の内容を通知する必要があります。

また、監査の通知には期限が定められているため、以下のうち最も遅い日までに特定監査役および特定取締役に対し、会計監査報告の内容を通知しなくてはいけません。

〇計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日

〇計算書類の附属明細書を受領した日から1週間を経過した日

〇特定取締役、特定監査役および会計監査人の間で合意により定めた日があるときはその日

特定監査役も、以下の日までに特定取締役および会計監査人に対し、監査報告の内容を通知する必要があります。

〇会計監査報告を受領した日から1週間を経過した日

〇特定取締役および特定監査役の間で合意により定めた日があるときはその日

③取締役会の承認(取締役会設置会社の場合)

取締役会設置会社である場合、計算書類等およびそれらの附属明細書について承認が必要となります。(取締役会の招集には、原則として1週間の期日を要す)

④定時株主総会における承認

計算書類、連結計算書類、事業報告に監査役及び会計監査人の監査報告書を添付し、以下の期限までに株主総会の招集通知を送付します。

【公開会社】

〇株主総会の日の2週間前まで

【非公開会社】

〇株主総会の日の1週間前まで

〇書面、または電磁的方法によって、議決権を行使できるとしている会社は2週間前

〇取締役会設置会社以外の会社は、定款の定めにより1週間を下回る期間とすることができる

計算書類は定時株主総会の承認を受ける必要がありますが、以下の要件を以下の要件を満たす場合には、報告にとどまる事項となります。

〇取締役会を設置している

〇会計監査人の会計監査報告において無限定適正意見が得られる

〇監査役会等の監査報告において、会計監査人の監査の方法または結果を相当でないと認

める意見がない

〇監査役会監査報告に付記されている異なる意見にも、相当でないとする意見がない

〇特定監査役が通知すべき日までに監査報告の通知を行わないことにより、監査を受けたものとみなされたものでない

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・新型コロナウイルスの影響で決算が遅れても問題ないのか?

東京証券取引所には、5月15日を期限とする約50社の3月期決算企業が、その発表時期の延期を届け出ました。

このことから伺えるように、新型コロナウイルスは各企業の決算や監査に大きな影響を与えています。

そこで、現状を鑑みた東京証券取引所は、適時開示実務上の取扱いについて以下のように見解を示しました。

【通期の決算内容及び四半期決算内容につきまして、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により決算手続き等に遅延が生じ、速やかに決算内容等を確定することが困難となった場合には、「事業年度の末日から45日以内」などの時期にとらわれず、確定次第にご開示いただくことで差し支えありません。】

これにより、企業は往来の提出時期にとらわれることなく、決算内容が確定次第内容を開示できることとなりました。

ただし、以下のような見解も示しています。

【なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、大幅に決算内容等の確定時期が遅れることが見込まれる場合には、その旨(及び確定時期の見込みがある場合には、その時期)の適時開示をご検討ください。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により、有価証券報告書又は四半期報告書の提出期限の延長申請を行うことを決定した場合には、その旨の適時開示が必要となりますのでご留意ください。】

要約すれば、「新型コロナウイルスの影響で決算が遅れた場合、会社法で決められたスケジュールにとらわれることなく、確定次第での開示を認める。

ただし、大幅に決算内容等の確定時期が遅れる、有価証券報告書または四半期報告書の提出期限の延長申請を行う、業績予想に大きな変動を生じる可能性があるといった場合などは、適時開示、適切なアップデートが必要となる」ということとなります。

・監査が遅れても問題ないのか?

金融庁は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、3月期決算業務と監査業務が大きな遅延を生じさせる可能性を危惧し、以下のような見解を示しました。

「企業及び監査法人においては、今般、有価証券報告書、四半期報告書等の提出期限について、9月末まで一律に延長する内閣府令改正が行われること等を踏まえ、従業員や監査業務に従事する者の安全確保に十分な配慮を行いながら、例年とは異なるスケジュールも想定して、決算及び監査の業務を遂行していくことが求められる」

「法令上、6月末に定時株主総会を開催することが求められているわけではなく、日程を後ろ倒しにすることは可能である」

最も優先すべきは、従業員や監査業務に従事する者、株主などの安全確保に十分な配慮を行うことであり、そのためには例年と異なるスケジュールでの決算・監査となっても許容されるとのことです。

・株主総会が遅れても問題ないのか?

また、定時株主総会の延期についても、法務省は、定款で定めた時期に定時株主総会をすることができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるとしています。

・まとめ

新型コロナウイルスという未曽有の危機の渦中にある企業は、例年とは異なる、状況に応じての対応が必要となります。

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