非上場株式・少数株式の株式価値評価における類似会社比較法の取り扱い!

非上場株式・少数株式の株式価値評価における類似会社比較法の否定

類似会社比較法は、対象会社と類似の上場会社の株価を参考に、対象会社の非上場株式・少数株式の株式価値評価を行う株価算定方法です。

しかし、非上場会社は、上場会社と同じ事業を行っているのであれば競争でつぶされてしまうのであり、非上場会社として生き残っているのであれば、それは上場会社の事業とは異なり、ニッチ市場において事業を確立していることが一般的であり、激しく競争している上場企業の中に、対象会社と類似の事業を行っている会社が存在するのか、事業構造や市場の立ち位置なのが根本的に異なっているから非上場企業として存続できているのではないのか、そもそも上場会社ののかに類似企業は存在するのかという疑問があり、採用する類似企業としては、何でもいいわけではありません。

この点、非上場株式・少数株式の株式売買価格決定申立事件平成27年7月16日大阪地方裁判所決定(tf事件)において、「類似会社比較法は、上場会社の株価と比較して非上場会社の株式を評価する方法であるから、比較対象となる上場会社を合理的な方法により選定することが最も重要であり、具体的には、業界、事業内容、事業規模、収益性、成長性等を考慮し、複数の上場会社を選定する必要がある。ところが、本件においては、対象会社について、以上のような観点に照らして類似会社比較法における比較対象として採用できるほどの類似性がある上場会社は存在しないものと認められる。したがって、本件株式の評価方法として、類似会社比較法を採用することはできない。」と、類似会社比較方式の採用を否定している。

また、旧カネボウ各株式買取価格決定申立事件平成20年3月14日東京地方裁判所決定も、「①類似会社比準方式とは,事業内容,企業規模,収益状況などを参考に対象企業との比較に適当な上場会社を複数選択し,その純資産価格,純利益金額等を考慮して,これらの会社の株式価値と対象会社の株式価値とを比較対照して株式価値を算出する方式であることが認められる。相手方は,かつて東京証券取引所第1部に株式を上場していた会社であったし,資本金額も350億9998万5000円であり,鑑定基準日現在でも上場会社に匹敵する規模を有している会社とみることができる。そうだとすると,本件において,類似会社比準方式を考慮することもあながち不合理であるとまではいえないではない。しかしながら,相手方は,最近まで産業再生機構の支援を受けていた事業再生途上の会社であって,このような状況にない上場会社とは経営状況が大きく異なり,相手方と規模の類似する上場会社を勘案・比較することには問題があることが明らかである。そうだとすると,本件ではこの方式を考慮するのは相当ではないことになる。」と、類似会社比較方式の採用を否定している。

すなわち、取引事例法といっても、類似会社比較方式においては、なかなか上場企業の中に類似企業などというべきものが見当たることはなく、安易に採用すべきではないものと思われます。

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