商号の続用|株式譲渡契約書を逐条解説!

⇒M&Aトラブル・表明保証違反・コベナンツ違反・M&Aの損害でお困りの方はこちら!

株式譲渡契約書の逐条解説:商号の続用

M&A総合法律事務所のM&A契約書類のフォーマットはメガバンクや大手M&A会社においても、頻繁に使用されています。
ここにM&A総合法律事務所の株式譲渡契約書のフォーマットを掲載しています。
M&Aを検討中の経営者の皆様でしたらご自由にご利用いただいて問題ございません。
ただし、M&A案件は個別具体的であり、このまま使用すると事故が起きるものと思われ、実際のM&A案件の際には、M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。
また、このフォーマットはM&A総合法律事務所のフォーマットのうちもっとも簡潔化させたフォーマットですので、実際のM&A取引において、これより内容の薄いDRAFTが出てきた場合は、なにか重要な欠落があると考えてよいと思われますので、やはり、実際のM&A案件の際には、M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。

なお、詳細な解説につきましては、以下の弊所書籍「事業承継M&Aの実務」をご覧ください。

株式譲渡契約書の逐条解説:商号の続用

■■■第16条■■■■■■■■■■

第16条  (商号の使用継続)

買主は、クロージング日以降、当面の間、対象会社の商号を変更しないものとする。

第16条は、対象会社の商号の取り扱いに関する遵守条項である。

(1) 商号の取り扱いに関する遵守条項について

事業承継M&Aでは、オーナー経営者である売主の会社の商号に対する拘りは強いことが多い。オーナー経営者自身で創業し、何十年も経営してきた会社であるからこそ、その通りだと思われる。

また、オーナー経営者は、事業承継M&Aで会社を売却することに対する「負い目」を持っていることも多い。会社を売却して自分だけ儲けて引退し、従業員や取引先を見捨てたと思われるのではないかと、周りの目を気にするのである。であるからこそ、実際は事業承継M&Aにより対象会社を売却したのであるが、これはM&Aではなく、業務提携であるとか、、大企業の傘下に入ったのだとか、スポンサーから外部資本を入れたのだとか、有力企業と経営統合したのだとか、M&Aや会社を売却したという表現は極力使いたくないということが多い。

そうであるからこそ、オーナー経営者としては、事業承継M&Aの後も、当面、対象会社の顧問として、会社に関与している形態を取りたいという希望も多く、また、対象会社において、事業承継M&A後も、当面、従前の商号を使用継続して欲しいとの希望が出てくることも多い。

他方、オーナー経営者が複数の会社を経営しており、グループで商号を使用している場合など、事業承継M&Aにより対象会社がそのグループを離脱した以上は、ごループの商号を使用して欲しくないということで、事業承継M&Aの後、対象会社に対して、速やかな商号変更を求めることも多い。

(2) 事業承継M&Aと商号続用責任

また、事業承継M&Aを株式譲渡方式により行う場合は、特段問題は生じないものの、事業譲渡方式や会社分割方式により事業を売却する事業承継M&Aの場合、会社法上、商号続用責任(会社法22条[1]1項)が生ずることがあるため、特に注意が必要である。

すなわち、事業譲渡方式や会社分割方式に基づき事業の譲渡を受けた買主が、もともとの事業会社の商号を承継して使用する場合、新会社はもともとの事業会社の債務を負担する責任を負ってしまうのである。これは、買主が事業譲渡や会社分割とともに事業会社の商号を承継したことにより、買主を債務者であると認識した債権者を保護するための規定である。

すなわち、事業譲渡方式や会社分割方式での事業を売却する事業承継M&Aにおいては、事業会社から、買主に対して、経営の実態が移るのであるから、買主としては、事業の承継とともに、もともとの事業会社の商号の承継を希望することが多く、そのような場合、もともとの事業会社は商号変更し、資産管理会社のような全く別の商号に変更しつつ、買主がもともとの事業会社の商号を承継することも多い。

(3)商号続用責任の適用範囲の拡大

この商号続用責任であるが、全く同じ商号でなくとも類似商号であっても、商号ではなく名称であっても、商号続用責任(会社法22条1項)が類推適用され、商号続用責任類似の責任が発生してしまうことがあるため、事業承継M&Aに伴う、商号や名称の続用には、特に注意が必要となる。

会社法上は、事業譲渡方式の場合に、この商号続用責任が生ずるものとされているが、会社分割方式の場合にも、これが類推適用されると考えるのが一般的である。

(4) 商号続用責任と商号続用責任免責登記

なお、商号続用責任(会社法22条1項)の免責登記(会社法22条2項)という制度も存在する。

商号続用責任(会社法22条1項)が生ずるような場合でああっても、商号続用責任の免責登記(会社法22条2項)を行うことにより、商号続用責任(会社法22条1項)が免責されるのである。

買主としては、会社分割又は事業譲渡後、速やかに、この商号続用責任の免責登記をしさえすれば、商号続用責任の免責が得られるわけであるから、事業譲渡方式や会社分割方式の事業承継M&Aの場合は、この商号続用責任の免責登記を行っておくべきものである。

この商号続用責任の免責登記も、会社法上は、事業譲渡の場合にのみ規定されているものの、会社分割の場合に行うことも可能であるし、必ずしも商号続用していない場合であっても、類似商号を使用しており懸念がある場合や名称を続用している場合、登記することが可能であることから、幅広く行っておくことが好ましい。

[1] 会社法22条(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等)

1 事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。

2 前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。

3 譲受会社が第一項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、事業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。

4 第一項に規定する場合において、譲渡会社の事業によって生じた債権について、譲受会社にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。

⇒M&Aトラブル・表明保証違反・コベナンツ違反・M&Aの損害を解決する方法を見る!

お問い合わせ

この記事に関連するお問い合わせは、弁護士法人M&A総合法律事務所にいつにてもお問い合わせください。ご不明な点等ございましたら、いつにてもお問い合わせいただけましたら幸いです。

     

    お問い合わせ・無料法律相談