競業避止義務|株式譲渡契約書を逐条解説!

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株式譲渡契約書の逐条解説:競業避止義務

M&A総合法律事務所のM&A契約書類のフォーマットはメガバンクや大手M&A会社においても、頻繁に使用されています。
ここにM&A総合法律事務所の株式譲渡契約書のフォーマットを掲載しています。
M&Aを検討中の経営者の皆様でしたらご自由にご利用いただいて問題ございません。
ただし、M&A案件は個別具体的であり、このまま使用すると事故が起きるものと思われ、実際のM&A案件の際には、M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。
また、このフォーマットはM&A総合法律事務所のフォーマットのうちもっとも簡潔化させたフォーマットですので、実際のM&A取引において、これより内容の薄いDRAFTが出てきた場合は、なにか重要な欠落があると考えてよいと思われますので、やはり、実際のM&A案件の際には、M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。

なお、詳細な解説につきましては、以下の弊所書籍「事業承継M&Aの実務」をご覧ください。

株式譲渡契約書の逐条解説:競業避止義務

■■■第18条■■■■■■■■■■

第18条 (競業避止義務)

1.       売主は、買主が事前に承諾した場合及び対象会社にて職務を遂行する場合を除き、対象会社が現在営んでいる事業又はこれに類似する事業を、その関与形態を問わず、直接又は間接に行ってはならない。

2.       売主は、その形態を問わず、直接又は間接、対象会社の従業員に対して、その他の従業員等となることを勧誘してはならない。

第18条は、競業避止義務に関する遵守条項である。

(1) 競業避止義務に関する遵守条項の必要性

事業承継M&Aの対象会社は中小企業、零細企業であり、その事業運営に関する主たるノウハウやネットワークは、オーナー経営者である売主個人に帰属していることが多い。

また、買主は、事業承継M&Aに伴い、クロージングに際して、旧オーナー経営者から、事業運営に関するノウハウやネットワークの引き継ぎを受けるものであるものの、仮に、旧オーナー経営者が、事業承継M&Aのクロージング後、対象会社の事業と同じ事業を立ち上げた場合、対象会社の強力な競争相手となるのみならず、重要なノウハウやネットワークなどは旧オーナー経営者に帰属していることから、旧オーナー経営者のほうに行ってしまうことも多いであろう。また、旧オーナー経営者が対象会社の事業と同じ事業を立ち上げた場合や、立ち上げることを考えていた場合、買主は、旧オーナー経営者から、対象会社の事業運営について、十分な引き継ぎを受けることは期待できず、対象会社の企業価値は大きく毀損し、買主の想定する株式譲渡価格の前提が崩れるのである。

そこで、事業承継M&Aにおける株式譲渡契約書においては、旧オーナー経営者の競業避止義務を規定することが一般的である。

(2) 競業行為の形態の多様性

また、このような旧オーナー経営者の競業行為は、いろいろな形態で行われる可能性があるため、あらゆる場合を想定した記載をしておかなければならない。

典型的には、競業行為をする者が、自ら又は会社を設立して、対象会社の事業と同じ事業を行うが、そのような明らかな競業行為をする者は多くはない。

まず、競業行為をする者が、自ら前面に出て競業行為をするのではなく、他の者に競業行為をさせ、裏から操ったり、ライバル企業を支援したり、対象会社の事業と全く同じ事業は行わないものの、非常に類似した事業を行うなど、さまざまである。

やはり、旧オーナー経営者が競業行為を行う場合は、外部に協力者がいる場合が多く、それは、対象会社のライバル企業や、取引先や、下請け先などであることが多い、そのような会社が、対象会社の収益性の高さに嫉妬し、事業承継M&Aが行われた機会に、対象会社のノウハウやネットがワークを流用し、対象会社の損失を厭わず、対象会社の事業と同じ事業を開始するのである。そのような場合、オーナー経営者としては、対象会社の事業の重要なノウハウや顧客情報などを持ち出し、また、対象会社における重要な技術情報などを抹消し、対象会社の企業価値を積極的に毀損するとともに、ライバル企業に利益を供与するのである。オーナー経営者が、対象会社を退職後、ライセンサーに転職し、ライセンス契約を解除して、対象会社の事業と同じ事業を開始することなどもある。

(3) 引き抜き禁止規定の必要性

また、このような競業行為は、オーナー経営者が対象会社の従業員を引き抜いて行われることも多い。

すなわち、オーナー経営者は高齢でありかつ一人で事業を運営することもできない。また、ライバル企業に対する手土産として、対象会社の従業員を引き抜くのである。多くのケースでは、対象会社の従業員が、ライバル企業に採用され、競業行為の最前線に立つのである。

そこで、本条2項の従業員の勧誘禁止条項が必要になるのである。

なお、対象会社から引き抜かれた従業員が、ライバル企業に採用され、競業行為の最前線に立つことが多いものの、その背後で糸を引いているのは、オーナー経営者であり、そのオーナー経営者と友人関係にあるライバル企業などの関係先企業であることが多い。

(4) 競業避止義務の期間について

また、これらの競業避止義務については、期間制限を入れることもあれば、入れないこともある。期間制限を入れるとしても、その期間は、そのオーナー経営者が、改めて対象会社の事業と同じ事業に参入したとしても、対象会社の企業価値が毀損しない程度に、長期間の競業避止義務を設定する必要がある。

また、オーナー経営者が、競業避止義務に期間制限を入れることを要望してきた場合は、注意が必要である。

確かに、オーナー経営者にも職業選択の自由はあるものの、職業選択の事由があるからといったような抽象的な理由で、競業避止義務に期間制限を設定することを希望することはない。競業避止義務に期間制限を設定することを希望する以上は、その事業に参入する具体的な可能性があるということである。買主としては、オーナー経営者が、対象会社の事業と同じ事業に参入することについて、事前に承諾することなどできない。

この競業避止義務には、買主の承諾がある場合を除外事由としているのであるから、オーナー経営者が、将来、対象会社の事業と同じ事業に参入するのであれば、それは、買主が、その都度、その競業行為について問題ないかを確認することができるよう、都度、買主に申請して頂いて、買主において承諾か否かを検討することができるようにしておくことが好ましい。

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