財務状況に関する表明保証|株式譲渡契約書を逐条解説!

株式譲渡契約書の逐条解説:財務状況の表明保証

M&A総合法律事務所のM&A契約書類のフォーマットはメガバンクや大手M&A会社においても、頻繁に使用されています。
ここにM&A総合法律事務所の株式譲渡契約書のフォーマットを掲載しています。
M&Aを検討中の経営者の皆様でしたらご自由にご利用いただいて問題ございません。
ただし、M&A案件は個別具体的であり、このまま使用すると事故が起きるものと思われ、実際のM&A案件の際には、M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。
また、このフォーマットはM&A総合法律事務所のフォーマットのうちもっとも簡潔化させたフォーマットですので、実際のM&A取引において、これより内容の薄いDRAFTが出てきた場合は、なにか重要な欠落があると考えてよいと思われますので、やはり、実際のM&A案件の際には、M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。

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なお、詳細な解説につきましては、以下の弊所書籍「事業承継M&Aの実務」をご覧ください。

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株式譲渡契約書の逐条解説:財務状況の表明保証

■■■別紙1第3第19号■■■■■■■■■■

19.         倒産手続等の不存在

対象会社に対して倒産手続の開始・申立はなく、その開始原因も存在しない。対象会社は、債務超過、支払不能又は支払停止の状態になく、また、そのおそれもない。

第19号は、倒産手続等の不存在に関する表明保証である。

事業承継M&Aにおいて、買主としては、対象会社が倒産状態であるのであれば、買収の対象とはならないであろう。

事業承継M&Aにおいては、売主としては、倒産状態にある対象会社に手を焼き、又は対象会社の銀行対応や資金繰りに翻弄され、その将来性を見通せず、その経営に疲れ果て、対象会社を手放そうとするケースも多く、また、そのように追い詰められた経営者としては、対象会社がそのように倒産状態にあることや資金繰りが非常に厳しいことを隠蔽し、又は特に説明するなどせず、無事に買主を見つけて押し付け、あわよくばいくらかの譲渡対価を得ようと考えている売主は多数存在する。そのような売主は、不注意な買主を探しているのであり、買主は、対象会社を買収したのちに、対象会社の窮状を知り、対象会社の経営に手を焼くこととなるのである。また、対象会社としては、資金繰りが厳しく、資金繰り破綻をする前に、事業承継M&Aを実行したいという意向を有することも多く、株式譲渡契約締結後、クロージングまでに、対象会社が経営破綻してしまう可能性もあるし、経営破綻直前まで追い詰められてしまうこともある。

筆者らに実際に相談のあったケースでは、売主から買主に対して、クロージング直前に、対象会社に対する資金支援を要請されたケースがある。

買主としては、その時点で、資金支援の要請に応じるか、この事業承継M&Aを中断する(ディールブレークさせる)か、を判断することとなるが、本号のような倒産状態の不存在に関する表明保証が規定されていない場合は、この事業承継M&Aを中断する(ディールブレークさせる)ことすらできないこととなる。

実際、このご相談のケースでは、買主としては、それまで長期間をかけて交渉し、ようやく対象会社を買収するということになったという、それまでのコスト(サンクコストであるが)を考慮し、この事業承継M&Aを実行することとなったのだが、もっと早い段階で、対象会社がそのような状況であることを認識し、交渉を中断することはできなかったのかとの思いである。

買主としては、このように、誤って、倒産状態又はそれに近い状態の対象会社を買収してしまうことのないよう、事前に、入念に、デューデリジェンスをするべきであるが、事業承継M&Aの買主としては、まだまだデューデリジェンスすることなくM&Aを実行してしまうところもあり、また、M&A仲介業者の中には、デューデリジェンスを無用なコストとして、実施しないことを推奨しているところもあると聞く。

このような場合であっても、売主と買主が事業承継M&Aの交渉を行う間、それなりの交渉期間を経ることによって、又はクロージングまでそれなりの期間を経ることによって、対象会社のそのような状態を認識した場合、この表明保証によって、未然に、事業承継M&Aを中止することができるのである。

したがって、買主としては、少なくとも、売主に、倒産手続等の不存在に関する表明保証をして頂く必要がある。

■■■別紙1第3第20号■■■■■■■■■■

20.         財務状態等

対象会社の資産、負債、財務状態、事業収益性又は営業に悪影響を及ぼすと認められる事由は生じておらず、将来、かかる事由が生じることを合理的に推認させる事実も存在しない。

第20号は、財務状態等の悪化の不存在に関する表明保証である。

事業承継M&Aにおいては、すでに説明のあったとおり、買主としては、対象会社をデューデリジェンスし、その判断に基づいて、売主と株式譲渡契約書などを締結し、株式譲渡(クロージング)を実行するのであるが、買主が対象会社をデューデリジェンスしてから、株式譲渡契約書等を締結する時点まで、一定の時間が経過することとなる。また、その後、株式譲渡(クロージング)を実行するまでの期間も、一定の時間が経過することとなる。

しかし、前述のとおり、事業承継M&Aにおいては、対象会社が倒産状態にある場合や、銀行対応や資金繰りに翻弄され、その将来性を見通せない状態にある場合も多数あり、買主が対象会社をデューデリジェンした後、対象会社の財務状態等が一層悪化するケースも多数ある。

買主としては、対象会社のデューデリジェンスに基づくその企業価値を判断しているのであり、対象会社の財務状況等が一層悪化したのであれば、それは対象会社の企業価値を毀損するものであり、買主の想定する株式譲渡価格の前提を崩すものである。

また、買主としては、株式譲渡(クロージング)を実行するまでの期間に、対象会社に財務状態等の悪化が生じた場合には、この事業承継M&Aを中止するという選択肢がなければならない。

したがって、事業承継M&Aにおいては、買主としては、売主に、対象会社に財務状態等の悪化の不存在に関する表明保証をして頂く必要がある。

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