民事再生のメリットとデメリットと手続の流れ!

経営状況の傾いた会社を再建する場合、いくつかの方法が考えられます。「民事再生」も、会社再建のための方法の1つです。会社再建の実務でよく使われる方法でもあります。しかし、民事再生の意味やメリットを最初から完全に理解して「民事再生をしたい」と依頼する経営者はかなり少数派であるのが現状です。

民事再生と破産を混同して覚えている経営者は少なくありません。民事再生の意味や目的をはき違え「会社を終わらせること」と解釈していることもあります。民事再生で会社の再建を目指すためには、民事再生手続きの意味や目的、メリットなどを正しく理解して決断することが第一歩です。

この記事には、民事再生の基本をまとめました。

・民事再生とは何か

・民事再生と破産などの他手続きとの違い

・民事再生のメリットとデメリット

・民事再生手続きの流れ

・社長個人の債務の削減方法

・民事再生の費用

民事再生で会社再建のスタートを切るために覚えておきたい以上のポイントを、弁護士が分かりやすく解説します。

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民事再生とは?民事再生の意義と意味

民事再生とは、経営難に陥った会社の再建方法の1つです。

経営難に陥った会社の再建方法には、いくつかの方法があります。資金繰りを工夫するという方法もありますし、経営統合や事業譲渡といった方法も考えられるはずです。他には、会社を終わらせるという方法もあります。民事再生は、これらの方法とは異なったアプローチで会社の再建をはかる方法です。

民事再生は、債務により経営状況が悪化している会社の再建をはかるために、再建のための計画(再生計画、民事再生計画)を立て、債権者たちの同意を得て計画を実行します。会社再建のための計画を立てても、債権者が同意していなければ、会社は傾いたままです。なぜなら、「債権者は会社へ債権の支払いを求めるという状況は変わらないから」になります。

債権者の同意と協力を得られれば、債務による経営悪化を、債権者の賛同のもとで立て直せるのです。会社再建の方法の中でも、債権者の協力を得て計画を立てて、計画にもとづいて会社を再建(再生)する方法こそが民事再生になります。

会社の事業譲渡などは、事業を売却して資金を捻出する手法です。資金調達と会社の事業整理、不採算事業の処理などを目的に行われます。資金繰りの工夫は、マイナスを軽減することや、資金面での会社の見直しを目的として使われる手法です。経営統合などは、会社の力の増強や、経営や事業の強化などを目的によく使われます。対して民事再生は「会社を再生させる」ことを最大の目的にしている手続きなのです。

民事再生の最大の目的が「会社の再生」である点に着目すると、民事再生の手続きが理解しやすくなり、さらに他手続きとの違いが明確になります。

民事再生と他手続きとの違い|破産・私的整理・M&A

民事再生と他手続きは「会社を再建する」ことを目的とした場合に、よく混同されます。

会社再建の方法によって目的が異なることはすでにお話しました。また、民事再生が「会社を再生させる」ことを最大の目的とし、そのために債権者の協力を得るなど利害関係を調整することもすでにお話したはずです。民事再生が他の会社再建方法と何が異なっているのか、特に混同されやすい手続きとの違いを把握しておきましょう。

民事再生と破産の違いとは

民事再生は「会社の再生」をテーマに手続きを進めます。債権者との話し合いや利害関係の調整を行うのも、会社を再生させるためです。民事再生は、現在の状況から会社の債務などを整理、調整し、状況を上向かせることを目的としているのです。根っこにあるのはあくまでも「今の状況から会社を再生させること」という目的になります。

破産は目的がやや異なっています。破産は「会社を終わらせること(悪い現状を終わらせること)」が最大の目的です。悪い状況を終わらせて、経営者の状況を立て直し、再起をはかる。これが破産です。現状から再生させる民事再生とは、目的も結果も異なっています。

民事再生は現状からの再生。破産は現状の終焉。このような違いがあるのです。現状から再生を目指すことと、現状に一度幕を引いてから再起を目指すことは、まったく違っているのではないでしょうか。

民事再生は現状からの再生を目的としている都合上、破産よりポジティブなイメージを持たれがちな手続きです。破産の方は終わらせるという性質上、ややネガティブな印象があるかもしれません。このような印象の違いもあります。

民事再生はよく中小企業が経営再建のために使うという特徴もあるのですが、大企業や個人が民事再生を使うケースもあるのです。中小企業限定の手続きではありません。

民事再生と私的整理の違いとは

会社の倒産には2つの手法があります。1つは「法的整理」です。もう1つは「私的整理」になります。

法的整理とは、裁判所などを利用して法的に倒産する手法です。もう1つの私的整理は、債権者などに交渉して弁済期日の余裕を持たせるなど、私的な話し合いなどの方法で会社の状況を整理する手法になります。

破産の中でも私的整理はよく民事再生と混同されるため、注意が必要です。私的整理では、債権者との話し合いによっては、緩やかに会社を存続させることも可能になっています。そのため、会社を再生させて存続させる民事再生と混同してしまうのも、仕方のないことかもしれません。

民事再生と私的整理は債権者と話し合い、調整するという点では非常に似ています。ですが、民事再生と私的整理には、明確な違いがあるのです。

民事再生と私的整理の大きな違いは「債権者」です。民事再生の場合、再生をはかる会社の全ての債権者を話し合いの対象にします。全ての債権者に再生のための計画を納得してもらった上で協力をお願いするのです。対して私的整理は、基本的に一部の債権者だけを対象にします。金融機関などの債権者を手続き対象の債権者にして、返済猶予や条件の変更、契約内容などについて話し合うのです。

民事再生と私的整理では法律と計画の面でも違いがあります。民事再生は法律に則って行われますが、私的整理には、基本的に強固な法律の縛りはありません。私的整理は「特定の債権者に、支払い猶予や契約の見直しをお願いする」という性質が強いのです。会社の総合的な再生を目指す民事再生と比較して考えてみてください。

また、民事再生では再生計画を立案し、裁判所に提出することになります。私的整理の場合は、民事再生のような計画立案や提出はありません。

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民事再生とM&Aの違いとは

民事再生は「会社を再生させること」が大きな目的であることを明確にしてください。その上でM&Aの手法について理解することで、2つの手続きの違いがはっきり分かるはずです。

M&Aは会社の合併や買収の総称になります。M&Aという言葉の中には、会社の買収や合併のさまざまな手法が含まれているのです。会社分割や株式譲渡、吸収合併などがM&Aの代表的な手法になります。これらのM&Aの手法は民事再生と同じく、会社の再建のためにも使われるのです。ただし、M&Aは必ずしも会社再建のためだけに使われるわけではないところが、民事再生との大きな違いになります。

民事再生は、会社を再生させることが目的だと説明しました。会社の事業拡大のときに民事再生を使おうとは思わないはずです。事業拡大のときには債務の支払いに困っているわけでもなく、事業が行き詰っているわけでもありません。会社が好調だからこそ「事業拡大に打って出よう」と考えるのではないでしょうか。

M&Aは会社の事業拡大にもよく使われています。会社の買収や合併を通して、会社をより大きくしたい場合や、事業拡大や新規事業に打って出たいときにもM&Aは頻繁に使われるのです。M&Aは「会社を大きくしたい」「事業拡大により、打って出たい」という目的のためにもよく使われるという点で、「会社を再生したい」という目的をメインにする民事再生とは異なります。

M&Aは会社再建のためにも使われることは事実です。しかしながら、再生を主目的にした手続きである民事再生とは異なっています。M&Aと民事再生はケースや目的、状況に合わせて使いわけることが重要なのです。

民事再生法と会社更生法の違いとは

民事再生は、民事再生法に則った手続きです。民事再生法の他に会社の再建に関係する、よく似た名前の法律として会社更生法があります。民事再生法と会社更生法も、混同しやすい存在です。2つの法律は、一体どこが違うのでしょう。

会社更生法と民事再生法は、会社再建を目的とした法律であるという点は共通しています。2つの法律が異なっているのは、手続き的な面です。民事再生法は民事再生手続きに代表されるように、民事再生計画を立てて、計画に沿って会社の再生をはかります。

会社更生法は、裁判所が任命した管財人が会社の財産を管理するかたちで再建を進める流れです。民事再生は会社の経営陣がそのまま会社の再生に関与できます。会社更生では、経営陣は関与できず、管財人が会社の再建を進めるのです。

さらに、会社更生では債権者の競売などは許されません。管財人が財産の処分や管理を行うのです。会社更生では、資本金が100%減資されることもあります。民事再生よりも会社更生の方がより厳格なイメージかもしれません。

会社更生法による会社更生のイメージは、ゼロからの立て直しです。管財人による財産処分や管理を経て、ゼロからのリスタートが会社更生になります。民事再生法による民事再生は、現状からの再生であり、経営や財産は可能な限り現状維持できるという点に違いがあるのです。

民事再生のメリットとデメリット

民事再生には「会社の経営が苦しいときに使う」「会社が再生を要するときに使う手続きである」というマイナスのイメージを持っている経営者が少なからず存在します。

民事再生は正しく使うことで、メリットも享受できる手続きです。民事再生のメリットとデメリットを正しく把握し、会社にとってよりメリットを引き出すように活用することが重要になります。メリットをよく多く引き出せれば、民事再生へのマイナスのイメージも変わってくるはずです。

民事再生のメリット

民事再生は会社にとって4つのメリットがあります。

1.事業の継続が可能である

2.経営陣の維持が可能である

3.会社に資金を残すことが可能である

4.会社の事業や態勢を見直すチャンスになる

1 事業の継続が可能である

民事再生はあくまで「現状からの再生」なので、利害関係や債務を調整した上で事業の継続が可能です。

会社を再生させるために事業の見直しやリストラが必要になる可能性もありますが、基本的に「現状から良い状況」へ再生させた上で、事業はそのまま引き継ぐのが民事再生になります。再生後に事業を回すことでさらなる会社の回復と安定をはかることも必要なので、民事再生は事業の継続が前提です。

せっかく作り上げた会社を終わらせるのは忍びないと感じる経営者は多いことでしょう。事業の継続を願う経営者に、民事再生はメリットのある手続きなのです。

2 経営陣の維持が可能である

民事再生は「現状からの再生」であり、再生前の事業や経営陣などの状況を基本的に引き継ぐという特徴があります。会社を終わらせてしまうと、再起をはかるときに経営陣も変わるはずです。なぜなら、その経営陣の経営は、会社と共に終わったからになります。

民事再生は再生と共に現状を引き継ぐため、経営陣も基本的に維持されるというメリットがあるのです。経営者にとっては大きなメリットではないでしょうか。

3 会社に資金を残すことが可能である

民事再生には、会社に資金を残すことができるというメリットがあります。金融機関に民事再生を通知すれば、口座のある金融機関は口座の預金について相殺ができなくなるのです。口座に資金が残るため、会社を再生した後の資金源として活用できます。

4 会社の事業や態勢を見直すチャンスになる

民事再生で会社の再生を目指すことは、会社の態勢や事業を見直すことにも繋がります。事業が堅調なときは、事業や態勢について「問題点はあるか」という視点で見直すことは、あまり考えないはずです。堅調だからです。

しかし、民事再生が必要な状況の場合、会社の事業や態勢、経営などの現状をチェックすることになるため「どこに問題があったのだろう」と再考するチャンスになります。

民事再生手続きを通して見えてきた問題点をリストアップし、会社再生後に活かすことで、会社の態勢や事業をブラッシュアップすることができるのです。これは、会社にとって1つのチャンスであり、転機でもあると考えることができます。

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民事再生のデメリット

民事再生にはデメリットもあります。民事再生によるデメリットは3つです。

1.社会的な信頼が下がる可能性がある

2.経営陣の維持がマイナスイメージになる可能性がある

3.担保にしている財産の扱いに注意が必要である

1 社会的な信頼が下がる可能性がある

民事再生は会社の再建を目的として使われる手続きです。民事再生を使うということは、会社が再建を要する状況に陥っているということと同義になります。会社の経営状況がよくないなどの評価から、信頼度が低下する可能性があるのです。

ただ、どの会社にも経営状況が良いときと悪いときがあります。民事再生によって会社の再建を成功させ、事業を安定させれば、「見事に蘇った」というプラス評価を得られる可能性もあるのです。

2 経営陣の維持がマイナスイメージになる可能性がある

民事再生では、再生前の事業や経営陣が基本的に引き継がれます。経営陣を刷新しないという点が、世間や投資家にマイナスのイメージを与える可能性があるのです。

経営陣は会社の舵取りをする存在になります。舵取りに問題があったからこそ、民事再生をする必要が生じたのではないかと世間や投資家は考えるはずです。そのため、経営陣を引き継ぐということは「再生しても、また舵取りを失敗するのではないか」という印象に繋がることが懸念されます。心配な場合は、弁護士などとよく相談し、対策を考えることが必要です。

また、債権者への対応にも注意が必要になります。民事再生では、民事再生計画を作成することになるのですが、経営陣が維持される場合は債権者から「本当に再建できるのか」という意見が出る可能性も考えられるのです。民事再生計画に債権者が同意しないと、民事再生ができません。債権者への対策も弁護士とよく話し合う必要があります。

3 担保にしている財産の扱いに注意が必要である

民事再生の通知をすれば、金融機関は口座の預金と相殺できません。よって、口座内の資金を会社再生後の資金に充てることが可能です。ただし、会社財産の全てが同じように守られるわけではありません。会社財産を担保にしていた場合は、担保について権利行使が可能なのです。

担保にしている会社の財産次第では、会社再建が困難になることがあります。民事再生の具体的な手続きに入る前に、弁護士と会社財産や担保について相談しておきましょう。

民事再生を使って債務を削減する手続きの流れ

民事再生を申立てて債務を削減するまでの流れはどのようになっているのでしょうか。民事再生手続きの流れについて説明します。

民事再生の手続きの流れは、次のようなものです。

1.民事再生の事前準備

2.民事再生手続きの申立て

3.民事再生手続き開始

4.民事再生計画の提出

5.民事再生計画の認可

6.民事再生手続きの完了

それぞれの流れで具体的にどのようなことをするのか、見ていきましょう。

1 民事再生の事前準備

民事再生の申立てをする前に、民事再生の申立ての準備を行います。民事再生のパートナーになる弁護士や弁護士事務所の選定や債務状況の調査など、申立てに必要なポイントをこなして行くのです。

民事再生は基本的に弁護士に依頼するケースがほとんどなので、最初に弁護士に相談してパートナーを決定すれば、後は基本的な準備などを弁護士主導で進めてもらうことが可能になっています。弁護士と民事再生の方針や計画などを話し合い、連絡を取りながら準備を進めるのが基本です。

このステップでは、以下の5つのことを事前準備として行います。

1.弁護士への相談とパートナー決定

2.気になる事項を弁護士に確認する

3.民事再生の申立てのために状況調査などを行う

4.弁護士と連携して計画や方針を大枠で定める

5.民事再生に必要な書類の作成

特に気をつけたいのは、民事再生のパートナーにする弁護士の選定です。弁護士は裁判所や債権者との窓口になる存在であり、民事再生全体の総括の役目も果たします。弁護士選びの時点で民事再生手続きがスタートしていると言っても過言ではありません。

「自分の代理として安心して任せられるか」「説明は分かりやすいか」「民事再生の実務経験や実績は豊富か」などの観点から、慎重に弁護士を選びましょう。

2 民事再生手続きの申立て

事前準備が終了したら、裁判所に民事再生の申立てを行います。民事再生手続きの申立てには要件があり、申立て前に要件に合致しているか確認することが重要です。弁護士に依頼している場合は、要件などの合致については、もちろん弁護士の方で慎重に確認を行います。要件は次の通りです。

1.破産の原因たる事実が生じる恐れがある(破綻した、債務超過の恐れがある、など)

2.事業の継続に支障をきたさずに債務の弁済ができる

以上のような要件が必要になります。

要件と言われると厳しく感じるかもしれませんが、要は「会社が債務超過に近い状況や破綻に追い込まれているか」であり、「再生計画を立てて将来的に事業を回しつつ返済して行けるか」という点が重要なのです。そこまで構える必要はありません。

事前準備で準備しておいた必要書類などを裁判所に提出し、民事再生の手続きをスタートします。次のステップからは、裁判所での手続きと並行しながら、それぞれの段階で必要になる資料作成や書類作成なども行うという流れです。

民事再生の申立てが行われると、「弁済禁止の保全処分禁止」が下されます。これから会社を再生する準備と利害関係の調整に入るのだから「財産を動かさず、一部の債権者にだけ得になるようなことはするな」ということです。裁判所の方で監督委員を任命しますので、以後は監督委員の監視のもとに手続きを進めることになります。

裁判所への民事再生の申立てが終わったら、弁護士と再び情報の共有と確認を行うことが重要です。情報共有と確認が次のステップで鍵になります。

3 民事再生手続き開始

申立ての後に、債権者に対して事情説明を行います。債権者が民事再生ならびに民事再生計画に賛同してくれなければ再生はかないません。民事再生には債権者の協力が不可欠なため、事情を説明し、協力を取りつけるために事情説明は必須になります。

申立て後に再び情報の共有と確認をする。情報共有と確認が鍵になるという話をしました。情報共有と確認が債権者への説明会で活きるのです。情報共有や確認が不十分だと、債権者が漏れてしまう可能性があります。さらに、債権者に適切な状況説明ができない可能性があるのです。

状況説明が不十分であったり、適切な状況説明ができなかったりすると、債権者は怒りや不信感を持つのではないでしょうか。不誠実なことをすると、債権者の協力を仰ぎにくくなることは確かです。

債権者を漏らさないため。適切かつ誠実な状況説明により債権者の協力を得るため。以上の2点のために、弁護士と会社側の情報共有と確認が非常に重要なのです。また、債権者が債権回収手段を講じることを防ぐという目的もあるため、債権者への説明会は民事再生手続きの中でもかなり重要なポイントになります。

債権者への説明会で民事再生への多数の反対や強固な反対意見などは噴出しなかった。つまり、民事再生への一定の理解と協力が得られることになれば、申立てから1週間以内に民事再生手続きがスタートするのが通例です。

債権者の多数から反対意見が出た場合や強固な不満などが出てしまい民事再生が難しいと判断される場合は、この段階で民事再生手続きは中止し、破産手続きへとシフトチェンジすることが基本になります。

4 民事再生計画の提出

民事再生手続きがスタートしたら、すぐに民事再生計画の策定のために動き出します。民事再生計画とは「どのように再生をはかるか」をまとめた計画書のことです。ただ「やり直したいです」では、裁判所も債権者も納得しません。具体的な計画を立て、計画書というかたちでまとめて、裁判所と債権者に納得してもらう必要があるのです。

民事再生計画書の作成のために、以下のようなことを弁護士と経営者が協力して行います。

1.事業の見直しなどの収益性の改善

2.再生を支援してくれる資金面でのスポンサーの確保

3.負債額の確定

4.資産の確定

会社の再生をはかるためには、現状を詳細に確認し、資産状況を確定させなければいけません。資産状況の確定と負債の確定は再生計画の基本になることなので、この段階で経営者などの連絡を取り合いながら、さらに詳細に行うことになります。

同時に収益性の改善も行うのです。再生をはかるためには、債権者や裁判所に「計画が実行可能である」「将来性がある」と認めてもらわなければいけません。そのためにも、不採算事業の整理など、事業や経営の見直しなども行います。

また、会社の再生のためには、資金確保も必要です。債権者や裁判所に「安心感がある」と感じさせるようなスポンサー探しも必要です。スポンサーが内定していない場合は、この段階でスポンサー探しも行うことになります。

情報の整理や財産状況の精査結果、事業の整理、スポンサー確保などを行いながら、同時並行で会社の立て直すための民事再生計画書を作成するという流れです。

民事再生計画の肝は、「このような会社にしたい」という理想ではなく、「このような計画で進めれば会社は見事に再生する」という現実的な説得力になります。この説得力を出すためにも、弁護士が民事再生の実務経験や実績を積んでいた方が有利なのです。

5 民事再生計画の認可

民事再生の申立て側が作成した民事再生計画案を裁判所に提出すると、監督委員のチェックが入ります。監督委員は公認会計士などの助力を得て、提出された計画が実行可能であるか否か、履行可能性はどうかなどを判断するのです。

再生計画案に法的な問題がなければ、債権者による賛否決議に付すことになります。ここでも債権者が登場するため、債権者に誠意ある説明をしておくことがどれだけ大切かよく分かるのではないでしょうか。債権者の決議に付された民事再生計画は、要件を満たした場合に可決されることになります。

1.届出債権者の頭数の過半数のかつ届出債権者の議決権額の2分の1以上の賛成があった

以上が可決の要件になります。可決された民事再生計画案は法的な支障がない場合、裁判所に認可される流れです。可決要件を満たさない場合や可決される見込みがない場合は、民事再生手続きは終了し、破産手続きにより対処することになります。

なお、民事再生の計画案は債権者側が提出することも可能です。債権者も民事再生計画案を提出した場合は、同じように監督委員のチェックを受けることになります。

6 民事再生手続きの完了

民事再生計画が認可されて即時抗告(不服申し立て)などもなかった場合は、手続き的な面での民事再生はほぼ終了したと考えて差し支えありません。後は民事再生計画に沿って、会社の再生を行うことになります。民事再生計画の履行は引き続き監督委員が監視することになるのです。

民事再生計画の履行を順調に行うためにも、引き続き弁護士の力を借りることをおすすめします。

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民事再生手続きのスタートから完了までの期間

民事再生手続きは、申立てから民事再生計画の認可までの期間は大よそ5カ月となります。民事再生計画の認可があればほぼ完結が見えている状態なので、申立てから完了まで半年ほどの期間が基本的な目安であると言えるでしょう。

ただし、事情によって手続きが長引くこともあります。事前準備に時間をかける場合もありますので、最終的にはケースバイケースが答えです。半年は基本的な目安であると理解しておくことが重要になります。

会社更生による手続きは目安が1年です。手続き全体を比較すると、会社更生の手続きより民事再生の手続きの方が短期で終わる可能性が高くなっています。実務面でも、民事再生の方が会社更生よりもスピーディに終わるケースが圧倒的に多数派です。

民事再生における裁判所や弁護士の費用とは

民事再生の手続きのためには、大きく分けて2つの費用が必要になります。1つは民事再生の手続き費用。主に裁判所に納める費用になります。もう1つは弁護士費用です。

民事再生は弁護士を立てなくても申立て自体は可能ですが、実務経験と法的な深い知識を要するため、ほとんどの人や会社が弁護士に依頼するのが実情になります。また、民事再生では債権者に協力を仰ぐ必要があるため、その点においても、交渉に長けた弁護士に依頼することが多くなっているのです。

民事再生手続きの費用の目安

民事再生の費用は、会社の規模や状況によって異なります。

中小企業で200万円~数百万円の費用が目安になり、負債総額が大きい場合や企業規模が大きい場合は1,000万円以上の費用が必要になる可能性があるのです。そのため、資金がまったくないという状況に陥る前に民事再生の決断をすることが重要になります。

民事再生は現状からの再生です。ある程度、現状を引き継ぐという性質もあります。まったく資金がない状況では、現状を可能な限り引き継ぐことも難しいと思いませんか。現状を利用して再生をはかるという手続きの性質上、資金皆無の状況ではなく、資金がある程度残っている状況で行うことが望ましいのです。

ただし、資金が乏しい状況でも、会社の資産状況を弁護士がチェックすることで民事再生資金を捻出できる可能性があります。費用もあくまで目安なので、「目安金額がなければ民事再生できない」と諦めず、弁護士へ相談してみてください。

実務では、経営者が資金的に難しいと感じていても、民事再生できるケースが少なくないのです。弁護士への相談で、自社の民事再生に必要な金額も、より明確になることでしょう。

民事再生手続きの弁護士費用

民事再生の手続きは経営者自身が申立てることも可能です。ですが、債権者との利害調整があることや、裁判所での深い法的な知識が絡む手続きを要するため、弁護士に依頼して手続きをする会社がほとんどになります。弁護士に依頼する場合、多くの経営者は弁護士費用が気になるのではないでしょうか。

弁護士費用に関しても、会社規模や債務総額、民事再生の難易度によって変わってきます。一概に、「この金額が目安である」という断言はできないのです。弁護士に相談し、自社に合わせた見積額を提示してもらった方が費用の算段をつけやすいことでしょう。弁護士費用の確認も含めて、弁護士に相談することをおすすめします。

民事再生手続きの裁判所費用(予納金など)

民事再生手続きをするためには、裁判所に「予納金」というお金を納める必要があります。予納金は負債額などによって異なり、東京地裁の場合は最低金額が債務総額5,000万円以下の200万円です。1億円~10億円で500万円、10億円~50億円で600万円となります。このように、債務によりかなり予納金の額が違ってくるのです。

また、債務総額に合わせてこれらの予納金の金額は、あくまで1つの目安でしかありません。事情により変動する可能性があるのです。負債の状況を弁護士にチェックしてもらい、自社の予納金の目安について、より詳細に算出してもらった方が費用の算段は立てやすいのではないでしょうか。

予納金の工面が難しい場合も、弁護士に相談して資金面の見直しをはかりましょう。現在「難しい」と思っても、実際に会社の資金面を見直すと、捻出可能であることが多いからです。

会社が民事再生を行う場合の経営者個人の債務の削減方法

会社が民事再生を必要としている状況の場合、会社の経営者個人も債務を背負っているケースは少なくありません。会社と個人、双方の再建を同時にはかる方法はあるのでしょうか。

会社と経営者個人が同時に再生する方法はあります。会社の民事再生に合わせて経営者個人が個人再生の手続きをとり、債務の整理をするのです。個人再生とは、民事再生の個人版のような手続きになります。手続きの目的もほぼ同じで、現状を可能な限り維持しつつ再建をはかるという特徴も同じです。

個人再生では、家などの一部の財産を現状維持しつつ、債務の整理を進めます。個人再生手続きを有効活用することにより、生活に必要な財産を現状維持した状態で債務負担を大幅に軽減できる可能性があるのです。

さらに個人再生では、自己破産よりも広い範囲の債務が整理の対象になります。たとえば、自己破産では、ギャンブルによる債務などは免責不許可が基本です。しかし個人再生ではギャンブルによる債務も対象にできるため、現状維持に重点を置きつつ、広い範囲の債務を整理できるというメリットがあります。

ただし、個人再生を使うときは、注意点があるのです。注意点とは、個人再生の利用には条件が定められているという点になります。

1.将来的に継続または反復した収入が見込める

2.再生計画に沿った返済ができる

3.債務の総額が5,000万円以下である(住宅ローンなどを除く)

個人再生の利用には、以上のような利用に際しての条件が定められています。個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があり、種類によっても条件が変わってくるところに注意が必要です。

個人再生の条件に適合しているか。経営者個人の債務負担軽減に個人再生という方法が真に適切か。他に選択できる方法はないか。以上の点を弁護士に相談して、会社の再建と共に経営者個人の再生も同時に可能かを検討する必要があります。

弁護士への相談のときは、状況を真に改善するためにも、個人の債務状況などを詳しく伝えることが必要です。しっかりと伝えて弁護士と共に入念に計画を立てることが状況の打開にも繋がります。

最後に

民事再生は「会社を再生される」ことが目的の手続きです。会社再建にはいくつかの方法がありますが、民事再生は特に経営陣や資産を可能な限り現状維持できるところが大きなメリットであり、特徴になります。現在の会社のかたちをなるべく残しつつ、債権者の協力を得て債務を整理するのです。

民事再生では、手続きの準備段階から深い法的な知識が不可欠になります。信頼できる弁護士をパートナーに選び、会社の事情に合わせた再生を進めていきましょう。

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