経営破綻したらどうなるのか!

中小企業では、ちょっとした赤字が続いて債務超過になり、ひいては経営破綻に陥ってしまうケースも多いです。「経営破綻」という言葉はニュースなどではよく耳にしますが、実際に陥ってしまったらどのようなリスクがあり、どう対処すればよいのでしょうか。

この記事では、経営破綻とはどのような状態を指すのか、倒産・債務超過との違い、経営破綻の原因、経営破綻になった場合のリスクやデメリット、経営破綻に陥ったら何をすべきかについて解説し、効果的な回避方法も紹介します。経営破綻になりそうで不安な方は、対策を考えるうえでぜひご活用ください。

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1 経営破綻とは

経営破綻という言葉は、実際にはどのような状態を指しているのでしょうか。

「経営破綻」は法律用語ではないため、明確な定義はされていません。辞書で調べると、「倒産のこと」と出てくる場合が多いです。

補足として、倒産という言葉には会社が消えて無くなるイメージが強いため、倒産はしたけれど再建可能な状態にある企業を表すために、マスコミが使い始めた言葉であると付け加えられています。

実際に、「経営破綻」という言葉を用いて報道されたりそな銀行は、その後借り入れた公的資金をすべて繰り上げ完済して復活しています。経営破綻に陥っても、その後の選択次第では再建も可能です。

2 倒産や債務超過との違い

経営破綻と倒産、経営破綻と債務超過の違いについて、それぞれ解説します。

経営破綻と倒産の違い

「倒産」も、経営破綻と同じく法律用語ではないため、明確な定義はされていません。

これまで、企業の倒産に関する統計の発表は、国ではなく信用調査会社が行ってきました。そのため、倒産についての定義は、信用調査会社の定義に則っています。

信用調査会社間の倒産に対する各定義についてはそれほど違いがありません。大手信用調査会社のひとつである帝国データバンクでは、次の6つのどれかにあたる場合を倒産と定義しています。

1.銀行取引停止処分を受ける

2.代表が倒産に至ったと認めて、内々に整理を行う

3.会社更生法を裁判所へと申請

4.民事再生法を裁判所へと申請

5.破産を裁判所へと申請

6.特別清算を裁判所へと申請

参考:倒産の定義|帝国データバンク

このうち、1・2を「私的整理」(任意整理)、3から6を「法的整理」と呼びます。

強制的に倒産状態に至ってしまうのが、1の「銀行取引処分停止」です。支払用に手形を振り出したのに、支払期日になっても必要な金額を決算口座に入金できずに「不渡り」(手形が決済できない状態)を6か月以内に2回出してしまうと、手形交換所から「銀行取引停止処分」を受けます。

この処分により、金融機関からの借入や融資、当座預金口座の開設、手形・小切手の利用などができなくなり、事業の継続が実質的には難しくなります。そのため、銀行取引停止処分は、信用調査会社の定義において倒産と位置づけられています。

つまり、経営破綻と倒産の違いは、経営破綻が漠然とした概念であるのに対し、倒産は1から6のような具体的な状態が定義されている点が違いです。

ですが、経営破綻を倒産の一歩手前の状態として使うこともあり、経営破綻と倒産のふたつは、実際にはそれほど明確には使い分けされていないのが現状です。

経営破綻と債務超過の違い

これに対して「債務超過」とは、会社の負債が資産を上回り、土地や建物などの資産をすべて売っても借金を返しきれない状態を指します。

似ているものに「赤字」がありますが、赤字は単に、ある一定期間において利益が−(マイナス)になっている状態です。

会社の正常時・赤字状態・債務超過時の賃借対照表を比べてみましょう。

・正常時

資産:500万円 / 負債:100万円 資本金:200万円 利益剰余金:200万円

・赤字状態

資産:500万円 / 負債:400万円 資本金:200万円 利益剰余金:−100万円

・債務超過時

資産:500万円 / 負債:700万円 資本金:200万円 利益剰余金:−400万円

赤字状態では、利益剰余金(利益)がマイナスになっていますが、負債は資産を下回っています。ところが債務超過時では、負債が資産を上回り、純資産の合計(資本金+利益剰余金)もマイナスになっています。

債務超過は経営破綻に近い状態ではありますが、債務超過すなわち経営破綻ではありません。なぜなら、お金を貸した銀行などが返済を待つケースも稀にあるからです。

たとえば、債務超過は一時的であり将来的には回復の見込みがあるケースや、無理に資金を回収しようとして会社が倒産した場合における回収見込額より、返済を待った場合の回収見込額のほうが多いケースなどは、返済を待ちます。

このように、債務超過だからといって即時に経営破綻や倒産に至るわけではなく、状況によっては復活が可能なケースもあります。

3 経営破綻の原因

中小企業庁の調査から、平成30年度に倒産した企業(全8,235件)における倒産原因を多い順に6つ挙げます。

・販売不振:5,799件(全8,235件)

・既往のしわよせ:967件

・放漫経営:409件

・連鎖倒産:374件

・過少資本:342件

・その他:182件

参考:倒産の状況|中小企業庁

販売不振

倒産した原因としては「販売不振」が約70%と圧倒的に多いです。さらに、販売不振を引き起こす理由としては、主に次のものが考えられます。

・自社の商品・サービスの魅力低下

・競合との競争激化

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・業界自体の衰退

・産業構造の変化(例:フィルムからデジカメ、さらにはスマホへ)

・取引先や元請けからの値引き要請

・景気悪化による消費の冷え込み など

既往のしわよせ

2番目に多い倒産原因として、「既往のしわよせ」(約12%)が挙げられます。

既往のしわよせとは、事業の運営状況が次第に悪化してきているのに、しがらみなどに縛られて対策が取れないまま倒産してしまう状態です。既往のしわよせには、主に次のような状態が挙げられます。

・従業員の高齢化

・設備投資ができず、古い設備やシステムを使い続ける

・人手不足などで、人材の育成ができない

・得意先の開拓ができない

・取引先や元請けからの値引き要請

・経営陣による問題の先送り など

放漫経営

放漫経営とは、経営を適切に行う意志や能力が経営者になく、ずさんな経営の結果として倒産に至る状態です。放漫経営には、主に次のような状態が挙げられます。

・会社の私物化

・コンプライアンスの軽視

・管理体制のずさんさ

・本業以外での無計画な他事業化

・不動産など投資の失敗 など

連鎖倒産

連鎖倒産とは、取引先などの倒産により債権が回収できずに自社も倒産してしまう状態です。連鎖倒産に巻き込まれないためには、特定の取引先に依存し過ぎない、手形取引よりも現金取引に比重を移すなどの対策が考えられます。また、「経営セーフティ共済」や「セーフティネット保証制度」などの利用も検討してみましょう。

過少資本

過少資本とは、元手となる資本金が少ないために事業の継続ができなくなる状態です。制度上は1円でも会社を設立できますが、実際には事業が軌道に乗るまでの運転資金が必要になります。経営破綻に陥らないためには、十分な自己資金を確保してから創業するほか、税理士などの専門家に相談して融資計画の立案や創業融資の活用を心がけましょう。

債務超過の原因

経営破綻や倒産に近い状況である債務超過の原因も見ておきましょう。主には次の2つの原因が挙げられます。

赤字状態から抜け出せない

単純に赤字の状態が毎月続けば、賃借対照表上でも利益剰余金(利益)のマイナスが続いて純資産もマイナスになり、債務超過に陥ってしまいます。

そもそもの赤字になる原因は、シンプルに考えると次のようになります。

・利益が少ない(売上自体が少ない、または変動費が多い)

・固定費が多い(人件費など)

ごくシンプルな対策としては、売上を上げて変動費を下げる、人件費などの固定費を削ることが必要です。

創業当初の過少資本状態

先述した過少資本と重なりますが、特に創業当初は純資産が少ないため、債務超過の状態に至りやすい傾向があります。創業融資のほか、公的機関による創業支援のための補助金や助成金などを上手く活用しましょう。

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4 経営破綻したらどうなるのか</h2>

超過債務などにより経営破綻に陥ると、どういったリスクやデメリットがあるのでしょうか。

リスク1:債権者から督促を受ける

決済口座に残高がなくなり期日に支払が行われなかった場合、債権者が会社に押し寄せてくるリスクがあります。

会社や事業の種類によって債権者がどういう行動を取るかは異なります。たとえば、建築・土木・舗装工事など現場監督がいるような業種では、外注業者や下請業者などが督促に直接やってくるケースが多いです。

債権者も自社の経営や生活がかかっているので、お金がないので払えないと事実を説明するだけでは引き下がりません。怒鳴られたり脅されたりもします。なかなか帰ってくれないので、最終的には警察を呼ぶまで収束しないケースもあります。

経営破綻に陥ると事前に分かっている場合には、後述する破産手続きなどの対応も含めて、早めに弁護士などの専門家に相談すれば、このような場合でも現場にかけつけてもらえます。

リスク2:債権者集会で怒号が飛び交う

経営破綻に陥った後に(後述する)破産手続きを選んだ場合、債権者集会の開催が必要です。会社や事業の種類によっては、債権者集会に債権者が大挙するリスクもあります。

実際には、銀行や消費者金融などの金融機関は、債権者集会にはほとんど来ません。彼らにとっては破産は日常的に頻発する事態であり、債権者集会に出席してもムダであると分かっているからです。

しかし、個人などの顧客を直接相手にする業種では、債権者集会に債権者が押し寄せるケースもあります。たとえば、エステ会社の債権者集会では、10回綴りのエステ券を購入したのに使えないまま紙くずになってしまったと、女性の債権者が集団でやってきて怒号が飛び交うなどです。

リスク3:闇金から借り入れてはいけない

経営破綻に陥りそうなときに、新規で資金を借りる当てがなく困っていると、どこからか噂を聞きつけて闇金が現れます。しかし、闇金からは決して資金を借りてはなりません。

法律上は、貸金業法を違反している闇金からの借入は無効になるため返済する必要はないのですが、闇金はそれでは引き下がらず、経営者から金銭や財産などを脅し取ることもあります。

その結果、費用が足らずに破産手続き自体できない、破産の申立て後も闇金に脅し取られた財産回収のために予納金が高くなる、破産手続きが長引くなどのリスクが生じます。

デメリット1:経営者個人も自己破産を迫られるケースがある

リスクのほかに、経営破綻のデメリットについても紹介していきます。

まず、経営破綻に陥った場合、破産手続きの申立てをすれば、法人としての債務は消滅します。しかし、法人の債務に対して経営者が連帯保証を入れている場合は、経営者個人も破産手続きを行わない限り債務は消滅しません。

経営者個人が自己破産した場合は、99万円以下の現金(自由財産)を除いて、個人所有の全財産が債権者へと弁済されてなくなります。

さらに、経営者だけではなく家族などが連帯保証を入れている場合、家族も破産手続きが必要です。加えて、経営者個人が自己破産すると、住宅ローンなど経営者個人の別の債務を連帯保証している家族なども破産手続きが必要と、自己破産の波が連鎖的に広がります。

ただし、連帯保証した法人の債務が経営者個人で返済できる範囲だったり、債権者が返済を待ってくれたりする場合は、破産手続きは必要ありません。

デメリット2:従業員を解雇せざるを得ない

経営破綻に陥って法人の破産手続きを選べば、従業員も解雇せざるを得ません。実際には、破産手続きにかかる費用の確保が最優先となるため、従業員に解雇予告手当や未払いの給与、退職金などを全額支払うのは困難です。

せめて転職先を紹介できればよいですが、それも難しい場合が多く、会社を支えてくれた従業員を寒空に放り出すことになるのは大きなデメリットといえます。

従業員の未払い給与などを支払うのが難しい場合は、「未払金立替払制度」の利用なども検討しましょう。

デメリット3:再起後に融資を受けるのが難しくなる

いったん経営破綻に至って法人を破産させてしまうと、同じ経営者が再度起業しても、金融機関からの融資を受けるのは難しくなるというデメリットがあります。現在はクラウドファンディングなど融資以外の手法も充実していますので、そちらの利用を検討しましょう。

5 経営破綻したら何をすべきか

経営破綻に陥った場合、そこからどのような選択肢を取ることができるのでしょうか。

法的整理と私的整理

経営破綻に至った場合の選択肢は、法的整理と私的整理に分けられます。

・法的整理:裁判所が関与し、法的な手続きを伴う方法

・私的整理:裁判や法的な手続きを伴わない方法

先ほど、倒産と定義される6つの状態を紹介しましたが、それぞれ次のように分類されます。

法的整理:

・破産(上記の5)

・特別清算(6)

・会社更生法(3)

・民事再生法(4)

私的整理:

・銀行取引処分停止(上記の1)

・内々に整理(2)

このうち、中小企業において代表的な選択肢である「破産」「私的整理」「民事再生」を説明していきます。

<h3>破産</h3>

帝国データバンクによる2018年度版の「全国企業倒産集計」では、全倒産件数8,063件における態様の内訳は、次のようになっています。

・破産:7,502件

・特別清算:307件

・民事再生法:252件

つまり、経営破綻に陥った会社の93%は、破産を選んでいることになります。

参考:全国企業倒産集計2018年報|帝国データバンク

破産と倒産の違い</h4>

「破産」という言葉には、2つの意味があります。

A.すべての財産を失った状態

B.債務者において、債務の完済が不可能になった状態。またその場合に、破産法に基づき、債務者の全財産を清算して債権者全員に分ける(弁済)制度や法的手続きのこと。

つまり、「破産」には一般的な意味と、破産法で定められた制度や法的手続き(破産手続き)の2つの意味があり、ここでは後者の意味で破産という言葉を使っていきます。

「破産」と「倒産」は字から受ける印象が似ていますが、先述したように「倒産」は法律用語ではないのに対し、「破産」は破産法で定められた法的手続きを指す法律用語です。破産手続きを行った会社は倒産に至りますが、倒産した会社は破産以外の態様があるため、倒産イコール破産ではありません。

法人における破産手続きの流れ

破産は個人・法人問わずにできます。破産手続きとは、破産管財人が個人や会社の財産を現金化して債権者に分配する手続きです。

法人における破産手続きは、次のような流れで行います。

1.裁判所へ破産手続開始を申し立てる

2.裁判所が「破産手続開始決定」を出し、破産管財人を選ぶ

3.破産管財人が会社の財産を現金化する

4.債権者に対して、債権者集会を開く

5.現金化されたお金を「配当」として債権者に分配する

6.破産手続きが終わり、会社は消滅する

破産手続開始の申立ては手続きが複雑なため、弁護士などの専門家に依頼するのが一般的です。

裁判所が出す破産手続開始決定は、申立てをすれば自動的に出されるわけではなく、いくつかの要件を満たす必要があります。そのうちのひとつが、会社に「破産手続開始原因」があることです。

破産における手続開始原因は2種類で、支払不能(支払能力がなく借入を返済できない)と債務超過です。先ほど、債務超過イコール倒産ではないと述べましたが、破産の要件に挙げられるほど倒産に近い領域にいるとはいえます。

会社の財産をすべて分配しても支払えなかった債務については、破産後には会社が消滅するため債務も消滅します。ただし、経営者が会社の債務に対して連帯保証を入れている場合は、その分の債務を経営者個人に請求されるため、経営者は個人破産か個人再生の手続きをしなければ債務から免れません。

破産手続きにより会社は消滅し、事業の継続は不可能になるため、このような形態を「清算型」と呼びます。つまり、会社の再建を全く考えていない場合、ほとんどの中小企業は破産という選択肢を選んでいます。

特別清算

破産と同じ法的整理の「清算型」として、特別清算が挙げられます。

特別清算の流れ

特別清算は、特別清算人(破産の場合は破産管財人)が会社の財産を現金化して債権者に弁済する手続きであり、そのこと自体は破産とそれほど変わりませんが、手続きにいくつか違いがあります。

特別清算は「協定型」と「和解型」の2つに分けられます。和解型のほうが、協定型よりもスピーディーな手続きが可能です。

・協定型:債権者集会を開いて、3分の2以上の債権者(債権額)の同意を得て協定を結び、それに則って弁済する

・和解型:債権者集会は開かず、個々の債権者とそれぞれ結んだ和解契約に則って弁済する

特別清算(協定型)の手続きは、次のような流れで行います。

1.株主総会で、会社を解散する決議を行い、清算人を選ぶ

2.官報公告を出し、債権者に債権届出を求める

3.裁判所へ特別清算を申し立てる

4.裁判所が「特別清算開始決定」を出す

5.債権者集会で、会社が出した協定案(弁済の計画)を決議し、裁判所が認可する

6.協定通りに債権者に弁済する

7.裁判所が「特別清算終結決定」を出す

8.特別計算終結の登記を行い、会社は消滅する

特別清算と破産の違い

特別清算と破産には、次のような違いがあります。

根拠となる法律:

破産は破産法に則った法的手続きですが、特別清算は会社法に則った法的手続きです。

対象:

破産は個人・法人問わずに利用できますが、特別清算は清算中の株式会社しか利用できません。清算とは、株主総会において会社の解散の決議を行った後にとる手続きのことです。

手続開始原因:

破産における手続開始原因は、先述したように「支払不能」と「債務超過」ですが、特別清算における手続開始原因は次のようになります。

・清算を行ううえで大きく支障をきたすような事情がある場合

・債務超過が疑われる場合

つまり、特別清算のほうが、破産よりも適用できる原因の範囲は広いです。

破産管財人と特別清算人の違い:

破産では、財産を換金する破産管財人として、裁判所が第三者(自裁は弁護士)を選びます。しかし特別清算では、財産を換金する特別清算人は裁判所が選びはしますが、清算人がそのまま選ばれるのが普通です。

清算人は、株主総会の特別決議などで選ばれますが、たいていは該当する株式会社の代表取締役であることが大半です。そのため破産を選んだ場合よりも、会社側が主体的に財産を換価処分することが可能となります。

特別清算は債権者の同意が必要:

破産は、債権者の同意がなくとも手続きを進めることが可能です。これに対して特別清算は、協定型・和解型のどちらも債権者の同意が必要となります。

まとめると、次のようなイメージを思い浮かべていただくとよいでしょう。

・破産:裁判所主導で、破産管財人が粛々と清算手続きを進める

・特別清算:代表取締役などの特別清算人が、債権者と協議を進めて同意を得ながら手続きを進めるので、破産よりも会社が主体的に関われる

実際の例として、特別清算人である経営者が債権者を訪問し、あいさつ回りをしつつ手続きを進められるので、破産を選ぶよりは人間関係の壊滅も防げるでしょう。

また、破産と特別清算とでは、言葉を聞いたときに受けるイメージがやや異なります。破産には暗いイメージが伴いますが、特別清算は知名度が少ないせいか破産ほど暗いイメージがなく、風評被害を抑えられる効果があります。

特別清算と破産は、同じ法的整理の清算型でありますが、ふたつの違いを押さえたうえで目的に合うほうを選ぶようにしましょう。

私的整理

破産や特別清算のような「法的整理」以外の方法として、「私的整理」があります。私的整理とは、裁判所が関与する法的整理とちがって、裁判や法的な手続きを伴いません。会社が債権者とそれぞれ交渉し、弁済の方法や金額について全員の同意を受け、会社を清算ないし再建する方法です。

メリットとして、法的整理とちがって対象となる債権者を限定できる点と、法定化されている手続きはないため、債権者の合意さえあれば手続きを自由に踏める点です。

デメリットとしては、債権者全員から同意を得る必要がある、債権者からの強制執行などに対抗できない、裁判所の関与がないため手続きの公平性などが担保できない点などが挙げられます。

民事再生

法的整理には「清算型」と「再生型」があります。破産や特別清算は清算型ですが、民事再生は再生型のひとつです。

民事再生とは、民事再生法に則った法的手続きです。会社主導で再生計画を立てて債権者の同意を受け、再生計画に従って返済を行いながら会社を再建していく方法です。倒産の6類型に入っているため形式上は倒産とみなされますが、現在の経営陣のまま会社を立て直すこともできるのが特徴です。

法人における民事再生手続きの流れ

民事再生の手続きは、次のような流れで行います。

1.裁判所へ民事再生手続開始を申し立てる

2.裁判所が「保全処分」を発令し、監督委員を選ぶ

3.債権者に対して、債権者説明会を開く

4.裁判所が「民事再生手続開始決定」を出す

5.財産目録や報告書などを裁判所に提出

6.債権者が届け出た債権について「債権認否書」を裁判所に提出

7.「再生計画案」を裁判所に提出

8.債権者集会で再生計画案を決議し、裁判所の認可後に返済を行う

保全処分とは、一部の債権者のみが債権を回収するなどして今後の再生を妨げないよう、再生の手続きが開始されるまで、会社の財産などを凍結して保全するための一連の制度です。

債権者説明会では、民事再生を選んだ経緯や財産の現状を説明し、これからの再生に向けて債権者に協力を依頼します。その後、財産目録や「債権認否書」を通して、自社の財産や債権の総合的な状況を把握し、債務のうちどのくらいを債権者に免除してもらい、残りをいつどのように返済するかといった「再生計画案」を立てます。

債権者集会では、出席した債権者のうち過半数が案に賛同し、かつ賛成した債権者がもつ債権額が全体の半分以上を占める必要があります。裁判所の認可後は、再生計画に基づいて返済を行い、会社を再建していきます。

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6 経営破綻とM&Aの活用

民事再生の流れを見ると、いかに債務を返済していくかが再生における要点だと分かります。つまり、超過債務などで経営破綻に陥りそうな場合に、だれかが債務分を支援してくれれば経営破綻を免れることができるともいえるのではないでしょうか。

そんな都合のよい話はないと思われるでしょう。しかしM&Aを活用すれば、スポンサー(買い手)から資金援助を受けて再生を図る、スポンサー型の事業再生が可能です。

たとえば、地方の会社が本業とは別に人材派遣業を始めたけれど、結果として不採算事業になってしまったケースがあるとします。自社にとっては、これ以上テコ入れする予算もなくお荷物な事業も、東京から地方へと進出を考えている人材派遣会社にとっては、東京からは獲得が難しい地元のコネクションが入手できるなら、出資する価値はあります。

この場合、人材派遣業だけを(M&Aの一種である)事業譲渡し、本業は温存することも可能です。M&Aにはいろいろな方法があるので、目的に応じて上手く使い分けることができます。

経営破綻に陥ると従業員を解雇せざるを得なくなるのが大きなデメリットです。しかし、その状態に至る前にM&Aを活用して大手企業の傘下に入れば、従業員の雇用は確保され、資本注入によって事業も再生する可能性が出てきます。

第二会社方式

M&Aによる事業再生方法のひとつとして「第二会社方式」があります。自社の事業のうち、採算が採れている事業をM&Aによって別の会社に承継させ、不採算事業だけを残して自社を特別清算する方法です。

自社は消滅しますが、破産などの法的整理を選んでも同じく法人格は消滅します。それよりは、将来性のある事業だけでも他社に受け継いでもらえたほうが、選択肢としては優れているのではないでしょうか。

この方法は、偶発債務などのリスクを避けられるため、スポンサーとなる買い手側にもメリットが大きいです。

このように、M&Aは不採算事業を切り離す事業再生や、後継者不在を解決する事業承継などに活用され、中小企業でM&Aを採用する会社も続々と増えてきています。

ただし、M&Aを活用した事業再生には、財務会計や法律などの幅広い専門知識と独自のコネクションなどが必要です。M&Aを上手に活用して経営破綻の危機から抜け出したいなら、まずは実地経験豊かな専門家である弁護士事務所への相談をおすすめします。

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