非上場株式・譲渡制限付き株式!

株式は市場を通じて自由に売買されています。投資や資産運用において、株を買って株価が上がったときに売却するという手法は、今日も当然のように行われているはずです。しかし、全ての株式を自由に売買(譲渡)できるわけではありません。なぜなら、株式の中には制限のある株式が存在しているからです。

株式についている制限の1つに「譲渡制限」があります。譲渡制限のついている株式を「譲渡制限株式」といいます。譲渡制限株式とはどのような株式なのか、定義やメリットなどの基本事項を網羅しました。自社株式や会社のかたちを考えるときの参考にしてください。

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譲渡制限株式とは?

譲渡制限株式とは、「自由な譲渡が制限されている株式」のことです。譲渡制限株式は会社法に定められている株式の種類の1つで、譲渡に際して会社側の承認が必要になります。

第百八条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。

四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。

第百三十六条 譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。

このように、会社法第108条1項4号に、会社は株式の1つとして譲渡制限株式が発行できることが明記されています。

会社は普通株式(よく市場で売買されている普通の株式)の他に、議決権制限株式などの、会社法に定められた種類株式を発行可能なのです。譲渡制限株式も、会社法に定められる発行可能な種類株式の1つになります。

株式は市場で自由に売買されている印象があるのではないでしょうか。譲渡制限株式は株投資の際に自由に売買できる通常の株式と、株式であるという点で同じです。ですが、制限がついているという点で性質を異にしています。

譲渡制限株式にはメリットとデメリットがあり、多くの会社はメリットに着目して譲渡制限株式を利用しているのが現状です。

譲渡制限株式の発行には2つのパターンがある

譲渡制限株式には2つの発行パターンがあります。

1.会社の全ての株式を譲渡制限株式にする

2.会社の一部の株式を譲渡制限株式にする

会社の株式全てを譲渡制限株式にすることが可能です。全ての株式を譲渡制限株式にするためには、定款への定めが必要になります。会社の全ての株式を譲渡制限株式にすることで、会社の株式を取得するときは承認(株主総会や取締役会などの)が必要な状況を作り出すことが可能です。

会社の株式を一部だけ譲渡制限株式にすることもできます。一部の株式を譲渡制限株式にする場合も定款への定めが必要です。

譲渡制限株式の定めは、会社設立時に絶対に行わなければならないわけではありません。会社設立が完了して会社の運営がスタートしてからでも、定款を変更することによって可能です。会社運営後に譲渡制限株式を検討している場合は、弁護士へご相談ください。

また、昭和25年~41年の間は株式に譲渡制限を付けることができなかったため、創業の年代によっても株式に譲渡制限が付けられていないケースがあります。譲渡制限株式の定めを置いていないのに、譲渡制限株式を発行していると勘違いしているケースも散見される事例です。気になるときは定款などで確認するか、弁護士にチェックしてもらいましょう。

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譲渡制限株式による公開会社と非公開会社の違い

譲渡制限株式の発行状況によって、会社は「公開会社」と「非公開会社」の2種類に分けられます。

公開会社は、譲渡制限株式以外の株式を1株でも発行している会社のことです。非公開会社とは、譲渡制限株式のみを発行している会社のことになります。

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

五 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。

分かりやすい例で見てみましょう。

会社が株式を100株発行していたとします。99株は譲渡制限株式でしたが、1株だけ普通株式でした。譲渡制限株式が多いため非公開会社ではないかと思うかもしれませんが、普通株式を1株発行しているため、この会社は公開会社に該当します。

公開会社はよく「上場会社」と勘違いされます。公開会社か否かは譲渡制限株式の発行状況で判断されるため、株式を上場しているか否かは関係ありません。

譲渡制限株式のメリットとは?

株式は自由な譲渡が可能な方が、会社のファンが増えるしメリットがあると思うかもしれません。決してメリットだけではありません。譲渡が自由であるということには、デメリットも多いものです。譲渡制限株式は、会社のデメリット対策としてよく使われるという背景があります。

譲渡制限株式にはどのようなメリットがあるのか、5つのポイントで見て行きましょう。譲渡制限株式のメリットを見ることで、譲渡制限株式の性質や使い方について、より理解が深まることでしょう。

1.会社の乗っ取りを防止できるメリット

2.株式の分散を防止できるメリット

3.事業承継をしやすくするメリット

4.会社運営コスト削減のメリット

5.会社のニーズに合わせて使い分けできるメリット

譲渡制限株式のメリット①会社の乗っ取りを防止できる

譲渡制限株式を取得するためには、承認が必要になります。市場で流通している普通株式と違い、取得に際しては会社側が判断できるのです。

株式は会社の乗っ取りに使われます。株式を多く取得した大株主は会社の運営に対し大きな影響力と権利を持つため、会社の運営や経営陣について恐ろしい存在になるのです。会社の株式が普通株式ばかりなら、何時の間にか株式をたくさん買われて、会社の乗っ取りをされてしまうことがあります。

譲渡制限株式を使えば、会社の乗っ取りを企む都合の悪い存在に株を自由に買われてしまうことを防止可能です。都合の悪い人や乗っ取りを画策する人が株式を取得しようとしたときは「認めません」と承認しなければいいのですから。

譲渡制限株式は、会社にとって都合の悪い人や乗っ取りを画策する敵対的な存在を排除できるというメリットがあるのです。

譲渡制限株式のメリット②株式の分散を防止できる

譲渡制限株式には、株式の分散を防止できるというメリットがあります。譲渡制限株式の取得には承認が必要なので、会社側である程度の株式の取得コントロールができるということです。株式の取得コントロールができれば、目的の人に株式を譲渡しやすくなります。

たとえば、育成した後継者に会社を譲り渡すときのことを想像してください。後継者が株式をほとんど持っていないと、後継者の発言力はそれだけ低くなります。後継者が会社の舵取りをするにあたり発言力は重要なポイントであり、舵取りの成否にも関係する重要事です。

株式が方々に散っていると、後継者に株式を集中させて発言力を高めたいときに困難になります。いろいろな株主から株式を集めて来なければならないからです。中には後継者に難色を示し、非協力的な株主もいるかもしれません。

後継者への株式の集中が遅れれば、それだけ発言力にも会社運営にも影響が出ます。弱体化しているところを敵対的な株主や会社に狙われてしまうかもしれません。このようなケースでは、譲渡制限株式が力を発揮するのです。譲渡制限株式で譲渡をコントロールすればいいのですから。

譲渡をコントロールできるということは、株主もある程度把握できるということ。会社の事業運営に重要な株主や、会社に好意的な株主へ株を集中させる際にも譲渡制限株式はメリットがあります。反対に、株式を分散させて、株主の会社への影響力をコントロールすることも可能です。

株式を戦略的に使う上で、譲渡制限株式には会社にとってのメリットが多く存在しています。

譲渡制限株式のメリット③事業承継をしやすくする

事業承継の後継者の株式の取得は、相続税や贈与税の課税対象になります。後継者の発言力を高めようと株式を集中させても、株式を集中させた結果として高額な税金の課税に繋がる可能性があるのです。相続税や贈与税への対策は、事業承継をする上で忘れてはならない重要ポイントになります。

譲渡制限株式は、事業承継の税金問題解決にも役立つというメリットがあるのです。

事業承継時の税金対策の方法の1つは、会社側が後継者から株式を買取するという方法になります。後継者の発言力に影響しない程度の株式を会社側が買取すれば後継者には現金が入り、税金の支払いに備えることが可能です。会社側と後継者で話し合い、お互いにとってメリットのある株数を会社と後継者の間で売買し、納税や株式数などを調整することができます。

方法だけ聞くと「譲渡制限株式ではなく、普通株式でもできるのではないか」と思うかもしれません。実は、普通株式で同じ方法を試みると、会社や後継者にとってデメリットの大きい方法になってしまうのです。

なぜ普通株式で同じことをすると、デメリットになるのか。それは、後継者から普通株式の買取をしてしまうと、他の株主にも売主追加請求権を使われてしまう可能性があるからです。

売主追加請求権とは、株主からも「自分の株式も買い取って欲しい」と請求される権利になります。「自分の株式も買い取って欲しい」という株主がたくさん出てくると、事業承継や税金対策どころではありません。株数や株式のコントロール、把握もし難くなります。

譲渡制限株式のみを発行していた場合、売主追加請求権を求める必要はなく、株数や株主をコントロールしつつ事業承継に専心できるのです。

譲渡制限株式のメリット④会社運営コストの削減ができる

譲渡制限株式を発行することで、会社手続きや事務の一部簡略化が認められます。手続きや事務の簡略化が可能になるということは、時間や費用の節約にも繋がるはずです。ひいては、会社運営コストの削減に繋がります。

譲渡制限株式によって、次の5つのメリットが得られるのです。

1.計算書類の「注記」を簡略化できる

2.株主総会招集期間を短くできる

3.取締役会を置く必要がない

4.監査役を置かなくてよい

5.役員の任期を伸ばせる

会社組織をコンパクト化できれば、スムーズな運営が可能です。書類の簡略化や手続きの簡略化が許されれば、時間や労力の削減にも繋がります。時間や労力を削減できるということは、費用の削減にもなるということです。特に中小企業にとっては、大きなメリットになります。

譲渡制限株式による会社運営コスト削減のメリットについて、もう少し詳しく見て行きましょう。

計算書類の「注記」を簡略化できる

注記とは、計算書類の補足説明のことです。全ての株式が譲渡制限株式になっている会社(非公開会社)は、計算書類の注記を簡略化することが可能になっています。

計算書類の作成に苦労する企業は少なくありません。計算書類の作成負担が軽減されるだけで、事業に専心できるという恩恵があるのです。

株主総会招集期間を短くできる

株主総会を開くときは、開催の2週間前に書面などで通知する必要があります。株式を持っている人は、株主総会の招集通知などを封書で受け取った経験があるのではないでしょうか。これは、会社が株主総会を開催するときの基本的な流れになります。

譲渡制限株式の活用によって、この株主総会の招集手続きを簡略化できるのです。1週間前(それより短い期間も可能)に株主総会を招集することができ、召集の通知も口頭で行うことが許されます。「株主総会をやるから集まって」で簡単に株主総会を開けてしまうということです。

取締役会を置く必要がない

譲渡制限株式を会社が上手く活用することで、取締役会の設置をする必要がなくなるというメリットがあります。

取締役会の設置は、中小企業にとって大きな負担になる可能性が高いのではないでしょうか。取締役会の設置が義務付けられないというメリットにより、会社をコンパクト化することが可能なのです。

監査役を置かなくてよい

取締役会を設置する場合、取締役が3人以上かつ監査役または会計参与が1人以上必要になります。取締役会の設置が義務ではなくなれば、取締役1人で会社運営が可能なのです。

取締役会を置くと、会社組織が大きくなり、小さな会社だと負担になってしまいます。譲渡制限株式によって取締役会を置く義務が免除されることで、会社をスリム化できるのです。

役員の任期を伸ばせる

取締役の任期は2年以内と定められています。監査役の任期は4年以内です。役員は任期満了後に重任することも少なくないため、「同じ人が役員になるのに、いちいち手続きを踏むのは面倒だ」というデメリットがあります。

譲渡制限株式会社の場合は、定款への記載による役員の任期を10年まで伸ばすことが可能です。手続き的な労力を削減することができます。

譲渡制限株式のメリット⑤ニーズに合わせて使い分けできる

譲渡制限株式には、ニーズに合わせて使えるというメリットもあります。譲渡制限株式を発行することで、次のようなことも可能なのです。

相続人に株式の売渡請求ができる

定款で定めておけば、相続人に対して、相続があったことを知った日から1年以内に株式の売渡請求が可能です。

たとえば、株主が会社に対して非常に協力的かつ好意的な人物だったとします。しかし、株主の相続人も好意的な人物とは限りません。相続人が会社に敵対的な人物である可能性もあるのではないでしょうか。相続というかたちで会社にとって害になる相続人へと株式が渡ってしまった場合、会社のリスクは計り知れないはずです。

譲渡制限株式会社は、相続人に対して売渡請求が可能です。相続人は売渡請求を拒むことができないと解釈されます。株主の相続人とのトラブル回避や会社のリスク対策に役立つのです。

役員人事についての制限を設けることが可能である

取締役になれるのは、株主に限られません。株主以外の人でも会社の取締役になれるのです。株主以外からも柔軟に取締役を選べることで、有能な人材を会社運営に関わらせることができるというメリットがあります。しかし、会社の内外から役員を選べるということは、諸刃の剣でもあるのです。

会社に敵対的な人が役員になってしまうかもしれません。株式に譲渡制限を付けている会社の場合は、取締役を株主に限る定款の定めを設けることが可能です。この他に、定款で定めることにより、取締役などの人事を特定の株主だけで決定することができます。このように、役員人事についての制限を設けることができるのです。

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譲渡制限株式のデメリットとは?

譲渡制限株式は有効活用によって会社や役員にメリットをもたらします。ただ、譲渡制限株式にはデメリットもあるため、注意して使わなければ、会社や役員にとってマイナスになる可能性があるのです。

譲渡制限株式の知っておきたいデメリットは3つあります。

1.会社が閉鎖的になってしまう

2.会社の絶対的なリスク対策ではない

3.売渡請求による会社乗っ取りのリスク

譲渡制限株式のデメリット①会社が閉鎖的になってしまう

譲渡制限株式のメリットはデメリットにもなるため注意が必要です。

譲渡制限株式によって会社の株主や株の取得者をコントロールすることが可能です。そうすると、会社の株主は親族や内輪、好意的な関係者だけになることでしょう。

譲渡制限株式の設定自体が、「内輪で会社の経営をしたい」「外部の人間が入ってこないようにしたい」という意図で使われることが多いので、当然かもしれません。内輪だけで会社を運営したい場合には、株主や取得者のコントロールは大きなメリットです。

ただ、会社に親族や内輪、知り合い同士しか存在しなくなってしまうと、会社自体が閉鎖的になってしまいます。閉鎖的になった結果、会社の運営が「なあなあの関係」になってしまうのです。

会社の運営に行き詰まったときや、会社で新しい事業を展開したいときは、新風を入れることも必要になるのではないでしょうか。会社が閉鎖的になった結果、外の人間(新風)を入れ難くなってしまうというデメリットがあるのです。

会社の乗っ取り対策や内輪での運営を可能にするのが譲渡制限株式になります。会社を外部から守る。シャットアウトする。コントロールする。以上の点を譲渡制限株式で突き詰めて行くと、ときにメリットがデメリットになってしまうことがあるのです。

譲渡制限株式のデメリット②会社の絶対的なリスク対策ではない

会社の株式を譲渡制限株式で固めても、絶対的なリスク対策にはなりません。もちろん、意に染まない者を株主にするリスクは格段に低くなりますし、会社運営を守るための対策にもなります。しかし、譲渡制限株式にしたからといって、全てのリスクから会社を守れるとは限らないのです。

会社側のリスクとして「譲渡承認請求権」と「株式買取請求権」があります。

譲渡制限株式も株式である以上、譲渡できます。譲渡制限株式の場合は「株式を譲渡できるが、承認が必要になる」のです。譲渡不可というわけではないのです。

譲渡制限株式を譲渡したいときは、譲渡承認請求をすることになります。譲渡したい株主は会社側に「譲渡を承認して欲しい」と要求するのです。しかし、譲渡制限株式は、譲渡承認請求を拒否することが可能になっています。譲渡承認を拒否できなければ、譲渡制限がないに等しいからです。

会社が譲渡承認を拒否した場合、株式を譲渡したい人は、株式の換金ができません。譲渡制限という窮屈さがついた株式を持ち続けなければならないのです。そこで株主に認められているのが、株式買取請求権になります。

譲渡制限株式は市場で自由に売買することが難しく、買主が現われても会社が承認しなければ譲渡できないという窮屈な株式です。普通株式のように、市場で自由に換金できないため、投資する側である株主には譲渡制限株式が枷になる可能性があります。解決策として定められている権利こそが株式買取請求権です。

株主は譲渡制限株式の譲渡を承認しないなら、買い取って欲しいと要求することができます。換金の難しい譲渡制限株式の株主に対する救済措置ですが、会社側にとっては株主の要求に応じて手続きしなければならないため、リスク要因になり得るのです。

譲渡制限株式のデメリット③売渡請求による会社乗っ取りのリスク

会社の譲渡制限株式を相続した相続人に対して譲渡制限株式の売渡請求ができることは、譲渡制限株式のメリットのところですでにお話しました。この相続人に対する売渡請求は、デメリットとして作用する可能性もあります。会社の後継者(相続人)に対しても、売渡請求ができてしまうのです。

メリットのところで、相続人は売渡請求を拒むことができないと解釈されるとお話しました。後継者であっても売渡請求によって地位を追われるリスクがあります。

定款の定めがあれば、売渡請求は株主総会の特別決議で可能です。特別決議は、議決数の過半数を持つ株主が出席し、議決権の3分の2以上で可決になります。売渡請求の相手方(この場合は相続人)は票を投じることができないため、他の株主が結託して乗っ取りをはかる可能性もあるのです。

売渡請求による会社乗っ取り対策としては、株式をプールするための持株会社の設立などが考えられます。他には、議決権制限株式や取得条項付株式、拒否権付種類株式、遺贈の活用なども対処法です。弁護士に相談して適切な対策を講じましょう。

譲渡制限株式を譲渡する場合はどのように手続きするのか

譲渡制限株式は譲渡に「承認が必要である」という制限がついているだけで、譲渡自体は可能です。譲渡制限株式を譲渡するときは、どのような手続きで進めるのでしょうか。

譲渡制限株式の譲渡は、具体的に次のような流れで譲渡可能です。

1.譲渡制限株式の譲渡の承認を請求する

2.取締役会や株主総会で譲渡の承認について判断する

3.譲渡制限株式の譲渡承認通知と契約の締結

4.譲渡制限株式の株主名簿の名義書き換え

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1 譲渡制限株式の譲渡の承認を請求する

譲渡制限株式の譲渡は、承認を受ける必要があります。譲渡の承認を受けるため、承認請求を行うのがスタート地点です。譲渡の承認請求は、譲渡側と譲受側のどちらからでも可能になっています。ただし、譲受側が承認請求する場合は、譲渡側と共同して行うのがルールです。

譲渡制限株式の譲渡では、株数や譲渡される側の氏名(譲渡先を特定できる情報)などを書面にまとめておくと、後のトラブル回避に繋がります。譲渡についての情報をまとめてから会社へと譲渡承認請求を行いましょう。

2 取締役会や株主総会で譲渡の承認について判断する

会社に譲渡制限株式の譲渡承認請求が行われると、譲渡についての判断が行われます。

譲渡制限株主の譲渡承認の判断は、原則的に取締役会または株主総会で行われる流れです。定款で定めていれば、取締役会などを行わず承認の判断をすることもできます。

会社のルールに沿って、譲渡を承認するか否かの判断が行われるのです。

3 譲渡制限株式の譲渡承認通知と契約の締結

譲渡制限株式の譲渡が承認された場合は、会社側は2週間以内に譲渡を承認した旨を通知します。通知を行わなかった場合も「みなし承認」により、譲渡が承認されたものとして扱うルールです。

会社側の譲渡承認の通知を確認した上で、譲渡制限株式の譲渡側と譲受側で契約を締結します。なお、承認があるだろうという前提で、先に契約を結んでおくケースもあります。

4 譲渡制限株式の株主名簿の名義書き換え

契約の締結が無事に済んだら、株主名簿の名義書き換えを請求します。名義の書き換えは、譲渡制限株式の譲渡側と譲受側が一緒に請求するのが基本的なルールです。

株主名簿の名義書き換えが終了したら、株主名簿記載事項証明書(株主証明書)を取得してみましょう。株主証明書の記載を確認すると、譲渡制限株式の名義が書き換わり、株主が変更されているはずです。

株主名簿の名義書き換えが終了すれば、譲渡制限株式の譲渡手続きの流れが完結したことになります。

譲渡制限株式の価格はどのように決定するのか

譲渡制限株式を譲渡するときは、どのような価格で譲渡するかが問題になります。

譲渡制限株式の譲渡価格の決め方は3種類です。

1.譲渡制限株式を譲渡側と譲受側が協議して価格決定する(譲渡人と譲受人の話し合い)

2.話し合いでまとまらない場合は裁判所に譲渡制限株式の価格決定の申し立てをする(裁判所に決めてもらう)

3.話し合いがまとまらず裁判所に申し立てしないときは会社法に則った価格を供託する(法律に沿って決定する)

基本的には譲渡側と譲受側の協議で決めます。ただし、話がこじれてしまうと、協議で価格決定することは難しくなるため、裁判所に譲渡制限株式の譲渡価格を決めてもらうというという流れです。あるいは、会社法のルールに則った価格で供託し、その供託価格を譲渡制限株式の譲渡価格にすることもあります。

裁判所に譲渡価格を判断してもらう場合や、会社法に則って供託する場合は、深い法的な知識が必要です。会社法やM&A実務に精通した弁護士に相談し、手続きのサポートを受けることをおすすめします。

最後に

譲渡制限株式とは、譲渡に際して承認を必要とする株式のことです。

譲渡のときに会社側の承認を要することにより、敵対的な存在に株式が渡ることを防いだり、後継者に株式を集約できたりするというメリットがあります。株式のコントロールや会社を乗っ取りから守れるという点で、譲渡制限株式は非常にメリットがあるのです。

譲渡制限株式にはデメリットもあるため、扱いに注意が必要になります。譲渡制限株式のメリットとデメリットを把握し、会社の運営に活かすようにしたいものです。

譲渡制限の設定後は、譲渡承認請求への対応なども必要になります。会社法やM&A実務に精通した弁護士をパートナーにして、譲渡制限株式の手続きをミスなく進められるように対策しておくことも重要です。事業承継などへの活かし方も、弁護士へと早めに相談しておきましょう。

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