M&A買収されるメリット!

  • 2020年2月12日
  • 2024年8月18日
  • M&A

M&A買収されるメリットとは?

2000年に入るとM&Aという言葉が頻繁に聞かれるようになりました。その背景にあるのは生き残りをかけた手段としてのM&A、企業間競争の激化があります。

例えば2019年に経営統合された業界2位の「出光興産」と業界4位の「昭和シェル」は記憶に新しいところです。

また販路・事業規模の拡大としての意味もあります。例えば「ソフトバンク」は、主力の通信事業のほかヤフーやファンド、海外、流通などさまざまな業種に及んでおり、このような事業の拡大はM&Aの適例ともいえるでしょう。

しかし、実際には自力での経営再建が難しい企業や、技術、人材に恵まれているものの事業支援がなければ廃業に追い込まれるという手段のひとつとしてM&Aが用いられるのが実情です。

事実、2006年以降、大手企業のM&Aは減少傾向にありますが、中小企業では増加の一途をたどっています。

企業の存続をかけるM&Aですが、買収される側つまり譲渡企業にはどのようなメリットがあるかをお伝えしていきましょう。

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M&A譲渡企業のメリット

事業継承問題の解決

少子化に伴い近年では後継者不足に悩まされている経営者は多くなっています。従来ならば「親族内継承」が当たり前と考えられていましたが、現代では通用しません。

帝国データバンクが2017年に行った調査によれば、67%の企業が後継者不足の問題に直面しているという結果もあります。

後継者の育成には平均して10年が必要といわれているため、早急に取り組むことができても時間が必要なため、廃業を視野に入れている経営者は増加しているのです。

後継者不足の理由として以下が考えられます。

・経営者に子供がいない

・子供に会社を継ぐ意思がない、又は継がせようとは思わない

・子供に会社を任せられない

・景気低迷に伴う採用不足で社内に後継者が育っていない

・社内に後継者となる人物がいても、資金力がない

・廃業資金の調達が難しい

などが挙げられます。

親族などへの事業継承では自社株式を後継者に引き継がせることが多く、この場合には相続税や贈与税が課税対象になるのです。しかしその資金を支払うことのできる後継者はなかなか見つからないという現状があります。

また廃業となれば、社員の再雇用先や取引先への影響が懸念材料です。

後継者不在の問題から解放され、新たな後継者を見つけることができれば、これまで築き上げてきた技術や商圏が失われることはありません。

企業の存続に貢献するM&Aがひとつの選択肢として考えられるのではないでしょうか。

創業者利益の享受

創業者利益とは、会社の創業者が株式公開に際し、持ち株を売って得た利益のことをいいます。創業当時の1株の価値は小さくても、事業の拡大とともに1株の価値が増えているかもしれません。会社の売却によって大きな含み益が見込める可能性もあります。

また、会社の譲渡を行うと現金や不動産などの有形資産のほか、特許権、商標権、人材や技術なども無形資産と評価され、大きな利益となる可能性も残されているのです。そうなれば、廃業するよりも多くの利益を見込むことができます。

しかし思うような株価での売却ができなかったり、値段が付かなかったりする場合もあるため、必ず得られる利益ではないということに注意が必要です。

創業者利益を得ることができれば、新規事業への参入、借入金の返済、ハッピーリタイアなど経営者の今後の生活に大きな影響を与えることになるでしょう。

事業の安定性

買収されるということは、現状よりも大手企業の傘下に入るということが多くなります。財務基盤のしっかりした優良企業が親会社であれば、資金の調達や技術力の強化だけでなく、社員教育の充実も図ることが可能です。

信用性の向上により金融機関からの資金調達ができるようになるため、安定した経営を行うことができます。

また倒産を回避する手段にもなり得るといえるでしょう。

そのほかには事業譲渡の場合に、不採算事業の売却によって経営の柱となる事業に集中できるため、売却資金を採算の取れる事業に回すこともできます。

すでにインフラや資本を持っている親会社であれば、新規事業への参入や海外展開など自社にとって大きなチャンスにもつながるでしょう。

事業の安定は、さまざまな点で多くの利点がみられます。

シナジー効果(相乗効果)

2社以上の力が集結することで、1社以上の成果を残すことができれば、シナジー効果が認められるということです。一から築き上げるよりも、その分野で実力を持つ企業の買収を行うことで、コストダウンや更なる成長が見込めます。

これは買収する側のメリットのように思えますが、譲渡企業にとっては仕事が増えることに繋がるため、成長する機会を与えられていると言い換えることもできるのです。

現在の経営学ではシナジー効果については大きく分類されています。とりわけその中でも注目されているのが収益シナジーです。買収した側、された側の両社が連帯することで生まれるシナジー効果には、収益の増加やコスト削減の効果があるとされています。

廃業コスト

廃業に伴う費用には一体どのようなものが含まれているのでしょうか。

「中小企業の動向に関する年次報告(2003年版中小企業白書)」によると最も多かったのは、登記や法手続きにかかる費用です。ここには税理士や行政書士、司法書士などへの代行依頼費用も含まれています。

また従業員を雇用している場合には、雇用保険や健康保険などの社会保険の清算などを、社会保険労務士に代行依頼する費用負担も考えられるでしょう。

次に手元に残る金額についてですが、廃業による評価額は下がることを念頭に置かなければなりません。不動産は半額近くになる場合が多く機材などの資産価値は無いということも珍しくはありません。

借入金があれば借金として返済していくこととなり、場合によっては手取り価格がマイナスになる場合も考えられます。

もしM&Aによる事業継承が実現すれば、純資産に営業権を加えた金額での取引ができることになるため、廃業と比較するとその差は歴然ではないでしょうか。

LBOでの買収

LBOはM&Aの手法のひとつでLeveraged By Out(レバレッジ・バイアウト)のことです。この買収方法は買収先企業の資産を担保にして資金を調達し、企業の買収を行うことを言います。

LBOでの買収を行うため、買収側は株主から株式を買い取る際、適正な株価に上乗せすることが通常です。つまり、株主は市場で株式売却を行うよりも高い利益を得られるということになります。

譲渡企業にとってのひとつのメリットということができるでしょう。

従業員の雇用の確保

安定した企業への売却は、従業員の労働環境を守ることができます。売却は会社の経営権の譲渡であり、会社の株主の変更です。つまり会社と従業員の雇用契約に変化はありません。

労働者の解雇に関しては労働基準法や労働関連の法律により制限されているため、たとえ譲受け企業が人員削減を考えていたとしても、会社売却を直接的な理由とした解雇を行うことはできないようになっています。

顧客や取引先へのマイナスイメージが少ない

M&Aのイメージは昔から根強く、「乗っ取り」や「ハゲタカ」などといったネガティブな印象が強いことは事実です。マスコミを騒がせる大企業の買収騒動は、経営陣の意に反した敵対的買収である場合が多いため、良いイメージを与えられません。

買収の方法には買収される企業が同意している「友好的買収」と買収に同意していないにもかかわらず買収を実行しようとする「敵対的買収」があります。

日本で行われている大半のM&Aは友好的買収であり、実際には経営戦略のひとつです。

敵対的買収では顧客や取引先だけではなく、従業員に「会社を乗っ取られた」というイメージを持たれやすくなります。

しかし、最近では経営統合という言い方をすることも多くなり、前向きなM&Aは顧客にも取引先にもマイナスイメージを持たれることはなくなってきました。

個人保証からの解放

2015年に中小企業庁が行った「中小企業の資金調達に関する調査」の中に、現在利用している融資の方法の回答で一番多いものは、「代表者等の補償による融資」が76.3%を占めていました。自己資産である個人保証や不動産を担保に提供を受ける経営者が大半であると言い換えられます。

M&Aの中の株式譲渡に成功した場合には、会社の借入金は法人格そのものを引き渡した譲受け企業によって支払われることとなるでしょう。つまり譲渡会社が抱えていた借入金や支払手形、買掛金、未払金などのすべての事業を、引き継いだ代表がそのまま引き継ぐことを意味しています。

譲渡会社の経営者が負っている連帯保証や個人資産の担保は事業場の負債であるため、株式譲渡に伴い新株主へ連帯保証を書き換える必要があります。

申請には時間がかかりますが、実際には株式譲渡の際に新株主が金融機関へ一括返済するというケースが多くみられるようです。

連帯保証人を書き換え、担保提供から解除されればすべての借金を清算することができます。

しかし事業譲渡の場合には、譲渡企業の経営者本人が返済しなければならないため、株式譲渡とは異なる点に注意が必要です。

アントレプレナーとしての評価

現代では崩壊しつつある終身雇用や年功序列に変わり、リスクを恐れることなく自発的に事業を起こす意識の高い人が評価される時代へと変化しつつあります。

そんな中ゼロから起業し、経営手腕を発揮する起業家のことをアントレプレナーといいます。革新的なアイデアや技術で新しいビジネスを創り出すベンチャー企業を起こす人のことです。

会社に一定の評価が与えられるほどに成長させてから、M&Aを成功させたアントレプレナーは経営手腕の高い証明にもなるでしょう。

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M&A株式譲渡のメリット

中小企業がM&Aで事業継承する際には株式譲渡による取引がほとんどであるともいわれています。ほかの手法よりもメリットのある点がどこなのかをご紹介します。

手続きが容易

株式譲渡の場合は、譲渡会社と譲受け会社の双方の株主の間で『株式譲渡契約書』が締結されることで譲渡が終了します。例えば事業譲渡の場合には、譲渡される事業に関わるすべの契約について譲受け企業へ契約をし直さなければならず、事務手続きが煩わしいものです。

もちろん契約手続きが楽な方が良いという点だけで選択肢にはなりませんが、滞りなく契約ができるということはメリットのひとつになるのではないでしょうか。

税務上のメリット

株式譲渡の際には株式売却に対して譲渡所得税がかかります。詳細を見ると、国税庁No1463株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)[平成31年4月1日現在法令]には税率が20%(所得税15%、住民税5%)となっています。

例えば事業譲渡にかかる税金には、発生した利益にかかる法人税に加え、消費税もあります。利益額により変わりますが、およそ40%前後の税率になるといえるでしょう。

こう考えると、事業譲渡に比べ株式譲渡の税率は低いものであることがわかります。

M&A事業譲渡のメリット

M&Aの中で会社のすべてを譲渡する「株式譲渡」に次いで多いものは、一部の事業のみを譲り渡す「事業譲渡」があります。事業譲渡のみのメリットとしては以下の内容が考えられます。

コア事業に集中できる

コア事業は企業が営む事業の中で、他社競合よりも生産技術や研究開発で収益率が高く、中核事業となるもののことです。

事業譲渡をすることによって、今まで費やしていた経営資金に余剰が生まれます。その資金をコア事業に投入し、より生産性や研究を進めることによって業績が向上する可能性が高まるでしょう。

社名が残ることが多い

M&Aによって社名が変更されてしまうのかと不安に思う経営者の方は多くいらっしゃいます。どうしても社名を残したい場合には、入札前から希望を主張したり、M&A契約に社名不変更義務を明記したりすることも可能です。

もちろん、譲受け企業の意向によって大きく変わりますが、一般的には社名をそのまま使用するケースは多いといえます。

退任後も会社に関与できる

経営者としてではなく会社に残ってほしいと考える譲受け企業は多いといえるでしょう。M&Aで買収された企業が譲受け企業の意向に沿った経営方針に転換する際は、少なからず社員に動揺や不安が付きまとうものです。

取引先企業との人間関係も譲渡企業の経営者が行う方がスムーズにいくことが多いといえます。

親会社のために従業員として献身的に事業を遂行させてくれると評価をもらえれば、会社に残る可能性はあるかもしれません。

いずれにしても、譲受け企業側が社長交代を望めば交代になり、続投を望めば依頼されるという「買い手側の一存で決定される」ものであるということができるでしょう。

通常の場合であっても、正式な引退までに必要な期間は数カ月を要し、長ければ2年ほど在籍し、M&A対象会社のアドバイザーというような肩書で関与することが多くなります。

まとめ

買収される側のメリットはさまざまな面に見ることができます。しかし、どのような企業に買収されるべきかの判断は簡単に下すことはできません。また買収後のトラブルを未然に防ぐことは重量な課題です。

M&Aを成功させるためには、専門家に依頼することが安心材料となるでしょう。M&Aをはじめとする経営トラブルには、法律問題も大きくかかわるため弁護士への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。

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