相続における寄与分のメリット・デメリット!

故人に対して介護・看護等で尽くした人にとって、法律で決められた相続分では不十分でしょう。このような事例では、その貢献を「寄与分」として評価し、取り分に上乗せすることが認められています。

相続の基礎知識として、寄与分が生じるケース・算出方法について紹介します。

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寄与分とは

寄与分とは、被相続人の生前において「特別の寄与」があった相続人に対し、遺産分割協議において相続分の上乗せを認める制度です(民法904条の2)。

ここで言う特別の貢献とは「療養看護型」「家事従事型」「金銭等出資型」の3パターンに分かれ、それぞれ以下のように貢献内容が定義づけられています。

【寄与分における特別の貢献の内容】

療養看護型…故人の介護・看護

【例】亡くなるまで故人の近隣に住み、介護を行った。

家事従事型…家事または事業に対する労務提供

【例】故人の経営する会社を手伝い、事業継続を支えてきた。

金銭等出資型…財産の維持または増加の支援

【例】故人の債務を肩代わりして弁済し、住宅購入の資金提供を行った。

「特別の寄与」とは

相続法で定められる「特別の寄与」とは、被相続人と相続人とのあいだで通常期待されるような程度を超える貢献を指すものです。

元来、夫婦間には協力扶助義務・親子や兄弟姉妹間には扶養義務が存在します。単に「入院時に付き添いした」「同居生活中の生活費を分担した」といった程度の貢献は、親族間の義務の範疇であり、寄与分として認められません。

相続人でない人も「特別の寄与」を主張できる

かつて寄与分を主張できるのは相続人のみとされていましたが、2019年の相続法改正により、相続人以外の親族でも「特別の寄与」を主張できるようになりました(民法1050条)。

【一例】相続法改正で新たに寄与分主張が認められるようになった人

  • 配偶者の親の介護を行った人
  • 近親者のいない故人を扶養していた親類

寄与分があるときの相続分の決め方

寄与分を加味して相続分を取り決める際は、相続開始時点の財産評価額から寄与分相当を控除し、これを法定相続分に沿って分割したあと、貢献のあった人の取り分に上乗せする方法をとります。

【例】相続開始時点の資産額3,000万円を妻・長男・次男の3人で分ける場合※長男の寄与分として600万円あり

みなし相続財産評価額を計算する

3,000万円-600万円=2,400万円

法定相続分に沿って分割する

母1,200万円(50%)・長男600万円(25%)・次男600万円(25%)

寄与分を上乗せする

長男の取り分=600万円+600万円=1,200万円

寄与分の決め方

寄与分は遺言書で指定しておくことが出来ず、必ず相続開始以降に行われる協議で取り決めます。当事者間で協議が整わない場合は、弁護士による交渉を行うか、管轄の家庭裁判所に遺産分割協議調停を申し立てて取り決めます。

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寄与分を評価する際の注意点

寄与分を主張することが必ずしもメリットに繋がるとは言えません。

これから遺産分割協議を始めようとする際は、専門家と相談しながら、下記2点に留意して対応方法を見定める必要があります。

相続税の増加に繋がる可能性がある

寄与分は相続税の課税対象です。すでに決まりつつある相続分に寄与分を加味する場合には、相続税を再計算しなければなりません。

問題はそれだけではありません。各相続分が変更されることで一部の税制優遇が適用できなくなり、ますます相続税負担が重くなる可能性が懸念されます。

いずれにしても、特定の関係にある人が承継した場合の税制(配偶者控除や事業承継税制など)を考慮しながら、相続人全体の利益を十分検討しなければなりません。

遺留分は考慮する必要あり

寄与分主張にあたっては、配偶者・子・直系尊属に認められている最低限の相続分(=遺留分)を考慮しなければならないとされています※。

したがって、どれほど貢献が大きくても、無制限に主張が認められるわけではありません。主張する金額がどのくらいであれば妥当なのか、弁護士と慎重に決めなければならないでしょう。

※東京高裁平成3年12月24日判決

まとめ

被相続人の生前において「特別の寄与」があった相続人は、遺産分割協議において寄与分を主張することができます。法改正により相続権のない親族にも寄与分主張が認められるようになり、より遺産相続の公平化を図りやすい制度となりました。

これから寄与分を主張しようとする場合は「かえって税負担が増えることにならないか」「適正な金額はどのくらいか」について慎重に検討する必要があるでしょう。

個別のケースで何が最適か判断するために、弁護士・税理士等に相談することをおすすめします。

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