配当所得の所得税!

1. 配当所得とは

最もメジャーな資産運用に「株式投資」が挙げられ、購入した株式を保有して配当金を得る「インカムゲイン」、売却することによって譲渡金を得る「キャピタルゲイン」があります。配当所得と譲渡所得はどちらも「所得」に当たり、所得税や住民税の課税対象となりますが課税方法が異なります。

今回はインカムゲインである配当所得について説明していきましょう。根拠となる所得税法 第24条についてはページ末部に記載しておきます。

株式の配当金や投資信託の収益分配金で得ることができ、株式を購入することは企業へ投資することです。企業としては投資してもらった見返りを、稼いだ利益の中から定期的に投資家に配り、これを配当金と呼びます。

配当所得は資産性の所得であり、利子所得や不動産所得も同義と言えます。

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2. 配当所得における課税の種類

配当所得を確定申告する場合、下記2種類の中から自由に選択でき、その確定申告の方法によって課税の仕組みが異なります。

①総合課税

配当所得を他の所得と合算して税額を計算する方法です。

所得には給与所得や譲渡所得、事業所得等様々な種類があり、法人または個人が年間で得た所得を全て合算し、所得税や住民税を計算します。

事業所得を500万円、配当所得を50万円、譲渡所得を50万円稼いだ場合、500+10+90=600万円が年間の総所得として課税され、「配当控除」の適用があります

②申告分離課税

配当所得を他の所得と分離して、個別に税額を計算する方法です。

一般口座や源泉徴収されない特定口座を利用して株式投資を行う場合は、原則申告分離課税を選択します。「配当控除」の適用はありませんが、譲渡損失との損益通算が可能(個人の大口株主を除く)です。

非上場株式の配当については、申告分離課税制度がないため、混同しないよう注意が必要です。非上場株式でも株式譲渡による譲渡所得に対しては、申告分離課税が適用されます。

一方、自動的に課税(源泉徴収)され、手元に入金される「申告不要制度」があります。よって、所得に関する課税がされていますので、自身で確定申告をする必要がないということです。源泉徴収ありの特定口座を利用して上場株式売買を行う場合には、確定申告が不要となり、個別に税金の計算をしなくて済むので非常にメリットが大きいと言えます。

3. 配当所得における所得税と住民税

所得税とは、1年間で稼いだ所得に対して課税され、国に納税する税金です。住民税とは、「市町村民税」と「道府県民税」で構成され、その年の1月1日時点であなたが住んでいる地域に納付する地方税です。

配当所得に関しては、所得税と住民税で別の確定申告方法を自由に選択できます。所得税は申告分離課税、住民税は申告不要制度ということも可能であり、自身の税負担を考慮できる申告方法を選択できるということです。

よって、「総合課税」と「申告分離課税または申告不要制度」を比べると、住民税率は「申告分離課税または申告不要制度」の方が低くなります。

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4. 配当所得の税率

選択する確定申告方法によって配当所得の税率は異なります。

①総合課税

所得税率は累進課税によって5.105~45.945%と所得が多くなるにつれて税率も高く、住民税率は所得に関係なく一律10%です。

配当所得以外の所得が多い方、配当金が多い方は総合課税では圧倒的に不利と言えます。

②申告分離課税

所得税は15.315%、住民税は5%、配当所得に関係なく一律の税率が適用されます。

申告不要制度を利用した場合も、申告分離課税と同一の税率が適用されます。

なお、所得税の「15.315%」とは復興特別所得税(2037年まで)を含んでいます。

5. 配当所得の分類

配当の種類により選択可能な確定申告の方法が異なるため、「上場株式の配当」と「上場株式以外の配当(非上場株式)」に分類する必要があります。

上場株式の配当では全ての申告方法から選択できますが、上場株式以外(非上場株式)の配当では「総合課税」または「申告不要制度」しか選択できません

上場株式以外(非上場株式)の配当の内、国内の法人から受ける配当が10万円以下であれば確定申告せずに所得税を源泉徴収で済ますことが可能です。その場合、住民税も確定申告不要となります。

6. 配当所得の控除

総合課税を選択した場合にのみ、株式(非上場株式を含む)や投資信託によって得た配当所得を一定金額について控除できます。一般的には合算した所得が約695万円以下であれば総合課税の方が有利です。

「発行株式の総数等の3%以上に相当する数または金額の株式を有する個人」は大口株主と呼び、税金面での軽減・控除はほとんどありません。

まとめ

配当所得に関する要点のみをわかり易く説明しました。

現在の事業所得や給与所得が多い場合、配当所得や譲渡所得が多い場合は、税金面で損をしないためにも専門家へ相談することも視野に入れましょう。

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所得税法 第二十四条 【配当所得】

今回関連する法律的な根拠は所得税法 第24条に記されています。

一項 配当所得とは、法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。)から受ける剰余金の配当(株式又は出資(公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益権及び社債的受益権を含む。次条において同じ。)に係るものに限るものとし、資本剰余金の額の減少に伴うもの及び分割型分割(同法第二条第十二号の九 に規定する分割型分割をいい、法人課税信託に係る信託の分割を含む。以下この項及び次条において同じ。)によるものを除く。)、利益の配当(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項 (中間配当)に規定する金銭の分配を含むものとし、分割型分割によるものを除く。)、剰余金の分配(出資に係るものに限る。)、基金利息(保険業法第五十五条第一項 (基金利息の支払等の制限)に規定する基金利息をいう。)並びに投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)及び特定受益証券発行信託の収益の分配(法人税法第二条第十二号の十五 に規定する適格現物分配に係るものを除く。以下この条において「配当等」という。)に係る所得をいう。

二項 配当所得の金額は、その年中の配当等の収入金額とする。ただし、株式その他配当所得を生ずべき元本を取得するために要した負債の利子(事業所得又は雑所得の基因となつた有価証券を取得するために要した負債の利子を除く。以下この項において同じ。)でその年中に支払うものがある場合は、当該収入金額から、その支払う負債の利子の額のうちその年においてその元本を有していた期間に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額を控除した金額とする。

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