M&A価格(時価)と相続税評価額は違う!!

M&A価格(時価)と相続税評価額は違う!!

M&A会社売却におけるM&A価格(時価)(株式譲渡価格や事業譲渡価格)と、相続税の計算における相続税評価額とは、全く違った概念です。

M&A価格(時価)においても相続税評価額においても、純資産価額方式、類似業種比準法式、配当還元法方式などの株価算定方式を単独または併用するのですが、その内容が全く異なっています。

相続税評価額は、財産評価基本通達に基づいて、適切な課税を行うために決定する株価評価額であるため、M&A価格(時価)とは全く異なってくるのです。すなわち、相続税評価額としては、財産評価基本通達上、小会社の支配株主の場合は、①類似業種比準方式で算出された株価と②純資産価額方式で算出された株価を「50:50」の割合で評価します。相続税評価額としての、純資産価額方式というのは、簿価純資産価格方式でも時価純資産価格方式でもなく、その中間的な修正簿価純資産価格方式とでもいうべきものです。

M&A会社売却におけるM&A価格(時価)(株式譲渡価格や事業譲渡価格)の決定のために行う企業価値評価に際しては、財産評価基本通達のように、どのような場合、このようにするというように形式的に決定するものでなく、実質的に考えるべきものです。①類似業種比準方式や、②純資産価格方式のみならず、③収益還元方式(DCF法)によって求められます。②純資産価格方式は、勿論、時価純資産価格方式です。また、③収益還元方式(DCF法)は対象会社の今後の事業計画に基づきシミュレーションを行い対象会社の企業価値を算定する点で、対象会社の将来の価値を表しているということができ、最も適切な企業価値評価方法です。

また、財産評価基本通達では、小会社の支配株主の場合は、①類似業種比準方式で算出された株価と②純資産価額方式で算出された株価を「半々」の割合で評価するのですが、「半々」にするという理論的意味は全く不明です。ここも課税の明確化のため割りきって設定されたものと言わざるをえません。

そもそも、M&Aではそのように異なった算定方法に基づき企業価値評価の結果を単純平均するなどの割り切った方法は使用しません。

例えば、今後、対象会社の事業を推進し収益を上げようとする買主候補企業であれば、③収益還元方式(DCF法)によって求められた企業価値に基づいて、M&A価格(時価)を決定すればよいのです。③収益還元方式(DCF法)は、対象会社の将来の収益の現在価値を表しているからです。また、対象会社の今後にはあまり期待をせずに、M&Aをしたら解体して清算してしまおうと考えているのであれば、②純資産価額方式によって求められた企業価値に基づいて、M&A価格(時価)を決定すればよいのです。対象会社を解体すれば、純資産価格が手に入るからです。対象会社をM&Aしたら様子を見て第三者に転売してしまおうとするのであれば、①類似業種比準方式によって求められた企業価値に基づいて、M&A価格(時価)を決定すればよいのです。対象会社は、M&Aした後、類似企業と同じような価格で第三者に転売できるだろうからです。

では、対象会社の業績が好調なら、当面の将来にわたって収益を得つつ、業績が伸びなければ、清算するなり第三者に転売するなりすればよいと考えている、一般的な投資家の場合はどうでしょうか。③収益還元方式(DCF法)でもよいし、②純資産価額方式でもよいし、①類似業種比準方式でもよいということとなりますが、このうちの最も高い価格でよいということとなります。

通常、このうち最も高い価格は、③収益還元方式(DCF法)となります。ですので、M&A価格(時価)は、多くの場合、③収益還元方式(DCF法)に基づいて算定され、③収益還元方式(DCF法)に基づいた価格が、②純資産価額方式で算定された価格や①類似業種比準方式で算定された価格よりも低い場合は、この価格になったりするのです。M&Aした直後でも、本来なら、②純資産価額方式で算定された価格で会社清算したり、①類似業種比準方式で算定された価格で第三者に売却できたりするはずだからです。

このように、M&A価格(時価)と相続税評価額は全く違いますので、M&A仲介会社や買主候補企業から、相続税評価額で会社を売って欲しい、と言われたら、少し冷静になって、公認会計士または税理士にM&Aで使用される方法により企業価値評価をやり直してもらうことが必要です。

特に、そのようなM&A仲介会社や買主候補企業は、相続税評価額は国が定めた株価であるから信頼できるとか、法律ではこうなっているとか、いろいろ言ってきますが、信頼のできる話ではありません。

ここからもやはり、M&Aでは企業価値評価が重要だ!ということとなるのです。

 

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