M&A買収した対象会社の財務状況について虚偽の申告をされ実質的に破たん状態であった場合

M&A買収した対象会社の財務状況について虚偽の申告をされ実質的に破たん状態であった場合

M&Aで売主から会社の株式を購入したところ、虚偽の申告をされ、実際には、相手方の会社が破たん状態であった場合に、売主に対して、損害賠償を請求できるでしょうか。

大阪地方裁判所平成4年9月17日判決は、虚偽の申告がされた事案ではありませんが、株式を購入したところ、実質的に相手方の会社が破たん状態となっており、まもなく破産をしたという事例について、売主である代表者らに対して損害賠償を請求した事案について判断がされたものです。

この事案は、関西で海上運送業を営む原告が関東進出のため、横浜の同業者である対象会社の発行済み株式総数の約86パーセントを取得することとし、対象会社の代表者らから株式を買い受けたところ、対象会社はまもなく倒産したという事案です。

判決では、被告代表者は、株式の売買に際し、対象会社の経理及び営業の内容を記載した貸借対照表兼実資力算定表を示して、株式の価格決定に影響するような主要部分につき説明し、原告は、対象会社の有する事業免許等に着目して独自の経営判断に基づき売買価格を決定したものであること、対象会社の倒産は、もともと経営状態が悪化していたことに加え、株式売買契約後に原告が売買契約を撤回して株式の買戻しを要求する決議をしたことが公になり、信用不安を招いたことが直接の原因であることを指摘し、対象会社代表者らの行為は詐欺に該当せず不法行為を構成しないという判断をしました。

そして、原告が、株式の価値(実質的には対象会社の純資産価値の実態)を正確に開示説明する信義則上の義務があったと主張したのに対して、裁判所は、「本件売買契約は、実質的には被告に対する原告の資本参加を企図して行われたもので、当時それぞれ対象会社と原告の代表者であった被告Y1とAとの間でその交渉が行われたものであるが、右は対等な企業間における交渉であって、原告がかかる資本参加を行うか否かについては原告において完全に選択の自由を有していたものである。してみれば、被告Y1において、対象会社の資産状況につき殊更に虚偽の事実を告げてはならないという意味での消極的な義務を負うことは格別、原告の主張するような積極的な開示説明義務を負うものと認めることはできない」と判断をしています(なお、個人名等については置き換えをしています)。

したがって、ことさらに虚偽の事実を告げてはならないという義務を負っていますが、売主において不利益な事実等についても正確に開示しなければならない義務があるとまではいえないと判断をしていることになります。

財務状況についてことさらに相手方から虚偽の事実を申告され、実質的に対象会社が破綻状態であることが判明した場合には、損害賠償請求ができるということにはなりますが、売主が全てを説明する必要はないというのが裁判所の判断ですので、買主候補企業としては、やはり、M&Aにおいては、しっかり、デューデリジェンス(DD)を行っておかなければならないということとなるものと思われます。

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