EBITDAとは?計算方法や営業利益との違い、活用するメリットなどをわかりやすく解説

企業価値評価を行う際に用いられる機会が多い「EBITDA」。日本でも2000年頃より広く活用されるようになり、現在では企業価値評価において重要な指標のひとつです。M&Aの際に用いられるケースも増えており、M&A価格交渉の参考として活用されることもあります。EBITDAには複数のメリットが存在する一方で、いくつかのデメリットと注意点があります。企業価値評価をより的確に行うためにも、EBITDAの重要性と活用方法、営業利益との違いなどについて、理解を深めておきましょう。

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EBITDAとは?

「EBITDA」とは、”Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization”の略で、日本語での読み方は「イービットディーエー、またはイビットダー」と呼ばれており、財務分析における指標のひとつです。主に企業の経営分析や評価を行う際に用いられるもので、決算書に記載される会計上の指標とは異なります。

企業価値評価を行うときには、企業の収益力(事業が生み出す現預金(キャッシュ))を測る必要があります。

企業の収益力(事業が生み出す現預金(キャッシュ))を測る指標としては、利息などの金融費用は各社の金融政策により変動することや、税金などの公租公課は各社の背策に応じで変動し、企業の収益力とは関係がないこと、また、減価償却費や償却費用はキャッシュの流出がない費用であり、これも企業の収益力とは関係がありません。

「EBITDA」では、決算書の純利益を基準に、利息などの金融費用や税金などの公租公課、また、減価償却費や償却費用の影響を取り除き、純粋に企業の収益力を反映した指標となるため、他の企業と同じ条件で収益力の比較をすることができ、より正確な収益力の分析が可能となります。

なおEBITDAとは、下記の頭文字をとったものです。

E…純利益

B…(前の)

I…利息

T…税金

D…有形固定資産の減価償却

A…無形資産の減価償却

EBITDAには決まった呼び方は存在しておらず、一般には「イービット・ディー・エー」「イービット・ダー」などと呼ばれています。

企業価値評価の重要性

企業価値評価とは、対象となる企業の価値を算定することです。事業を展開するにあたり、株式の発行や買取、M&Aなどが必要となるとき、企業価値評価を行うことによって株式の価格やM&Aの価格を決定することとなります。

また、近年では、グローバル化が進んだことでビジネスも多様化しており、生き残りをかけて自社の価値を示す必要性が出てきました。加えて、M&Aが実施されるケースも増加の傾向にあります。

EBITDAの重要性

企業価値評価を行う方法には、さまざまな手法があります。

異なる状況下においては、会計上の数値のみでは、企業における収益力の正確な比較はできません。収益力の比較を正確に行うためには、評価基準を揃える必要があります。企業価値評価の際、評価基準を揃えるためにEBITDAが用いられます。

EBITDAと営業利益との違い

EBITDAと営業利益との違いについてですが、営業利益とは、主な事業で得た利益のことをいいます。営業利益の算出方法は、以下の通りです。

【営業利益=売上高-売上原価-一般管理費および販売費】

一般管理費には企業における業務全般の管理にかかる費用となり、減価償却費などが含まれています。そもそも減価償却費は、建物や設備について発生するものであり、キャッシュの流出を伴わないため収益力に影響を与えませんが、会計上は利益を減らす要因です。

EBITDAでは、減価償却費の影響を排除しています。そのため、企業の収益力(事業が生み出す現預金(キャッシュ))をより正確に把握できます。

EBITDAと経常利益との違い

経常利益とは、企業全体で得た利益のことです。営業利益と異なり、主な事業以外の利益や費用を加えて計算を行います。経常利益の算出方法は、以下の通りです。

【経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用】

営業外収益には、預貯金を預けた際の受取利息、不動産の家賃収入などが含まれます。また営業外費用とは、借入金の支払利息などのことです。経常利益にはこれらの項目が含まれているため、「本業でどのくらい稼いでいるのか」は分かりません。

EBITDAでは、営業外収益と営業外費用を除いて計算を行います。この営業外収益と営業外費用を除くことによって、企業の収益力(事業が生み出す現預金(キャッシュ))がより正確に計算することができます。

EBITDAと税引前当期利益との違い

税引前当期純利益とは、法人税などの税金が課せられる前の利益のことです。税引前当期純利益の計算方法は、以下の通りです。

【税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失】

特別利益とは、所有する土地の売却で発生した収益などを指し、また、災害で被った損失などは特別損失として扱われます。例えば、災害で店舗などに大きな被害が出れば、その年の税引前当期純利益は大きく下がるでしょう。しかし、これらの項目は突発的に発生したものであり、継続的に発生するわけではありません。税引前当期純利益では、災害がなければ得られたであろう利益が見えなくなってしまいます。

EBITDAでは、特別利益や特別損失を除いて計算を行います。この特別利益と特別損失を除くことによって、企業の収益力(事業が生み出す現預金(キャッシュ))がより正確に計算することができます。

EBITDAとフリーキャッシュフロー(FCF)

フリーキャッシュフロー(FCF)とは、営業活動と投資活動による現金の流れを合計したものです。事業を行ううえでは、さまざまな収益と支出が発生します。フリーキャッシュフロー(FCF)では、企業における全ての収益から、全ての支出を差し引いたあとに残る現金までを把握します。差し引いたあとに残る現金とは、分かりやすく言い換えると「企業が自由に使える資金」ということです。このフリーキャッシュフロー(FCF)が多ければ多いほど企業価値が大きいということとなります。

【フリーキャッシュフロー算出方法】

◆他のCF(キャッシュフロー)を用いた計算方法

【フリーキャッシュフロー=営業活動CF+投資活動CF】

この計算方法は、主に現在の経営状況を把握する際に使用します。基本的に投資CFはマイナスなことが多いため、営業活動CFのプラスが投資CFのマイナスを上回っていれば、適切な経営が行われていると推考できます。

この計算方法は、主に現在の経営状況を把握する際に使用します。例えば営業活動CFが投資活動CFを上回った場合、投資による支出を営業の収益でカバーできるため、正常に機能しているといえます。一方でキャッシュフロー計算書を作成していない中小企業には、この手法で算出することはできません。

◆税引後営業利益を用いた計算方法

【フリーキャッシュフロー=税引後営業利益(営業利益×(1-実効税率))+減価償却費-設備投資-運転資金増減額】

損益計算書や貸借対照表から、資金の流れを推測して導き出す計算方法です。この手法を用いれば、上場していない中小企業のフリーキャッシュフローを算出することが可能です。この計算方法は、会計上の損益をベースに計算を行います。そのため会計上でキャッシュフローを伴わないものがある際には、正確な値を算出できません。

◆EBITを用いた計算方法

【フリーキャッシュフロー=EBIT×(1-実効税率)+減価償却費-設備投資-運転資本金額】

EBITは減価償却費を含めないことから、EBITDAの途中経過概念のようなものです。しかし実務上の話でいえば、減価償却費が企業価値評価に影響を与えるケースは限られており、EBITを用いた計算方法を利用するケースも少なくありません。

とはいえ自由に使えるキャッシュは企業価値価値を表す指標でもあるため、フリーキャッシュフロー(FCF)を計算するときは、EBITDAを用いた方が企業価値を正確に算出できます。

◆EBITDAを用いた計算方法

【フリーキャッシュフロー=EBITDA-設備投資費-運転資金増加額】

EBITDAを用いた算出方法は、余分な項目を除いた値を算出できるため、より正確に近い形でフリーキャッシュフロー(FCF)を算出できます。そのためフリーキャッシュフロー(FCF)を算出する際は、EBITDAを用いた算出方法が用いられるケースが多くなっています。このようなことからフリーキャッシュフローを算出するときは、EBITDAを用いた計算方法が最も適切な手法だといえるでしょう。

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EBITDAの計算方法

EBITDAを求めるときの計算方法は、複数存在しています。

営業利益を用いた計算方法

まずは営業利益を用いた計算方法です。簡易的に値を求める際に、使用されています。EBITDAを求めるときの計算式は、以下の通りです。

【EBITDA=営業利益+減価償却費】

用いる項目が2つと単純で複雑な計算は必要ないため、容易にEBITDAを求められます。計算が単純な分、企業価値評価や比較の際にミスが少なく、実務で活用されることもよくあります。

経常利益を用いた計算方法

経常利益を用いた計算方法も、EBITDAを簡易的に求めたいときによく活用されるものです。EBITDAを求めるときの計算式は、以下のようになります。

【EBITDA=経常利益+(受取利息-支払利息)+減価償却費】

経常利益では減価償却費に加え、利息が加味されています。利息を計算から除外した企業評価を行いたい場合に、よく用いられる計算方法です。

税引前当期純利益を用いた計算方法

EBITDAにおける頭文字の定義に沿った項目を加味した計算方法です。原則的な計算方法となり、税金が課せられる前の利益に対して、利息と減価償却費を加味して計算を行います。EBITDAを求めるときの計算式は、以下の通りです。

【EBITDA=税引前当期純利益+(受取利息-支払利息)+減価償却費】

EBITDAを活用するメリット

EBITDAを有効に使うためには、はじめに活用するメリットを理解しておく必要があります。代表的なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

減価償却の影響を除外した業績で企業を比較できる

減価償却は、固定資産や備品など、設備投資の購入価格を少しずつ計上していくものです。減価償却には大きく定率法と定額法があり、計算方法によって計上する金額が異なります。定額法の計算では毎年同じ金額を計上していくのに対し、定率法の場合は計上する金額が減っていくことが特徴です。営業利益にも影響を及ぼすため、減価償却の計算方法が異なる企業同士を正確に比較することはできないでしょう。

また減価償却費が高かったとしても、経営状態が悪いとは限りません。当年の利益は赤字であったとしても、収益力は良好なケースもよくあります。EBITDAを用いれば減価償却の影響を除外できるため、計算方法が異なる企業同士の比較がしやすくなるでしょう。

支払利息の影響を除外した業績での比較ができる

事業においては、資金調達が必要となるケースもあります。特に設立初期などには、資金調達を行う企業も多いでしょう。資金調達で借り入れを行った場合には、必ず支払利息が発生します。支払利息は費用として計上されるため、会計上では利益が減ってしまうことになります。しかし、支払利息が多いからといって、収益力が低い企業とはいえません。分かりやすいように、下記の例でみてみましょう。

例)

A社…100万円(売上高)-15万円(支払利息15%)=85万円(経常利益)

B社…90万円(売上高)-0円(支払利息なし)=90万円(経常利益)

上記の例では、一見するとB社が利益を残しているように見えますが、実際にはA社の方が収益力の高い企業であるといえます。

EBITDAでは、支払利息の影響を除外した企業価値評価が可能です。

グローバル企業の比較が可能

企業が事業を行うときは、法人税などの税金が課せられます。法人税は、利益を圧迫する要素のひとつでもあるため、企業価値評価の際にも影響を与えるものです。法人税は、国ごとに税率が異なっており、タックスヘイブンと呼ばれる地域では、低水準の税率で運用されています。また会計基準に関しても、国によって異なります。

一方、近年では市場のグローバル化により、海外に進出する企業も増加しているのが現状です。海外に拠点を置く企業同士を比較するときは、税率や会計基準が異なるため、単純に比較することはできません。このようなときにEBITDAを用いれば、地域の税金や会計基準の影響を除外して考えられます。比較する条件を揃えることができるため、グローバル企業同士の場合でも比較がしやすくなります。

M&Aを行う際の「指標」として活用できる

EBITDAは、M&Aが実施されるときにもよく用いられるものです。日本では企業の後継者不足が問題となっており、解決策のひとつとしてM&Aが実施されるケースが増えています。M&Aを実施する際には、買収される企業の現状と将来性について、事前に調査を行うことが一般的です。

EBITDAは、企業の稼ぐ力(収益力)を表す指標となるものです。買い手企業からすると、相手企業の将来性を判断する材料として参考にできます。一方の売り手企業からすれば、買い手企業へのアピールポイントとして活用できるでしょう。

投資家が投資先の選定を行うときの参考になる

企業にとって投資家は、資金調達や事業拡大を図るときのパートナーともいえる存在です。投資家には個人投資家をはじめとするさまざまな種類があり、近年では成長が期待される創立初期の企業に投資する「エンジェル投資家」の出資も伸びています。

投資家は出資をするとき、企業に関するさまざまなデータを参考にしています。特に中長期の投資を行うときは、企業の将来性に関する情報収集を行うケースがほとんどです。このようなときに自社のEBITDAを公開すれば、投資家が選定を行うときの参考になるでしょう。自社の魅力を伝えることができれば、多額の投資にも期待できます。

EBITDAのデメリットと注意点

EBITDAには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点があります。EBITDAのデメリットと注意点としては、以下のようなものが挙げられます。

計算方法が統一されていない

先述したようにEBITDAには、複数の計算方法が存在しています。異なる計算方法でEBITDAを求めた場合、評価にずれが生じるため、企業同士の適切な比較ができません。より正確に比較を行うには、同じ計算方法で企業価値評価を行うことが大切です。

実際、インターネットでは、EBITDAのランキングを掲載しているサイトが多数存在しています。しかし検索上位記事を見比べてみても、掲載されているランキングの順位は異なります。例えばある記事では10位以内にランクインしていた企業が、他の記事ではランキングにすら入っていないケースも少なくありません。

そのためすでに算出されたEBITDAを参考にするときは、計算方法の違いによるずれに留意すべきでしょう。

過剰な設備投資・M&Aによる損失などをマイナス要因として認識できない

企業価値評価を行うときは収益力も大事ですが、現状を把握することも大切です。いくら収益力が高くてもマイナス要因が多ければ、倒産のリスクが少ないとはいえないでしょう。EBITDAは設備投資やM&Aによる損失などを除外して計算するため、マイナス要因を正確に把握できません。そのため、過剰な設備投資などを見逃してしまう可能性があります。実際、過去にはこの欠点を不正に利用した不祥事も起きています。

これはアメリカの通信事業者「Worldcom」が不正を働いた事例です。同社は販売費及び一般管理費として計上すべき科目を、設備投資として計上。結果的にはEBITDAが水増しされた形となり、過大な評価を受けていました。しかし経営実態が明らかになると、株価は低下の一途をたどり、2002年に経営破たんしています。このような事例も発生していることから、企業価値評価を行うときは設備投資などについても、別の指標を用いて確認しておくことが大切です。

企業の正確なキャッシュフローを把握するのが困難

事業を展開するうえでは、資金力も重要です。使える資金が少なければ、事業の拡大や継続は困難でしょう。実際には儲けているように見えても、キャッシュフローがうまく回っていない企業も少なくありません。このような事態を避けるには、企業価値評価を行うときに、キャッシュフローについても正確に把握しておく必要があります。

しかし、EBITDAは税金や支払利息を除外するため、借入の実態や資金の残高などは正確に把握できません。企業価値評価を行うときはEBITDAを参考にしつつ、他の財務資料も確認するようにしましょう。

企業価値評価を行うときは役員報酬・保険料にも留意が必要

中小企業では経営者の意向によって役員報酬を増減させたり、保険料を計上したりするケースがあります。役員報酬などを増額させると利益が減ってしまうため、収益力が低下したと誤解されることがあります。EBITDAも小さくなる場合がありますが、単純に「本業の収益力が衰えた」とはいえません。役員報酬などを増額したために利益が減ったとしても、安定した収益力をもつ企業も多数存在します。

特にM&Aを検討する際は、収益力の高い企業を買収するチャンスを逃さないよう、役員報酬や保険料にも着目するようにしましょう。なお、反対に役員報酬を減らすことで、収益力の低下を紛らわせようとするケースもあります。あたかも利益が増えたように見えてしまうため、欺かれることがないよう注意が必要です。

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EBITDAを用いた企業価値評価方法

企業価値評価の手法には、「コストアプローチ」と「インカムアプローチ」、「マーケットアプローチ」の3種類が存在しています。

コストアプローチとは、純資産に着目した企業の評価方法です。「時価純資産価額法」などいくつかの算出方法が存在しており、賃借対照表に記載される純資産をベースに評価を行います。この評価方法は、純資産をベースとしているため、公平性の高い企業価値評価が可能です。ただし、過去の実績での評価となることから、企業の将来性を評価するときには向いていません。

インカムアプローチは、今後得られる収益、およびフリーキャッシュフロー(FCF)をもとに企業価値評価を行う手法です。将来的に得られるであろう収益に着目し、リスクなどを考慮した割引率を差し引くことで事業価値を導き出します。この手法は企業の将来性に着目しているため、M&Aでもよく利用されますが、将来の収益を予測する点で不確定要素が多いことに注意が必要です。

マーケットアプローチとは、類似企業や市場の株価に着目した企業の評価方法です。市場の株価などをもとに企業価値評価を行うため、リアルタイムで企業の比較ができます。ただし株価が一時的に大きく変動した際などには、過大・過小評価をしてしまう可能性があるため注意しておきましょう。

なお、マーケットアプローチでは、EBITDAを用いた評価方法が存在します。EBITDAの特性を活かすことで、条件を揃えた企業価値評価が可能です。EBITDAを用いた評価方法には、以下のようなものが挙げられます。

EBITDAマージン

EBITDAマージンとは、企業の収益性を示した指標のことです。売上に対して、どれだけのキャッシュ・フローを生み出せたかを表しています。このEBITDAマージンの数値が高いほど、収益性が高いといえます。EBITDAマージンを求めるときの計算方法は、以下の通りです。

【EBITDAマージン=EBITDA÷売上高】

EBITDAマージンは、キャッシュベースで収益性を分析する際によく用いられる指標です。企業価値評価では、経年比較で収益性の評価を行うことがあります。経年比較とは、企業の連続した2~3期を比較し、業績の良し悪しを判断する方法です。定期的な設備投資が必要となる企業では、投資した金額によって毎年の減価償却費が変動するため、適切な経年比較ができません。EBITDAマージンを活用すると、減価償却費の影響を除けるため、キャッシュベースでの収益性を適切に分析できます。

EV/EBITDA倍率

EV/EBITDA倍率とは、企業価値がEBITDAの何倍にあたるかを示したものです。M&Aで要したコストの回収にかかる期間を分析するもので、「簡易買収倍率」とも呼ばれています。倍率の相場は6~7倍ほどとされており、これより低ければ割安、高ければ割高と判断されることがあります。EV/EBITDA倍率を求めるときの計算式は、以下の通りです。

【EV/EBITDA倍率=EV(株式時価総額+有利子負債-現預金)÷EBITDA】

EV/EBITDA倍率はM&Aの際に用いられることが多く、倍率の低い企業を選ぶことで、M&Aにおけるリスクを減らせるとされています。また、投資家のなかには、投資先を選ぶときの参考として活用する方もいます。ちなみに、成長性が見込まれる新興国の企業などでは、10倍ほどの倍率になることもあります。

EBITDA倍率

EBITDA倍率とは、EV/EBITDA倍率と同様に、M&Aなどで要したコストの回収にかかる期間を分析するものです。EV/EBITDA倍率は「企業価値」から回収目安を算出するのに対し、EBITDA倍率は「時価総額」から回収の期間を導き出します。EBITDA倍率を求めるときの計算式は、以下の通りです。

【EBITDA倍率=時価総額÷EBITDA】

企業の時価総額がEBITDAの何倍にあたるかを算出することで、どのくらいの期間で買収資金の回収を行うことができるかを算出できます。EBITDA倍率は、M&Aだけでなく投資などの判断基準としても、よく用いられる指標です。倍率が低いほど、投資した資金が短期間で回収できるとされています。

DEBT/EBITDA倍率(EBITDA有利子負債倍率)

DEBT/EBITDA倍率とは、有利子負債の返済能力を示す指標のことです。企業における有利子負債について、EBITDA何年分で返済できるかを示しています。有利子負債とは、金融機関からの借入のように、利息をつけて返済する予定の負債です。代表的なものとしては、借入金や社債などが挙げられます。DEBT/EBITDA倍率を求めるときの計算式は、以下の通りです。

【DEBT/EBITDA倍率=有利子負債(借入金-現預金)÷EBITDA】

DEBT/EBITDA倍率を求めると、何年で有利子負債が返済できるかを分析でき、倍率が低いほど安定した経営を行っているといえます。ただし、DEBT/EBITDA倍率は、業種によって差が出やすいことが特徴です。

例えば、不動産業を営む場合、土地や建物を購入するために、金融機関から借入を行うケースは多いでしょう。多額の借入が必要となることも多いため、DEBT/EBITDA倍率が高くなりがちです。だからといって、必ずしも経営が安定していないとはいえません。DEBT/EBITDA倍率を活用するときは、上記のような業種の特色を考慮する必要があります。

まとめ

企業価値評価を行うにあたり、EBITDAは有効な指標のひとつです。主な事業とは関係のない項目を除いて企業価値評価が行えるため、企業の収益力を見極められます。企業ごとの収益力の比較もしやすくなることから、世界中で活用されていますが、分析できない項目もあります。企業価値評価を行うときは、ひとつの指標のみを参考にするのではなく、できる限り多くの情報を参考に分析を行いましょう。

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