民事再生手続きについては、まずは、会社の財産状態等について確認し、会社をどう処理すべきか、事業を継続するべきか否か、民事再生をすることが最善であるのか、民事再生にすべきなのか、民事再生にすることができるのかにつき、徹底して、諸般の事情を考慮して、検討することが重要です。
民事再生手続きの流れ
民事再生手続きをすべきであるということとなりましたら、民事再生手続きを行うための委任契約を結ばせていただくこととなります。
なお、民事再生手続きは、事業の継続を前提とする再建型の手続きですが、民事再生手続きの申し立てから手続き終了まで、手続き期間として6ヵ月程度の期間は要することになるため、事業の資金繰りを検討し、その間、事業を継続することが可能であることが前提となります。
民事再生手続きでは、事業を継続する方針となりますので、債権者に対して通知をせずに申立てを行います。
委任契約が結ばれた後、代理人においては申立書類を作成していくこととなります。
特に債権者一覧や財産状況については正確に記載する必要がありますので、適宜資料の提出や追加、調査等をお願いすることがあります。
申立書類が揃いましたら、裁判所に対し民事再生の申立てを行うこととなります。
手続きをスムーズに進めるため、提出書類については綿密に打ち合わせを行い、細かくチェックをして、申立てをする必要があります。
民事再生の申立てをし、裁判所に受理がされると、裁判所から弁済禁止などの保全処分の発令がされ、債権者は会社に対して債権の取り立てを行うことができなくなります。
また、裁判所から監督命令が出され、監督委員が選任されます(監督委員は裁判所に代わって民事再生手続き監督する弁護士であり、監督委員には裁判所に監督委員として登録している弁護士から利害関係を有しない者が選任されることになります)。
民事再生の申立て以後は、監督委員が民事再生手続きの進行を管理、監督をすることとなり、会社は、必要に応じて裁判所や監督委員からの許可を得て法律行為を行うこととなります。
会社としては、監督委員からの問い合わせや指示があった事項については、速やかに対応をすることが必要です。
民事再生手続きの申立てをし、再生開始原因の疎明をすると、裁判所が民事再生手続きの開始決定をすることになりますが(概ね1週間程度)、会社では、その間に、債権者説明会を開き、債権者に対し、民事再生申立てに至った経緯を説明するとともに、特に債権者にとって関心の高い事項である弁済計画の方針などについて説明をし、今後、債権者から賛同を得られるようにする必要があります。
裁判所から民事再生手続きを開始するとの決定がされると、会社の財産調査が行われることになりますので、会社は財産評定を行い、他方、債権者からは債権の届け出がなされ、会社の債権額が確定し、財産調査が完了することになります。
財産調査の結果を受けて、会社では、どれくらいの債務をどれくらいの期間をかけて支払うかを検討し、債務の弁済の計画書である再生計画案を裁判所に提出します(正式提出の前に監督委員に原案を提出し、打ち合わせをすることが多いでしょう)。
裁判所に提出した再生計画案に対し、債権者が同意するかどうかを決議するために債権者集会が開かれます。
再生計画案には、①議決権者の過半数の同意と②議決権者の議決権総額の2分の1以上の同意が必要ですから、大口の債権者がいる場合には事前に同意を取り付けられるよう交渉することが重要です。
債権者集会において再生計画案が可決されると、裁判所は再生計画の不認可事由がない限り、再生計画を認可します。
裁判所において再生計画が認可され、これが確定した後、会社の過剰な債務は削減されます。
会社が再生計画に従い、残債務を順調に返済し、再生計画の認可確定の日から3年または再生計画の遂行完了のいずれか短い期間の経過時に終結決定が裁判所からされ、民事再生手続きは終了します。
相談
委任契約締結
(債権者に対し受任通知発送)
申立書類の作成
裁判所に民事再生手続きの申立て
裁判所による保全処分の発令
裁判所による監督委員の選任
債権者説明会
裁判所による民事再生手続開始決定
財産調査等
財産評定
再生計画案の提出
債権者集会
債権者集会による再生計画案の可決
裁判所による再生計画の認可決定
再生計画の認可決定の確定
再生債権の弁済開始
確定日から3年または再生計画の遂行完了のいずれか短い期間の経過時に終結決定
すなわち、民事再生手続きの特徴及び流れを踏まえ、どの手続きが最善か、これらの諸般の事情を考慮して、検討することが重要です。