アソシエイト弁護士とは?パートナー弁護士との違いや法律事務所での仕事内容についても解説

法律事務所の中には、個人で経営している法律事務所もあれば、数十人や数百人規模の弁護士が所属している大規模法律事務所もあります。

法律事務所の形態はそれぞれの事務所ごとに異なり、所長以外に共同で経営しているパートナー弁護士が何人かいる事務所もありますし、所長一人だけで経営している事務所もあります。

一方、大規模法律事務所などでは、所長やパートナー弁護士だけでなく、部下の立場として勤務しているアソシエイト弁護士と呼ばれる弁護士も多くいることがあります。

今回は、このアソシエイト弁護士とは、どういう弁護士なのかや、パートナー弁護士との違いや、アソシエイト弁護士の仕事内容などについて詳しく解説していきます。

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アソシエイト弁護士とは

アソシエイト弁護士とは、法律事務所に雇用されていて、パートナー弁護士の業務を補助する勤務弁護士のことをいいます。

アソシエイト弁護士のイメージとしては、会社員に近いと考えられていますが、個人事業主であることが多いです。

アソシエイト弁護士は、他の言い方として居候弁護士の略称である「イソ弁」と呼ばれることもあります。

司法試験に合格して司法修習を修了して弁護士になる時に、まずは法律事務所に勤務して一定の期間経験を積んでから独立するのが一般的です。

このように、一定の期間法律事務所に勤務して経験をすることから、法律事務所に居候する弁護士ということがイソ弁の由来です。

アソシエイト弁護士とイソ弁とは同じ意味ですが、最近ではイソ弁よりもイメージ的にもよいアソシエイト弁護士と呼ばれることが多いです。

特にM&Aなどを行う都市部の大手法律事務所や、渉外業務や、企業法務系の案件を扱っている法律事務所などでは、アソシエイト弁護士と呼ばれています。

アソシエイト弁護士は、英語で同僚や仲間という意味のアソシエイト(associate)が由来のため、海外業務を行う法律事務所の場合は、イソ弁よりもアソシエイト弁護士と呼ばれることが多いです。

一方、地方で日本国内の業務だけを取り扱う法律事務所の場合は、アソシエイト弁護士よりもイソ弁の方がしっくりくるかもしれません。

アソシエイト弁護士は、弁護士経験が不足している新人の弁護士や若手の弁護士が行うポジションであり、法律事務所の大きさによっても異なりますが、一般的にはパートナー弁護士から依頼された仕事を行います。

但し、中小の法律事務所の場合、アソシエイト弁護士がまれに個人で仕事を請け負うこともありますが、あくまでも法律事務所からの仕事が優先になります。

アソシエイト弁護士の仕事内容

アソシエイト弁護士の仕事内容は、最初は書面の作成や調査などの事務的な仕事を行い、経験を積んでいった後は契約交渉や依頼者との打ち合わせなども行うことになります。

仕事内容は法律事務所によって色々ですが、基本的には大規模法律事務所と中小法律事務所とでは異なることが多いです。

また、弁護士経験の長さによっても変わってきます。

大規模法律事務所では、知財やファイナンスやM&Aなどの企業法務がメインで、重要な決定や判断はパートナー弁護士が行い、アソシエイト弁護士はその補佐を行います。

一方、中小法律事務所では、比較的専門性が低い仕事が多いため、アソシエイト弁護士が1人で作業を行うことも多いのが特徴です。

それぞれどういう仕事内容なのかは一概にはいえないところがありますが、一般的な大規模法律事務所と中小法律事務所でのアソシエイト弁護士の仕事内容は以下になります。

大規模法律事務所の仕事内容

  • M&A、ファイナンス、独禁、労働、知財などの分野のパートナー弁護士の補佐
  • 法令の調査や判例の調査
  • 特許関係の業務や申請
  • 契約書の作成やレビュー
  • M&Aを行う際のデューデリジェンスの実施や報告書の作成
  • 証券化
  • 株主総会対策などの企業法務
  • 渉外案件の実施

中小法律事務所の仕事内容

  • 債務整理、離婚、相続、親権、交通事故などの各種民事事件
  • 家事事件
  • 刑事事件のサポート

中小法律事務所のアソシエイト弁護士の場合、事務所の仕事の他にも以下のような仕事を、個人事件として処理する弁護士もいます。

  • 債務整理
  • 離婚問題
  • 相続関係
  • 不動産
  • 労働問題
  • 中小企業法務
  • 刑事事件

他にも、弁護士会から依頼された刑事当番や法律相談などを行うアソシエイト弁護士もいます。

アソシエイト弁護士の種類

都心の一部の大規模法律事務所などでは、アソシエイト弁護士を経験により、「シニアアソシエイト」と「ジュニアアソシエイト」に分けているケースがあります。

ジュニアアソシエイトとは経験の少ないアソシエイト弁護士のことをいい、シニアアソシエイトとは一定の経験を積んだアソシエイト弁護士のことをいいます。

基準は法律事務所ごとにそれぞれですが、おおよそ3年~5年程度経験を積んだ場合にシニアアソシエイトに昇格する事務所が多いようです。

中には、シニアアソシエイトとジュニアアソシエイトを役職として分けている法律事務所もあれば、便宜上の呼び方だけを分けている法律事務所もあります。

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アソシエイト弁護士になる方法

アソシエイト弁護士になるということは、弁護士の第一段階である法律事務所に弁護士として勤務するということです。

そのため、まずは弁護士資格を得てから、法律事務所に採用される必要があります。

弁護士資格を得る方法は、最初に法科大学院を卒業するか予備試験に合格して、司法試験の受験資格を得ます。

その後司法試験に合格したら、司法修習を受けて司法研修所の試験に合格しなければなりません。

就職活動を行う時期は人それぞれで、中には法科大学院在学中や、予備試験合格後、司法試験受験後など弁護士資格を得る前から始める人もいます。

一般的には、司法試験に合格してから修習期間中に就職活動を行い、法律事務所にアソシエイト弁護士として採用されるケースが多いようです。

アソシエイト弁護士とパートナー弁護士との比較

ここまで、アソシエイト弁護士について見てきましたが、この頁ではアソシエイト弁護士が支えるパートナー弁護士とはどういう弁護士なのかについて見ていきます。

また、アソシエイト弁護士とパートナー弁護士との違いについても見ていきます。

パートナー弁護士とは

パートナー弁護士とは、法律事務所の所長以外で経営を行う弁護士のことをいいます。

法律事務所の所長のことを「ボス弁」ということもありますが、ボス弁以外に共同して法律事務所を経営している弁護士が複数いる場合は、共同経営者の弁護士全員がパートナー弁護士になります。

パートナー弁護士がいる法律事務所の多くは、大抵数十人から数百人規模の弁護士が所属している大規模法律事務所になります。

そのため、パートナー弁護士がいる法律事務所は、大都市圏にある場合がほとんどです。

一方、地方にある法律事務所は個人事務所であることが多いため、ほとんどの事務所でパートナー弁護士がいないのが現状です。

パートナー弁護士の仕事内容

パートナー弁護士の仕事内容のメインは、法律事務所の経営に関わることのため、実際の弁護士としての仕事の他にも多岐に渡ります。

パートナー弁護士の仕事内容についても、法律事務所によってそれぞれ異なりますが、以下は代表的な仕事例です。

  • 法律事務所の運営方針の決定
  • 採用活動などに関する決定
  • 新規案件や顧客の獲得のための営業
  • 法律事務所内の人事の決定
  • アソシエイト弁護士に対する指導やアドバイス
  • マスコミ対策などの広報
  • 顧問先からの法律相談の対応
  • 後援会や法律関連の書籍の執筆

パートナー弁護士の種類

大規模法律事務所などのパートナー弁護士が多く所属している法律事務所では、経験などによりパートナー弁護士を分類しているケースがあります。

パートナー弁護士は、以下の5種類に分類されます。

  • シニアパートナー

パートナー弁護士が複数いるような大規模法律事務所の中で、最上位の階級に立つパートナー弁護士です。

一般的にはジュニアパートナーが活躍をして昇格すると、シニアパートナーになるケースが多いです。

  • ジュニアパートナー

シニアパートナーの下で、パートナー弁護士の中の下位に位置する弁護士のことをいいます。

ジュニアパートナー の仕事内容は、法律事務所によっても違いますが、案件の獲得や、アソシエイト弁護士への指示などが中心になります。

経験を積んでアソシエイト弁護士からパートナー弁護士に昇格する場合は、まずジュニアパートナーになることが多いです。

  • マネージングパートナー

大規模法律事務所などで、企業でいうところのCOOのような地位で業務執行を行う弁護士のことをいいます。

そのため、執行パートナーといわれることもあります。

法律事務所の所長が、マネージングパートナーになることも多いです。

  • エクイティパートナー

法律事務所に自ら出資をして、持ち分を保有しているパートナー弁護士のことをいいます。

法律事務所が利益を上げた場合には配当を受けとることができますが、損失が生じた場合にはリスクを負うことになります。

エクイティパートナーは、法律事務所に出資をしているため、一般的には発言力が強いことが特徴です。

  • ノンエクイティパートナー

法律事務所に自ら出資をしていないパートナー弁護士のことをいいます。

アソシエイト弁護士とパートナー弁護士との違い

今まで見てきた通り、アソシエイト弁護士とパートナー弁護士には、それぞれ違いがあります。

まず、アソシエイト弁護士とパートナー弁護士と区分するのは、企業法務案件など扱う大規模法律事務所であることが多いです。

但し、最近では、中小法律事務所であっても、アソシエイト弁護士とパートナー弁護士と区分しているところが増えてきています。

アソシエイト弁護士とは雇用されて法律事務所で勤務している弁護士のことをいい、パートナー弁護士とは共同して法律事務所を経営している弁護士のことをいいます。

パートナー弁護士は、法律事務所の運営や採用などに対しての決定権を持っているため、アソシエイト弁護士や事務職員を雇用する立場にいます。

一方、アソシエイト弁護士は、法律事務所に雇用され、パートナー弁護士の補佐的な業務を行う弁護士です。

即ち、アソシエイト弁護士とパートナー弁護士の一番大きな違いは、雇用される側と雇用する側の違いなのです。

その他法律事務所の弁護士の役職や名称

ここまで、アソシエイト弁護士や、パートナー弁護士について見てきましたが、最近では法律事務所の弁護士に対して色々な役職や名称が設定されているケースがあります。

カウンセル弁護士

最近では、欧米のローファームに準じて、アソシエイト弁護士やパートナー弁護士に続く3つ目のポストとして、「カウンセル弁護士」という名称のポジションを設置する法律事務所も増えています。

カウンセル弁護士は、明確な定義がないため法律事務所によってもポジションが異なりますが、アソシエイト弁護士以上パートナー弁護士未満のポジションとして設置するところが多いです。

カウンセル弁護士は、アソシエイト弁護士と同様に法律事務所に雇用されていますが、専門家が多く法律事務所内では特別な役割が与えられています。

法律事務所によっては、シニアカウンセルとジュニアカウンセルに分類されているところもあります。

また、弁護士以外の高い専門性の業務のスキルがある人や、引退したパートナー弁護士などのために、「オブカウンセル」というポジションを設置している法律事務所もあるのです。

その他の役職や名称

弁護士法人や、複数の事務所を展開している大規模法律事務所では、事務所によって以下のような一般企業と同様な役職や名称を使用しているところもあります。

代表執行役員、執行役員、事業部長、支店長、所長、代表社員、社員など

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まとめ

このように、アソシエイト弁護士とは、法律事務所に雇用されていて、パートナー弁護士の下で補佐的な業務を行う弁護士のことです。

アソシエイト弁護士は、法律事務所に雇用されている弁護士といえども、個人事業主である場合が多いです。

そのため、勤務している法律事務所によっては、パートナー弁護士の下で行う案件以外にも、個人で案件を受注するケースもあります。

アソシエイト弁護士として、法律事務所で経験を積んだ後には、同じ法律事務所でパートナー弁護士になるケースもあります。

また、アソシエイト弁護士としての経験を積むことにより、別の法律事務所に移ったり、独立することでキャリアアップすることも可能なのです。

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