弁護士にセカンドオピニオンの法律相談を依頼するメリットやデメリット、注意点を解説
弁護士に相談しても納得できないことがあります。このようなときは弁護士にセカンドオピニオンの法律相談をすることが可能です。
法律相談をする弁護士は必ずひとりでなければいけないという決まりはありません。弁護士の回答に納得できないのであれば、別の弁護士に相談してみるのも方法のひとつです。
別の弁護士に法律相談をすることで別の選択肢が見つかるなど、セカンドオピニオンにはメリットもあります。
会社を経営していて顧問弁護士がいる場合も同様で、解決したい内容や相談したい分野に合わせて別の弁護士にも法律相談をすることによって、あらためて顧問弁護士を見極める機会にもなります。
弁護士のセカンドオピニオンとは?
弁護士のセカンドオピニオンとは、最初に相談した弁護士と別の弁護士に専門家としての意見を求めることです。
まずAという弁護士に法律相談しました。相談の後に今度はB弁護士に同じ内容を法律相談し、専門家としての見解を求めました。これが弁護士のセカンドオピニオンです。
セカンドオピニオンとは?
セカンドオピニオンとは「別の専門家にも意見を求めること、相談すること」です。
セカンドオピニオンという言葉はよく医療分野で使われます。不調で病院を受診し、医師の診察や検査を受けました。
医師が診察などをおこなった結果「不調は病気ではない。過労であろう」という結果です。しかし患者は納得できず、過労だけでは片付けられない違和感を覚えていました。
別の病院を受診しあらためて違う医師に診察と検査を受けたところ、医師の見解は最初に相談した医師とは違っていました。これがセカンドオピニオンです。
医療分野では他の医師にも相談することや、受診している病院と違う医療機関を受診することを意味します。
法律分野においてもひとり目の弁護士に相談してから別に弁護士に法律相談するセカンドオピニオンが可能です。
弁護士にセカンドオピニオンを依頼するメリット
別の弁護士にも法律相談するセカンドピニオンには4つのメリットがあります。
別の弁護士の見解を効くことで選択肢が生まれる
弁護士にはそれぞれ専門分野や考え方があります。
最初の弁護士は「訴訟した方がいい」と言ったからといって次の弁護士も同じ見解とは限りません。セカンドオピニオンの弁護士は「話し合いで解決しましょう」と解答する可能性もあります。
また、最初に相談した弁護士とセカンドオピニオンの弁護士の回答が共に「訴訟を検討したらどうだろう」というものでも、結論にいたるまでの考え方が違っていることもあります。
相談したいトラブル内容の法律分野を専門にしている弁護士と、別の法律分野を得意としている弁護士では見解が違うケースも少なくありません。
別の弁護士にセカンドオピニオンの法律相談をすることで新しい選択肢や視野が生まれます。相談者がより自分に合った選択肢を選べるというメリットがあります。
セカンドオピニオンにより納得感や安心感を得られる
弁護士に相談しても納得できる回答が得られるとは限りません。
医療機関を受診したときのように「過労だといわれたが違和感がある」というようなケースは法律分野でも珍しくないため、別の弁護士に相談することで納得感や安心感を得られます。
弁護士によって話し方なども違ってくるため、前の弁護士の回答に不満があっても、セカンドオピニオンの弁護士に補足的な説明を受けることで納得に繋がるかもしれません。
ただし、別の弁護士に相談したからといって必ず自分に有利な回答を得られるとは限りません。
弁護士は法律相談に対して回答する立場になります。法的に黒であることは弁護士を変えたからといって白になるわけではありません。この点には注意が必要です。
説明が納得できない場合や相談した弁護士に不安を感じた場合は、弁護士のセカンドオピニオンにより納得感や安心感を得られるというメリットがあります。
別の見解や専門的知識を得る良い機会になる
事業を営んでおり顧問弁護士がいる場合は、何か困ったことがあれば顧問弁護士に相談します。
顧問弁護士の言っていることは正しいと思うかもしれません。ですが、顧問弁護士の言っていることが必ず正しいとは限りません。
顧問弁護士の言葉や考えとは違った見解や選択肢が考えられるケースもあります。
顧問弁護士以外の弁護士にセカンドオピニオンの法律相談をすることによって、別の選択肢や専門的な見解を知ることに繋がります。
弁護士にセカンドオピニオンを参考にしてもらえる
セカンドオピニオンの内容を依頼済の弁護士や顧問弁護士に伝えることによって参考にしてもらえることがあります。
会社の法律に強い弁護士が顧問弁護士をしていました。セカンドオピニオンとして刑事事件に強い弁護士に法律相談し、その弁護士の見解について伝えました。
専門分野の違う弁護士にセカンドオピニオンの法律相談をすることによって、それぞれの専門的な知識や経験を情報交換し、補えます。
ただし、すべての依頼済弁護士や顧問弁護士がセカンドオピニオンで得た見解を有効活用してくれるわけではありません。
中にはセカンドオピニオンを嫌がる弁護士もいます。依頼済の弁護士や顧問弁護士がセカンドオピニオンを嫌がらず、柔軟に見解を取り入れてくれるタイプの場合はメリットがあります。
当事務所は経験豊富な弁護士や専門的な弁護士の見解を取り入れるためにもセカンドオピニオンは積極的に活用すべきというスタンスです。
弁護士にセカンドオピニオンを依頼するデメリット
弁護士にセカンドオピニオンを依頼するデメリットはふたつあります。
・弁護士にセカンドオピニオンの法律相談をする場合は費用がかかる
・セカンドオピニオンの法律相談をすることで弁護士の機嫌を損ねる可能性がある
セカンドオピニオンかどうかに関わらず弁護士に相談する場合は相談料などがかかります。セカンドオピニオンは2度目の法律相談です。相談料などの費用がかかると考えておいた方がいいでしょう。
弁護士によってはセカンドオピニオンの法律相談で機嫌を悪くすることがあります。
会社の顧問弁護士や依頼済の弁護士にセカンドオピニオンを知られることで、関係に影響が出てしまうことが考えられます。
ただ、弁護士によってはセカンドオピニオンの法律相談をまったく気にしないため、機嫌を悪くするかどうかは弁護士次第であると言えるでしょう。
セカンドオピニオンを依頼する法律事務所の探し方
セカンドオピニオンの法律相談をする弁護士事務所の探し方は、通常の法律相談のときと変わりません。
友人や知人の紹介、ネットで検索するなどの方法があります。税理士など別の分野の顧問がいれば心当たりがないか尋ねてみてもいいでしょう。
弁護士事務所のホームページを参考に依頼先を探す方法もあります。
弁護士事務所のホームページではコラムを公開していることがあり、どのような分野に重点を置く事務所か、得意分野は何かなどを確認して選ぶのも良い方法です。
弁護士事務所の中にはホームページにセカンドオピニオンに対応している旨を記載していることもあります。
弁護士にセカンドオピニオンを依頼する方法
別の弁護士にセカンドオピニオンの法律相談をする場合はすでに依頼している弁護士の承諾を得る必要はありません。
通常の法律相談と同じく相談内容の資料を準備し、セカンドオピニオン先の法律事務所に予約して相談するという流れです。
依頼先の弁護士に承諾を受ける必要はない
別の弁護士にセカンドオピニオンの法律相談をするからといって先に相談した弁護士の承諾を得る必要はありません。よって、セカンドオピニオンの法律相談は自由に行って問題ありません。
セカンドオピニオンの法律相談をする際に相談内容の資料を顧問弁護士や依頼済の弁護士が持っている場合は、セカンドオピニオンの弁護士に見せるために資料を受け取る必要があります。
承諾を得る必要がなくても資料の授受などによりセカンドオピニオンがばれてしまうことも考えられます。
弁護士には守秘義務がありますので、セカンドオピニオン先の弁護士から顧問弁護士など依頼済の弁護士に連絡が行くことはありません。
なお、弁護士事務所によってセカンドオピニオンへのスタンスは違っています。他の事務所にも相談する場合はその旨を伝えて欲しいという弁護士事務所もあります。弁護士事務所のスタンスを確認しておくことは重要です。
法律相談に必要な資料などを準備する
弁護士にセカンドオピニオンの法律相談をする場合は、相談に必要な資料を準備しておきます。資料は最初の弁護士に相談したときと同じものを渡してください。係争中の場合は裁判関係の書類なども準備してください。
相談内容に合った分野の法律事務所を探して予約する
セカンドオピニオンの内容に合わせて弁護士事務所選びをします。セカンドオピニオンの際も基本的な流れは同じで、法律相談したい弁護士や事務所を探して相談の予約をするという流れです。
相談当日に弁護士へ資料を渡して説明する
相談内容や不安に感じているポイント、困っていることなどをセカンドオピニオン先の弁護士に話します。
相談後にセカンドオピニオン先の弁護士に依頼することも可能です。セカンドオピニオン先の弁護士に依頼する際は、依頼済とどのようにやり取りすればいいかアドバイスを受けておくといいでしょう。
弁護士にセカンドオピニオンを依頼するときのコツ
弁護士にセカンドオピニオンの法律相談をするときのコツは4つです。
セカンドオピニオンはそれぞれの分野に詳しい弁護士に相談する
弁護士にもそれぞれ得意分野があります。会社の法務に強い弁護士もいれば、刑事事件に特化した弁護士もいます。
弁護士の得意分野をチェックして、セカンドオピニオンで法律相談したい内容に合わせて弁護士を選ぶことがコツです。
相談内容を専門分野にしている弁護士はその分野の知識や経験が豊富です。相談内容が専門分野外という弁護士よりも有益なアドバイスを受けられます。
また、最初に相談した弁護士より専門的な説明や、専門分野の弁護士だからこそ提示できる選択肢について教えてもらえることも少なくありません。
セカンドオピニオンを有益なものにするためにも、弁護士・弁護士事務所の得意分野はチェックしておきましょう。
相談先の弁護士にセカンドオピニオンである旨を伝える
セカンドオピニオンである旨を弁護士に伝えれば、第三者的な視点で専門家の見解やアドバイスを受けられますが、伝えていない場合は受任した場合の進め方や対処について話されて終了するケースも少なくありません。
専門的な第三者の視点でアドバイスを受けることがセカンドオピニオンの目的ですから、その旨を伝えておかないと有益なアドバイスを受けにくくなります。
セカンドオピニオンの際は相談内容と気になるポイントを話す
弁護士にセカンドオピニオンの依頼するときは、具体的な相談内容以外に次のようなポイントを伝えると有益なアドバイスに繋がりやすいと言えます。
・弁護士に法律相談したが納得できなかったポイント
・弁護士に相談したが理解できなかったポイント
・弁護士に相談しても不安を覚えているポイント
理解が不十分なポイントを伝えることで、その分野を専門にした弁護士から補足的な説明を受けられます。
また、納得できないポイントや不安なポイントを伝えることで、別の弁護士の知識、経験、視点から、相談内容のことだけでなく前回依頼した弁護士の回答や対処について、第三者的な専門家の視点で有益なアドバイスを受けることが可能です。
弁護士にセカンドオピニオンを依頼するときの注意点
弁護士にセカンドオピニオンの法律相談をするときは以下の2つのことに注意が必要です。
・法律相談の際に提示する情報を統一する
・セカンドオピニオン後にどうするか決めておく
セカンドオピニオンは最初の法律相談と情報が違うと意味がありません。違った情報を渡せば弁護士の見解が変わるのは当然です。セカンドオピニオンにはなりません。
セカンドオピニオンは同じ案件に関して別の弁護士に意見や見解、アドバイスを求めることなので、提示する情報は統一する必要があります。
弁護士にセカンドオピニオンの法律相談をしても、相談内容を活かさないと意味がありません。
セカンドオピニオンで弁護士の見解やアドバイスを聞いて終了ではなく、その後にどうするか決めておくことは重要です。
最初に法律相談した弁護士の見解やアドバイスなどと比較して依頼先を決める。納得したらセカンドオピニオンの弁護士に依頼する。このように、相談後にどうするか冷静に決める必要があります。
まとめ
医療機関でセカンドオピニオンできるように、弁護士の法律相談もセカンドオピニオンが可能です。
先に相談した弁護士が相談内容の特化した弁護士でない場合は、あらためてその分野を専門にしている弁護士に法律相談するのも良い方法です。
別の専門家の見解も聞くことで新たな気づきに繋がり、より良い解決にいたることもあります。
気になることや不安なことがあれば、セカンドオピニオンの法律相談を利用した方が良いと言えます。