M&A最終契約書(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書など)について

M&Aの契約書:最終契約書(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書など)について

M&A総合法律事務所では、M&Aにおいて取り扱う主な無題契約書である秘密保持の契約書・基本合意書・最終契約書・附随契約書などのM&Aの契約書について、10年来、300件以上の豊富な経験を有していますので、契約書の契約者様の権利を守り、リスクを排除するため、適切なM&Aの契約書の作成及びアドバイスを提供させて頂いております。

その中でも、このページでは、M&Aの契約書のうち最も重要な契約書である最終契約書(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書等)について説明いたします。

最終契約書(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書等)の構成

この契約書(最終契約書)には、一般的に、以下のような項目が含まれます。

1. 売買条件
2. 手続条項
3. 前提条件
4. 表明保証
5. 遵守事項
6. 補償条項
7. 解除条項
8. 一般条項

この契約書(最終契約書)で最も重要な条項は、買収価格ですが、それ以外にも特に重要な条項があります。①表明保証条項、②遵守条項、③前提条件、④補償条項です。

なお、英語では、①表明保証条項はRepresentations and Warranties(レプワラ)、②遵守条項はCovenants(コベナンツ)、③前提条件はCondition Precedent(コンディション)、④補償条項はIndemnity(インデムニティ)と言われております。

表明保証条項

①表明保証条項は、売主又は買主候補企業が相手方に対して、一定の事項が真実であり正確であることを表明し、表明したことを保証する条項を意味します。表明保証条項は、この契約書(最終契約書)において、特に、重要であるのみならず、M&Aに関するトラブルのほとんどはこの契約書(最終契約書)のこの条項を巡って訴訟紛争となっていますので、特に留意が必要です。

この契約書(最終契約書)に表明保証条項が規定される理由は、すなわち、M&Aに際しては、買主候補企業はしっかりデューデリジェンス(DD)を行いますが、その調査・把握には限界があり、必ずしも全てのリスクが明らかになるわけではありません。また、特に、中小企業のM&Aではそのようなリスク情報は積極的に開示されませんので、買主候補企業としては、売主にこの契約書(最終契約書)においてしっかり表明保証条項を入れさせ、想定しないリスクが存在しないことを確認する必要があります。

また、この契約書(最終契約書)の表明保証条項には、デューデリジェンス(DD)機能と言って、表明保証条項を見た売主が、表明保証条項に違反すると後日損害賠償請求をされることを恐れて、リスクが潜在している場合には自主的に申告してくれるという付随的機能がありますので、買主候補企業としては、この契約書(最終契約書)に表明保証条項を多く入れない手はありません。

他方、この契約書(最終契約書)の表明保証条項は、売主のオーナー経営者様からすると、非常に悩ましい問題となります。

そうですので、この契約書(最終契約書)において、表明保証条項の項目は、数十項目になることが通常であり、また、対象会社の問題点やリスクを熟知している売主としては細かい文言に拘ってくることとなりますので、条項の記載文言について非常に慎重に対応する必要があり、専門家のサポートが必須です。

遵守条項

②遵守条項は、売主又は買主候補企業がM&Aに際して相手方に対して約束し遵守する事項です。

この契約書(最終契約書)における遵守条項として一般的なものとしては、この契約書(最終契約書)の締結日からクロージング日(株式譲渡実行日・事業譲渡実行日など)までの期間中における、重要な経営判断や重要な資産の処分を禁止する規定や、クロージング後(株式譲渡実行日・事業譲渡実行日など)には競業行為を行わない旨を定める競業避止条項、クロージング後適切に業務の引き継ぎをして頂く義務などがあります。

前提条件

③前提条件はこの条件を満たさない限りM&Aのクロージング(株式譲渡実行・事業譲渡実行など)を行わないという意味での前提条件です。

この契約書(最終契約書)においては、前提条件として、一般的なものとしては、表明保証条項や遵守条項に違反が無いことや、案件によっては、M&Aの前提として官公庁からの許認可が必要な場合は、独占禁止法の届出が必要な場合に、これらを前提条件としてM&Aを実施するということで、この契約書(最終契約書)に前提条件が規定されます。

この契約書(最終契約書)においてよくある規定としては、例えば、以下のような規定です。

【独占禁止法の届出】
・[blur]「乙が、本件株式譲渡について、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。その後の改正を含み、以下「独占禁止法」という)第10条第2項に基づく株式取得に関する計画届出書の提出(以下「事前届出」という)を行っており、譲渡日までに、独占禁止法第10条第8項に定める期間(公正取引委員会規則に基づく追加の報告書、資料又は情報の要求がなされた場合は、同法第10条第9項本文括弧書に定める期間をいう)が、同法第49条第5項に基づく事前通知なく終了していること」[/blur]

【業法上の届出】
・[blur]「本件株式譲渡を実行するために、適用ある法令等に基づき、譲渡日までに取得又は履践することが義務づけられている許認可等及び届出等その他の一切の手続のうち重要なものが全て譲渡日までに適法かつ有効に完了していること、及び行政機関・行政庁から、本件株式譲渡を法律上又は事実上阻害する処分、勧告、指導等がなされていないこと」[/blur]

【後発事象の不存在】
・[blur]「対象会社の事業、財務状況若しくは将来の収益計画に重要な悪影響を及ぼす可能性のある事由若しくは事象又はその他乙による本件株式譲渡に係る判断に重要な影響を与える事由若しくは事象が発生しておらず、発生するおそれもないこと」[/blur]

ただ、前提条件が多数規定されているM&Aの契約書(最終契約書)に遭遇することも多いですが、本来、前提条件のところに重複して書かなくとも、M&Aの契約書(最終契約書)においては表明保証又は遵守条項に規定されていれば足りるケースが多いのですが、M&Aの契約書(最終契約書)でわざわざ前提条項に規定するのは、そこを強調したい場合ということができます。

他方、M&Aの契約書(最終契約書)においては、必要な許認可を取得することなどの規定を、遵守条項においては努力義務に留めて(又はそもそも規定せず)において、前提条項には明確に規定することもあります。その場合、違反したとしても遵守義務違反(=損害賠償事由)にはならないものの、前提条件は充足していないのでM&Aは実行しないということとなりますので、売主と買主の利害調整としては適切な場合もあり、M&Aの契約書(最終 契約書)においては、このような規定の工夫がなされることもあります。

補償条項

④補償条項は、①の表明保証や②の遵守事項に違反した場合など相手方に対して損害賠償請求ができるという規定です。

M&Aの契約書(最終契約書)において、①の表明保証や②の遵守事項に違反した場合は、契約違反を行ったのですから、損害賠償を行うことは当然でもあります。

ただ、M&Aにおいては、①の表明保証や②の遵守事項に違反した場合、買主にいくらの金額の損害が発生したのかが明らかでない場合も多い半面、買主にいくらの金額の損害が発生したのかを証明するのは買主の立証責任です。この立証責任を果たすことが難し場合がありますので、M&Aの契約書(最終契約書)においては、そのような場合などいろいろなケースを想定し、買主の損害を推定する規定を入れることもあります。

また、M&Aにおいて、損害賠償については、売主の立場から見ると、せっかく会社を売却したのに、M&A代金を返金させられる可能性があるわけですので、その地位は不安定となるのであり、例えば、資金需要があって会社を売却した売主などにとっては、切実な問題ともなりかねませんので、損害賠償請求の可能性を限定したいというのが本音のところかと思います。すなわち、売主からすると、M&A代金よりも多額の損害賠償を行った場合、会社を売却したのに、1銭も入ってこない状態と言え、経済的に不合理な結果になります。

そこで、M&Aの契約書(最終契約書)においては、損害賠償金額については、売主が受領した本件株式譲渡代金の○%相当する額を超えないものとするとか、また、損害賠償の請求は、○年内に損害賠償を請求する旨の書面が相手方から送付された場合に限るとか、または、単一の事実に基づく請求の額が金○万円を超えたものに限り行うことができるとする場合など、合理的な範囲に限定されることとなります。

他方、買主としても、決算を行う際に、対象会社の問題点がいろいろ発見されることがありますので、1回は決算期を跨ぎたい、すなわち、決算を行った際に発見された問題点を損害賠償請求したいという意向もありますので、M&Aの契約書(最終契約書)における損害賠償請求権の条件としては、最低でも1年ということとなろうかと思います。

価格調整条項

また、M&Aの契約書(最終契約書)において、M&A価格を最終的に詰めきれず、以下のように、後日の事情を勘案してM&A価格を調整するケースがあります。

1.全般的に価格調整するケース
2.限定された項目について価格調整するケース
   (1)在庫調整・・・・・・・・・・時価純資産法的 ※古典的
   (2)運転資本調整・・・・・・時価純資産法的 ※古典的
   (3)純資産調整・・・・・・・・時価純資産法的 ※限定されていない。
   (4)収益調整・・・・・・・・・・DCF法的  ※限定されていない。
   (5)アーンアウト条項等・・DCF法的
   ※ Signingからの短期間に経営動向が反映され易い項目=流動資産負債項目
3.特段価格調整しないケース

通常は、特段価格調整しないケース(あったとしても、限定された項目のみについて価格調整するケース)がほとんどです。

M&Aの契約書(最終契約書)においては、表明保証条項及び遵守条項が、補償条項と連動して、実質的に「価格調整条項」的役割を担っていることが多く、かなりの部分(全てのケースかもしれません)をそちらで代用可能なのですが、わざわざ「価格調整条項」を規定するのであればそれはのM&Aでは「価格調整」が必要だということを強調したい場合が多いと言えます。

M&Aの契約書(最終契約書)における価格調整条項が設定される例としては、例えば、以下のようなケースです。

・Signinig後思ったより受注が増えてしまった事例。Cashが積み上がっている。Closingと同時に親会社は対象会社の債務につき債務放棄する旨の規定あり。他方、Closingまで重要な財産処分を禁止する規定もあり。

・売主は兎に角売却したいが、買主は資金的にあまり積極的でない。資力が乏しい買主にも売りつけたい。誰でも買主として登場するM&Aバブル後半に起こりがち。売主はそれまで売り損ねていた。何か担保とっておきたいが担保の方法としては何があるか。不動産担保、株式担保、売掛金担保、証券化、優先株、MBO。

・COC条項に関連し、どの程度承諾が取れるか不明であった件(ふつうはCOC条項が後日問題になることはない)につき、重要取引先の承諾が取れない可能性がある。売り上げだけで見てもそれなりの割合だが、売り上げだけではその損失は計測できない。

また、M&Aの契約書(最終契約書)におけるM&Aの価格調整の方法についても、以下のとおり、各種方法があります。

1.差額精算するケース
 ※差額の返金が期待困難な場合あり
2.譲渡価格を分割払い(一部後払い)にするケース
3.譲渡代金をエスクローにするケース

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