M&A顧問弁護士契約とM&Aセカンド顧問弁護士契約 譲渡の期間だけ弁護士を置く方法

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M&Aの期間だけ弁護士を置く方法に関するメインのページです。本ページは、M&Aの交渉と契約の間に限って助言を受ける契約の費用と、その範囲をご説明します。通常の顧問契約は別のページをご参照ください。

▶ 顧問弁護士とは何をする弁護士か 契約の形、費用の考え方及び依頼するかどうかの判断

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本記事は、会社の株式又は事業の譲渡を検討しておられる中小企業の経営者の方に向けたものです。既にM&A仲介会社との面談が始まり、秘密保持契約書や基本合意書の案を示されている場面を想定しています。平常時は顧問弁護士を置いていないけれども、譲渡が終わるまでの期間に限って自社の側に立つ専門家を置きたい、というご相談へのご案内です。

M&Aの手続が始まりますと、短い期間に法的な判断が集中して求められます。秘密保持契約書の範囲、独占交渉に関する条項、開示する資料の範囲、表明及び保証と補償の上限。いずれも、署名の後で考え直すことが難しいものです。書面の案を出すのは相手方又はM&A仲介会社であり、期限は数日ということも珍しくありません。

そこで当事務所では、平常時の企業法務を対象とする顧問契約とは別に、M&Aの手続中の企業を対象とするM&A顧問契約を設けています。既にM&A仲介会社が関与しておられる局面でこれを用いる場合を、M&Aセカンド顧問弁護士契約と呼んでいます。以下では、費用の定め方、契約に含まれる助言と含まれない業務、そしてM&A仲介会社という立場の構造をご説明します。

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平常時に顧問弁護士を置く場合と譲渡の期間だけ置く場合とでは、契約の範囲も費用の考え方も異なります。

なぜ「譲渡の期間だけ」弁護士を置くという考え方があるのか

平常時の法律問題は年に1回か2回という会社が少なくありません。そのような会社が、一時期にだけ集中する法務のために恒久的な顧問契約を結ぶ必要はありません。

平常時の法務と、譲渡の期間の法務とは量が異なります

数か月の間に、秘密保持契約書、意向表明書、基本合意書、資料の開示、最終契約書と、検討を要する場面が連続します。平常時の数年分の判断を短い期間に行うことになります。

譲渡の期間の判断は、後戻りがしにくい性質を持ちます

取引先との契約であれば、次回の更新時に条件を改めることができます。これに対し、会社又は事業の譲渡は一度限りの取引です。譲渡の対象範囲、価格の算定方法、交渉の相手を選ぶ自由、補償の範囲は、一度定まると修正が困難になります。

期間を区切ることで、費用の見通しが立ちます

M&A顧問契約の月額は手続の段階ごとに定めていますので、相談の回数が増えたために月額が変わることはありません。また、顧問契約は委任の性質を持ち、各当事者はいつでも解除をすることができます(民法第651条第1項)。

M&A仲介会社は、誰のために動く立場なのか

M&A仲介会社に不当な点があるという趣旨ではなく、立場の構造が代理人とは異なるということです。

「仲介」と「代理」とは、立場の構造が異なります

M&Aの支援の形態には二つがあります。一つは、売主又は買主の一方とのみ契約し、その一方の利益のために交渉に当たる形態です。ファイナンシャル・アドバイザーと呼ばれ、弁護士が売主の代理人となる場合もこれに当たります。もう一つが「仲介」で、売主と買主の双方の間に立ち、合意の成立を目指す立場です。

したがって、M&A仲介会社は売主の代理人ではありません。親身に相談に乗ってくれる存在であっても、その職責は、売主の利益を最大化することではなく、双方が納得する合意点を見いだすことにあります。この違いは、価格の水準や補償の上限など、利害が対立する論点で表れます。

双方から手数料を受ける形態があること

仲介の形態では、売主と買主の双方から手数料を受けることがあります。双方から報酬を受ける者は、構造として一方の利益のみを追求することができません。民法は、当事者双方の代理人としてした行為を原則として無権代理とみなしています(民法第108条)。仲介は媒介ですから同条が直ちに適用されるわけではありませんが、双方の間に立つ構造の意味は共通します。

弁護士は、依頼者の側にのみ立ちます

弁護士は、依頼者から委任を受け、その依頼者のために法律事務を取り扱います(弁護士法第3条)。受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負います(民法第644条)。また、相手方の協議を受けて賛助した事件など一定の場合には職務を行うことができません(弁護士法第25条)。双方から同時に依頼を受ける形は想定されません。

公的な指針も、この区別を前提としています

中小企業庁は「中小M&Aガイドライン」を公表し、仲介者とファイナンシャル・アドバイザーとで立場が異なることを依頼者に明示すること、及び利益相反のおそれを説明することを求めています。相手方を探し条件を調整する機能はM&A仲介会社でなければ果たせません。ただし、売主の側にのみ立って書面を読む者は別に置く必要があります。

M&A顧問契約の費用は、どのように定まるのか

M&A顧問契約は、M&Aの手続中の企業と締結する顧問契約です。費用は手続の段階に応じて次のとおり定めています(いずれも消費税別途)。

段階費用
仲介の指名前月額8万円+連動報酬1.0パーセント
マッチング前月額15万円+連動報酬1.0パーセント
マッチング後月額30万円+連動報酬1.0パーセント

着手金、期間及び助言の方法

別途、案件の受任にあたり着手金をお願いすることがあります。期間は6か月から承っています。随時、口頭、電話又は電子メールによる法的助言を行います。M&Aの契約書の作成及びデュー・ディリジェンスは含まれません。仲介の指名前の段階では確認すべき事項が限られますので、早い段階でのご相談ほど月額の負担は小さくなります。

「M&Aセカンド顧問弁護士契約」という呼び方について

既にM&A仲介会社に仲介を依頼しておられる企業から、その会社以外の専門家の意見を継続的に得たいというご依頼をいただきます。当事務所では、この用い方を「M&Aセカンド顧問弁護士契約」と呼んでいます。独立した契約の類型ではなく、M&A顧問契約をM&A仲介会社が既に関与している局面で用いるもので、費用も上表によります。

助言・面談・相談の時間制報酬と、顧問契約による割引

助言、面談及び相談を時間制報酬でお引き受けする場合は、次のとおりです(消費税別途)。

区分時間制報酬
パートナー弁護士100,000円/時間
その他の弁護士25,000円から60,000円/時間

簡易顧問弁護士契約又は通常顧問弁護士契約を締結しておられる場合は、5パーセントから33パーセントの割引となります。緊急の対応にも応じますが、100パーセントの割増となります。

M&Aの前後の局面に応じた顧問契約

譲渡そのものではなく、その前後の局面に対応する顧問契約もあります。株式の集約など事業承継に必要な対策を導入するための事業承継顧問契約は、月額50万円(消費税別途)、期間は12か月を予定しています。敵対的株主(株式買取業者)に対応するための敵対的株主(株式買取業者)防衛顧問契約も、月額50万円(消費税別途)、期間は12か月を予定しています。弁護士費用の詳細は弁護士費用一覧をご覧ください。

顧問契約に含まれる助言と、含まれない業務

顧問料の範囲で行う助言と、別枠でお引き受けする業務とを区別しています。

区分内容
顧問契約に含まれる助言依頼者の要請に基づく随時の指導及び助言(口頭、電話、電子メール又は面談によるもの)
顧問契約に含まれない業務M&Aの契約書の作成、デュー・ディリジェンスの遂行、具体的な紛争への対応、訴訟への対応。相手方の検索及びマッチング、当事者間の取りまとめ、プロセスの管理、交渉業務

なぜ、この区別を設けているのか

契約書の作成とデュー・ディリジェンスの遂行は、作業の量が案件によって大きく変わります。月額に含めますと顧問料を高く設定せざるを得ません。

「確認」と「作成」の境界

示された契約書の案を読み、問題となり得る条項を指摘し、求めるべき修正を助言することは顧問契約に含まれます。契約書そのものを起案する業務は別枠です。

相手方の探索をご希望の場合

相手方の検索及びマッチング、当事者間の取りまとめ、プロセスの管理及び交渉は、M&Aアドバイザリー業務又はM&A仲介業務として成功報酬により対応します。

いつ問い合わせれば間に合うのか

株式に譲渡制限が付されている場合

非公開会社の株式を譲渡するには会社の承認が必要です。株主は譲渡等承認請求をすることができ(会社法第136条)、会社は定款に別段の定めがない限り株主総会又は取締役会の決議により可否を決定します(会社法第139条第1項)。請求の日から2週間以内に決定が通知されないときは、承認をしたものとみなされます(会社法第145条第1号)。

事業譲渡における期間の設例

事業の全部の譲渡などを行う場合には、効力発生日の前日までに株主総会の特別決議による承認が必要です(会社法第467条第1項、第309条第2項第11号)。招集の通知は、公開会社でない株式会社では総会の日の1週間前までに発します(会社法第299条第1項)。効力発生日が令和8年12月1日と定められた場合には、会社は同年11月11日までに株主に対して事業譲渡等をする旨を通知しなければならず(会社法第469条第3項)、反対株主が株式買取請求をすることができる期間は同年11月11日から同月30日までの20日間です(会社法第469条第1項、第5項)。

基本合意書に署名する前が、最も効果の大きい時点です

価格の水準、譲渡の対象範囲、交渉の相手を選ぶ自由といった事項は、基本合意書の段階でおおむね方向が定まります。独占交渉に関する条項に署名した後は、他の候補と協議できません。ご検討は、この段階より前が最も効果的です。

相手方は、なぜそのような進め方を求めるのか

第1に、案件を止めたくないという事情

M&Aの交渉は、時間が経つほど当事者の気持ちが変わり、成立に至らない可能性が高まるとされています。案件を進める立場の者は、勢いのあるうちに署名を得たいと考えます。期限が短いのは、多くはこの事情です。

第2に、報酬の体系という事情

仲介の報酬は、成立を条件とする成功報酬の部分を含むことが一般的です。成立しなければ報酬が生じない体系の下では、成立に向けて進めることが優先されます。制度の設計上そうなっているのであり、担当者の姿勢の問題ではありません。

第3に、経験の量に差があるという事情

買主が事業会社や投資会社である場合、M&Aの経験の回数は売主より多いことが通例です。相手方は過去の案件の相場観と条項の意味を知っており、売主は初めてという状態が生じます。当事務所は、この差を可能な限り縮めます。

いま確認していただきたいこと

  • 手元の書面がどの段階のものかを確認してください。秘密保持契約書、意向表明書、基本合意書、最終契約書のいずれかにより、修正を求められる範囲が異なります。
  • 仲介の契約書に、専任に関する条項及びテール条項があるかを確認してください。他の候補と協議する自由と、契約終了後の手数料に関わります。
  • 定款と株主名簿を確認してください。株式に譲渡制限がある場合は会社の承認の手続が必要であり、少数株主がおられる場合は手続の設計が変わります。

よくあるご質問

既にM&A仲介会社に依頼しています。別に弁護士を置くと関係が悪くなりませんか。

売主が自らの費用で法律の専門家に意見を求めることは、通常の商取引で当然に行われています。実務上も、弁護士の関与により論点が整理され、手続が円滑に進む例が多くあります。署名の期限が数日しかない場合でも、優先して確認すべき条項を絞り込んでお伝えします。

顧問料はいくらになりますか。

手続の段階により、仲介の指名前は月額8万円、マッチング前は月額15万円、マッチング後は月額30万円で、いずれも連動報酬1.0パーセントを加えます(消費税別途)。別途、着手金をお願いすることがあります。期間は6か月から承っています。

契約書の作成まで頼みたいのですが、顧問料に含まれますか。

M&Aの契約書の作成及びデュー・ディリジェンスの遂行は含まれず、別枠となります。示された案の確認と修正点の助言は、顧問契約に含まれます。

おわりに

M&Aは、多くの経営者にとって生涯に一度の取引です。相手方もM&A仲介会社も、その分野を日常の業務としています。この経験の差は、売主の側に専門家を置くことでしか埋められません。

書面の期限が迫っている、M&A仲介会社の説明に釈然としない点がある、何を確認すればよいか分からない。そのような段階でお電話ください。いま手元にある書面がどの段階のものかをお聞かせください。必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。

M&Aの期間に限った顧問契約に関するご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所 電話番号 03-6435-8418
受付時間:8:00~21:00(土日祝含む)

出典

民法第108条、第643条、第644条、第651条第1項

弁護士法第3条、第25条

弁護士職務基本規程

会社法第136条、第139条第1項、第145条第1号、第299条第1項、第309条第2項第11号、第467条第1項、第469条第1項、第3項、第5項

弁護士法人M&A総合法律事務所「弁護士費用一覧」(令和8年8月24日確認)

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」(最新版は同庁の公表資料によりご確認ください)

具体的なご相談をお考えの皆様へ

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