M&A契約書の逐条解説総論!

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M&A契約書の逐条解説:M&A契約書総論

M&A総合法律事務所のM&A契約書類のフォーマットはメガバンクや大手M&A会社においても、頻繁に使用されています。
ここにM&A総合法律事務所の株式譲渡契約書のフォーマットを掲載しています。
M&Aを検討中の経営者の皆様でしたらご自由にご利用いただいて問題ございません。
ただし、M&A案件は個別具体的であり、このまま使用すると事故が起きるものと思われ、実際のM&A案件の際には、M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。
また、このフォーマットはM&A総合法律事務所のフォーマットのうちもっとも簡潔化させたフォーマットですので、実際のM&A取引において、これより内容の薄いDRAFTが出てきた場合は、なにか重要な欠落があると考えてよいと思われますので、やはり、実際のM&A案件の際には、M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。

なお、詳細な解説につきましては、以下の弊所書籍「事業承継M&Aの実務」をご覧ください。

M&A契約書総論

M&A契約書とは、株式譲渡方式であれば株式譲渡契約書、事業譲渡方式であれば事業譲渡契約書、会社分割方式(株式交付型)であれば株式譲渡契約書、会社分割方式(現金交付型)であれば会社分割基本合意書など、M&Aの最終的な取引条件を定めた契約書(最終契約書)である。

その他、事業承継M&Aにおいては、秘密保持契約書・基本合意書・最終契約書・関連契約書など、様々な契約書を作成することとなる。

事業承継M&Aの契約書は、通常の契約書とは異なっており特殊であり、また、事業承継M&A自体、頻繁に起こる取引ではなく、オーナー経営者にとっては一生に一度のことと思われ、見慣れない多くの条文が入っているため、慎重に作成することが必要である。

なお、本書において、解説を加えている各種制度や各種事象については、事業承継M&Aに典型的又は一般的なケースやスキームの場合を想定しており、比較的、典型的又は一般的でないケースやスキームについては、特に言及して無いこともあるため留意されたい。

(1)秘密保持契約書について

秘密保持契約書とは、その名のとおり、相手方から開示して頂く情報の秘密を保持する誓約書である。特に売主としては、対象会社の重要な情報を開示するのであり、開示する情報としては、決算書から始まり、取引先などとの契約書、従業員の給料額などの記載された賃金台帳など、極めて守秘性の高い情報を開示することとなるため、買主候補会社が秘密保持を約束してくれない限りは、情報を開示することができないため、この秘密保持契約書が必要となる。

秘密保持契約書とは、英語では、Non Disclosure Agreement(NDA)とかConfidential Agreement(CA)と言われるため、日本でも、NDAとかCAとかと呼ばれることがある。

事業承継M&Aにおいては、売主から、買主候補会社に対して、対象会社の情報を開示する際、事前に秘密保持契約書を締結することとなる。

秘密保持契約書の内容

秘密保持契約書には、一般的に、以下のような項目が含まれる。

 1.秘密情報の範囲

①会社の内部情報

②M&Aの検討および交渉の事実

③秘密情報から除外する事実

2.情報を開示することができる相手の範囲

3.使用目的の制限

4.情報の返還及び破棄

(2)基本合意書について

基本合意書とは、事業承継M&Aの交渉が一定程度進み、買主候補会社が対象会社を基本的に買収するという意思を固めた場合に、売主と買収候補会社との間で締結する契約書である。

基本合意書は、その名のとおり、買主候補会社が基本的に対象会社を買収するということを約する契約書である。基本合意書は、英語では、Letter of Intent(LOI)と呼ばれ、通常、日本でも、LOIと呼ばれる。

基本合意書の内容

基本合意書は、売主と買主候補会社とがその段階までに基本的に合意に至った内容が記載されるため、通常、買主候補会社が基本的に対象会社を買収するという合意以外にも、買収予定価格(及びデューデリジェンスの結果に応じて価格が修正されること)、事業承継M&Aスキームの概要、事業承継M&A後の役員・従業員の処遇、対象会社に関する一定事項の表明及び保証、売主や買主候補会社による一定事項の遵守義務、事業承継M&Aのスケジュール、対象会社に対するデューデリジェンスの実施、買主候補会社の独占交渉権などが規定される。

すなわち、基本合意書には、一般的に、以下のような項目が含まれる。

  1.取引基本条件

2.スケジュール

3.独占交渉権

4.デューデリジェンスに関する取り決め

5.誓約事項

6.法的拘束力

基本合意書と法的拘束力

買主候補会社としては、基本合意書の段階では、まだ対象会社の買収監査(デューデリジェンス)は終了していないため、基本合意書に規定される条項は、法的拘束力を有しないものとすることが一般的である。

法的拘束力がないのであれば意味がないと思われるかもしれないが、買主候補会社として、この買収監査(デューデリジェンス)を実施していない段階で法的拘束力を有する合意をすることができないのはやむを得ないことであり、また、法的拘束力が無いと言っても書面に明確に記載される以上、買主候補会社の意思が明らかになるわけであり、その内容が当事者間のそれ以降の事業承継M&Aの交渉のスタート地点になり得るという意味で事実上の拘束力は存在し、その意味は、事業承継M&Aの交渉上、非常に重要な契約書である。

基本合意書に規定しなかった事業承継M&Aの条件については、後日、最終契約書において、条件として入れにくくなるとか、基本合意書に規定した条件については、最終契約書で変更しようとしても、合理的な理由を説明できない限り、なかなか変更は難しいこととなる。基本合意書において、法的拘束力は存在しないものの、既に事業承継M&Aの交渉が始まっていることに留意する必要がある。

例えば、基本合意書において、デューデリジェンスの結果に基づき、対象会社の企業価値相当額を、売主であるオーナーに対して、①株式譲渡代金と②役員退職慰労金に分けて支払う旨が規定されていたが、売主であるオーナー貸付金の返済が言及されていなかった事例において、買主候補会社に対して、オーナー貸付金の返済は不要であると印象付けてしまい、最終的に、オーナー貸付金の放棄を迫られてしまうケースや、事業承継M&Aの株式譲渡代金は「時価純資産価額」を基準として決定する旨が規定されていた事例において、後日、収益性が著しく低いことが判明したとしても、「収益還元法」や「類似業種比準法」を反映した株式譲渡代金への変更が拒否されるケースや、最終契約で表明保証などを規定することは規定されていたが、遵守条項を規定していなかった事例において、最終契約の段階で、遵守条項を規定することを拒否されるケースなど、そうでなくとも揉め事になるケースがあるため、相手方が想定していないのであればなおさら、基本合意書の段階でそのような規定を盛り込み、相手方の期待可能性を調整することが必要となる。

すなわち、基本合意書に法的拘束力がなくても、基本合意書により当事者の意思が明確化するため、事業承継M&Aの条件が一定程度固定化されるのであり、その後の交渉を事実上一定程度拘束するということには注意が必要である。

基本合意書作成に際しての留意点

基本合意書には上記のような事実上の効力が存在するため、事業承継M&Aの基本的な条件を規定する場合は、企業価値評価を踏まえたものにする必要があり、また、適切な前提を記載するなどして、最終契約において、事業承継M&Aの条件の修正可能性を確保する必要がある。

基本合意書でも法的拘束力が存在する規定がある

基本合意書であってもすべての条項を法的拘束力が無いものとするわけではなく、例えば、デューデリジェンスの実施、独占交渉期間に関する条項は、法的拘束力があるものとすることが一般的である。

また、基本合意書について、法的拘束力がない旨規定したとしても、基本合意書の書き方によっては、思わぬ法的拘束力が発生してしまうこともあるため、基本合意書の作成に当たっては、特に注意が必要である。

(3)最終契約書(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書・会社分割基本契約書など)について

最終契約書とは、事業承継M&Aの最終的な取引条件を定めた契約書(最終契約書)である。

事業承継M&Aにおいて、M&A契約としては、事業承継M&Aで採用するスキームに応じて契約書も異なる。

株式譲渡方式では株式譲渡契約書が、事業譲渡方式では事業譲渡契約書が、会社分割方式(株式交付型)では株式譲渡契約書及び会社分割計画書(又は会社分割契約書)が使用される。

最終契約書の作成のタイミングとしては、デューデリジェンスが終了し、買主が買収の意向を固め、引き続き交渉し、買収スキームと買収価格が固まった段階で、具体的に最終契約書を作成する作業に入る。

契約書の内容次第では、事業承継M&Aの実行後、トラブルになる可能性もあり、また、事業承継M&A実施後に何かトラブルが生じた場合には、この最終契約書の記載内容に従って判断されることになるため、契約書の内容には細部にわたるまで十分に検討する必要がある。

(4)最終契約書の条項

最終契約書には、一般的に、以下のような項目が含まれる。

1.売買条件

2.手続条項

3.前提条件

4.表明保証

5.遵守条項

6.補償条項

7.解除条項

8.一般条項

最終契約書で最も重要な条項は、買収価格であるが、それ以外にも、①表明保証条項、②遵守条項、③前提条件、④補償条項、などの規定が重要である。

なお、英語では、①表明保証条項はRepresentations and Warranties(レプワラ)、②遵守条項はCovenants(コベナンツ)、③前提条件はCondition Precedent(コンディション)、④補償条項はIndemnity(インデムニティ)と言われる。

(5)表明保証条項について

上記①の表明保証条項は、売主又は買主候補会社が相手方に対して、一定の事項が真実であり正確であることを表明し、表明したことを保証する条項である。事業承継M&Aに関するトラブルのほとんどは、この表明保証条項を巡って発生しており、特に留意が必要ある。

事業承継M&Aに際しては、買主候補会社は、対象会社に対して、デューデリジェンスを行うものの、デューデリジェンスによる対象会社の事実関係の調査・把握には限界があり、必ずしも全てのリスクが明らかになることはなく、特に、事業承継M&Aの対象会社である中小企業、零細企業では、十分な管理がなされていないことも多く、十分なデューデリジェンスが困難であり、買主候補会社としては、売主に、表明保証をさせることにより、想定しないリスクが存在しないことを確認する必要がある。

また、表明保証は、デューデリジェンス機能を有する。売主が、表明保証条項を見て、表明保証条項に違反した場合、後日、損害賠償請求・補償請求をされることを恐れて、自主的に潜在するリスクを申告してくれるという機能(デューデリジェンス機能)が存在し、買主としては、最終契約書において、必要な表明保証条項を盛り込み、売主に確認させることによって、対象会社のリスクを再確認することができる。

すなわち、買主がデューデリジェンスを行っても確認できなかった事由であっても、売主は対象会社のオーナーであり経営者であることから、その真偽の程はすでに認識している。また、売主としては、買主のデューデリジェンスにおけるインタビューの際などについては、自身にとって不都合な事項については、言を左右するなどして、明確にしないこともある。

しかし、売主としては、表明保証に明示された事項については、それが虚偽であった場合は、売主の損害賠償責任・補償責任が発生することになり、売主の利害に直結してしまうため、買主に対して、自身にとって不都合な事項についても、自己申告するという現象が生ずるのである。

このような理由から、買主としては、多少的外れの事項であっても、事業承継M&Aの株式譲渡契約書の対象会社に関する表明保証には規定しておいて、売主のレビューを待ち、自己申告を促し、デューデリジェンスの詰めの作業をすることとなる。

(6)遵守条項について

上記②の遵守条項とは、売主又は買主候補会社が、事業承継M&Aに際して、相手方に対して約束し遵守する事項である。

一般的なものとしては、最終契約締結日からクロージング日までの期間中における、重要な経営判断や重要な資産の処分などを禁止する善管注意義務条項や、クロージング後競業行為を行わない旨を定める競業避止条項、クロージング後、売主に買主に対する業務の引き継ぎをして頂く引き継ぎ義務などが存在する。

(7)前提条件について

上記③の前提条件は、この前提条件を満たさない限り、事業承継M&Aのクロージング(株式譲渡の実行や譲渡代金の支払い)を行わないという意味の前提条件の規定である。

一般的なものとしては、表明保証条項や遵守条項に違反が無いことや、案件によっては、事業承継M&Aの前提として官公庁からの許認可が必要な場合や、独占禁止法の届出が必要な場合に、これらを前提条件として事業承継M&Aを実行することとなる。

(8)補償条項について

上記④の補償条項は、上記①の表明保証や上記②の遵守条項に違反した場合など、相手方に対して、損害賠償請求・補償請求ができるとする規定である。

このほか、近時の裁判例において、買主が表明保証違反の事実を認識していた場合、売主に対して、表明保証違反の損害賠償請求・補償請求が困難とされる傾向があり、とはいえ、実務的には、買主の表明保証違反の事実の認識の程度にも幅があるなどの理由で、そのような場合にも損害賠償請求・補償請求を有効とすべきケースが多く存在する。このようなケースに損害賠償請求・補償請求を有効とするため、特別補償条項が規定されることが多いことにも注意が必要である。

(9)最終契約書のフォーマットについて

本章では、事業承継M&Aに携わる皆様が、直ちに、M&A契約書を作成することができるよう、筆者らが普段の実務において使用する各スキームにおけるM&A契約書のフォーマットをそのまま提示しつつ、各条項の役割をご理解頂くために、各条項について、「逐条解説」を行い、皆様が、M&Aトラブルを避けつつ事業承継M&Aを安心して推進することができるよう、各条項に関連して、筆者らが実際に経験したM&Aトラブルにも言及しつつ、説明を行う。

なお、筆者らが普段の実務において使用する各スキームにおけるM&A契約書のフォーマットは、筆者らがこれまでに取り組んだ数百件の事業承継M&Aにおいて、基本的に、実戦に使用され、実戦において実際に生じた問題点や反省点を踏まえて、随時、修正加筆されてきたものであり、このM&A契約書の条項や背景を知ることによって、M&A契約書のみならず、事業承継M&Aに対する理解が深まるものと思われる。

2.株式譲渡契約書

事業承継M&Aにおいて、株式譲渡方式では、株式譲渡契約書が使用される。

事業承継M&Aにおいて、もっとも多くかつ圧倒的に使用されている契約書形式である。

株式譲渡契約書は、売主から、買主に対して、対象会社の株式を譲渡する契約書であるが、株式を譲渡するとする株式譲渡に関する条項のみならず、株式譲渡の取引のリスクをヘッジするため、前提条件・表明保証・遵守条項・補償条項その他の数多くの規定が存在している。

なお、本書において、解説を加えている各種制度や各種事象については、事業承継M&Aに典型的又は一般的なケースやスキームの場合を想定しており、比較的、典型的又は一般的でないケースやスキームについては、特に言及して無いこともあるため留意されたい。

3.事業譲渡契約書

事業承継M&Aにおいて、事業譲渡方式では、事業譲渡契約書が使用される。

事業譲渡契約書は、売主から、買主に対して、対象事業の事業それ自体を譲渡する契約書であるが、事業を譲渡するとする事業譲渡に関する条項のみならず、事業譲渡の取引のリスクをヘッジするため、株式譲渡契約書同様、前提条件・表明保証・遵守条項・補償条項その他の数多くの規定が存在している。

なお、本書において、解説を加えている各種制度や各種事象については、事業承継M&Aに典型的又は一般的なケースやスキームの場合を想定しており、比較的、典型的又は一般的でないケースやスキームについては、特に言及して無いこともあるため留意されたい。

4.会社分割方式における契約書

(1)会社分割方式(株式交付型)

事業承継M&Aにおいて、会社分割方式(株式交付型)では、株式譲渡契約書が使用される。

株式譲渡契約書は、売主から、買主に対して、対象会社の株式を譲渡する契約書であるが、会社分割方式(株式交付型)であることから、会社分割のメカニズムも規定されている。

会社分割を行ったうえで株式を譲渡するとする会社分割及び株式譲渡に関する条項のみならず、会社分割及び株式譲渡の取引のリスクをヘッジするため、前提条件・表明保証・遵守条項・補償条項その他の数多くの規定が存在している。

なお、本書において、解説を加えている各種制度や各種事象については、事業承継M&Aに典型的又は一般的なケースやスキームの場合を想定しており、比較的、典型的又は一般的でないケースやスキームについては、特に言及して無いこともあるため留意されたい。

(2)会社分割方式(現金交付型)

事業承継M&Aにおいて、会社分割方式(現金交付型)では、会社分割基本契約書が使用される。

会社分割基本契約書は、分割会社から、承継会社に対して、対象事業を分割・承継させる契約書である。

対象事業を分割・承継させる会社分割に関する条項のみならず、会社分割取引のリスクをヘッジするため、前提条件・表明保証・遵守条項・補償条項その他の数多くの規定が存在している。

なお、会社分割に限らず、合併・株式移転・株式交換などの組織再編行為の手法を使用して事業承継M&Aを行う場合は、この基本契約書を締結することで、事業承継M&Aのリスクをヘッジするため、前提条件・表明保証・遵守条項・補償条項その他の数多くの規定を規定することとなる。また、株式譲渡や事業譲渡、会社分割を含む、複数の取引手法を並行して使用して事業承継M&Aを実施する場合も、この基本契約書を締結することで、事業承継M&Aのリスクをヘッジするため、前提条件・表明保証・遵守条項・補償条項その他の数多くの規定を規定することとなる。

なお、会社分割基本契約書については、各所、株式譲渡契約書・事業譲渡契約書・会社分割方式の株式譲渡契約書の相当個所の説明を参照して頂きたく、説明は省略する。

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