株式譲渡契約書の逐条解説 情報開示の表明保証
弁護士法人M&A総合法律事務所のM&A契約書類のフォーマットはメガバンクや大手M&A会社においても、頻繁に使用されています。
ここに弁護士法人M&A総合法律事務所の株式譲渡契約書のフォーマットを掲載しています。
M&Aを検討中の経営者の皆様でしたらご自由にご利用いただいて問題ございません。
ただし、M&A案件は個別具体的であり、このまま使用すると事故が起きるものと思われ、実際のM&A案件の際には、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。
また、このフォーマットは弁護士法人M&A総合法律事務所のフォーマットのうちもっとも簡潔化させたフォーマットですので、実際のM&A取引において、これより内容の薄いDRAFTが出てきた場合は、なにか重要な欠落があると考えてよいと思われますので、やはり、実際のM&A案件の際には、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。
なお、詳細な解説につきましては、以下の弊所書籍「事業承継M&Aの実務」をご覧ください。
株式譲渡契約書の逐条解説 情報開示の表明保証
■■■別紙1第3第22号■■■■■■■■■■
第22号は、情報開示の正確性・網羅性に関する表明保証である。 情報開示の正確性に関する表明保証について事業承継M&Aにおいては、一般的に、事業承継M&Aを実行する前提として、買主による対象会社に対するデューデリジェンス(DD)が行われ、その際に、売主から、対象会社に関する財務書類や契約書類その他の会社の資料や情報が開示される。 しかし、この売主から提示された会社の資料や情報が、真実・正確ではなかったり、重要な資料や情報が開示されていなかったりした場合、買主は、対象会社について、正確なデューデリジェンス(DD)を実行することができず、対象会社の企業価値に関して、正確な評価を行うことができず、対象会社の実体が開示された資料や情報よりも悪い場合、買主の想定する株式譲渡価格の前提が崩れることとなる。 筆者らに実際に相談のあったケースでは、売主が、この情報開示の正確性に関する表明保証を規定することに抵抗を示したケースでは、たいてい、後日、対象会社に関する重要な問題が発見されるに至っている。 また、買主が、この情報開示の正確性に関する表明保証を削除することを拒んだケースにおいては、売主が、後日、表明保証違反の責任を追及されることを恐れ、最終的に、渋々、対象会社に関する重要な問題を開示し、買主としては、無事、株式譲渡価格を調整したり、売主に対して、遵守条項において、特定の対応を約束させることができ、後日、その重要な問題を認識せずに、対象会社を買収することとなった場合に生じえた、社内の混乱を未然に防ぐことができたことが多い。 また、売主によっては、株式譲渡契約において、この情報開示の正確性に関する表明保証が規定されるなら、買主に対象会社を売却しないということで、この表明保証は不要としている他社に売却したケースも存在する。 すなわち、筆者らに実際に相談のあったケースでは、顧客は、そのM&Aにおいては、結局、他社に敗れ、対象会社を買収することができなかったのであるが、そのようなM&Aにおいては、事後的に、対象会社において、想定外の重要な問題が発見され、買主の担当者の責任問題が勃発するなど、近時よく報道される日本企業の外国企業に対するM&Aのような失敗に見舞われるであろうことから、そのM&Aで対象会社を買収できなくて良かったのではないかと思われる。 重要情報の網羅性に関する表明保証についてまた、事業承継M&Aにおいては、売主から、本号の前半、すなわち、開示情報の正確性については表明保証可能であるが、本号の後半、すなわち、重要情報の網羅性については、表明保証できないと言われることがある。 売主によると、買主にとってどういうものが重要情報かが分からない、無いことの表明保証は酷であるなどと理由がつけられるのであるが、売主は、対象会社のオーナー経営者なのであるから、どういう情報が重要情報なのか分からないなどということは有り得ず、また、重要情報の非開示の不存在に関する表明保証を規定しなくてよいということになった場合、対象会社が重要な問題を抱えていたとしても、売主は、情報開示することに対するインセンティブを負うことはなく、事業承継M&Aにおいて、そのような重要情報は開示されないままとなってしまう。 しかし、買主としては、そのような前提でのデューデリジェンス(DD)では、対象会社の正確な企業価値を把握することはできず、対象会社の実体が開示された資料や情報よりも悪い場合、買主の想定する株式譲渡価格の前提が崩れることとなる。 したがって、事業承継M&Aにおいては、買主は、売主に、情報開示の正確性に関する表明保証をして頂く必要があるのである。 |