経営者保証の解除|株式譲渡契約書を逐条解説!

  • 2019年5月13日
  • 2024年11月6日
  • M&A

株式譲渡契約書の逐条解説 経営者保証の解消と抵当権の解除

弁護士法人M&A総合法律事務所のM&A契約書類のフォーマットはメガバンクや大手M&A会社においても、頻繁に使用されています。
ここに弁護士法人M&A総合法律事務所の株式譲渡契約書のフォーマットを掲載しています。
M&Aを検討中の経営者の皆様でしたらご自由にご利用いただいて問題ございません。
ただし、M&A案件は個別具体的であり、このまま使用すると事故が起きるものと思われ、実際のM&A案件の際には、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。

また、このフォーマットは弁護士法人M&A総合法律事務所のフォーマットのうちもっとも簡潔化させたフォーマットですので、実際のM&A取引において、これより内容の薄いDRAFTが出てきた場合は、なにか重要な欠落があると考えてよいと思われますので、やはり、実際のM&A案件の際には、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。

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なお、詳細な解説につきましては、以下の弊所書籍「事業承継M&Aの実務」をご覧ください。

株式譲渡契約書の逐条解説 経営者保証の解消と抵当権の解除

■■■第17条■■■■■■■■■■

第17条  (保証債務の解消及び抵当権の解除)

買主は、売主が対象会社の債務及び契約を担保するために負っている保証債務及び担保のため設定している抵当権について、買主の費用と責任において、当該保証債務の解消及び当該抵当権の解除のために必要な手続きを行うものとし、同手続きが完了するまでの間に、債権者から売主に対して保証責任の追及又は抵当権の実行がなされた場合には、売主に対して補償するものとする。

第17条は、保証債務の解消や抵当権の解除に関する遵守条項である。

事業承継M&Aと保証債務や抵当権の取り扱い

事業承継M&Aにおいて、オーナー経営者は、対象会社の借入金などの債務を担保するために、自ら連帯保証を行っていることや、不動産に抵当権を設定するなど担保提供を行っていることが多い。

売主としては、売主から、買主に対して、事業承継M&Aにより、株式譲渡が実行され、買主が対象会社のオーナーとなった場合も、売主である旧オーナー経営者の連帯保証責任や抵当権が継続することは納得がゆかないであろう。

売主としては、事業承継M&Aを契機に、対象会社のオーナーではなくなることから、保証債務の解消や抵当権の解除をしてもらうことは当然である。

保証債務の解消や抵当権の解除には、多くの場合は金融機関である債権者の承諾が必要であることから、相手方のある話であり、売主が希望したとしても、必ずしも保証債務の解消や抵当権の解除が行われるわけではないが、通常、金融機関は、オーナーが変更になった場合、旧オーナー経営者の保証債務の解消や抵当権の解除について承諾するため、株式譲渡契約書においては、売主の義務として、保証債務の解消や抵当権の解除を規定することが一般的である。

保証債務の履行請求や抵当権実行があった場合の取り扱い

事業承継M&Aでオーナー経営者が変更になった場合、多くのケースでは、金融機関の保証債務の解消や抵当権の解除に対する承諾は、クロージング後、1-2か月程度で取得できているようである。

稀に、クロージング後、金融機関に対して、保証債務の解消や抵当権の解除を申し入れたとしても、金融機関がこれについてなかなか承諾しなかったり、この承諾の取得に時間がかかったりすることがある。

ただ、その間においても、売主は対象会社を売却済みであり、買主が対象会社のオーナーになっているのであり、対象会社の債務については、最終的には、売主ではなく買主が責任を持つことが経済合理的である。したがって、クロージング後、金融機関から保証債務の解消や抵当権の解除が得られるまでの間に、売主に対して、保証債務の実行がなされたり、売主の資産に対して、抵当権の実行が行われたりして、売主が損害を被った場合、買主がこの損失補償をするという約定がなされることが一般的である。

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