M&A契約書では、価格調整条項を付けることがままあります。
すなわち、対象会社の保有する在庫は日々変動しますので、クロージング日の在庫の量を見極めてから最終的な譲渡価格を決定したいとか、売掛債権や預貯金の額に応じて調整する場合や、純資産額に応じて調整する場合など、様々なケースがあります。
ここで、M&Aで対象会社の株式をそのまま譲渡するのであれば、価格調整条項も作成しやすいのですが、これが例えば、事業譲渡の場合であったり、手続きの途中で会社分割(税制非適格分割)を行う場合など、対象となる資産を時価評価して、買主が買収することになりますので、対象資産の価格が予期しない形で変更されるのです。
ですので、このような場合、価格調整条項では想定していない対象資産の価格の変更が生じ、想定外の譲渡価格の調整が行われる可能性があります。
M&A弁護士も、法律のみならず、会計・税務に関する知識も必要ということを強く感じます。