非上場株式・少数株式の株式価格評価における国税庁方式(相続税評価額)の否定!!

非上場株式・少数株式の株式価格評価における国税庁方式(相続税評価額)の否定

非上場株式・少数株式の株式価値評価において、国税庁方式(相続税評価額)による株価算定書が提出されることがままあります。

現在においても、この国税庁方式(相続税評価額)による株価と、会社法上の株式価格が同じものだと誤解されている人がいるようです。

すなわち、会社法上の株式価格とは、国税庁方式(相続税評価額)による株価とは違います(なお、別で説明しますが、M&Aなどの経済的な取引の際における株式の時価(公認会計士や金融機関が算定する株式価格評価)とも違います)。

国税庁方式(相続税評価額)による株価は、税理士先生が算定をする相続税などを申告する際に使用する株価であり、会社法上の株式価格ともM&Aなどの経済的な取引の際における株式の時価とも異なるのです。

しかし、皆様、税理士先生は身近な存在でありアクセスも容易であることなどから、非上場会社の経営者様や株主様は税理士先生にまずは相談に行くことが多く、多くの皆様が国税庁方式(相続税評価額)による株価が株価であると思い込んでしまっているのです。

弁護士も裁判所も国税庁方式(相続税評価額)による株価が株価であると思い込んでしまっている傾向があり、そのような場合、裁判手続きにおいても、真実の取引価格は実現できないということとなります。

少なくとも、専門の弁護士に依頼して、しっかりと自己の権利を主張していただくべきかと思います。

すなわち、取引相場の無い株式等の評価に関する古い裁判例には、国税庁の相続税財産評価基本通達が定める「取引相場の無い株式の評価」の算式(会社を大・中・小三種に区分し、かつ取得者が同族株主か否かを区別した上で、類似業種批准価額、純資産価額、配当還元価額と言われる算式を使い分ける)に強い影響を受けたものが多い、との指摘がされています。また、学説にも、こうした株式等の評価は、ある程度恣意的でも画一的なルールに従いなされることが重要であるとして、同通達にのっとり行われるべきであると主張するものがある(江頭憲治郎教授『株式会社法第7版』19-20頁(有斐閣・2017年)。

しかし、同通達は、戦後早い時期に骨組みが作られたもので、大量発生的事象を機械的に処理する目的のものにすぎず、訴訟・非訟事件に適用すべきものではない(江頭憲治郎教授『株式会社法第7版』19-20頁(有斐閣・2017年)と、指摘されております。

国税庁方式(相続税評価額)による株価は株価ではないのです。

国税庁方式(相続税評価額)による株価は、大量発生的事象を機械的に処理する目的のものであり、かつ、それに税務政策的な視点が加算され、この大相続時代に、株式に対する課税が過大なものにならないように、比較的、株価が低く算定されるように設計されていたりするのです。

ただ、国税庁方式(相続税評価額)による株価であっても、必ずしも、会社法上の株式価格やM&Aなどの経済的な取引の際における株式の時価と大きく異ならないこともあり、国税庁方式(相続税評価額)による株価を採用しても、大きな問題とならないこともあります。

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