M&A仲介業務の業務内容から報酬体系まで徹底解説!手数料などの費用の相場はどれくらい?

  • 2021年11月30日
  • 2024年10月8日
  • M&A

M&Aは合併や買収の頭文字を合わせた言葉です。経営戦略の一つとして選択肢に加わることが多くなってきました。現在では大企業のみならず、中小企業や個人事業主にも広く採用されています。しかし実際にはM&Aの進め方や支援に対する不信感、仲介に関する手数料など、不安視する声も少なくありません。

後継者不足や今後の経営に悩みを抱える経営者の方に、広く理解していただきたい仲介業者や報酬体系、手数料について詳しくご紹介してまいります。

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M&Aの仲介とは?

M&Aは、会社や事業を売買することをいい、事業の所有権や経営権を金銭で取引することができるというものです。買い手側となる企業では、自分の企業にはない技術力を買い取ることで、今後の業績を伸ばしたい等のメリットがある場合にM&Aを考えます。

また売り手側となる経営者には、事業継承の後継者不足の深刻さがうかがえるようです。『帝国データバンク』が2019年に発表した「全国・後継者不在企業動向調査」には以下のような内容が含まれていました。

近年、後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業は多いとみられている。日本政策金融公庫によれば、60歳以上の経営者のうち50%超が将来的な廃業を予定。

後継者不足が解消されない場合には2025年頃までに最大650万人の雇用が喪失されるとしている。

引用:帝国データバンク

会社を買い取りたい買い手と、会社を売りたい売り手が上手く出会わなければ、M&Aは成立しません。経済産業省の中小企業庁が2020年に発表した「中小M&Aガイドライン」について』の中にも以下の記述があります。

  1.  M&Aの知見がなく、進め方が分からない
  2.  M&A業務の手数料等の目安が見極めにくい
  3. M&A支援に対する不信感

会社の経営を譲渡したいと考えた時に、正確な情報が乏しく、どのように相談を行い進めていけばよいのか分からないと感じている経営者の方も多いようです。そのような場合に、売り手と買い手をマッチングするサービスを行う、「M&A仲介会社」があります。

しかしM&Aにおいて発生する手数料が分かりにくいこともあり、相談を躊躇しているということも挙げられているようです。まずはM&A仲介会社がどのようなものであるかを詳しくご説明してきます。

M&A仲介会社の役割

現在、M&Aで事業継承を行う企業が多くなってきています。2008年の「リーマンショック」以降は減少していましたが、2011年からは再び増加の一途をたどっています。2020年には新型コロナの影響により減少していますが、今後は経営者の高齢化が進むだけでなく、人口減少によって人材が不足していくことも予測されているのです。

人材不足によりビジネスの成長が見込めなくなり、国内需要が減少すると、企業は海外で新たな市場を獲得するために海外進出の需要も高まって来るでしょう。刻々と変わる経済情勢に経営課題を感じている経営者は多くなっています。

そこで近年M&A仲介会社によるM&Aが台頭してきました。M&A仲介会社を利用することで、売り手・買い手共に効率的に売買を行うことができます。その仕組みとしては、売り手・買い手が仲介業者に登録することで、お互いのニーズに合いそうな会社を引き合わせ、成立に向けて調整を行うという仕組みです。

また、登録されている売り手の会社を買ってくれそうな企業を探して、売り込むという方法も取っています。つまりM&A仲介会社が行うのは、売り手と買い手の企業をマッチングさせ、その後の交渉や進捗管理を行う業務を担っているといえるでしょう。

M&A仲介会社による仲介ビジネスが広がる前にも、M&Aのマッチングやサポートを行う業者はありました。それは「ファイナンシャル・アドバイザー(FA)」と呼ばれるものです。

現在でもM&A仲介会社同様にM&A業務をおこなっていますが、大きく異なる特徴があります。売買取引であるM&Aでは、時として売り手と買い手の利害が一致せず意見がぶつかることが多いものです。

その大きな原因として、価格に対する差が挙げられるでしょう。売り手は少しでも高く買い取って欲しいと考えていることに対して、買い手は少しでも安く取引を進めたいという考え方に相違が起こるのは当然かもしれません。

そういったトラブルの場になった際に、M&A仲介会社の場合には両社の間に入り、仲裁を行い、交渉をスムーズに促す役割を果たします。しかしFAでは、売り手か買い手の仲介を依頼された側の代理人として、依頼者の利益の追求を行うことになるでしょう。

どちらかといえば双方の間に入り、中立的な立場を取るというのがM&A仲介会社です。依頼された側のメリットを最大限に考えるFAとは、大きな違いがあることを覚えておくと良いでしょう。

M&Aの大まかな流れ

M&Aを初めて検討している経営者の方にとっては、どのような流れで最終契約まで行われるのか、分からないことが多すぎて不安を覚えるという人も多いのではないでしょうか。ではここから、M&Aを行う場合の流れについて買い手と売り手に分けて詳しくご説明していきましょう。

買い手のスケジュール

目的を明確にする

事業領域の拡大や、新規事業参入を目的にした場合、どのような企業、事業を買収するのか。またどのような手法(合弁・買収・会社分割・資本業務提携等)を使用するのか、といったM&Aの戦略を立てる必要があります。

M&Aの専門業者を選定

M&Aを成功させるために重要なのは、税務、法務、財務、労務等の幅広い専門知識が重要です。また交渉や手続きに複雑な問題も生じるでしょう。そのためには専門の業者に委託する必要性も出てきます。

専門業者には、M&A仲介会社、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)、国の支援機関、マッチングプラットフォームなどが挙げられるでしょう。専門業者については別項で詳細をご紹介します。

対象となる企業の選定

買収を行う企業候補のリストの作成にはまず「ノンネームシート」と呼ばれる資料を使用することが多いでしょう。企業名などの詳細は書かれていない匿名の資料ですが、企業の概要やM&Aの条件などが記載されたものです。

「ノンネームシート」を見て興味を持った場合、具体的な情報を提供してもらう必要があります。売り手側が企業名を明らかにする資料は、「ネームクリア」と呼ばれており、「企業概要書」といわれるものです。

ここには会社の基本的な情報だけでなく、財務や不動産、従業員についての情報が詳細に記されています。買い手は「企業概要書」を参考に具体的な検討を進めていくことになるでしょう。

重要となるのは、売り手との間に「秘密保持契約の締結」を行うことです。秘密保持契約は、M&Aで知りえた企業の秘密や情報を第三者に開示しないと約束をする契約のことを指します。

その後、「デューデリジェンス(DD)」といわれる調査・分析を行わなければなりません。対象となる企業の財務状況、税務や法務上の問題がないかなど、経営上のトラブルについて検証していくことが重要となります。

合意に向けた取り組み

買収したい企業が決定したら、売り手企業との買収方法など、具体的な内容を協議します。その後、基本合意書の締結へと一歩前進です。

契約に向けた調整

基本合意が締結されたら、買収金額などの具体的な交渉が始まります。価格交渉で決裂する場合も多く、交渉を有利に進めるためには、専門家に相談することも、一つの手法といえるでしょう。

交渉がまとまれば、最終的な合意に向けた契約と、M&Aの最終的な手続きである「クロージング」が行われます。「クロージング」は、最終契約書に従い経営権の移転や、対価の支払い手続きを完全に終了させることをいいます。

M&Aではこの「クロージング」がとても重要で、契約の締結が終了しても買手からの支払いがされなければ、売手は利益を得るという目的が達成されません。買い手も株式の交付、経営権の移転がされなければ、事業を始めることができないということになります。

双方の目的を達成するために、契約後の「クロージング」を不備なく終了して、最終的な契約終了を迎えることが重要となるのです。

売り手のスケジュール

目的を明確にする

買い手と同様にM&Aを行うことで、どのようなメリットを得ることができるかを明確にしておく必要があります。例えば、後継者がいない場合の事業継承や経営の悪化による基盤の強化など、さまざまな理由あるでしょう。

一口にM&Aといってもその手法には多くの方法があるもの。資本提携や業務提携、さらには分割といったものがあり、最適な手法を選択したいものです。そのため、あらゆる面から検討してM&Aの戦略を立てる必要があるといえるでしょう。

M&Aの専門業者を選定

自社にとってどのような専門業者を選択することが最善なのかを考える必要があります。M&A仲介会社とFAの特徴については先に触れていますが、その他にも選択肢があるため、全ての特徴を知るところから始めてみましょう。詳細は別項にてご紹介していきます。

対象となる企業の選定

買い手に引き継いだ後も、しっかりとした経営を行ってくれる企業を、慎重に探さなければなりません。徹底的に分析を行う必要があるため、専門家に依頼する選択肢もあることを覚えておいてください。

この段階で買い手の候補を募集するために「ノンネームシート」を作成。もう一歩踏み込んだ「ネームクリア」が行われれば、詳細な情報提供をすることになるでしょう。その後、「秘密保持契約」の締結を行います。

合意に向けた取り組み

買収に向けて、適切な買い手との具体的な内容を協議。合意ができる内容であれば、基本合意書の締結が行われます。

契約に向けた調整

売り手にとって交渉は重要な問題です。というのも今後の経営方針や事業展開、従業員の待遇など、売却後の対応がどのようなものになるかを見極める必要があります。交渉が上手くいかず、条件が不利であるにもかかわらず売却に至ることで、従業員が納得しない場合も考えられるでしょう。

また売却価格については、納得できる金額で売却したいものですが、なかなか厳しい現状です。少しでも良い条件でM&Aを実現するためにもアドバイザーに相談することは有効な方法の一つになるでしょう。交渉がまとまれば契約に進みますが、それ以降の手順は買い手と同様となります。

大まかな流れをご紹介してきましたが、M&Aの交渉は直接交渉するのが原則です。しかし交渉先に直接交渉を持ちかけるというのは、なかなか難しいもの。M&A仲介会社などのアドバイザーを通すことによって、匿名でM&Aに初期的関心があるかどうかを確認することも可能となります。

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M&Aで必要な費用の内訳と手数料の相場

 M&A仲介会社などのアドバイザーを利用してM&Aを行う場合に、気になるのは仲介手数料などの費用です。またそのほかにも買収費用、税金、株券発行費などの費用も必要になります。仲介手数料には多くの種類があり、M&A仲介会社によって異なり、また支払う金額やタイミングなども違いがあるものです。

そのため、仲介手数料の相場がどれくらいになるのかをお伝えするのは大変難しいものといえます。仲介手数料の種類や費用は、おおよその検討としてご覧ください。

  • 相談料

M&Aの正式な依頼をする前に、相談することで発生する手数料のこと。相談料を無料としているところも多いですが、少額の相談費用がかかるところもあります。相談を予約する際には、手数料の有無を確認したほうが良いでしょう。

  • 着手金

正式に依頼を行った後で支払う手数料のことです。M&Aの成約に関わらず支払う費用となります。もしM&Aの交渉が上手くいかなかったとしても返金されることのない手数料であることに注意してください。

着手金の使用用途としては、企業の概要書やノンネームシートの作成費用に充てられることが多いようです。M&Aの規模が大きくなるほど、作業量も多くなるため、手数料の着手金も高額になる傾向があります。

最近は着手金を無料にするところも多くなってきました。そのため手数料の相場としては無料~数百万円と幅が広くなっているのが現状です。

  • 月額報酬

月額報酬はリテイナーフィーと呼ばれていることもあり、M&Aに進展がない場合も、毎月支払う仲介手数料のこと。M&A仲介会社の活動費に充てられています。月額報酬の手数料相場としては、20~50万円を毎月支払うことになるでしょう。

注意が必要なのは、M&Aを委託したからといってすぐに成約に結びつくことは難しいかもしれないということ。M&Aの成約までには数カ月から数年に及ぶこともあります。交渉が長くなるほど手数料の負担は重くなることも考えられるでしょう。

M&A成約までに資金が尽きてしまっては元も子もありません。月額報酬額の手数料費用を捻出できるかどうかの見積もりは重要です。M&A仲介会社が採用する報酬体系には、基本合意に至るまで無料という場合もあります。

相場として考えられる手数料は、M&Aの規模によっても異なりますが、無料~200万円ほどが必要な場合もあるようです。

  • 中間報酬

中間報酬が必要となるのは、基本合意書の締結のタイミングとなります。基本合意書というのは、法的拘束力があるものではなく、M&Aの交渉に向けて前向きであることを確認するための契約書です。

その後で、M&Aが一歩前進したことに対して中間報酬として手数料が発生します。中間報酬の手数料もM&A仲介会社によってさまざまで、無料、100万円ほどの固定報酬、成功報酬の10%~20%を支払うというようなケースが設定されているようです。

なおM&Aが成約に至らなかった場合に、中間報酬は返金されるものではありません。ただしM&A仲介会社によってはM&A成約の成功報酬に充てられる場合もあるので、確認しておくことが大切です。

  • 成功報酬

M&Aが成約したタイミングで発生する仲介手数料のこと。支払う時期は最終契約書が締結された後、又はクロージング後の場合が多くなっています。成功報酬の相場は、報酬基準額に応じた金額をベースにする「レーマン方式」が採用されることが一般的です。

レーマン方式とは?

M&Aによって譲渡される価格は、会社の規模によって異なります。大企業なら金額も高くなり、中小企業なら大企業よりは低くなるものです。もしも一律で成功報酬が決定されてしまうと、中小企業は譲渡で得た金額以上の報酬をM&A仲介会社などに支払わなければなりません。

そこでドイツの経営学者であるレーマンの学説を応用した「成果配分方式」が採用されることになりました。これは譲渡価格によって報酬率が変更され、譲渡価格に左右されることなく、平等な成功報酬が算出される仕組みとなっています。

基準となる報酬基準額は以下の表のとおりです。

基準となる価額(円)乗じる割合(%)
5億円以下の部分5
5億円超10億円以下の部分4
10億円超50億円以下の部分3
50億円超100億円以下の部分2
100億円超の部分1

参照:経済産業省「M&Aガイドライン」

例として基準となる資産の価格が8億円の場合には、

5(億円)×5(%)=2,500万円

3(億円)×4(%)=1,200万円

2500+1200=3,700万円となります。この金額に消費税を上乗せした金額が成功報酬です。

報酬基準額のパターン

成功報酬は、レーマン方式によって算出されるものですが、その際に使用される報酬基準額の決め方は、業者によって異なっています。報酬基準額の料率も重要ですが、報酬基準額が何を基準にしているかによって、以下のパターンがあるので、契約時には、内容を把握することが重要です。

  • 株式価値基準

売手が売却する株式の価値価格をベースに算出するもので、株式の売却額と報酬基準額が同じになるというもの。例えば株式が10億で売却されれば、報酬基準額も10億円になります。

  • オーナー受取基準

株式の売買額に株主などから借りている負債を加算した金額を報酬基準額とすること。例えば、役員や株主からの借入金が1億円あった場合には、その金額もすべて報酬基準額に含まれます。

そのためM&A前には資産を詳細に調べ、会社の負債状況を明確にしておく必要があるといえるでしょう。

  • 企業価値基準

株式の売買額にすべての有利子負債を加算したものを報酬基準とすること。つまり銀行などからの借入金も加算した金額を報酬基準額とすることになるので、オーナー受取基準よりも報酬基準額は高額となります。

銀行からの融資に頼っている場合には、注意しなければならない方式といえるでしょう。

  • 移動総資産基準

株式の売買額とすべての負債を合計した金額を報酬基準額としていること。役員や銀行からの借入金はもちろんのこと、負債には買掛金も含むことになるため、報酬基準額が高額になりやすい傾向にあります。

多額の負債を抱えている場合に移動総資産基準を採用するアドバイザーに依頼すると、高額な成功報酬を請求されることになるでしょう。

成功報酬はレーマン方式の報酬基準額によって算出されることに変わりはありません。しかし報酬基準額には4つのパターンがあり、どの方式を採用するかで成功報酬が大きく変わることがあります。

依頼するアドバイザーを選択する上で軽視できない重要なポイントともいえるものです。自社の負債状況なども把握して最適な仕組みを持つM&Aアドバイザーを見つけてきましょう。

成功報酬で気を付けなければならない点はまだあります。それは「最低報酬」が決められていること。例えば大手アドバイザーなら3,000万円、中堅のアドバイザーでも1,000万円、小規模なアドバイサーでも300万円というようにそれぞれのM&A仲介会社によって最低報酬が設定されていることを知っておくと良いでしょう。

売却額が最低報酬に満たない場合でも、決められている最低報酬を支払わなければなりません。会社の売却よりも手数料である成功報酬の方が高額になるかもしれないということにも注意してください。

成功報酬の相場は売却額の3~5%となっていますが、最低手数料があることを理解する必要があるでしょう。

  • デューテリジェンス費用

買収を行う際には、買収対象企業の抱えるリスクを把握する必要があります。リスクには財務だけでなく法務、経営、労務など様々なものが挙げられるため、弁護士、公認会計士、税理士といった外部の専門家に調査を依頼することも重要です。

外部専門家は登記簿謄本、貯金の財務諸表、株主構成や資本政策表などの情報を元に分析を行い、売手の現状やリスクなどを明らかにしていきます。デューテリジェンスの費用は、案件によっても大きく変動するものです。

どの部分のデューテリジェンスを外注するかによっても異なりますが、中小企業で法務、会計、税務を依頼した場合は、数十万円~数百万円かかることが多いでしょう。

  • そのほかの費用

業務を遂行する上で必要になる費用には、出張費などの実費なども必要です。

M&Aで最も大きなウェイトを占める仲介手数料について説明してきましたが、必要となる費用は他にもあります。

  • 税金

会社や事業を売却すると売手には税金を支払わなければなりません。税金に種類や金額などは、M&Aの手法によって異なります。例えば、株式譲渡でかかる税金を大まかに説明すると、譲渡所得は売却代金から取得費や譲渡費用を差し引いたものとなり、税金は譲渡所得に20.315%かけた金額です。

  • 買収費用

買手企業は売手に買収費用を支払う必要があります。買収費用は企業価値を算定したものや、デューテリジェンスを基準に決定されるものです。買収費用の相場は時価純資産に営業利益の3~5年分を足した金額となっています。

  • 株券発行費

売手にかかる費用のひとつに、「株券発行費」がかかることも。これはあまり知られていないかもしれませんが、自社の株式を発行する際に必要になる費用です。定款で株式の発行が必要と定められている場合には、印刷所に依頼することになるでしょう。相場としては、1~10万円前後となっています。

M&A仲介会社のメリット・デメリットは?

M&A仲介会社を使用するメリット・デメリットをご紹介しておきましょう。

M&A仲介会社へ依頼するメリット

スケジュールの計画と戦略

M&A仲介会社が最初に行うことは、M&Aに向けたスケジュールを計画することから始まります。売却の時期や、さまざまな工程に関して要望に合わせた調整を行うことができるでしょう。M&Aに要する期間はおおよそ半年、長くて1年かかることを見越した予定となります。

M&A仲介会社を使用することで、全ての行程をなるべくスピーディーにまた、納得のいく結果を得るためのスケジューリングが可能となります。過去の事例や情報を元に自社の弱みや強みなどを再認識することができ、しっかりとした戦略を立てることができるでしょう。

売却先の選定

自社が求める相手先のイメージをつたえることで、条件に合わせたアドバイスや、企業の提案を受けることもできます。M&A仲介会社の持つ広いネットワークを利用してかかわりの薄い異業種とのM&Aを成功させることも可能です。

条件の交渉

交渉において買い手は低価格での購入を実現するため、リスクの低い企業を選択したいと考えます。買い手企業からの条件提示で、この条件でなければ交渉しないといった場合に、圧倒的に不利益なのは売手です。

そういった場合にも、M&A仲介会社では売手の立場に立った交渉を進めることができます。買い手に対して売り手の要望の伝え方や、妥協すべき条件がどこにあるのかなどを、的確に判断することができるでしょう。

専門家の紹介

顧問弁護士がいない場合やデューテリジェンスを行う際には、さまざまな専門家の力を借りる必要があります。M&A仲介会社からM&Aの専門知識の深い専門家を紹介することは可能です。

M&A仲介会社に依頼するデメリット

利益相反取引

M&Aで売り手の企業は会社を譲渡することになるため、一度限りのお客様といえます。反対に買い手企業は存続していくので、リピーターになる可能性も高まるでしょう。そのため、買い手に有利となる交渉を進めることもあるといわれます。

返金されない手数料

M&Aの仲介手数料には、さまざまなものがあることはお伝えした通りです。その中でも着手金や中間金といった手数料は、M&Aが中止となった時にも返金されるお金ではないことを覚えておきましょう。

高額な仲介手数料が発生する恐れも

M&A仲介会社の中には仲介手数料に含まれる多くの費用について完全成功報酬を謳っているところもあります。しかし中には認識できない手数料を報酬金額に含んで請求する悪質な業者もいるようです。契約の内容は、全て確認しておくことをおすすめします。

中小企業経営者がM&Aを実際に行って感じたこととは?

M&Aを実際に行った、売手と買手双方の中小企業の経営者たちの声をご紹介していきましょう。

売り手事例

製造業<従業員数:約80名>

取引先銀行にM&Aを相談。専門チームの派遣により他県同業者と交渉を進めることになった。交渉完了を目前に想定を上回る手数料を請求されることに。最終的に請求額の半額で折り合い、破談は避けることができた。体験をもとに、仲介手数料の負担に躊躇している経営者が多いのではないかと思っている。

製造販売業<従業員数:約40名>

事業存続のためM&A専門業者へ相談。業者から提示された企業価値が明らかに低いと感じたものの、自社の正当な価値が判断できないまま契約が進むことに。業者は効率性を重視しているように感じる。

デューテリジェンスに基づく譲渡価格は、大幅な減額。工場の敷地や建物等の評価も下げられていた。納得できない旨を伝えたところ、「評価に反論する場合は損害賠償請求を受ける可能性がある」といわれ、泣く泣く契約書にサインすることになってしまった。

買い手事例

卸売販売業<売上高:約80億円 従業員数:約100名>

顧問税理士、会計士の支援の元同業他社をM&Aで取得。交渉の過程で明らかになっていなかった設備の買い替えが必要となり、想定外の負担となる。

M&Aの実行にはデューテリジェンスが重要な要素となるが、資料の提示がなければチェックのしようがなく、経営者の理解不足は問題だと感じた。

製造業<売上高:約60億円 従業員数:約300名>

初めにいくつかのM&A専門業者と相談したが、条件がまとまらず難航。時間を要した。

業者選定後、M&Aの実行により交渉が成立。しかし譲渡後に売り上げの大半が期待していた事業によるものではないことが判明した。

M&A専門業者にデューテリジェンスの課程で譲渡企業の事業内容が把握できなかったのかと質問したところ、「聞かれなかったので答えなかった」との回答だった。M&Aの実行にはM&A仲介会社とのコミュニケーションを密にして、自社の考えを明確に伝えないと上手くいかないことを実感した。

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331001/20200331001-1.pdf

経済産業省:「中小M&Aガイドライン」より抜粋

M&A専門業者を選ぶポイントは?

専門業者のタイプ

M&A専門業者には、大きく分けて以下のタイプに分けることができます。専門業者の中でもタイプがあるので、自社がどのような専門業者と契約すると良いかのかを見分けるポイントになるかもしれません。

仲介型

専門業者のM&Aを取り扱うほとんどが、仲介型といえるでしょう。仲介型は、売手と買手の双方と契約を行い、交渉の仲介を行い契約に向けた役割を果たします。成約に結びつきやすいとされる反面、売手にとっては価格で妥協しなければならないケースも多くなっているようです。

アドバイサリー型

FA(ファイナンシャルアドバイザー)がM&Aを行います。仲介型とは異なり売り手か買い手の一方を担当し、担当側の利益を追求して交渉を進めていくものです。大手企業や上場企業の顧問弁護士などがこのパターンになります。

業界特化型

特定の業界での実績が高いM&A仲介会社のこと。例えば、クリニックや調剤薬局、介護などに特化した実績があることを最大の売りとしてM&Aを行います。業界によってM&Aの内容が大きく変わるということはありませんが、特化した業界に対しての知識が豊富であるといえるでしょう。

エリア特化型

特定の地方を中心にM&Aを行うM&A仲介会社のことです。全国に支社を持つM&A仲介会社とは異なり、地方の地場産業や地域経済に特化した知識が強みといえるでしょう。そのため業種としてはマイナーな案件にも対応できるケースもあるようです。

M&A仲介会社のタイプを理解したうえで、どのようなM&A仲介会社を選択すればよいかのポイントをご紹介していきます。

報酬体系

完全成功報酬型を採用しているM&A仲介会社を選択するのは無難といえるでしょう。完全成功報酬型というのは、最終契約を結ぶときに初めて仲介手数料である費用の支払いが発生するという方式のこと。

金銭的なリスクはなるべく避けたいものです。着手金や中間報酬といった手数料の支払いは、M&Aが成約に至らなくても支払い義務が生じます。そのため報酬体系を確認して、自社の予算に見合っているかを確認することは重要となるでしょう。

実績

自社と同規模のM&A実績に着目してください。M&Aは規模によって必要な知識やスキル情報などが異なっています。上場企業や大企業の実績が豊富だからといって、中小企業のM&Aも安心できるということにはなりません。

ホームページに掲載されている実績は一例にすぎず、明確な情報とはいえない部分もあります。具体的な実績は、相談で顔を合わせたときに尋ねてみて、選択肢のひとつになるでしょう。

交渉力と情報量

M&A仲介会社に求めるべきものは、交渉力や情報量です。また仕事においては機敏性も重要です。しかしこれらはサイトを眺めていても判断できないため、実際に担当者と会った際に確かめるポイントになります。

専任の担当者がいる

専任の担当者が付いてくれると、何事もスピーディーに運ぶことが多いでしょう。もちろん担当者の能力にも大きく左右されるところはあります。しかし失敗することが許されないM&Aでは、専門の業者や専任の担当者による迅速な対応は不可欠です。

専門家の有無

M&A仲介会社に専門家が在籍しているかの確認をしておくと良いでしょう。M&A仲介は専門家との連帯によって実務を遂行していきます。そのため専門知識は不可欠。社内に在籍しているM&A仲介会社は多いわけではありません。

専門家が在籍していることで、知識を必要とする問題に対してスピードを持って対処することができます。交渉の場に同席してもらうことも可能となり、M&Aを成功させる力強い後ろ盾になってくれるでしょう。

M&A支援機関一覧

M&Aを支援している機関は、M&A専門業者、金融機関、商工団体、士業専門家、M&Aプラットフォーマーなどが挙げられます。それぞれの機関の特徴を詳しく解説してまいりましょう。

M&A仲介会社

M&A総合アドバイザーズ

M&A総合アドバイザーズはM&Aの実務に精通したM&Aコンサルタント 、M&A弁護士、M&A公認会計士、M&A税理士などで構成されているM&A仲介会社です。独自のネットワークや情報を基に、数多いM&Aの成功を実現してきました。

M&A仲介会社には規制がないため、専門知識を持たずに運営しているところもあります。M&A総合アドバイザーズは、M&A総合法律事務所グループで、大手法律事務所出身の弁護士や大手監査法人出身の公認会計士が対応しているので安心して依頼することができるのではないでしょうか。

また各種金融機関、倒産専門弁護士や税理士、社会保険労務士、中小企業診断士、事業再生士、経営コンサルタントなどとネットワークを構築。情報を集約して、幅広い相談に対応可能です。

M&Aのサポート業としては買主、売主候補企業の紹介、M&A価格の査定、スキームの提案、デューテリジェンス、基本合意書作成、条件交渉、最終契約書、クロージング、適時開示、プレスリリースまでM&Aに関わる一連の業務を行っています。

M&A総合アドバイザーズでは、会社売却成立まで手数料が発生しない完全成功報酬制を導入しており、着手金、中間手数料、リテイナーフィーなどの手数料はかかりません。ご相談を利用して多くの選択肢と解決方法を見つけてみてはいかがでしょうか。

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社

2005年に設立された「東証一部上場」のM&A仲介会社です。中堅や中小企業のM&Aに力を入れており、事業継承や企業買収を検討している企業をサポートすることをメインにしています。

専門コンサルタントが専任で一貫して担当。大手のM&A仲介会社では、段階ごとに担当が分かれていることも少なくありません。担当者が変わるたびに新たなやり取りをしていくことは、意思の疎通を図ることが難しいものです。初期段階から最終契約まで同じ担当者なので不安がありません。

また着手金やリテイナーフィーなどの手数料は必要なく、中間報酬と成功報酬のみとなっています。大手企業と30年に渡りM&Aを実施してきた『株式会社レフコ』と経営統合を行い、現在は「東証一部上場」を果たす信頼性の高いM&A仲介会社です。

日本M&Aセンター

全国の公認会計士、税理士が共同出資して創設された中堅、中小企業のM&A支援・仲介企業。1991年に設立され、「友好的なM&A支援」を掲げてきました。会計事務所をはじめとする地域金融機関、商工会議所、証券会社から情報を収集するプラットフォームを構築しています。

これらの情報には非公開情報も多く、さまざまな情報を基に確認することのできる仕組みを整えていることは大きな強みです。事業継承の分野に長けており、成約までの時間の短さや、満足のいくM&Aができたという評価もあります。

仲介手数料は着手金、中間報酬、成功報酬がかかりますが、成約実績の多さにも表れているように信頼を得ているM&A仲介会社といえるでしょう。

M&A総合研究所

2018年に設立された新しいM&A仲介会社です。独自の強みを持ち顧客満足度の高い、高品質のサービスを提供しています。まずは成約までのスピードの早さに定評があり、通常平均10カ月の成約が一般的なことに対し、手続きの無駄を徹底的に省いたシステムを採用。

成約まで最短3か月という早さを実現しています。またアドバイザーのフルサポートを受けることが可能となっており、クロージングまで専任アドバイザーが担当。報酬体系は、譲渡企業のみ完全成功報酬を採用しています。

更に独自のAIシステムを採用し、優れたマッチング精度を誇っている点も大きな特徴の一つです。

金融機関

銀行はM&Aに積極的かどうかは分かりませんが、取引をしているメインバンクであれば、相談がしやすいものです。銀行などの金融機関がM&Aでどのような役割をしているかといえば、買い手の資金不足に対する資金の調達支援、資金の融資、アドバイザリーなどを行います。

金融機関は融資を業務としていることから、買い手に融資をする場合などは安い価格でM&Aを行うため、利益相反が起こる可能性もあることに注意が必要です。

商工団体

商工会議所は商工業の改善や発展を目的としている、非営利の公益経済団体のこと。地域の中小企業をはじめ個人事業者にM&Aの無料相談を行っています。会員制の商工会議所は会員同士のつながりが強く、情報共有の場としても活用できることは大きな利点です。

M&Aや事業承継支援を無料で行っていますが、会員になるためには年会費が必要になる点はデメリットといえるかもしれません。

士業専門家

弁護士をはじめ税理士、公認会計士などの専門分野を持つ士業が行うM&Aのことを言います。このサイトを運営しているM&A総合法律事務所もそのひとつ。M&Aをはじめとする事業継承、M&Aトラブル、はもちろんのこと法律全般を取り扱ってきました。

現在M&A総合法律事務所では、M&Aに特化した「M&A総合アドバイザーズ」をグループに持ち、M&Aの実現に向けてサポートを行っています。建設業をメインに、さまざまな業種に対応。経験豊富な弁護士に相談できることは、安心材料の一つになるのではないでしょうか。

事業引継センター

事業引継センターは全国47カ所にある中小企業庁管轄の公的機関です。後継者がいない中小企業の事業引継ぎを支援。相談後に事業承継が必要だと判断されれば、『中小企業基盤整備機構(中小機構)』が所有している事業引継ぎデータベースに登録され、M&Aを進めていくことになります。

民間に相談する場合よりも、仲介手数料などの費用を抑えることができるのは大きな特徴といえるでしょう。

M&Aプラットフォーマー

インターネットを活用した売手と買手をマッチングさせるサービスのことです。売り手と買い手が、それぞれにインターネット上のシステムに登録することによって、マッチングが行われるというもの。

経済産業省が公表している「中小M&Aガイドライン」にも明記されており、M&Aの手続きを低コストで実現する支援ツールに位置づけられています。そのため小規模な事業者でも使用でき、M&Aの可能性を広げているといえるでしょう。

しかし、さまざまなプラットフォームが立ち上がっているため、利用するプラットフォームの選択には十分注意が必要です。

今まで出会うことのなかった企業とのマッチングは、新たな形として誕生しました。今では大きく注目を集めています。代表する企業には『バトンズ』、『ビズリサーチ・サクシード』などが挙げられるでしょう。

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まとめ

M&AのM&A仲介会社にはさまざまな種類やタイプがあるため、どこに相談すべきかを見極めることは大変難しいものです。自社の目的や方向性、さらには仲介手数料の発生などもあるため、予算も考慮する必要があるでしょう。

注意点は多岐にわたるため、自分の目で確かめて選択することが重要です。また、どこに依頼するかによって結果が大きく変わることも事実なので、慎重に選択することをおすすめします。

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