優越的地位の濫用・下請法違反!公正取引委員会に告発!

下請取引とは「規模の大きな会社から小さな会社へ物の製造や納品など仕事を委託すること」です。下請取引においては立場の弱い小さな会社が規模の大きな会社に無理な条件をつけられること、つまり「いじめられること」を防ぐため、下請法において違反行為が定められています。

中小企業が大きな会社(親事業者)の下請仕事をする場合、親事業者どのようなことが違反行為になるのでしょうか。下請法の違反行為や違反されて中小企業側が困ったときの対処法について弁護士が解説します。

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下請法とはどのような法律か?

下請法とは親事業者に仕事(下請)の取引をする下請業者の利益を保護するための法律になります。正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」といい、独占禁止法を補完する法律として制定されました。

下請取引の場合、どうしても親事業者側が優位に立ち、下請業者側が弱い立場になってしまいます。そのため、親事業者側が代金の支払いや取引の内容について自分の側の都合だけで条件をつけ下請業者を悩ませることが少なくありません。

親事業者に対して下請業者はどうしても弱い立場になってしまいます。不当な条件や内容を強要されても文句をつけることは難しいのが実情です。親事業者側に何か言うと契約を切られてしまい会社に打撃を受ける可能性があるからです。不利益な条件を押し付けられても何も言えず我慢するケースも珍しくありません。

下請業者の利益を守るために、親事業者という優位的な立場にある会社からの不当な扱いは禁止されています。

下請法の対象になる取引とは

下請法の対象になるのは幅広い親事業者と下請業者の取引です。

製造や商品の納品などだけでなく、デザインやメンテナンス、修理、コンテンツの作成などが下請法の対象になる取引になります。

かなり広い分野が対象になりますので、自社と親事業者の取引が対象になるか判断が難しい場合は弁護士に確認を取るといいでしょう。

親事業者には下請法上の義務がある

親事業者は下請業者に仕事をお願いするにあたって以下の4つの義務を負うことになっています。

・発注時は書面を作成し下請業者に渡す義務

・仕事をお願いするときに代金の支払期日を決める義務

・下請業者への発注を記録し記録簿を2年間保存する義務

・代金支払いが遅れたら遅延損害金を支払う義務

親事業者は下請業者への支払いなどについて定めなければいけません。親事業者だからといってただ「仕事をして欲しい」だけではいけないということです。その上で発注時の書面には受領日や受領場所、代金の額や支払期日などを明記しなければならないルールです。

また、代金の額や支払い時期を決めたからには、親事業者はしっかり期日通りに決めた金額を支払わなければいけません。期日は納品から60日以内の期間でかつなるべく短い期間を定める必要があります。仮に支払いが遅れた場合は60日経過後から実際に代金が支払われた日まで遅延損害金を払わなければいけません。

遅延損害金は年率14.6%と支払代金の額で計算します。

このように親事業者は下請業者が不利益を被らないよう義務を負っているわけです。この他に、下請法では下請業者を守るために親事業者がしてはいけない違反行為を定めています。

下請法で禁止される親事業者の違反行為

下請法では親事業者が下請業者の利益を害することは禁止されています。具体的には以下のような親事業者の行為が違反行為として取り締まりや罰則の対象になっています。

ケース①商品の一方的な返品や受領拒否など

親事業者側が一方的な理由で商品の受け取りを拒否したり、返品したりすることは違反行為に該当します。

たとえば、親事業者側のミスで本来は10個のところ100個発注してしまいました。親事業者側は自分のミスを棚に上げて「100個もいらないから」と受領を拒否します。

また、あるいは、10個注文して10個納品したところ、親事業者の顧客の都合で注文がキャンセルになり、親事業者側は「キャンセルになったからいらない」と受領拒否します。これはあくまで親事業者側の都合やミスですから、下請業者に転化するのは不当な利益侵害ではないでしょうか。

この他に親事業者の一方的な理由で返品はできません。

親事業者が100個発注したのに、売り場面積の縮小が急に決まって「100個も置けない」となりました。これは親事業者の事情です。このような一方的な親事業者側の事業により返品することも違反行為に該当する可能性があります。親事業者が「売れ残った」などの理由をつけて行う返品も同様です。

なお、不良品があった場合の返品はこの限りではありません。不良品については6カ月以内という期間内に限り返品が可能になっています。

ケース②契約した金額から減額する

親事業者と下請業者で契約を結んで下請業者は契約に沿って納品しました。しかし親事業者は「新型コロナで苦しいから」「原価が下がっているはずだから」などの理由をつけて一方的に減額を決めました。支払いも減額した代金を一方的に支払われたという結果です。

親事業者の都合で勝手に減額したり、立場を利用して減額を強要したりすることは違反行為です。いかなる理由があっても、親事業者が一方的な理由で下請業者への支払いを減額することは禁止されています。

ケース③代金の支払いを遅延する

下請業者Aは親事業者と4月末日に取引分の支払いを受けるという契約を結んでいました。しかし、約束の4月末日になっても親事業者は払ってくれません。親事業者の方は「手続きが遅れているから」と言います。

下請業者Aは親事業者に対して立場が弱いため、支払いが遅延して困るにも関わらず強く出ることができませんでした。親事業者側の個人的な理由で支払いを遅延することは基本的に違反行為になります。

すでにお話しした通り、代金の支払いは親事業者が品物などを受領してから60日以内です。基本的に支払いは60日以内でなければいけませんが、仮に支払いが遅れた場合は遅延損害金も払わなければいけません。

ケース④物品の購入やサービス契約を要求する

親事業者側が立場を利用して下請業者側に自社製品の購入やサービスの加入を迫ることは違反行為です。

たとえば、親事業者が「取引はお互い様。下請仕事を回す代わりにこちらの商品も買ってもらわないと困る」と伝えたとします。下請業者の従業員は取引を存続させるために、ほぼ強制的に商品を買わなければならない状況に追い込まれます。このようなケースは違反行為に該当します。

また、商品だけでなくサービスも同じです。親事業者が正当な理由もないのに下請業者に自社サービスへの加入を迫ることなども違反行為になります。

ケース⑤手伝いを求めたり利益を提供させたりする

契約内容にない親事業者の業務の手伝いを下請業者にさせることは違反にあたります。

たとえば親事業者が夏のお盆期間にセールを開催することになりました。人手が足りない、そして新規に人を雇い入れたくないなどの理由から、商品を仕入れている下請業者に言いつけて社員に手伝いに来させる等の行為は違反です。本来は下請業者がやらなくていいことを親事業者がさせているからです。

親事業者が取引とは関係ない利益を要求することも違反行為になります。たとえば鉛筆100本を納品する契約なのに、「ついでに消しゴム100個も無償でつけてくれ」「鉛筆の製法の図面も無償で渡してくれ」などの利益や物を求めることは許されません。

ケース⑥下請業者に報復措置をする

下請業者は親事業者の代金支払い遅延や親事業者の一存での減額などに困っていました。しかし、親事業者には面と向かって言えません。そこで下請業者は公正取引委員会に告発することにしました。しかし告発後、報復として親事業者から取引を切られてしまいました。

公正取引委員会や中小企業庁などに下請業者が告発などを行ったことを理由に取引をやめたり、取引数を減らしたりすることは違反行為です。

ケース⑦契約の代金を一方的に決める

親事業者が「安売りしたいから」などの事情で下請業者に一方的に安い価格で納品させようとすることは違反行為に該当します。

たとえば、大量注文だと安くなる商品があったとします。親事業者が少数の購入を求めたときに大量注文用の価格で売ることを求めた場合は違反行為に該当する可能性があるのです。

代金は事前に親事業者と下請業者の間で決める必要があります。決めるときに圧力をかけて一方的に安くさせたり、決めた代金を親事業者側の一方的な事情で減額させたりすることはできません。

ケース⑧一方的な理由で仕事のやり直し・変更をさせる

合理的な理由もなく下請業者に仕事のやり直しをさせるのは違反行為です。

たとえば、当初の仕事内容を親事業者の都合で勝手に変更しました。下請業者は当初の契約内容通り仕事をしましたが、親事業者の一方的な変更に沿っていないという理由でやり直しをさせられました。

親事業者が自己都合で当初の仕事内容を変えたような場合は、仕事のやり直しや変更を求めることは下請業者の不利益になります。よって、違反行為に該当するわけです。

ケース⑨材料代金の早期決済を迫ること

下請業者が商品を製造する際は親事業者が有償で材料を提供するケースがあります。親事業者が下請業者との取引代金を支払うより早く材料代を回収しようとすることは違反行為です。

たとえば下請業者は親事業者から部品を買って商品を製造していたとします。親事業者から部品を仕入れて商品の製造の取りかかったところ、親事業者からすぐに部品代金の決済を求められました。このようなケースは違反行為になります。

ケース⑩割引が困難な手形で下請代金を支払う

下請業者への支払いを手形で行うこと自体は問題ありません。しかしその手形が割引困難なものであれば違反行為にあたります。

下請業者に支払う手形は長期の手形(120日超。繊維業のみ90日超)であってはいけません。

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下請法違反があった場合の対処法

親事業者が下請法に違反している可能性がある場合はふたつの対処法があります。

公正取引委員会や公正取引委員会などに告発する

公正取引委員会などは会社の取引を監視する組織です。中小企業庁も中小企業の発展や育成のための組織なので、それぞれの組織に対して親事業者がルール違反をしていることを告発するという方法があります。

告発があると公正取引委員会などが必要に応じて取引記録のチェックや立入検査など、違反行為について確認を行います。仮に違反行為があったと判断すれば親事業者への勧告や再発防止措置の指示などを行うという流れです。

親事業者に虚偽報告や書類の保存を怠っていたなどの行為があれば、最大で50万円の罰金が科せられることになります。検査などを妨害しても同じです。なお、親事業者に勧告があった場合はルール違反があったことが公開される仕組みになっています。

弁護士に親事業者の違反行為について相談する

親事業者がルール違反をしている可能性がある場合や、公正取引委員会などへの告発を考えている場合は、まずは弁護士に相談するという方法もあります。

弁護士に相談することで下請法の違反行為に該当するか判断できます。

中小企業の代表が公正取引委員会などに告発することは勇気が必要なはずです。告発は敷居が高いと感じ二の足を踏むことも少なくありません。弁護士に相談することで適切なタイミングで告発に踏み切れ、告発のサポートを受けることも可能です。

最後に

親事業者との取引に困っている場合は下請法の違反行為に該当するか判断するためにも、まずは弁護士に相談してください。公正取引委員会への告発などの対処法がありますので、ケースに合わせて適切に対処することが重要です。

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