事業譲渡契約書の逐条解説 引継ぎ義務
弁護士法人M&A総合法律事務所のM&A契約書類のフォーマットはメガバンクや大手M&A会社においても、頻繁に使用されています。
ここに弁護士法人M&A総合法律事務所の事業譲渡契約書のフォーマットを掲載しています。
M&Aを検討中の経営者の皆様でしたらご自由にご利用いただいて問題ございません。
ただし、M&A案件は個別具体的であり、このまま使用すると事故が起きるものと思われ、実際のM&A案件の際には、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。
また、このフォーマットは弁護士法人M&A総合法律事務所のフォーマットのうちもっとも簡潔化させたフォーマットですので、実際のM&A取引において、これより内容の薄いDRAFTが出てきた場合は、なにか重要な欠落があると考えてよいと思われますので、やはり、実際のM&A案件の際には、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。
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なお、詳細な解説につきましては、以下の弊所書籍「事業承継M&Aの実務」をご覧ください。
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事業譲渡契約書の逐条解説 引継ぎ義務
■■■第15条■■■■■■■■■■
第15条は、売主の引継ぎ義務に関する遵守条項である。 事業承継M&Aにおいて、売主は、対象事業の業務の引継ぎに協力する義務が規定されることが一般的である。 (1)引継ぎ義務について事業承継M&Aにおいては、対象事業はまさに売主やそのオーナー個人とイコールであることも多く、売主やオーナーでなければ業務遂行することができないことも多く存在する。また、突然、売主やオーナーが対象事業からいなくなってしまい業務遂行にも関与しないということになれば、対象事業の事業運営の混乱は必至である。また、対象事業の従業員の見地からも、売主やオーナーが対象事業からいなくなってしまうことは非常に大きな事件となる。売主やオーナーが採用した従業員ばかりとも思われ、売主やオーナーがいなくなったら、退職する従業員が続出する可能性もある。事業承継M&Aにおいては、新オーナーである買主に忠誠心の低い従業員が、問題を起こすこともある。売主やオーナーが対象事業からいなくなってしまうと突然、従業員のモラールが低下し、効率的な業務運営がなされなくなる可能性もある。その場合、対象事業の事業価値は著ししく低下することとなり、買主が対象事業を買収する前提が崩れてしまう。 したがって、買主としては、事業承継M&Aに際し、売主に対して、事業の引継ぎ義務について遵守して頂く必要がある。 (2)顧問契約について事業譲渡契約書では、通常、売主に対して、当面の間の、業務の引継ぎ協力義務を規定することが多く、また、単に業務の引継ぎ協力義務とするのではなく、売主やオーナーは、当面の間、買主と顧問契約を締結して顧問として、買主から顧問料を支払いつつ、業務運営の引継ぎ協力を行って頂くとする建て付けにすることも多くある。 売主やオーナーが、対象事業を譲渡したのち、無償でまともに業務の引継ぎに協力して頂けるとはなかなか思えない。事業承継M&Aにおいて、買主としては、売主やオーナーと顧問契約を締結して、有償でもよいので、なんとか業務の引継ぎを円滑に行いたいという思いが強い。すなわち、買主としては、業務の引継ぎがうまくゆかずに、対象事業の事業価値を毀損してしまっては、M&Aの前提が崩れてしまうため、このような方法により事業価値の維持を図っているのである。 |