公租公課の表明保証|株式譲渡契約書を逐条解説!

  • 2019年5月13日
  • 2024年11月6日
  • M&A

株式譲渡契約書の逐条解説 公租公課の表明保証

弁護士法人M&A総合法律事務所のM&A契約書類のフォーマットはメガバンクや大手M&A会社においても、頻繁に使用されています。
ここに弁護士法人M&A総合法律事務所の株式譲渡契約書のフォーマットを掲載しています。
M&Aを検討中の経営者の皆様でしたらご自由にご利用いただいて問題ございません。
ただし、M&A案件は個別具体的であり、このまま使用すると事故が起きるものと思われ、実際のM&A案件の際には、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。
また、このフォーマットは弁護士法人M&A総合法律事務所のフォーマットのうちもっとも簡潔化させたフォーマットですので、実際のM&A取引において、これより内容の薄いDRAFTが出てきた場合は、なにか重要な欠落があると考えてよいと思われますので、やはり、実際のM&A案件の際には、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。

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なお、詳細な解説につきましては、以下の弊所書籍「事業承継M&Aの実務」をご覧ください。

株式譲渡契約書の逐条解説 公租公課の表明保証

■■■別紙1第3第14号■■■■■■■■■■

14.         公租公課

対象会社は、税務当局に対して適時必要な税務申告書を提出しており、公租公課は適時に全額支払われている。また、公租公課の更正決定、賦課決定その他対象会社が支払うべき金額を増加させる税務当局の処分の原因となる事由は存在しない。

第14号は、公租公課の未払の不存在に関する表明保証である。

公租公課を適時に支払っていることについて

公租公課とは、法人税や消費税などの国税や地方税などと、租税以外の公的な負担である健康保険料や社会保険料などを指すが、これらに限らない。

事業承継M&Aの対象会社において、未払の公租公課が存在していることがあり、そのような未払の公租公課が存在している場合、対象会社の企業価値を毀損することとなり、買主の想定する株式譲渡価格の前提を崩すこととなる。

したがって、事業承継M&Aにおいては、買主としては、売主に対して、対象会社に公租公課の未払の不存在に関する表明保証をして頂く必要がある。

公租公課の増加要因がないことについて

この点、対象会社において、税務当局に、過去、提出した税務申告書に基づく公租公課に未払がある場合、買主としては、損失について、売主に、賠償又は保証して頂くことを求めることになるが、そうではなく、過去、提出した税務申告書に虚偽などがあり、その結果、対象会社が潜在的に未払の公租公課を有している場合についても、買主としては、損失について、売主に、賠償又は保証して頂くことを求めることになる。

また、対象会社が税務申告書を提出し、公租公課を適時に支払ったとしても、その後、事業承継M&Aのクロージングまでに相当の期間が経過し、対象会社において、従前からの未払の公租公課が発生するような税務処理が継続していた場合、仮に、クロージング後に適切に税務申告書を提出し、公租公課を適時に支払ったら、対象会社が支払うべき金額が増加するのであり、そのような場合においても、買主としては、不足することとなる公租公課について、損失として、売主に、賠償又は保証して頂くことを求める必要がある。

固定資産税・都市計画税などの賦課税の不足について

また、公租公課には、法人税や消費税などのような申告税のほかに、固定資産税・都市計画税などの賦課税が存在する。法人税や消費税などの申告税について、公租公課の未払が発生しうるが、固定資産税・都市計画税などの賦課税にも、公租公課の未払が発生しうる。

すなわち、固定資産税・都市計画税については、固定資産の所有者に賦課される公租公課であり、市区町村が税額を計算し、納税義務者に納税額を通知し、納税者はそれに基づき税額を納付する。

基本的に、市区町村が通知した納税額を支払っていれば、公租公課の未払いは発生しないのであるが、この市区町村が通知した納税額が誤っていることがまま存在する。

市区町村が通知した納税額が、本来の納税額よりも高額になっているのであれば、それは、過払い固定資産税・都市計画税の問題となり、過払い固定資産税・都市計画税の還付の問題となるのであり、対象会社の企業価値を毀損するものではない。

他方、市区町村が通知した納税額が、本来の納税額よりも低額になっているのであれば、それは、公租公課の未払いであり、対象会社の企業価値を毀損することとなり、買主の想定する株式譲渡価格の前提を崩すこととなる。

市区町村も、通知した納税額が、過払い固定資産税・都市計画税の還付の問題となることは、担当者の責任問題となることもあり、可及的に避けたいため、固定資産税・都市計画税は、通知した納税額が高額になっていることは少なく、市区町村が過払い固定資産税・都市計画税の還付の問題となることを避けようとした結果なのか、必要以上に低額になっていることがままある。

例えば、建物の区分が真実は鉄筋コンクリートであるにも拘らず、木造となっていたり、事務所や居所であるにも拘らず、多数の来客があり償却の早い商業施設と分類されていた利することがある。また、違法建築など、建築確認申請をしていない結果、固定資産税・都市計画税を全く課税されていない建物も存在する。また、改築後、大きな建物に建て替わっているのに、改築前の小さな建物のままの床面積のこともある。

償却資産税の未申告について

固定資産税の一種である償却資産税(土地や家屋だけではなく、機械や備品など、いわゆる償却資産に課される固定資産税)は、賦課税ではなく、申告税であるものの、そもそも、事業承継M&Aの対象会社によっては、申告すらしていないこともあり、潜在的な未払の公租公課となっていることがある。

このような場合は、対象会社に、潜在的ではあるものの、未払の公租公課が存在しているということとなるため、買主としては、株式譲渡価格から減額するか、及び/又は売主に、未払の公租公課の不存在に関する表明保証をして頂く必要がある。

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