M&A会社売却のメリット・デメリット!

  • 2020年3月6日
  • 2024年10月8日
  • M&A

自社を経営していたものの、様々な事情から会社を売却することになった経営者の方は多いのではないでしょうか?会社を売る場合、お金を払ってすぐに完了するわけではありません。

この記事では、M&Aで会社を売却するときに準備することとM&A会社売却のメリットとデメリットについて解説します。

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M&A会社売却のメリット・デメリットを確認

まずは、M&A会社売却を行う際のメリットとデメリットについて解説します。M&A会社売却によって得られるメリットも多数ありあますが、それ以上にM&A会社売却に伴うデメリットを把握しておかないとM&A会社売却後に大変な思いをすることになってしまいます。どのようなものなのか確認していきましょう。

 M&A会社売却のメリット

M&A会社売却のメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

  • 後継者問題を解決できる
  • 従業員の雇用を守ることができる
  • いらない事業を売却することができる

それぞれについて解説していきます。

後継者問題を解決できる

中小企業の中には、後継者がおらず悩んでいるところは少なくないのではないでしょうか。例えば、一代で会社を築き上げた会社で、従業員が少なく、代表に後を継いでくれる子供がいない会社などが挙げられます。会社を引っ張っていくリーダーがいないと、事業がうまくいかずに経営が悪くなってしまう可能性が十分にあります。

そのような状況でM&A会社売却を行い経営権を売却先の企業に移行させることで経営者問題を解決することができます。もし売却先が大企業であれば、経営が安定しているため、事業を安心して引き継いでもらうことができます。まあ、大企業は人材が豊富で優秀な人も多いため、売却後に事業を引っ張ってくれる人も見つかるでしょう。「もしかしたら廃業しなければいけないかも」という状態でも解決できる可能性があるのが売却のメリットの1つです。

従業員の雇用を守ることができる

会社の経営が続けられるかどうかわからないような場合、会社を売却することで従業員を解雇しなくて済む可能性があります。会社売却の場合、基本的に福利厚生や給料は売却先の企業の形に合わせるのが基本です。そのため、もし大企業に売却することができれば、従業員の雇用が安定するため、従業員やその家族の生活を守ることができます。もし売却先が大企業でなくても、経営が安定している会社であれば、同じようなことが期待できます。

企業によって状況は異なりますが、ベンチャー企業の場合、利益が安定していない状態でありそのような中で人件費を捻出するのは非常に難しい問題です。従業員を守るという意味では、売却を行うことも1つの選択肢になるはずです。場合によっては、売却前よりも給料や福利厚生が改善される可能性もあります。

いらない事業を売却することができる

会社全部を売却するのではなく、一部の事業だけを売却する場合もあります。もしその事業が会社に対してあまり利益を生み出さないものだとしたら、売却によって手放すことができます。いらない事業を手放すと、それまでその事業に割いていた人材やコスト、設備など様々なリソースを他の事業で活用することが可能になります。そうすれば、会社としてより注力した事業に力を注ぐことができるので、より利益を生み出せるかもしれません。

以上がM&A会社売却を行う際の主なメリットです。

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M&A会社売却のデメリット

続いては、M&A会社売却を行う際のデメリットについて解説します。ここでは、以下のようなデメリットを取り上げます。

  • 経営権を失う
  • 経営方針が意図しないものに変わってしまう可能性
  • 雇用条件や労働条件が変わる可能性
  • 取引先との関係がこじれる恐れがある
  • 売却先の企業に拘束されるケースもある
  • 売却後に事業領域が限られてしまう可能性
  • 従業員のモチベーションの低下
  • 人材の流出リスク
  • 売却先の文化となじまない可能性
  • 社長の肩書きががなくなる
  • 非難を受ける可能性
  • 買い手企業見つからない見つかっても希望条件で売れない

それぞれについて、どのようなものなのか、1つずつ確認していきましょう。

経営権を失う

M&A会社売却の1番のデメリットと言えるのが、売却によって経営権を失ってしまうことです。経営権がないということは、意思決定を行えなくなるということです。経営者や会社役員などの場合、売却前は自分たちの望む形で経営を行ってきたものが、急に他の人に指示される形で仕事をしなければいけなくなるため、そのことがストレスになることもあります。

ただし、中にはケースこそ少ないものの、売却先の企業が買い取った企業の技術力やノウハウなどを評価し経営権がそのままになることもあるようです。その場合は、売却前と同じように事業に取り組むことができます。

経営方針が意図しないものに変わってしまう可能性

経営権を失うことで経営方針が自分たちが考えていたものとは全く違うものに変わってしまう可能性があります。このような事態を避けるためにも、M&A会社売却を行う際は事前に入念な調整を行わなければいけません。しかし、調整が不十分だったり、売却側と買取側との間に認識の齟齬などがあったりすると、売却後に想定外の方向に進んでしまうでしょう。場合によっては大きなトラブルなどにつながる恐れもあるので注意が必要です。

雇用条件や労働条件が変わる可能性

先ほどメリットの箇所で少し触れていますが、M&A企業売却を行うことで、福利厚生や給料などが売却前よりも改善される可能性があります。しかし、残念ながら逆に売却前よりも雇用条件や労働条件が悪くなったり給料が下がってしまったりする可能性があります。そうなると、優秀な人材などは会社を辞めてしまうかもしれません。

取引先との関係がこじれる恐れがある

M&A会社売却前から関係のある取引先との関係性がM&A企業売却によって大きく変わってしまう可能性があります。例えば、取引先との契約内容が大きく変更されて取引先から不満が出てきたり、営業担当が買い取り側の企業の人に代わったことでうまくコミュニケーションが取れなかったりといったことが想定されます。このような状況でも契約が続けばいいのですが、取引停止になってしまう可能性も十分にあるでしょう。

取引先との関係は、その企業の持つ技術や資金力なども重要ですが、人と人との関係も非常に重要なものなので、M&A会社売却によって安易に契約内容を変えたり担当者を変えたりすると取引先から大きな反発を受けることになります。買い取り側としては「あの企業が取引先にいるからM&Aで買収しよう」と考えていても、それがうまくいかないケースもあるので注意しなければいけません。

売却先の企業に拘束されるケースもある

企業を売却したら、もともとの経営陣はすぐに会社を去るのかというと必ずしもそうではありません。場合によっては売却先の企業で一定期間働かなければいけない可能性もあります。子会社の社長を数年間務める、会社の顧問を1年間務めるなどのケースが起こりうるでしょう。

売却後に事業領域が限られてしまう可能性

企業をM&A会社売却した後に、経営陣や従業員が働ける事業領域が限られてしまうこともあります。これを競業避止義務といいます。競業避止義務は簡単にいうと所属している企業の不利益になるような行為(競業行為)を禁止するものです。例えば、それまで所属していた企業で得た知識や技術などを活用して同業他社で働くことは、それまで所属していた企業の不利益になります。

競業避止義務は裁判によって争われることもあるなど、判断が難しいものだと言えます。ただ、M&A会社売却によって競業避止義務が課される可能性があるということは覚えておきましょう。もし義務が課されてしまうと、数年間は売却した事業に関連している事業に携わることができなくなります。

従業員のモチベーションの低下

売却側の企業で働く従業員は「この会社で頑張ろう」「この会社を大きく成長させよう」などやる気を持って仕事に取り組んでいると考えられます。しかし、会社が買収され自分たちがそれまでやっていた仕事を買収先の社員が担当するようになり、自分たちには大した仕事が来ない、といった状況になると一気に従業員のモチベーションは下がってしまうでしょう。もちろん売却前と同じ業務ができる可能性もありますが、自分たちの会社に誇りを持っていたり、帰属意識が強かったりする場合は、買収そのものでモチベーションが下がってしまう可能性もあります。

人材の流出リスク

従業員のモチベーションが低下すると、最悪の場合従業員がその会社を辞めてしまう可能性もあります。また、先ほども触れていますが、M&A会社売却によって待遇が悪くなる可能性もあるため、それによって人材が流出するケースもあるでしょう。

例えば、転勤のない東京勤務の仕事だったものが売却によって全国転勤ありとなり、転勤したくないために会社を去るケースもあるでしょう。また、M&A会社売却においては、買収される企業に高度な専門性があるなど特殊な状況でない限り待遇が上がる可能性は低いと言えます。そのため、特に優秀な人材は好待遇で雇用してもらえる企業が多いと考えられ、その事業が魅力的で待遇が下がってもその仕事がしたい、など特別な事情がない限り流出のリスクは高いと言えるでしょう。

このような人材の流出は企業にとって大きな損失となるため、売却前の段階で待遇面に関してはしっかりと説明しておくことが重要です。また、経営者は売却先の企業に、従業員の待遇に関する交渉を行うのが理想的です。

売却先の文化となじまない可能性

もともとは別の会社だったものをM&A会社売却することで同じ会社にすることになるため、買収先の企業の雰囲気と合わない可能性があります。

例えば、近年では、企業によっては社内のコミュニケーションをチャットツールで行うところもありますが、面と向かったコミュニケーションをとっている企業からしてみればこの企業文化には馴染みにくいはずです。

また、細かい部分だと交通費の申請方法が違う、出退勤の申請方法が違うなど事務的な面での違いが出てくるケースもあるでしょう。

さらに、一番面倒なのが仕事の進め方がガラリと変わってしまうことです。それまでの仕事の進め方から変わってしまうと仕事の生産性が落ちる可能性もあります。

慣れ親しんだやり方で仕事に取り組むからこそ、効率よくできていたものが、やり方が変わることで、まずそのやり方を覚えなければいけないなど、従業員にとってはストレスになってしまうでしょう。

社長の肩書きががなくなる

これは売却側の企業の社長や役員などのデメリットですが、売却前は企業の社長や役員という肩書きがついていたものが、M&A会社売却によってその肩書きを失う可能性があります。「社長」という肩書きがつくことで周囲の人から羨ましがられ、それを嬉しく感じている人も少なくないはずです。

また、中には社長時代には自社の社名で領収書が切れていたものが、社長の肩書きがなくなったために、領収書が切れなくなったというケースもあるそうです。直接的な被害があるものではありませんが、社長歴が長い人からしてみてば大きなデメリットだと言えるでしょう。

非難を受ける可能性

M&A会社売却する企業に長い歴史がある場合、M&A会社売却自体に対する非難を受ける可能性があります。「伝統ある会社なのに!」「歴史が終わってしまった」などの言葉が投げかけられるかもしれません。

また、非難は従業員から投げかけられることもあります。例えばM&A会社売却によって会社の方向性がおかしくなり、事業がうまくいかなくなった場合などは非難を受けることになるでしょう。M&A会社売却には様々な理由があるため、一概にこれらの非難が正しいとは言えませんが、非難される側としてはストレスを感じることになります。

買い手企業見つからない・見つかっても希望条件で売れない

これは、売却前のデメリット、と言えるものですが、経営難などからM&A会社売却することを決めたとしても必ずしも買い手となる企業が見つかるわけではありません。またもし見つかっても希望通りの条件でM&A会社売却できない可能性もあります。

買収する企業からしてみれば、その企業を買収するメリットや魅力を感じられなければ手をつけようとはないでしょう。場合によってはM&A会社売却するよりも廃業した方がいい、となる可能性もあります。

廃業となると従業員やその家族が路頭に迷ってしまう可能性もあります。いずれにしてもM&A会社売却したい場合でも売却できない可能性があることも認識しておくようにしましょう。

以上がM&A会社売却の主なデメリットとなります。デメリットが非常に多くありますが、これらのデメリットを回避するためには、M&A会社売却を行う前に入念な準備を行うことが重要です。

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