資本金と資本金を増加させること(増資)の方法とメリットとデメリット!

  • 2019年8月8日
  • 2024年10月27日
  • M&A

今回は、資本金についてお話していくのですが、大企業だと資本金何百億円なんてところもあります。

だいたい、資本金額をみて会社の規模を判断してしまいますよね。

この資本金というのは、会社にとってとても重要な役割をします。会社設立時にきっちり設定しておく必要があります。

会社を始めるときに必要な資本金の額、また経営している会社の資本金を増やすことってできるのか?できるのならばどんな方法があるのか?などをご説明していきます。

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資本金とは?

まず、資本金とはどういうこと?というお話からしていきます。

資本金については、会社法第445条第1項において次のように定義づけられています。

「株式会社の資本金の額は、設立又は株式の発行に際して株主となる者が、当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする」

わっ、わかりにくい?!と思われたかもしれませんが、平たく申し上げると・・・。

資本金とは、会社を設立するときに、株主に対して株券を発行してそれに対して払い込まれた資金、また起業するときに経営者自身が持っている資金(自己資金)も含まれるということです。

事業を始める元手、運転資金とも言いますね。

資本金が多ければ会社の資金繰りは楽になりますよね。

銀行からの借り入れに頼ることもないかもしれません。

しかし、資本金が1000万円以上ですと、消費税課税業者となってしまいます。1000万円以下ですと、2年間は消費税課税が免除されます。

新会社法の施行により、資本金額がいくらでも会社が設立さすることが可能となりました。1円でも起業できます。新会社法施行前は、株式会社設立の最低資本金額は、1000万円でした。

資本金額は企業経営にとってかなり重要

金融機関から、事業資金を借り入れる場合、資本金1円の会社と資本金500万の会社では、ズバリ申し上げれば、500万円の会社に融資がおりやすいです。当初の運転資金が500万円あるわけですから、信用度があります。もし、事業資金を銀行等から借り入れようと考えているなら、ある程度の金額について資本金を用意する必要はあります。

資本金を増資するメリット

この項目では、資本金を増資のやり方やメリットについてお話します。

まず、増資とは資本金を増やすことです。そのため株式会社ですと手続きが必要です。

増資するための手続きとは

増資する旨を株主総会で決議

登記申請が必要

この2ステップとなっております。

増資を行う方法とは2つ

  1. 有償増資
  2. 無償増資

となります。

①の有償増資は、新たに株式を発行して払い込みを受ける方法です。

この方法ですと、資金が会社に入ってきます。

②の無償増資は、留保していた利益、資本準備金を資本金に振り替える方法があります。

これは、もともと確保していた利益、余剰金を振り返るだけですから新たな資金は入ってきません。

増資することで享受できるメリット

有償増資を行った場合は、会社に資金が入ってきますから、運転資金に使うこともできますし、新しく設備投資につかうこともできます。

また、資本金が増えることで、会社の財務体質を強化することができます。

総資本のなかで、自己資本が占める割合を自己資本比率といいます、この自己資本比率が高くなると、会社の財務体質が強くなったということになるのです。

資本金が大きいほど、事業の規模も大きくなり、安定した企業であるイメージが強くなります。

また、1の項目でもお話したのですが、金融機関からの借り入れを行う時も資本金額は影響がありますし、もっと重要なのは、新しく取引を始める場合、「与信」という手続きがあります。「与信」とは、信用調査会社のレポートや決算書、登記簿謄本などをもとにして会社の信用力を総合的に判断することです。

資本金額は、この判断において大きなポイントとなるのです。資本金額が高いと信用度も高くなり、新規に取引をしやすくなり、もっと大きな取引へと発展していく可能性も出てきます。

資本金を増資するデメリット

この項目では、増資することで生ずるデメリットについてご説明します。

増資することで優遇税制を受けることができなくなる?

中小企業の優遇税制とは

  • 法人税の軽減税率の適用
  • 少額減価償却資産の損金算入の特例
  • 交際費の定額控除
  • 中小企業が機械などを取得した場合の税額控除・特別償却

などが挙げられるのですが、増資により資本金が規定額を超えるとこれらの優遇をうけられなくなります。

※中小企業の範囲は、原則資本金1億円以下です。

もっと厳しいのは資本金額が1億円以上になった場合、事業税の外形標準課税の適用事業者となります。事業税の外形標準課税の適用事業者となった場合には、会社が赤字となったような場合でも事業税の負担が出てくることとなります。

消費税課税事業所とは

また、冒頭でもお話した、1000万円以上になると設立当初から消費税課税事業所になり、法人住民税(都道府県民税、市町村民税)の均等割の額が高くなるというデメリットが出てきます。

資本金が増えて、財務体質が強くなってきた企業というのは、税負担能力も高いと思われます。

資本金額が高くなるほど、税負担も増えるということをふまえて、増資を検討する必要があります。

増資のために多額の資金が必要?

増資のためには、多額の資金が必要となります。これは否応がありません。

お金のかからない資本金の増やし方

無償増資という方法

ただ、2の項目でもお話した「無償増資」というやり方を適用すれば、資金をかけずに資本金を増やすことができます。

やり方は、会社の決算書上の余剰金を資本金へ振り替えます。

たとえば、決算において、900万円の利益があり400万円の税金を支払い、残り500万円のこりました。

この余剰金を資本金に振り替えたとしたら、

資本金1000万円+500万円(余剰金)=資本金1500万円になります。

ここで気をつけたいのは、利益を資本金に充当しますが、節税にはなりません。なぜならこの余剰金を資本金に振り替えるには、決算、申告して税引きした後だからです。

また、毎年支払う均等割りという税金がありますが、平成27年度の税制改正により資本組み入れで増資した場合でも、1000万以上になってしまうと、18万円支払うことになります。

この方法は黒字の企業ですと多少メリットがありますが、赤字企業(過去に黒字が蓄積されていれば可能)にはできません。

現物出資という方法

また次に、現物出資という方法で、資金なしに増資をすることができます。

現物資産である、車、土地、パソコン、などなんでも大丈夫です。

1000万円の資本金+時価500万円の車を現物出資=1500万円の資本金

この増資に伴うデメリットは、先程も申し上げた均等割りが18万円になります。

それと出資された車の所有者に課税される可能性があります。また、その現物資産の評価額の算定が難しいことが挙げられます。

現物資産の時価算定で問題が起きやすい

現物資産ならなんでもいいのですが、下取り価格がほとんどゼロの車や建物を資産価値があるように出資してしまうケースが増えています。架空増資となって、登記申請は通っても、税務上にやや問題がでてきます。

また、その現物資産の所有者に課税される可能性が出てきます。

キャッシュレスではありますが、増資による登記に手数料がかかり、また税金もかかるということをお忘れにならないようにしてください。

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増資の種類(公募増資、株主割当増資、第三者割当増資)

会社が新株を発行して資金を調達する場合、次にあげる3つの方法があります。

  1. 株主割当増資
  2. 第三者割当増資
  3. 公募増資

まず、株主割り当てからご説明していきましょう、株主割当増資が理解できれば、次につづく第三者割当増資、公募増資がわかりやすくなります。

株主割当増資

新株を発行する際に、既存の株主(その株式の発行会社を除く)に対し、持ち株数に応じて新株の割り当てを受ける権利を与えることです。

考え方として、

  • 既存の株主
  • 持ち株数に応じて

の2つのポイントに絞られます。このポイントについてもう少し深堀します。

既存の株主

すでに株主だった人にのみ、新株式の割り当てを受ける権利を与えるということです。

新しい株主は発生しません。この既存の株主には、自社は含まれないというところもポイントです。

自社が、自社が発行するに株式に出資しても、新たな資金調達したことにはなりません。

自社以外の既存の株主に出資してもらうことで、資金調達できたということになるという考え方です。

持ち株数に応じて

これは、持ち株数によって新株式の割り当てを受ける権利を与えるということです。

例えば、10株につき1株の権利を与えるとすれば、100株持っている株主は、10株の新株を保有する権利が与えられるのです。50株の人は、5株となります。それぞれ総保有数は10株、55株ですね。

第三者割当増資

この方法は、株主割当増資のように既存の株主だけを対象とするのではなく、新たに第三者に新株を引き受ける権利を与えることが可能です。株主であるかどうかも問わずに、特定の第三者へ新株式の割り当てを受ける権利を与えるということです。

A、B、Cと3人の株主がいて、その中でAにだけ新株の割り当てを受ける権利を与えたとすれば、これは第三者割当増資ということになります。BCは割り当てを受けていない、すなわち持ち株数によって割り当てをうけていなので、株主割当増資には該当しないということになります。

M&Aで使用される増資の方法は、この第三者割当増資になります。買主候補者の第三者が資金を投資することで会社の増資が実現するという関係にあるためです。

公募増資

読んで字のごとく、新しい株式を発行するに当たり、不特定かつ多数の投資家に対して取得の申し込みを勧誘しますよ、ということです。

公募増資のメリットは、設備投資などの資金を広く一般投資家から集められるところ、それと同時に、株主層の拡大や株式の流通量の増加というところです。公募増資の際の価格は、時価に近い多少割安な水準に決められて、既存株主の利益を損なわないようにしています。

公募増資は、一般に、上場会社が市場から資金を集める方法であり、あまりM&Aとは関係はありませんが、上場会社がM&Aの買主候補者になる場合、公募増資により市場より資金を調達して、その資金で非上場会社をM&Aすることが多くあります。

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まとめ

ここまで、資本金とはなにか?そして資本金を増やす方法、増やすことでのメリット、デメリットについてお話してきました。

資本金を増やすと、企業としての信頼度は高くなりますが、その分課税がかかることもあります。

このような、資本金設定、会社登記、増資に伴う登記などをご自身で済ませてしまう経営者の方もいらっしゃるのですが、煩雑な手続きが必要ですし、思わぬトラブルに見舞われることもあるのです。

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