官報公告の掲載期限(官報公告を掲載すべき期限は意外と早い)について
会社法上の手続きにおいて、期間が厳密に規定されているものが多く存在します。
例えば、合併・会社分割・株式移転・株式交換や資本金の額の減少における、債権者保護手続きにおいては、「効力発生日の1ヶ月前まで」に通知・公告をすべきものとされており、債権者異議催告通知・公告から1ヶ月が経たないと、合併・会社分割・株式移転・株式交換の効力が発生しないものとされていますし、会社法219条1項1号の株券提出に関する公告についても、「株券提出日の1箇月前まで」に通知・公告を行う必要があります。
では、3月31日を効力発生日や株券提出日とする場合、いつまでに通知・公告を行う必要があるのでしょうか。
民法には、期間計算に関する規定があり(138条から143条)、これに従って計算をする必要があります。
民法140条において、期間計算においては、初日不算入の原則が規定されています。
ですので、2月28日に通知・公告が行われた場合は、翌日の3月1日から債権者異議手続きや株券提出の期間の計算が始まります。
また、民法141条において、期間計算は、その期間の末日にをもって満了するものとされています。
ですので、3月1日に期間の計算が始まった場合、3月31日に期間が満了するということとなりますので、効力発生日や株券提出日は4月1日となってしまいます。
なお、民法142条は、「期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。」と規定しており、3月31日が日曜日である場合は、その翌日の4月1日(営業日の場合)が、効力発生日や株券提出日となります(土曜日は考えなくてよいようです)。
ですので、効力発生日や株券提出日を4月1日とする場合は、2月28日に、通知・公告を行えばよいのですが、効力発生日や株券提出日を3月31日とする必要がある場合は、2月28日に通知・公告を行っても遅く、2月27日には通知・公告を行う必要があるということとなります。
なお、それ以外に、官報公告や新聞公告については、電子公告もですが、官報販売所や新聞社、電子公告会社において、公告原稿の入稿期限が定まっており、官報公告においても、すくなくとも5日前の入稿が必要とされている(場合によっては2週間前の入稿が必要)など、合併・会社分割・株式移転・株式交換や資本金の額の減少や、株式併合・株式売渡請求権・株券不発行化定款変更に伴う株券提出手続に関しては、早め早めに手続きの準備をしないと、特に、公告の関係で、想定した効力発生日や株券提出日に間に合わなくなりますので、注意が必要です。