M&A仲介(マッチング)かM&Aオークション(入札方式)か?

  • 2015年10月24日
  • 2023年3月5日
  • M&A

オークション方式(入札方式)とM&A仲介(マッチング)方式

オークション方式(入札方式)とは、M&Aの手続方法のひとつであり、M&A会社売却の際に、予め、複数の買収候補企業を募り、買収候補企業が「入札」を行い、これにより最も良い条件を提示した買収候補企業を、最終的な買収企業として選定するM&Aの手続方法のことを言います。競売方式、コンペ方式、ビッド方式などともいいます。

これに対して、M&A仲介(マッチング)方式とは、M&A会社売却の際に、M&A仲介会社がネットワークを有する買主候補企業とマッチングをして、条件をすり合わせて、M&AM&Aを成立させるM&Aの手続方法のことを言います。

一般に、オークション方式(入札方式)においては、複数の買収候補企業を同時並行的に交渉し、手続きを進行させるのに対して、M&A仲介(マッチング)方式においては、特定の買収候補企業と交渉し、条件が合わない場合、次の買収候補企業を選定して交渉することとなります。

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オークション方式(入札方式)の方がM&A価格が高額になる!?

オークション方式(入札方式)を利用した場合、M&A仲介(マッチング)方式よりも、M&A買収価格は高額になる傾向があります。

すなわち、オークション方式(入札方式)においても、買収候補企業から提示されたM&A買収価格のみならず、M&AスキームやM&A後の経営方針なども選考の対象となるため、必ずしも最高値のM&A買収価格を提示した買収候補企業が落札者になるとは限りませんが、一般的には、M&A仲介(マッチング)方式よりも、M&A買収価格は高額になる傾向があります。

オークション方式(入札方式)を採用すべき理由

M&A会社売却の場合、売主は、一旦会社を売却することを決定したら、買主候補企業として交渉した会社はもちろんのこと、そうでなくてもそのような状況が察知され、それ自体により会社の信用に傷がつき、また、業界内に徐々に噂が広まり、取引先も離れてゆきますので、中長期的には、会社の事業価値が毀損されます。

また、売主のオーナー経営者様としても、一旦会社を売却することを決定した以上、早く売却されたいでしょうし、時間が経つにつれ経営意欲も徐々に低下していきますので、企業価値にも悪影響が生じます。また、本来であれば実行すべき思い切った経営戦略も実行できなくなりますので、長引けば長引くほど、会社を良い条件で売却することが困難になってゆきます。

また、複数の買主候補企業に対して、同じ条件でM&AM&Aを検討してもらい、同じ前提で、M&Aの条件の提案をしてもらうことにより、M&A条件を見比べることができますので、売主としても、他にも良い買主候補企業が居たのではないかと心配しながらM&AM&Aを進めるのではなく、安心して、M&AM&Aを進めることができます。

すなわち、M&A仲介(マッチング)方式で、早期に、良い条件で、M&Aが成立すればよいのですが、いずれの側面でも、オークション方式(入札方式)の方に優位があるのです。

そこで、オークション方式(入札方式)を使用し、最初から最大限の買主候補企業を集め、短期間で、確実に、M&A会社売却を成功させることが好ましいのです。

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オークション方式(入札方式)は専門性と手間がかかる

しかし、オークション方式(入札方式)には専門性が必要となります。

同時に複数の買主候補企業と交渉するわけですので、通常の交渉能力のみならず、複数の買主候補企業を天秤にかけつつも誠実に対応し、より良い条件を引き出すためには、M&A仲介(マッチング)方式とは異なったレベルの高い専門性が必要です。

また、オークション方式(入札方式)では事務フローが複雑になりますので、オークション方式(入札方式)を実施した十分な経験が必要となります。

ですので、オークション方式(入札方式)によるM&Aは、弁護士法人M&A総合法律事務所や金融機関のM&A部門、特に専門性の高いごく一部のM&A仲介会社のみが取り扱っています。

オークション方式(入札方式)では事務フローが複雑ということは、その分の手間がかかることとなり、売主のオーナー経営者様の手間もかかることになるのですが、それも良い条件でのM&AM&Aを実現するためですので、やむを得ないという側面もあるでしょう。

このように、オークション方式(入札方式)によるM&Aは専門性と手間がかかるため、大手M&A仲介会社(M&Aの画一的大量処理を方針としている)や中小M&A仲介会社(専門性が低い)では、取り扱っていないようです。

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大手M&A仲介会社は敢えて売主に不利なM&A仲介(マッチング)方式を採用!

また、オークション方式(入札方式)によるM&Aでは、売主と買収対象会社の利害関係は激しくぶつかり合います。すなわち、売主の代理人を務めながら、買主候補企業の代理人を務めることができないのです。特に、買主候補企業は複数存在するわけであり、売主はその中から一社だけを選択するわけですので、複数の買主候補企業を同時に代理することができないのです。ですので、売主からも買主候補企業からも両方から手数料を貰いたいと思っている大手M&A仲介会社などは、オークション方式(入札方式)の方が売主にとって有利であるということが分かっているにもかかわらず、自らの利益を優先し、敢えて、M&A仲介(マッチング)方式を採用するのです。

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