建設会社のM&A

  • 2018年10月7日
  • 2024年11月6日
  • M&A

人手不足に悩む建設業者に事業承継M&Aがお勧め?!

東京オリンピック開催が目前となってきて、建築需要が大幅に拡大してきています。

需要が高まるにつれ深刻化しているのが「人手不足問題」です。

日本全体で少子化による「若い世代の人手不足問題」は起きていますが、特に建設業界では重症化しています。その上、人手不足に伴い、後継者不在という問題も増加の一途をたどっているのです。

今回は激動の時代を迎えた建設業界での「事業承継M&A」についてお話していきます。

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建設業経営者が事業承継M&Aを行う上での注意点3つ

早い段階から「M&A」を検討していることを公表しない

冒頭でもお話していますが、建設業界でも人手不足は深刻化しています。

特に、建設現場を監理する現場監督が不足している状態です。

現場監督というのは、現場を運営することすべてを取り仕切る人間ですから、コミュニケーション能力と技術力を備えた人材です。最近ではこのような仕事を担う若い人材が不足しているというのです。

建設業にとっては、要するに従業員も大切な事業価値となります。

早い段階で勤めている会社が売りに出されるということを知ってしまったら、不安に思う従業員も出てくるでしょう。リーマンショック以降、建築不況が続きましたが、当時を思い出して経営者が変われば雇用状態も変わるのでは?それならいっそ転職しておこうかと考えてしまう危険性があります。

従業員の不安な気持ちは、取引先にも連鎖してしまいます。

経営者が変われば今までと同じような仕事をしてもらえないかもしれないと余計な心配をかけてしまいます。次の現場からは違う建設会社に頼むことになるかもしれません。

このような最悪の事態を防ぐためにも、M&Aを検討した当初は、経営者の単独行動をお勧めします。

そして、建設業のM&A実績がある専門家に相談されることです。

一人で資料作りから買い手先の選定までをこなすのはとても大変です。M&Aの専門家ならば、売却の条件を決めること、資料集めなど、豊富な経験をもとにサポートしてくれます。

経営者が孤独にM&Aを進めることなく、M&A完了の時まで対応してもらえます。

従業員には、買い手先が決まり、従業員たちの雇用と待遇アップも約束してから話しても遅くはありません。

M&A成功を遠ざけるご法度とは?

M&Aでは事業価値を高めることが成功の秘訣となりますが、経営者自身の態度もM&A成功へ大きく影響します。自分は大丈夫と思うかもしれませんが、今まで経験値が少ないM&Aが始まるとどうしても陥ってしまいがちな落とし穴について3つご説明していきます。

その1:買い手と売り手は対等、卑屈にならない。

永年経営を続けてきた会社を手放すということを悪いことだと思ってしまう経営者少なくありません。

そのためどうしても売り手側の経営者が卑屈になってしまうのです。

これは大きな間違いです。売り手も買い手も同じ経営者という立場で、上下関係などありません。

買ってもらうのではなく、事業を譲るのです。それもあなたの会社をどうしても買いたいという希望者に売るのです。自分の会社が売れるということは、経営に成功した証であることを忘れないでください。

その2:高飛車な態度にならない

これは、さきほどの1とは逆の発想かもしれません。

経営者の性格にもよりますが、あまりにも強気な態度は印象が悪くなります。

業績が良い企業ですと買収希望者も多数集まってきます。どうしても上から目線で自信過剰になってしまう場合があるのです。せっかく事業内容、財務状況が高評価なのに、社長の態度がいただけないと買収が取りやめになったという事例も少なくないのです。へりくだる必要は毛頭ありませんが、あまりにも高飛車な態度は絶対にご法度です。M&Aでとても重要視されるのは、経営者同士の相性です。

考え方が違う、態度があまり良くないと思う人物が経営してきた会社を高額で買い取る人間はいませんよね。対等な関係の上に、経営者同士が敬意を払うことがとてもM&Aを成功させる秘訣なのです。

その3:買い手からの問合せを放置しない!

関心持ってくれた買い手から問い合わせがあったら、すぐに誠実に対応してください。

今は、売り手市場と言われています。複数の買収を希望する企業から問い合わせが来ます。その返事をしないまま放置しているとせっかく関心を持ってくれた買い手企業の気持ちが離れて行ってしまうのです。

どんな問い合わせにもスピーディーに対応して、1社に絞り込むまで誠実に接することで確実な信頼関係を築いていただきたいと思います。

事業承継を行う方針を整理する

方針を整理するということは、希望する着地点はどこかということです。

それにはどんな条件にこだわっているかを確認する必要があります

《あなたにとって事業承継のゴールとは?》

  • 今は良い運営状態にあるので、高く事業を売却したい
  • 金額よりもどんな人に経営を引き継ぐかにこだわりたい
  • 自社で育てたブランド(独自工法など)を顧客にずっと愛用してほしい
  • あまり完了までに時間をかけたくない(すぐに、半年以内)
  • 時間がかかるとしても事業をもう少し成長させてから、なるべく高値で売却したい
  • 現在の財務状況では、改善すべき点が多々ある、価格交渉で値下がりしても仕方ない。

(値下がりしたとしても、今すぐに売却したい)

  • 売却後も会社に残って経営に携わりたい
  • 事業の移行が完了するまでの期間(半年前後)なら会社に残って業務を続けてもいい
  • 従業員の雇用と待遇改善は外せない条件だ
  • 買い手企業には、もっと会社を大きく成長させてもらいたい

などなど、希望条件は多数あると思います。

M&Aを執り行うのに、1年くらいはかかります。その中で、目的の変更や条件の修正は出てくることが想定されます。そんな時に、「当初はどんな着地点を望んでいたか?」と最初の目的を忘れずに活用していただきたいのです。

建設業経営者がM&Aを成功させる秘訣とは?!

この項目では、建設業経営者がM&Aを成功させる秘訣についてお話していきます。

成功の秘訣をここでは3つご紹介しましょう。

経営者交代は会社が伸びるチャンス

事業承継を行う理由として、経営者の高齢化が挙げられます。

70歳の社長が40代の経営者に事業を譲ったとします。

70歳の社長は長年建設業を営んできて、多くの経験と実績があり、安定した経営を継続してきましたが、新しいことを始めるというチャレンジ精神というのは、体力面や時代の変化についていけないなど少し低下してくる可能性があります。

そこをバトンタッチした40代の社長は、新しいことや経営に対する柔軟性もあり活力にあふれているため、新規事業にも意欲的に取り組み、時代の流れに合わせて会社を変革していくことに積極的です。

社内の雰囲気も活気にあふれてくることになります。

若い社員の雇用にも好影響があるのではないでしょうか。自分たちの年代と少しでも近い人が経営者となると働く意欲が高まってくるものです。この会社で働きたいと思う若者が増えることになります。

また経営者が若返ると金融機関からの長期借り入れもしやすくなります。新しい資金投下ができて、新しい挑戦ができるのです。これは会社にとって大きな成長につながります。

M&Aでは事前準備がとても重要

この項目での事前準備として、「根回し」の重要性をお話したいと思います。

まず中小企業で、M&Aがほとんど完了しているにも関わらずもめる原因が、家族、社長以外の株主とのトラブルです。中小企業では、ほとんどの株を社長が所有していることが多いのですが、社長以外の社外株主が存在する場合もあります。また、名義だけを借りている株主も存在するのではないでしょうか。

いざ、M&Aが本決まりになり、新しい経営者を迎える段になって、「そんな話は初耳だ!」と株主などに

第三者への事業承継を反対されるケースも少なからずあります。

買い手が決まったときには、他の株主の承諾を得ることができるように日ごろから根回ししておくことはとても大切です。

適切な売却価格を把握したうえで交渉する

《最終的には売り手と買い手が納得した金額が適正価格》

常識の範囲を超えた価格であったとしても、双方が納得していれば、それは2社間では適正価格ということにはなります。

しかし、あまりにも高額をふっかけてしまって、せっかく優良企業と結べたかもしれないM&Aの契約を失ってしまうということも多々あります。

《会社の値段を求める公式がある?!》

M&Aでは企業を買収する場合の金額を、以下の公式から求められる理論値から算出される株価を参考にします。

EV:企業価値=株式時価総額+純有利子負債(有利子負債-現金・預金等)

過去の決算書から計上した時価総額の理論値となります。決算書から計上できますので、顧問税理士に

依頼すれば算出はしてくれます。定期的に会社の値段を把握するためにも税理士に相談しておくことを

お勧めします。

EV(企業価値)というのは、中小企業経営者にとっても金融機関等から自社の経営状態について判断材

料となりますし、またM&Aにおいては、自社の売却金額へと直結していくことになります。

しかしこの公式から導き出されるのは、現在の経営状況を表す目安です。

最後は買い手との交渉の中で価格は設定されていきますから、目安通りに売却できるとは限らないのです。

あくまでも買い手との交渉する中で、設定価格に大きなずれが出ないように帳簿上での算出金額であってもある程度の適正価格を把握しておくことはとても重要なことなのです。

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M&Aアドバイザーを上手に活用する方法

  うちのような中小企業なら、専門のM&Aアドバイザーなど頼まなくても大丈夫でしょ?と思っていらっしゃる経営者も多いのではないでしょうか。

自分でがんばってやってみる!というのも可能ではありますが、日ごろの業務と並行してでは少し負担がかかりすぎる危険性があります。この項目では、M&Aアドバイザーの活用法についてご説明します。

M&Aアドバイザーを利用したほうが安心して交渉できる

M&Aアドバイザーをお勧めする理由として第一に挙げられるのが、中小企業経営者には会社を売却したという経験がない方が多いということです。一方、買い手企業の経営者は、1年に1から2件だとM&Aを行っている方も多く存在します。

今まで一切M&A経験のない社長と、年に数回M&Aを行っている社長が互角に交渉ができるでしょうか。

最初に価格設定や、条件設定をある程度は決めてはいきますが、決められたとおりに進めるのではなく、買い手と売り手との交渉によって値段は決まっていく場合がほとんどです。

いくらでもいいから早く買ってほしい!と思っているなら相手の言い値で売ればいいですし、交渉する必要もありませんが、大切に育ててきた事業をそんな簡単に手放す経営者など皆無と言えます。

この価格攻防にM&Aアドバイザーという緩衝材をいれることで、スムーズに価格設定できるのです。

なぜなら、M&Aアドバイザーは交渉のプロです。そして買い手側も、業界でのM&A経験と実績のあるアドバイザーの提示する価格なら、「ま、妥当な金額かな」と納得してしまうケースが少なくありません。

経験豊富なアドバイザーなら、なぜその価格になるかを合理的に説明することができるからなのです。

M&Aアドバイザーが間に入ることで、売り手と買い手が対等に、適正な価格で取引できるようにしてくれるのです。

失敗しないM&Aアドバイザー選びのポイント

一つ目に、申し上げたいのが、先程も少し触れましたが、「建設業界でのM&A経験と実績」があるM&Aアドバイザーを見つけることです。

二つ目は、建設業というのは、行政などの届け出など申請業務が多数あります。また扱う金額も高額となります。

法律に強いアドバイザーがついてくれることは建設業M&Aを行うことで心強いのではないでしょうか。

買い手先企業が大手の場合だと、顧問弁護士を抱えている場合がほとんどです。

普段から弁護士と顧問契約を結ぶのは、中小企業では少し金銭的には難しいと思っても、アドバイザーとして弁護士を選定する場合は、M&Aをサポートしてくれるだけでなく、会社経営に関する法律にも熟知していますから心強いです。

また、弁護士にアドバイザーを引き受けてもらう場合は、以下のようなメリットがあります。

  • M&Aのスキーム設計を行ってもらえる

(具体的にどのような方法で売却すべきかをアドバイスしてもらえます)

  • 譲渡契約のレビューを行ってもらえる

(不利な契約になっていないか、過度なリスクを負っていなかを確認してくれます)

売却先選定よりも重要なM&Aアドバイザー選び

先程株価の算出方法についてお話していますが、顧問税理士に算出してもらう必要があるともお話しました。帳簿を引っ張り出して自分で何とか算出することも不可能ではありませんが、正確な値段を把握するのは難しいですよね。なぜなら中小企業というのは、株式上場していないのですから株価を正確につかむのが難しいのです。

家や車のように売却価格がネットなどでも確認できて、簡単に売買できるものではありません。

価格が不透明な分、M&Aを成立させるにもある程度の期間が必要となってきます。

顧問税理士に時価総額を算定してもらってある程度の「会社の値段」を知ることも大切ですが、まず建設業M&A経験のあるアドバイザーを見つけることから取り掛かっていただきたいのです。

M&A完了の長い期間を一緒に歩むパートナー選びは慎重に行っていただきたいと思います。

あなたの事業価値を高めるのも、このM&Aアドバイザーの役割です。とても重要なことで、選び方を間違えると一生後悔することになります。

売却先を選定するよりも重要なのがM&Aアドバイザー選定だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

まとめ

今回は「建設業の事業承継M&A」についてお話してきました。

M&Aでは、デューデリジェンス(DD)という山場があるのですが、このデューデリジェンス(DD)には、大きく3つに

分けられます。

の3つです。財務は顧問税理士でも対応可能ですし、事業は、事業計画など経営者が対応できるというより対応すべきデューデリジェンス(DD)です。最後の法務デューデリジェンス(DD)は、各種契約事項になりますから社内のことですと、総務が担当部署になるでしょう。しかし、建設業の契約内容は複雑です。専門的な法律の知識が必要となってきます。

先の項目でもお話していますが、顧問弁護士を雇うのは、経済的に難しいですが、M&Aを行う際は、法律の専門家である弁護士に依頼することをお勧めいたします。

あなたの大切に育てた事業を売却することは、経営者としての集大成です。

その大切なM&Aにおいて是非、M&Aに強い弁護士をご活用ください。

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弁護士法人M&A総合法律事務所の強み

弁護士法人M&A総合法律事務所では、これまでに200件以上ものM&A案件・株式譲渡・合併・会社分割・株式交換・株式移転・事業譲渡・資本業務提携・グループ内組織再編案件を取り扱っており、M&Aに関する高い専門性と豊富な経験がございます。

また、M&A総合アドバイザーズには、M&A総合法律事務所・M&A総合会計事務所が併設されています。弁護士・公認会計士・税理士とも協働してM&Aに対応いたしますので、ここでも信頼と安心が違います。

介護業界のM&Aにおいても、非常に数多くの実績がございます。

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