自分の会社をM&Aで買いたいという人が現れた!やっておくことは?

  • 2019年8月9日
  • 2024年10月27日
  • M&A

後継者が不在で、このまま会社経営を続けるのが難しいと感じていたところに、自社を買ってもいいという人が現れた。でも、今までM&Aや会社の売却なんてやったことがないし、どうすればいいのか、わからない。

こんなお悩みを抱えている経営者が今、増加傾向にあります。

中小企業にもM&Aのスキームが活用できます。

中小企業経営者には、実際にM&Aをした経験がない方がほとんどなのではないでしょうか。

M&A経験がない経営者が、数回のM&A経験を持つ買い手側の経営者と直接交渉するのは、非常に危険です。

M&Aの交渉というのは、ビジネスの場で、取引先と行っている交渉とは少し違います。

M&Aは経営会計財務法務税務の総合格闘技と言われるほど奥が深くかつそれにより通常経験しないところでの専門的な情報分析や意思決定が求められるのです。

これを身に着けるには、実際にM&Aを数多く経験するしかありません。

ここでは中小企業のM&Aの経験値が高いアドバイザーを依頼することの重要性についてお話していきます。

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会社をM&Aで買いたいといわれたときにやっておくこと

自社を買いたいという人が現れたけど、何から手を付ければいいのかわからない。

会社の値段というのは、安くはありません。何十億、何百億で取引されることだってあります。

そのような金額を出してでも買うというのですから、相手は本気です。

売り手側はどのようなことやっておけばいいのか?をご説明しておきます。

まだ、買いたいとは言われていないけど、いずれは会社を売却しようと検討している経営者の方も必見の内容です。

財務データ、事業データ、法務データを整備しておく

M&Aでは、買主候補者は、デューデリジェンス(DD)(買収監査)といって、会社資料による監査をします。会社のすべての資料を精査するのです。M&A最大の山場といわれています。また、それ以前にも、買主候補者に、会社の情報を提供しなければ、買主候補者としては、その会社を買収することを検討すらもできません。また、買主候補者には、情報をかいつまんで正確かつ端的に説明しなければいけませんが、そのためにはしっかりした裏付け資料に基づいた情報をあらかじめ用意しておかなければ対応できないのです。

準備書類として、下記に一覧を掲載しておきます。

  • 監査基準日現在の試算表(内訳明細書も準備)
  • 直近2年間の税務申告書、納付書控えも用意
  • 定期預金に関しては、監査日基準で銀行作成の残高証明書を用意
  • 自社ビルなら土地建物など資産に関する権利書・事務所を賃貸しているなら賃貸借契約書
  • 株主総会、役員会議事録もファイリングしておく
  • 総勘定元帳、補助元帳も手元にファイリング
  • 代表者が加入している生命保険の監査基準日の解約返戻金を保険会社に依頼して作成
  • 小切手、手形(現物)取引があるなら、手形帳も照合して説明できるようしておく
  • 従業員に関するデータ(採用時の履歴書、労働者名簿、社会保険加入状況がわかるもの、労働契約書)
  • 最低でも3年後先までの事業計画書(5年、10年先を求められる可能性はあります)

上記のような内容は、どこの会社でも社内で管理されているデータです。日ごろから経営者もしっかり把握されることをお勧めします。

経営者がすぐ確認できるよう、必要に応じて買主候補者に提示できるよう、手元にファイリングしておいてください。

この書類を用意するのも非常に時間がかかりますので、なるべく早めから準備する必要があります。

M&Aを検討したら、すぐに書類の準備から進めていただきたいと思います。

従業員とのコミュニケーションをとっておく

また、従業員との面談をしておいてください。ほかの役員や外部のコンサルタントや社会保険労務士に依頼してもよいと思います。どこかの芸能事務所のように雇用契約書がないなんてことは、日本の中小企業では考えられない事態ですが、きっちり雇用契約関係に問題がないかについても見直す必要がある場合があります。

また、面談を行うからと、いちいち従業員にM&Aのことを公表する必要はありません。昨今、問題になっている働き方改革の一環で雇用関係を見直している、コンサルタントに依頼して会社の人事労務制度を検討しておらっているなどと、言っておけば怪しまれません。M&Aのことを早い段階で従業員に話すのは厳禁です。

従業員にM&Aのことを知られてしまうと、会社が売却される、買収先の企業はどんなところか、働きにくくなるのでは?と従業員に余計な心配を与えて疑心暗鬼になり、M&A完了までに離職される危険性があります。従業員が離職したら、企業価値が大幅に低下しますので、M&Aが失敗に終わってしまうかもしれません。

この面談では、従業員が望んでいることを聞き出して、待遇改善案を作るようにしてください。買い手企業との売却の条件設定で、従業員の雇用継続と待遇改善を盛り込むときの参考にしていただきたいと思います。

自分たちが望んでいることが、次の新しい経営者にしっかり引き継がれていることがわかったら、離職していく従業員など現れることはありません。

その他、人事労務上の問題が確認されたら、ひとしれず、社会保険労務士に依頼するなどして、きちんとしてしまっておいてください。会社には、大小問わず、人事労務上の問題が潜んでいることが多く、買主候補者によっては、そこにこだわり、企業価値の既存要因と考え、M&Aの価格に影響してきてしまいます。

M&A専業のアドバイザーを依頼しておく

この項目を3つ目にしたのですが、これを一番に話しするべきでした。

M&Aを成功させるには、買い手を探すよりも先にM&A専門のアドバイザーを探すことが不可欠なのです。

売主としては、1・2の項目について、会社資料の準備、従業員とのコミュニケーションをとるなど、忙しい日々の業務の合間に行う必要があります。M&Aアドバイザーなら、M&Aの専門的経験に基づき貴社の利益を考えてアドバイスしてくれますし、相手先企業との交渉を強力にサポートしてくれます。

まず、売主の希望をしっかりと理解してくれるM&A専業アドバイザーを探して、相談してみることからお勧めします。

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M&Aでの相談先とは?

同業者、知り合い、大学時代の友人など、知っている人間に会社を譲るから、M&Aアドバザーを選ばなくてもM&Aはできるのではないかと考えている方もいらっしゃるでしょう。なぜなら、すでに買い手がみつかっているからです。

しかし、この知り合いとのM&Aに専業アドバイザーを使わないのは少し危険なのです。

知り合いとのM&Aでも、契約書は作りますし、会社を譲渡するわけですから各種届出、登記をする必要はあります。

売主や飼い主の状況により、単純にその会社を譲渡するだけで終わりというわけではないのです。会社は一つ一つ違いますので、不動産の譲渡とは異なるのです。ですので、知り合いとのM&Aだからと簡単に済ませるわけにはいきません。

また、会社情報や会社資料をしっかり提供しないなんてことは絶対におすすめできません。

会社情報や会社資料をしっかり提供しないでM&Aをしてしまうと、買収後に必ず揉めます。

せっかくの友人関係、親族、仕事仲間との間で、訴訟を起こす可能性だって出てくるのです。

もし買い手が決まっていたとして、相談先はどこを選べばいいのでしょうか。

M&A仲介会社とM&A弁護士、その違いとは?

M&Aのアドバザーとして、最近は、M&A仲介会社に依頼する経営者が増えているのですが、意外にトラブルも多いのです。一番のトラブルは、サポート内容が充実していない点です。M&A仲介会社は、M&A仲介をすることが仕事ですので、売主に対して、十分なアドバイスを行いませんし、そもそもアドバイスを行ってはいけないのです。

M&A仲介会社はサポートが禁止されている

M&A仲介会社の役割は、買い手をさがして交渉や調査の代行を行い、M&A完了までをサポートすることです。M&A仲介をすることなのです。M&A完了したその後までを想定したサポートというのは想定していません。

なぜなら、M&A仲介会社の料金設定をみるとほとんどの会社が完全成功報酬制です。

会社が売れないことには、手数料が入ってこないのですから、売れるまでは頑張るのですが、売った後のことまでは想定していないのです。最初の問い合わせの段階で、売れそうにない会社なら、そのまま何か月放置していることも珍しくありません。

M&A仲介会社で貴社の担当者になるのは、営業スタッフです。

会社員で営業マンなわけです。M&Aについて一から十までサポートする時間も知識も持ち合わせていないと考えられます。

法律、税務など専門的な問題が起きると、わかることは即答できますが、対応したことがないことや、知識が足りないところは、持ち帰って回答することになっています。

M&A仲介会社には提携している弁護士や税理士はいます。間違ったことを答えるわけにはいきませんから、持ち帰るのは正しいです。しかし、時間的なロスになります。(日々、本来必要な法律知識、商業登記のこと、法改正、税改正、新しい情報にもいつもアンテナを張り巡らせ、必要な知識はインプットしていれば、いつ何時も即答できるのですが。)

M&Aはスピーディーに完了することが必要です。買い手を探すことに時間がかかり、またその後の手続きにも時間がかかっているようでは、M&A完了に何年もかかってしまう結果になり、その間に、事業価値がどんどん低下してしまい、二束三文で買いたたかれてしまう大きな要因になってしまいます。

M&A仲介会社はアドバイスが禁止されている

また、M&A仲介会社は、M&A仲介をすることが仕事ですので、M&Aの売主のみではなく、買主候補者ともM&A仲介契約を結びます。すなわち、M&A仲介会社は、売主に対しても、買主候補者に対しても、両方と契約しているわけですので、売主のみならず買主候補者の利益になるように扱わなければいけないのです。

すなわち、売主に有利になるようにアドバイスすると、買主候補者の利益になりませんし、買主候補者に有利になるようにアドバイスすると、売主の利益になりませんので、どうにもならない利益相反の状態になります。ですので、M&A仲介会社は、売主と買主候補者のどちらの利益になるようなアドバイスもしてはいけないのです。

両社に対する善管注意義務は果たせないので、そもそも、両社いずれにしたいしてもアドバイスはしてはいけないのです。民法違反になり、損害賠償責任を負ってしまいます。M&A仲介会社は、売主に対して、十分なアドバイスを行いませんし、そもそもアドバイスを行ってはいけないのです。

ということは、どうなるのかといいますと、買主候補者は、一般に、何回もM&Aを行ったことのあるM&Aのセミプロですが、売主は、人生の中で初めてM&Aに取り組む素人ですので、M&Aの売主が非常に不利でかつ危険な状態に置かれているということが分かります。

M&Aの売主は自分の味方が必要!

ですので、M&Aにおいて、売主は、自分の味方となるようなアドバイザーを契約しておかないといけないのです。

ただ、売主側だけに、別のM&A仲介会社や銀行のM&A部門をつけることは、やや過剰でしょう。

売主の立場で親身に考えてサポートすることなどは、M&A弁護士に任せるほうが安心といえます。

なぜなら、弁護士は、M&A仲介会社と異なり、売主と買主候補者の双方と契約することは禁止されており、いつ何時も依頼者側にピッタリ寄り添ってくれます。

法律的な知識でもって徹底的に依頼者の味方になります。それがM&A弁護士の最大の任務だからです。

買い手が大切な取引先、学生時代の友人という間柄なのに、M&A完了後、揉め事が起こるような事態は招きません。

そうならないためのノウハウを一番理解しているのは、弁護士だけといっても過言ではありません。

弁護士にM&Aを依頼するメリット

M&A弁護士の立場から申し上げるならば、実務経験は多少あるのでしょうが、法律の知識が充足していない人間が、大切な会社の売却時に必要な契約書を作成するのは危なくて見ていられないのです。

M&A仲介会社にも提携している弁護士が存在して、法律監修しているとは思いますが、トラブルは後を絶ちません。

そして実際にM&A仲介会社でM&Aを完了してトラブルを抱えて相談に来所される方が、急増しています。

実際に取り交わしたというM&A契約書を拝見するのですが、本当に契約のプロが作ったのかなと首をかしげる内容のものも多く存在します。もっと早く私たちのところに来ていただければといつも思います。

本当にもったいない話です。M&A仲介会社に手数料を支払い、またM&A弁護士にも訴訟などの法的手続きの手数料を支払う必要があるのですから。

また、訴訟になったとしても、M&A仲介会社の説明不十分や不備があるのに、きちんと確認していなかったことが良くないとのことで、M&A仲介会社や相手先企業にはおとがめなしという判例が多くあります。

このような最悪の事態になる前に、最初から、私たち、M&A弁護士にご依頼ください。

そのほうが、かえって安上がりだということご理解いただきたいのです。

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