会社分割・事業譲渡での商号続用の際の留意点!

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商号の続用と責任に関するメインのページです。本ページは、M&Aの手法のうち事業譲渡及び会社分割により屋号を引き継ぐ場面で買主が負う責任と、免責の登記の実務をご説明します。両方式の比較は別のページをご参照ください。
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本記事は、会社分割又は事業譲渡によって事業を譲り受けた後も、従来の商号を使い続けたいと考えている買主の方に向けたものです。
譲受会社が譲渡会社の商号を続用すると、譲渡会社の債務について弁済の責任を負う場合があります。これを避けるには、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨の登記をします。この免責の登記は会社分割の場合にも利用でき、実務上はさらに直前に商号を変更しておくことが一般的です。
会社分割又は事業譲渡によるM&Aで、譲受け後も従来の商号を引き続き使用したいと考えている買主の方が、商号続用に伴ってどのような責任を負うことになるのかが分からず悩んでいる場面を想定しています。
商号を続用すると、譲渡人の債務について譲受人が弁済の責任を負う場合があり、これを回避するための免責登記等の手当てをしないまま商号を続用すると、想定していなかった債務の履行を求められるおそれがあります。
そこで本記事では、会社分割・事業譲渡での商号続用の際の留意点、商号続用責任の免責登記という制度、そして会社分割の場合の取扱いについて説明します。
会社分割・事業譲渡での商号続用の際の留意点
会社分割や事業譲渡で事業を譲受する際、買収会社において、その被買収会社の商号をそのまま使用することがあります。これを商号の続用と言います。
買収会社と被買収会社は別法人ですので、買収会社において被買収会社の債務につき債務引き受けの手続がなされない限りは、債務者は買収会社ではなく、被買収会社のままです。
しかし、対象事業に関連して取引を行っていた取引先などの債権者は、買収会社が事業を承継した以上、買収会社に対して請求することができると期待する場合があります。そのような期待を一定の場合に保護することとしたのが、会社法の商号続用者の責任という制度です。
すなわち、買収会社が被買収会社の商号を続用した場合(会社法第22条第1項)や、買収会社が債務を引き受ける旨の公告をした場合(会社法23条)には、買収会社が債権者に対する責任を負うこととされています。
また、債務を引き受ける旨の公告とは、「公告の中に必ずしも債務引受の文字を用いなくとも、公告の趣旨が、社会通念の上から見て、営業に因って生じた債務を引受けたものと債権者が一般に信ずるが如きものであると認められるようなものであれば足りる」(最高裁昭和29年10月7日)とされており、商号を続用していなくても、かなり広く、買収会社が債権者に対する責任を承継してしまいます。
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商号続用責任の免責登記という制度
そこで、商号続用責任の免責登記という制度(会社法22条2項)があり、実務上は、これを使用します。
すなわち、事業を譲り受けた後、遅滞なく、買収会社が被買収会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記するのです。
具体的には、商業登記簿謄本に、「当会社は、平成○年○月○日事業譲渡を受けたが、譲渡会社である株式会社○○○○の債務については弁済する責任を負わない」との登記をするのです。これによって、買収会社は、商号続用責任が免責されることとなります。
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実務上はさらに直前に商号変更をしておくことが一般的
ただ、実務上は、念には念を押して、事業譲渡の前日に被買収会社が商号変更を行い、例えば「株式会社○○○○資産管理」などという、後日、特別清算などをすることを想定した会社名に変更するなどしておいて、事業譲渡の当日に買収会社が本来の商号に商号変更をすることにより、形式的にも、商号続用していない状態にして、この方法でも商号続用責任を回避することが一般的です。
すなわち、被買収会社が直前に商号変更をして商号続用責任を回避する(両社は事業譲渡日は商号が異なっているので商号が続用されていないと評価される)とともに、商号続用責任の免責登記をも行うことで、二重に商号続用責任を回避するのです。
なお、被買収会社が直前に商号変更をすると、商号の続用という状態が発生しませんが、登記実務上は、商号続用登記を受け付けるという運用がなされているようです。
事業の一部を事業譲渡や会社分割で切り出す進め方と、許認可のある事業の承継は、次のページでご案内しています。
会社分割の場合も商号続用責任の免責登記が可能!!
この商号続用責任ですが、会社分割の際の商号の続用の場合に関しても、事業譲渡の場合と類似の状態であることから、類推適用されますので注意が必要です。
また、会社分割の際の商号の続用の場合に関して、会社法上、商号続用責任の免責登記制度は存在していませんが、事業譲渡の場合と類似の状態であることから、会社法22条2項が類推適用されますので、会社分割の際にも、商号続用責任の免責登記を行うことを忘れてはいけません。
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お手元の資料と経緯をお聞きし、進め方の順序をお示しします。
会社分割における商号続用者の責任
会社法第22条第1項は、事業の譲受けの場面を定めたものです。もっとも、会社分割においても、承継会社が分割会社の商号を続用した場合には、同項の類推適用により、承継会社が分割会社の債務について弁済の責任を負うことがあります。
最高裁判所は、預託金会員制のゴルフクラブの名称を続用した事業譲渡の事案において、譲受人が預託金返還義務を負うとしたうえで(最高裁判所平成16年2月20日判決)、会社分割の事案においても、承継会社が分割会社のゴルフクラブの名称を続用した場合につき、会社法第22条第1項の類推適用により承継会社が預託金返還義務を負うと判断しています(最高裁判所平成20年6月10日判決)。
したがって、会社分割によるM&Aにおいても、屋号、ブランド名、店舗名等を承継する場合には、商号続用者の責任の類推適用を検討する必要があります。
免責の登記及び通知の実務
商号を続用する場合に責任を免れるための方法は、次の二つです。
第一に、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対し、譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を通知することです(会社法第22条第2項後段)。この場合、通知を受けた第三者に対してのみ効力が及びます。
第二に、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において、譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記することです(同項前段)。この場合、すべての第三者に対して効力が及びます。
「遅滞なく」の要件を満たすためには、事業譲渡の効力発生後、速やかに登記の申請を行う必要があります。クロージング後に失念すると、この制度を用いることができなくなりますので、クロージング当日の手続一覧に組み込んでおくことが必要です。
債務引受けの広告に該当しないための留意点
本文中に述べたとおり、会社法第23条第1項の債務引受けの広告に該当するかどうかは、公告の趣旨が社会通念上、事業によって生じた債務を引き受けたものと債権者が一般に信じるようなものであるかによって判断されます。
したがって、M&Aの公表資料、取引先への挨拶状、ウェブサイトの告知等において、「事業を全面的に引き継ぎます」「従来どおりお取引を継続します」といった表現を用いる場合には、債務の承継の有無について誤解を生じさせないよう、文言を慎重に検討する必要があります。
実務上は、承継の対象が事業であり、譲渡会社の債務を承継するものではない旨を明記することが考えられます。挨拶状の文案は、法務の確認を経てから発送することをお勧めします。
詐害的な事業譲渡及び会社分割に対する責任
商号を続用しない場合であっても、残存債権者を害することを知って事業譲渡又は会社分割を行ったときは、残存債権者は、譲受会社又は承継会社に対し、承継した財産の価額を限度として、債務の履行を請求することができます(事業譲渡につき会社法第23条の2、吸収分割につき同法第759条第4項、新設分割につき同法第764条第4項)。
いわゆる第二会社方式による事業再生を行う場合には、この規律が重要となります。承継させる資産と負債の範囲、対価の相当性、残存会社に残す資産の内容について、事前に検討しておく必要があります。
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