会社分割・事業譲渡での商号続用の際の留意点

会社分割・事業譲渡での商号続用の際の留意点

会社分割や事業譲渡で事業を譲受する際、買収会社において、その被買収会社の商号をそのまま使用することがあります。これを商号の続用と言います。

買収会社と被買収会社は別法人ですので、買収会社において被買収会社の債務につき債務引き受けの手続がなされない限りは、債務者は買収会社ではなく、被買収会社のままです。

しかし、対象事業に関連して取引を行っていた取引先などの債権者は、買収会社が事業を承継した以上、買収会社に対して請求することができると期待する場合があります。そのような期待を一定の場合に保護することとしたのが、会社法の商号続用者の責任という制度です。

すなわち、買収会社が被買収会社の商号を続用した場合(会社法21条1~3項)や、買収会社が債務の引受けする旨の広告をした場合(会社法23条)には、買収会社が債権者に対する責任を負うこととされています。

また、債務を引き受ける旨の広告とは、「広告の中に必ずしも債務引受の文字を用いなくとも、広告の趣旨が、社会通念の上から見て、営業に因って生じた債務を引受けたものと債権者が一般に信ずるが如きものであると認められるようなものであれば足りる」(最高裁昭和29年10月7日)とされており、商号を続用していなくても、かなり広く、買収会社が債権者に対する責任を承継してしまいます。

商号続用責任の免責登記という制度

そこで、商号続用責任の免責登記という制度(会社法22条2項)があり、実務上は、これを使用します。

すなわち、事業を譲り受けた後、遅滞なく、買収会社が被買収会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記するのです。

具体的には、商業登記簿謄本に、「当会社は、平成○年○月○日事業譲渡を受けたが、譲渡会社である株式会社○○○○の債務については弁済する責任を負わない」との登記をするのです。これによって、買収会社は、商号続用せ金が免責されることとなります。

実務上はさらに直前に商号変更をしておくことが一般的

ただ、実務上は、念には念を押して、事業譲渡の前日に被買収会社が商号変更を行い、例えば「株式会社○○○○資産管理」などという、後日、特別清算などをすることを想定した会社名に変更するなどしておいて、事業譲渡の当日に買収会社が本来の商号に商号変更をすることにより、形式的にも、商号続用していない状態にして、この方法でも商号続用責任を回避することが一般的です。

すなわち、被買収会社が直前に商号変更をして商号続用責任を回避する(両社は事業譲渡日は商号が異なっているので商号が続用されていないと評価される)とともに、商号続用責任の免責登記をも行うことで、二重に商号続用責任を回避するのです。

なお、被買収会社が直前に商号変更をすると、商号の続用という状態が発生しませんが、登記実務上は、商号続用登記を受け付けるという運用がなされているようです。

会社分割の場合も商号続用責任の免責登記が可能!!

この商号続用責任ですが、会社分割の際の商号の続用の場合に関しても、事業譲渡の場合と類似の状態であることから、類推適用されますので注意が必要です。

また、会社分割の際の商号の続用の場合に関して、会社法上、商号続用責任の免責登記制度は存在していませんが、事業譲渡の場合と類似の状態であることから、会社法22条2項が類推適用されますので、会社分割の際にも、商号続用責任の免責登記を行うことを忘れてはいけません。

 

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