生産年齢人口の減少やグローバル化により、シェアの拡大や新事業の展開が必要となる時代になっています。そのような構造的な課題をクリアできるのがM&Aであり、企業経営において欠かせない選択肢の1つです。
ここではM&Aの基本的な意味や種類、メリット・デメリットを解説していきます。誰にでもわかりやすく、かつ徹底的に記述していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
M&Aとは何?わかりやすく解説
M&Aは2つの企業が合併や買収によって1つになることを意味します。広い意味では企業間の提携などもM&Aに含まれます。その種類や手法は多岐にわたっており、近年では中小企業のM&Aが活発に行われてており、M&Aは特別珍しい存在では無くなってきました。
M&Aとは何の略?
M&AはMerger(合併・統合)とAcquisition(取得・買収)の略語です。M&A先進国はやはりアメリカで、アメリカ経済は1世紀以上企業間のM&Aが活発に行われています。企業がM&Aを繰り返すことでコングロマリット化し競争力を拡大させ、それに対する反トラスト法の制定するなど、M&Aが浸透した経済システムであると言えます。
日本におけるM&Aの広まりと需要
日本でもM&Aは広まりを見せており、2006年の新会社法の整備により曖昧な部分が解消され、現在でも増加傾向にあります。その数は公表されているもので3000件以上(2017年度経済白書よりhttps://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap6_web.pdf)であり、私達の周囲に浸透しつつある経営手法となっています。
日本のM&Aの歴史
日本のM&Aの歴史は古く、1800年代後半の財閥から行われています。次に代表的な例を上げると1930年の日産グループが顕著です。孫会社130社になったと言われる巨大なコングロマリットですが、それはM&Aによって生まれました。
そしてバブル崩壊後に日本のM&Aは隆盛の時代を迎えます。企業が生き残りの道を探していくうちに、自然とM&Aが注目されました。アジア通貨危機などの影響で、ハゲタカファンドと呼ばれる外資が国内企業のM&Aを仕掛けるなど、日本経済とM&Aは深い関わりを見せます。サブプライムローンなど世界的な不況を除けば、日本でM&Aはすでに浸透しているといえるでしょう。
ただし、日本企業の情緒ともいえる部分が、アメリカのようにM&Aを前提とした経営を阻害している部分もあります。例えばカリスマ創業者の存在や、終身雇用への根強い期待感がそれです。日本のM&Aはこれらの問題といかにクリアしていくかがポイントになるでしょう。
M&Aの種類
M&Aの種類はいくつかありますが、大きく分けると「買収」「合併」「分割」になります。それぞれ解説していきましょう。
買収
M&Aでもっとも一般的な手法です。売り手(譲渡し)企業と買い手(譲受け)企業が存在し、資金の移動が行われます。
株式譲渡
会社の所有者が株式を買い手企業に売る手法です。最も一般的なM&Aであり、中小企業のM&Aの80~90%はこの方法が採用されます。非公開株であれば対象企業との相対的な取引になり、目的の株式保有率まで譲渡することで完結します。
公開株になると市場から株を集める必要があり、M&Aでは多額の資金が動くことになるでしょう。
株式譲渡のメリットは手続きが簡潔に終わることです。売り手側の企業もそのまま継続して残るため、株主への説明や債権者保護が必要ありません。その代り、M&Aのダイナミズムであるシナジー効果が生まれにくいとも言えます。
新株引受
経営権の譲渡ではなく合併や業務提携を行う際に採用される手法です。第三者割当増資とも言い、新しく株を発行しそれを引き受けてもらうことで資金調達をすることが出来ます。受け手側からしても資本の増額であり借金にはなりませんので、メリットが多いと言えます。ただし、株の保有率が変化しますので、あらかじめ株主には説明が必要になります。
株式交換
株式を買い手側が全て引き取る手法です。その対価として買い手側の株式や債権で支払うことが認められています。この手法では売り手側の企業は買い手側企業の完全子会社となり、債権者の保護など煩雑な手続きが必要になります。
メリットとしては買い手側の資金調達が不要な事、売り手側の経営陣が残留できることなどが挙げられます。そのため友好的なM&Aでは広まりつつある手法となっています。
事業譲渡
会社がその事業のみを売却したいと考えた時に取られる手法です。株式譲渡と違い、事業のみに限られるので、買い手側は欲しい事業のみに限って購入することが出来ます。売り手側としても債務超過などにおちいった事業のみを売却できる手法といえます。
合併
吸収合併では売り手側の会社が、買い手側の会社にすべて譲渡される手法です。売り手側の企業は書類上無くなってしまう形になりますが、完全に1つの会社になるのでM&Aのシナジー効果が期待できます。
その代り企業文化の摩擦などが予測されますので、吸収合併は慎重に行われるべきでしょう。合併には他にも新しい企業を創設する新設合併と言う手法がありますが、法人格をすべて新しく取得せねばならず手間がかかってしまいます。
分割
会社を分割し、その事業ごとに新設会社や承継会社に合併する手法です。事業譲渡や合併に似ていますが、事業の権利義務などをそのまま継承させることができるメリットがあります。
その他のM&A
経営権が移動しないM&Aも存在します。OEMなどの業務提携なども、この狭義のM&Aであると言えます。お互いの技術や販売網を生かすことができますので、つながりのある大企業で行われている種類のM&Aになります。
M&Aのメリット・デメリット
ここではM&Aのメリットとデメリットを解説していきます。企業の規模や業種によってさまざまなメリットとデメリットがありますので注意してください。
M&A売り手のメリット
M&Aが行われるということは、買い手には売り手企業を欲しがる価値があるということです。価値が無い企業にはM&Aのプランすら発生しません。M&Aのメリットを売り手側から解説します。
事業の維持継続
経営者の高齢化や営業の窮地により、事業が維持継続できなくなった場合、M&Aはそれを回避できる有効な手段になります。新しい経営者にバトンを渡すことで、それまで培ってきた企業の価値を残すことが出来るでしょう。
特に日本の中小企業では、経営者の後継者不足が問題となっています。従業員も新しい経営者を向かえる準備が出来ない場合EBO(Employee BuyOut)を行うこともあるでしょう。従業員が資金を集められ無い場合は、やはりM&Aが有効です。
譲渡によるEXIT
M&Aにはさまざまな形がありますが、中小企業の8割~9割で行われているのは株式譲渡です。ここでは譲渡益が発生します。譲渡益によって新しい会社を起業したり、次のステップへと進むことが出来るでしょう。これまで投資した額を回収するという意味でEXIT(エグジット)と呼ばれ、EXITをゴールとした戦略もあります。
企業を継続させることだけが価値ではありません。新しい経営者にバトンをつなぐことで、新たな価値を生むことが出来ます。EXIT戦略には他にもIPO(株式公開)があり、広く投資家から資金を募ることが出来ますが、経営権の希薄化や準備の大変さなどのデメリットもあります。
人材とノウハウの活用
M&Aが行われることで、優秀な人材が流出することを未然に防ぐことが出来ます。窮地に陥っている企業などでは、給与未払いや解雇により人材が離れてしまうことが予測されます。M&Aを行えば人材やノウハウの流出を防ぎ、企業文化や従業員の生活を守ることが可能になります。
選択と集中
経営者にとって主要な事業(コア事業)だけを残し、ノンコア事業は将来性に応じて撤退していく必要があります。ですが、さまざまな理由からそれが出来ない場合M&Aは最適な選択肢になります。買い手にとってノンコア事業が無駄なら撤退させ、または生かせるならば買い手の企業と合併させることができるからです。このような選択と集中はM&Aを行うメリットの中でも非常に重要です。
M&A買い手のメリット
M&Aは買い手にもさまざまなメリットが存在します。企業の中にはM&Aを繰り返して成長していくところもあり、企業の成長戦略としてM&Aは有効です。
シェアや競争力の拡大
新しい市場を求めてゼロからビジネスを構築するのが困難な場合、M&Aは有効な手段となります。例えば海外や新規のジャンルへの投資などでは、M&Aによってスマートに進出することが可能になります。
経営資源の活用
M&Aにより新しい企業による経営が行われることで、新しい価値が生み出されることが期待できます。例えばネット販売を得意にしている企業が、従来の仲介業者や顧客に依存している状態から脱却できるなど、M&Aには経営資源を活用できるメリットがあります。
アトラとミツフジのM&A
ウエアラブルIoT端末の生産をしているミツフジは、さまざまな業界とのM&Aで業績を延ばしている企業です。その一つが介護業界のアトラであり、鍼灸事業のノウハウと人材がミツフジの持っているIoT端末のノウハウと加わり、ユーザーに新しいサービスを提供することが可能になりました。
自社の持っている人材やノウハウ、経営資源などを生かすには、積極的にM&Aを行うことが有効であるという事例といえます。
シナジー効果
企業間のM&Aには数字で表せない効果が期待できます。それは単純に1+1=2と数字で割り切れるものではありません。これをシナジー効果(相乗効果)といい企業の価値を何倍にも高めることが期待できます。
代表的なのが2007年のソフトバンクによる日本テレコムのM&Aです。異業種によるこのM&Aはシナジー効果を生み、ソフトバンクはその後通信事業を拡大し、企業価値を大幅に向上させることが出来ました。
M&Aによる企業文化の融合はメリットでありデメリットにもなり得ます。異文化同士の衝突やトラブルなど、日本の大企業による海外へのM&Aは70%が失敗というデータもあるほどです。異文化との融合は難しく、そのリスクを抱えてでもシナジー効果には期待できるメリットがあると言えるでしょう。
人材の覚醒
経営者が刷新されることで、労働者の危機感をあおることにつながります。また、それまで力を発揮できていなかった従業員に対しても、新しい環境を提供することができます。
それまで問題社員だった人が、M&Aによる経営者の変化で誰よりも輝くことが期待できます。その様な埋もれた原石を発掘する効果があるのです。
M&A売り手のデメリット
M&Aにはメリットばかりではなく、デメリットも存在します。特に日本企業による海外へのM&Aの成功率は低く、文化の違いによる問題を認識しなければなりません。
企業文化消失の可能性
M&Aにより創造的破壊が行われ、それまで存在した企業文化が失われるリスクがあります。これは数値化できない物ですのでM&Aに反発する従業員などがいれば詳しく調査をする必要があるでしょう。
経営者が企業文化を守るためM&Aを防ぐ方法として、MBO(マネジメント・バイアウト)を行うことがあります。従業員や経営者が株式を保有することで、従来の企業文化を守ることが出来るでしょう。
M&A買い手のデメリット
買い手側にもデメリットやリスクが存在します。専門家による監査を実行しても、表面化しない問題があるからです。
不正や不良資産
売り手側の企業が隠匿、または認識していなかった不正や不良債権などが、M&A締結後に発覚することがあります。買い手企業はこのリスクを減らすため、念入りな監査を行わなければなりません。
簿外債務の存在
買い手企業が最も注意するべきなのが簿外債務の存在です。事業が継続できなくなるほどの債務を抱えていて、それを継承してしまうと共倒れになる可能性があるからです。
特に中小企業では簿外債務は度々問題になります。簿外債務は節税や損益隠しなどの為に隠されますので、M&Aでは徹底的に洗い出さなければいけません。
人材のトラブル
新しい環境で力を発揮できる従業員もいれば、経営者が変わることに対応できない従業員もいます。現場でのすり合わせによる、新しい経営スタンスを浸透させる必要があるでしょう。
M&Aの流れ
ここでは基本的なM&Aの流れについてご説明します。仲介業者をどのタイミングで入れるかはそれぞれですが、出来るだけ早い方がいいでしょう。M&Aの方向性やゴールを決定するのに、第3者の視点は非常に重要です。
準備・調査
M&Aを行おうと企業が決めたのならば、まず自社の価値を判断することから始まります。そしてどのような相手に譲渡したいのか、最終的にM&Aのゴールはどこなのかを決定します。
この段階から仲介業者を選定することになります。業者の持っている実績や情報によって、M&Aの結果は大きく変わってしまうので、自社の意志を汲んでくれるパートナーと契約しましょう。
また、準備段階で重要なのはM&Aを行おうとしている情報を漏らさないことです。従業員が知ってしまうことで、離職などさまざまなトラブルになることが多いので、あくまで経営陣とM&Aのチームのみで話を進めていかねばなりません。
マッチング
売り手にとって良い書い手企業と交渉することが、M&Aの最も重要なポイントです。その為には多くの企業情報が必要ですが、あまりM&A市場に長期間残ってしまうのは良くありません。「M&Aが成立しないのは、なにか理由があるからだ」と買い手企業に察せられてしまうからです。
そうならないためには、情報の漏洩を最小限に有望な企業とのマッチングが行える仲介業者への依頼が有効です。
打診
理想的な譲渡先企業が見つかれば、そこに打診を行います。企業情報を提示し、仲介業者により関心の高さを計ります。そこから経営者同士の面会を行い、基本的な合意書を作成することになります。ここでも重要なのは可能な限り情報を漏らさないことです。
交渉・合意
対象企業と合意に至る前に、まず秘密保持契約NDA(Non Disclosure Agreement)が結ばれます。第3者に情報を漏洩させないことはM&Aにおいてとても重要な事だからです。それから細かい交渉に入り、相互の意見のすり合わせを行う段階に入ります。
基本合意書MOUの作成
交渉に先立った基本合意書MOU(Memorandum of Understanding)を作成します。相互の了解事項や買取価格など、MOUを元に交渉が進むことになります。独占交渉権やスケジュール、買取条件など重要な内容が含まれますが、MOUには法的拘束力がある場合と無い場合がありますので注意が必要です。
DDの依頼・実施
専門家によるDD(Due diligenceデューデリジェンス(DD))を行います。DDは直訳すると「支払うべき勤勉」となり、対象企業がM&Aを行う価値があるかを判断する基準となります。
弁護士、税理士、会計士、弁理士などによって、法務、財務、事業、財産権の各分野において監査を行います。これは中小企業でのM&Aでも絶対に必要な工程です。
契約の交渉・締結
DDによって監査した情報に問題が無ければ、スケジュールに反ってM&Aの最終合意へと向かいます。従業員への周知や、マスコミへのプレスリリースなどを行います。
M&Aのポイント
M&Aで特に重要なポイントを解説します。これらは決して人任せにするのではなく、経営者やM&Aを実行するチームが共有するべき情報です。
マッチングが重要
売り手と買い手の企業文化、メリットやシナジー効果の期待など、すべてマッチングにかかっています。その為には仲介業者の存在がカギを握っていますが、成熟しつつある日本のM&A市場ではまだ仲介業者の数は豊富ではありません。マッチングには有力な仲介業者の働きがポイントとなります。
税金
M&Aにかかる税金として、以下に説明いたします。
株式譲渡金
売り手企業の経営者が得た株主譲渡の金額に所得税、住民税、復興特別所得税がかかります。それは得た金額から経費を引いた金額にかかってきます。個人と法人では税率が異なりますので注意してください。
役員退職金
売り手企業の役員が得た退職金に対して税金がかかります。それは累進課税で計算されますので、専門家にアドバイスを貰って節税できる範囲の退職金に納めることになります。
売り手企業の税金
M&Aにかかった役員報酬を損金として計上できます。これも上限がありますので、税理士のアドバイスに従って決定します。
M&Aを成功させるためには!
目的を明確にする
M&Aを繰り返す企業の中には、M&Aを行うことが目的となり、その本来の意味を失うことがあります。確かにシェアの拡大やシナジー交換など、M&Aのメリットは数値化できないところがありますので、DDを重視せず実行してしまうのは仕方のないことかもしれません。
M&Aを行う目的を明確化しましょう。その最終的な形をM&Aのチーム全員でシェアできなければ、失敗する確率は高くなってしまいます。
日本独特の情緒を捨てる
ノンコア事業のカットなど、M&Aは非情とも捉えられる経営手段が可能になります。それは日本独特の情緒ともいえる終身雇用とは反する性質の物です。経営者が変わるだけで信用を失ってしまうこともあるでしょう。不利益を出している取引先も、長い付き合いだからと切れない場合もあります。
それらの企業文化や日本人の気質、情緒などには注意を払わなければいけません。交渉の段階で念入りにすり合わせを行い、スマートにM&Aを実行します。
情報漏洩に気を付ける
案件が出回ると不利になるのは先述の通りですが、社内に対しても情報漏洩には注意しなければなりません。どこから情報が洩れるかは特定することが不可能ですので、なるべくM&Aは必要最低限の少人数で行うことが理想です。
ひとたび情報漏洩してしまうと、従業員の離職、取引先との信用の低下、買い手企業とのNDA違反となってしまいます。M&Aは不利になるばかりか、計画すら白紙になりかねません。
仲介者の選択
仲介者、仲介業者の洗濯はM&Aにおいて最重要項目であると言えます。あまり仲介業者の事を調べずに、誰かの紹介のままM&Aを進めてしまうと、突然莫大な手数料を請求されることがあるからです。
マッチングする企業データやM&Aのゴール地点を見極め、最適な仲介業者を選定するようにしましょう。その労力を惜しんではいけません。
コラム:仲介者とFAの違い
M&Aを行う際、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)を建てる場合があります。FAと仲介業者の違いは、FAが雇われた側に立つので、利益を最大限化させることが見込めることです。一方で仲介業者はお互いの公平な立場に立つことになります。
どちらが良いかはケースによって変わります。特に中小企業の場合は、FAを使うことで利益を最大限にさせようとすると、後のトラブルが発生しやすくなるようです。
M&Aの成功例・失敗例
いくつかのM&Aの成功例と失敗例をご紹介します。M&Aのメリットとデメリットを具体的に把握することができるでしょう。
M&Aの成功例
M&Aの成功例でポイントとなるのは、その目的が明確であることです。いくつかの例をご紹介します。
JTの海外市場へのM&A
たばこなどのシェア日本一であるJTは海外市場獲得の為、M&Aを積極的に行っている企業です。日本では電子タバコなどへの参入に遅れをとっているので、新たな市場開拓のためにM&Aを活用しています。
通信事業のノウハウを生かすソフトバンクのM&A
日本テレコムを買収したソフトバンクは巨額のM&Aを繰り返し成長します。通信事業ではボーダフォンを1兆7500億円で買収し、移動通信事業への地位を高めました。
現在ソフトバンクは多角化した巨大企業ですが、M&Aでシェアを拡大しノウハウを活用する経営は突出しています。
M&Aの失敗例
いくつかの失敗例もご紹介します。文化の違いや目的の不明確な事など、M&Aには失敗する原因というものが必ず存在します。
西友とウォルマートのM&A
2002年にアメリカ大手小売のウォルマートが西友を買収したことは、M&Aの失敗事例として知っておくべきかと思われます。
ウォルマートは巨額の投資を行いましたが、結局西友は業績を回復させることはできませんでした。企業文化の違いや海外市場へのM&A難しさをこの案件から知ることが出来ます。
資生堂のアメリカ市場へのM&A
資生堂は海外市場へのシェア拡大の為M&Aを積極的に行っている企業です。2010年に自然派化粧製品会社のベアエッセンシャルを買収し、2017年には655億円の負債を計上しています。
それでも2019年にスキンケア製品のドランク・エレファント・ホールディングス社を910億円で買収し完全子会社化しています。資生堂のM&A戦略は長期的な視点で行われていますので、1つの失敗にも可視化できないメリットがあるのでしょう。
まとめ
M&Aはこれから日本で注目されていく経営戦略です。それは大企業ばかりではなく、むしろ中小企業にこそ必要です。経営者の高齢化、市場シェアの拡大、企業文化融合によるシナジー効果など、M&Aによって生き残る企業、買収される企業が明確化されていく時代になっています。
M&Aは企業の価値を計る手段でもあります。他企業から見て魅力のない企業には、M&Aの打診すらありません。これからの時代の生存戦略として、M&Aは欠かせない経営手法となるでしょう。