M&Aにおける基本合意書!

  • 2015年9月10日
  • 2023年3月5日
  • M&A

M&Aの基本合意書とは

M&Aの基本合意書とは、M&Aの交渉が一定程度進み、買主候補企業が対象会社を基本的に買収するという意思を固めた場合に、売主との間で締結する契約書です。基本合意書は、その名のとおり、買主候補企業が基本的に対象会社を買いますよという契約書です。

基本合意書は、英語では、Letter of Intent(LOI)と呼ばれますので、通常、日本でも、LOIと呼ばれたりします。

⇒M&A契約書の作成・チェックの弁護士費用はこちら!

M&Aの基本合意書の構成

M&Aの基本合意書は、売主と買主候補企業とが基本的に合意に至った内容が記載されることになりますので、M&Aの基本合意書には、通常、基本的に対象会社を買いますよという条文以外にも、買収予定価格(デューデリジェンス(DD)の結果に応じて価格が修正されること)、M&Aスキームの概要、役員・従業員の処遇、一定事項の表明及び保証、一定事項の遵守義務、M&Aのスケジュール、M&Aのデューデリジェンス(DD)の実施、M&Aの独占交渉期間などが記載されます。

すなわち、M&Aの基本合意書には、一般的に、以下のような項目が含まれます。

1.取引基本条件
2.スケジュール
3.独占交渉権
4.デューデリジェンス(DD)に関する取り決め
5.誓約事項
6.法的拘束力

M&Aの基本合意書には法的拘束力が存在しない!

買主候補企業としては、M&Aの基本合意書の段階ではまだ対象会社の会社の精査・会社の監査(デューデリジェンス(DD))は終了していないでしょうから、M&Aの基本合意書に規定された条項は、法的拘束力がないものとすることが一般的です。

M&Aの基本合意書に法的拘束力がないのであればそのような契約書を締結しても意味がないじゃないかということとなるかもしれませんが、この段階で法的拘束力がある合意をすることができないのはやむを得ないことですし、法的拘束力がないと言っても書面に明確に記載される以上、買主候補企業の意思が明らかになるわけですので、その意味は非常に重要です。

M&Aの基本合意書に規定しなかったM&Aの条件については、後日、最終契約書において、条件として入れにくくなるとか、基本合意書に規定した条件については、最終契約書で合理的な理由を説明し、それが受け入れられない限り、なかなか変更は難しいのです。基本合意書において、法的拘束力は存在しないのですが、既にM&A交渉が始まっていることに留意する必要があるのです。

例えば、デューデリジェンス(DD)の結果に基づく企業価値相当額を、売主であるオーナーに対して、①株式譲渡代金と②退職慰労金に分けて支払う旨規定されていたが、売主であるオーナー貸付金の返済については言及されていなかった事例において、買主候補企業に対して、オーナー貸付金の返済は不要であると印象付けてしまい、最終的に、オーナー貸付金の放棄を迫られてしまうケースや、M&A株式譲渡代金は「時価純資産」を基準として決定する旨が規定されていた事例において、後日、収益性が著しく低いことが判明したとしても、「収益還元法」や「類似業種比準法」に基づくM&A株式譲渡代金への変更が拒否されるケースや、最終契約で表明保証などを規定することは規定されていたが、コベナンツを規定することは規定されていなかった事例において、コベナンツの規定を入れることを拒否されるケースなど、そうでなくとも揉め事になるケースがございますので、相手方が想定していないのであればなおさら、基本合意書の段階でそのような規定を盛り込み、相手方の期待可能性を調整することが必要となります。

すなわち、法的拘束力がなくても、基本合意書により当事者の意思が固定化されるわけですので、その後の交渉を事実上拘束するということには注意が必要です。

⇒M&A契約書の作成・チェックの弁護士費用はこちら!

M&Aの基本合意書の作成に際しての留意点

M&Aの基本合意書には上記のような事実上の効力が存在しますので、取引基本条件を規定する場合は、企業価値評価を踏まえたものにする必要があり、適切な前提を記載するなど、条件の修正可能性を確保する必要がある。

M&Aの基本合意書でも法的拘束力が存在する規定がある!

なお、M&Aの基本合意書であってもすべての条項を法的拘束力が無いものとすることは困難であり、例えば、デューデリジェンス(DD)の実施、独占交渉期間に関する条項は、法的拘束力があるものとすることが一般的です。

また、書き方によっては、思わぬ法的拘束力が発生してしまいますので、特に注意が必要です。

M&Aの意向表明書について

なお、基本合意書を締結せずに、買主候補企業から売主に対して差し入れる意向表明書を作成することもあります。これも、文字通り、買主候補企業が基本的に対象会社を買いますよという意向を表明する書面であり、法的拘束力は無いものとすることが一般的です。ちなみに、意向表明書も、英語では、Letter of Intent(LOI)と呼ばれます。こちらの方が文字通りですね。

M&A 総合 法律事務所では、想定される具体的なM&Aの事案に応じて、オーダーメードでM&Aの基本合意書や意向表明書を作成しています。法的拘束力がないとしても、M&Aの基本合意書や意向表明書に書かれた内容は、その時点での買主候補企業の意思を表示したものであり、交渉のスタート地点になります。M&Aのプロセスはすべて交渉です。交渉を適切に進めることができるかどうか、交渉上有利になるか不利になるか、基本合意書や意向表明書の文面に掛かってくるのです。

実際に、M&Aの基本合意書に記載した事項が原因で、その後の交渉力学が大きく変わった事例も多く存在します。このような最初のステップでつまずいてはいけませんので、M&Aの基本合意書締結や意向表明書差入れの際は、専門家にお問い合わせください。

⇒M&A契約書の作成・チェックの弁護士費用はこちら!

お問い合わせ   

この記事に関連するお問い合わせは、弁護士法人M&A総合法律事務所にいつにてもお問い合わせください。ご不明な点等ございましたら、いつにてもお問い合わせいただけましたら幸いです。

    ■対象金額目安

    ■弁護士相談料【必須】

    ■アンケート

    >お気軽にお問い合わせください!!

    お気軽にお問い合わせください!!

    M&A相談・株式譲渡契約書・事業譲渡契約書・会社分割契約書・デューデリジェンスDD・表明保証違反・損害賠償請求・M&A裁判訴訟紛争トラブル対応に特化した弁護士法人M&A総合法律事務所が、全力でご協力いたします!!

    CTR IMG