株式交換は特定の会社を完全子会社化するときに行われるM&A手法です。
手続きの流れを理解し、あらかじめスケジュールを決めていれば手続きをスムーズに進めることができるでしょう。
そこで今回は、株式交換の手続きをする流れや期間だけでなく、メリットやデメリットについて解説していきます。
実際に行われた事例も含めて紹介するので、株式交換の手続きを円滑に進めたいという方はぜひこの記事を参考にしてみてください。
株式交換とは?
株式交換とは、一つの会社(親会社)が、もう一つの会社(子会社)に発行されているすべての株式を取得し、その結果として子会社を100%支配するM&A手法です。これにより、対象となる子会社は完全子会社として、完全親会社の傘下に入ることになります。
通常、株式交換の際には、子会社の株主に対して親会社の株式が対価として渡されます。ただし、親会社の親会社の株式を交付する「三角株式交換」や、株式ではなく現金などを対価とするケース(現金対価株式交換)も、法律上は認められています。
現金対価株式交換を行う際は、「1株につき◯円」と定めることで金額を決定します。
株式交換が採用される理由
株式交換を利用すれば、すべての株主からの承認がなくても、子会社を完全に親会社のものにすることが可能です。通常、企業が他社の株式をすべて取得するには、ほぼすべての株主から同意を得る必要があります。しかし株式交換の場合、株主総会で出席株主の3分の2以上の賛成があれば成立するため、手続きが比較的スムーズです。
この仕組みは、グループ内の企業再編、特に子会社の完全子会社化を進める際によく活用されます。株式交換では、子会社の株式を取得する際に、現金ではなく親会社の株式を対価として交付できるため、大きな買収資金を準備する必要がありません。
また、合併や会社分割、事業譲渡と異なり、株式交換で完全子会社となった会社は、引き続き独立した法人として存続します。そのため、組織や事業の運営に大きな変更が加わることはなく、現場への影響も抑えられるのが特徴です。
株式交換の手続きを行うスケジュールや期間
本章では、株式交換の手続きを行うスケジュールや期間について解説していきます。
今回は、5月1日を効力発生日とした場合のスケジュール例を以下の表にまとめました。
日程 | 完全親会社 | 完全子会社 |
3月中旬 | 株式交換の準備 (株式交換契約の内容確認など) | 株式交換の準備 (株式交換契約の内容確認など) |
3月下旬 | 取締役会決議で株式交換契約の承認 | 取締役会決議で株式交換契約の承認 |
3月下旬 |
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4月上旬 |
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4月下旬 | 株主総会決議 | 株主総会決議 |
5月1日 | 株式交換の効力発生 | 株式交換の効力発生 |
5月1日〜 |
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以上のように、株式交換は2ヶ月ほどかかるので事前にスケジュールを組んでおくと良いでしょう。
株式交換の一般的な手続きや流れ
株式交換の手続きは、主に以下の流れが一般的です。
- 取締役会決議
- 株式交換契約の締結
- 事前開示書類の作成と備置
- 株主に対する通知
- 株主総会による株式交換契約の承認
- 債権者保護の手続き
- 反対株主からの株式買取請求
- 金融商品取引法に基づく対応
- 株券・新株予約権の証券提出
- 株式交換の効力発生
- 独占禁止法に基づく対応
- 事後開示書類の作成と備置
- 株式交換無効の訴え
分かりやすいようにそれぞれ解説していきます。
①取締役会決議
株式交換を行うには、まず取締役会での承認が必要です。株式交換に関わる会社が取締役会を設置している場合、契約の締結に先立って、その内容について取締役会で承認を得る必要があります。
会社法第783条第1項および第795条第1項では、株式交換契約の効力が発生する日の前日までに取締役会を開催し、特別決議により承認を受けなければならないことが定められています。
②株式交換契約の締結
取締役会での承認を得た後は、会社法第767条の規定に基づき、株式交換契約書を作成し、契約の締結を行います。
会社法第767条では、株式交換契約書の作成は必須とされているわけではありませんが、商業登記を行う際には、通常この契約書の提出が求められます。そのため、実務上は株式交換契約書を作成することが欠かせません。
なお、株式交換契約書の内容は会社法第768条で定められており、記載事項は以下の通りです。
- 株式交換の宣言
- 目的
- 交付日
- 対象会社の商号や住所
- 対価の割当交付
- 増加する資本金や資本準備金の額
- 表明保証
- 株式交換承認総会
- 財産の管理
- 交付金
- 役員と任期
- 条件の変更など
- 効力
- 適応法と管轄について
- 協議事項
契約書を作成するときは、記載事項に注意しましょう。
③事前開示書類の作成と備置
株式交換を行う際は、会社法第794条第1項に基づき、株主などに対して必要な情報を開示する義務があります。この情報を伝えるために作成されるのが「事前開示書類」です。記載内容は以下の通りです。
- 交換対価の相当性や参考事項
- 新株予約権の相当性に関する事項
- 計算書類などに関する内容
- 効力発生日以降における完全親会社の債務履行
以上に加え、株式交換契約書も備え置きをする必要があります。
事前開示書類は、株式交換の効力が発生した日から6か月間、関係会社の本店に備え置かなければなりません。
④株主に対する通知
株主総会を開催する前に株主に通知を送らなければなりません。上場企業であれば2週間前、非上場企業であれば1週間前には通知を送らなければならないため、忘れないように注意しましょう。
⑤株主総会による株式交換契約の承認
会社法第295条には、株式会社の組織や運営、管理などに関する重要な事項は、株主総会で決議できると定められています。株式交換もそのひとつにあたるため、原則として株主総会での「特別決議」が必要となります。
そのため、株主総会を開く際には株主を招集しなければなりません。株主総会は効力発生日の前日までに開催しておかなければならないため注意しておきましょう。招集通知は、上場企業であれば総会開催日の2週間前まで、非上場企業であれば1週間前までに発送するのが一般的です。
株主総会で特別決議を行うためには、議決権を持つ株主の過半数が出席し、その出席株主の3分の2以上の賛成を得る必要があります。ただし、簡易株式交換に該当する場合は完全親会社での、略式株式交換に該当する場合は完全子会社での株主総会が省略されることがあります。
簡易株式交換と略式株式交換については後述するのでそちらをご覧ください。
⑥債権者保護の手続き
株式交換は、会社法によって債権者保護の手続きをしなければなりません(会社法第799条)。
効力発生日の1ヶ月前までに官報公告と個別通知で債権者に周知します。周知する内容は株式交換を行う旨や異議を受け付ける旨、変動する資産や負債などです。
⑦反対株主からの株式買取請求
株主総会で株式交換が承認された場合でも、すべての株主が賛成するとは限りません。中には、株式交換に反対する株主が現れ、その株主が株式の買取りを請求するケースもあります。
このような場合、会社側には基本的に拒否する権利はなく、会社法第116条の規定に従って、その株主から株式を買い取る対応を行う必要があります。
反対株主が株式買取請求を行使できる期間は、効力発生日の20日前から前日までとなっています。
⑧金融商品取引法に基づく対応
金融商品取引法のルールに従い、場合によっては臨時報告書、有価証券届出書、有価証券通知書などの書類を通じて情報を公開しなければならないことがあります。
臨時報告書は、上場企業や継続して情報開示を行っている企業が、組織再編などによって重要な内容に変更が生じた場合に提出が求められます。
また、有価証券届出書の提出が必要となるのは、株主数が50人以上で、発行する株式の価額が1億円以上の場合です。一方で、発行価額が1,000万円以上1億円未満のときは、有価証券通知書の提出が必要になります。
⑨株券・新株予約権の証券提出
次に行うのは、株券や新株予約権の提出手続きです。
株主は、会社法第293条に基づき、株式交換の効力が発生する日までに、これらの証券を会社へ提出する必要があります。
もし提出が間に合わなかった場合、株主が証券を提出するまでは、会社は株式交換の対価(たとえば親会社の株式など)を渡す義務を負いません。そのため、効力発生日までに確実に手続きを済ませることが大切です。
⑩株式交換の効力発生
株式交換契約で定めた効力発生日を迎えたら、完全子会社の株式をすべて取得します。そして、完全親会社から完全子会社の株主へ対価の支払いが行われます。
この際、親会社が新たに株式を発行したり、子会社が保有していた新株予約権を処分したりした場合には、会社法第911条第3項第12号の規定に基づき、2週間以内に登記の申請を行う必要があります。
完全親会社が登記する際に必要な主な添付書類は、以下の通りです。
- 株式交換契約書
- 株主総会議事録
- 株券提供公告表明書
- 登記事項証明書(※状況により省略可能)
- 資本金計上証明書
- 株主名簿
- 委任状(※必要に応じて提出)
なお、株式交換により子会社側で登記が必要になるケースは多くありませんが、新株予約権を親会社に承継させた場合には、「新株予約権消滅登記」が必要です。この手続きには登録免許税として3万円がかかります。
完全子会社が登記する際の主な添付書類は、以下の通りです。
- 印鑑証明書(※必要に応じて提出)
- 委任状(※必要に応じて提出)
登記手続きは期限内に確実に行うことが求められますので、必要書類の準備は余裕をもって行いましょう。
⑪独占禁止法に基づく対応
株式交換を行うことで、以下のいずれかの条件に該当する場合は、独占禁止法に基づく手続きが必要になります。
- 完全親会社およびグループ全体の日本国内での売上高が合計200億円以上となる場合
- 親会社と子会社の日本国内での売上高が合計50億円以上となる場合
- 議決権の保有割合が20%または50%以上に達する場合
これらの条件を満たすときは、公正取引委員会への事前届出が義務づけられます。届出後は、公正取引委員会による審査が行われ、独占禁止法に抵触すると判断された場合、株式交換は認められません。
また、審査が終了するまでの間は、株式交換の手続きを進めることができません。通常、審査には約1か月程度かかりますが、内容によってはそれ以上の期間を要することもあります。
スケジュールに影響する可能性があるため、該当する場合は早めに準備を進めることが大切です。
⑫事後開示書類の作成と備置
会社法第791条第1項に基づき、株式交換をした会社は、効力発生日から6ヶ月間は事後開示書類を備え置きしなければなりません。
事後開示書類に記載する事項は主に以下の通りです。
- 株式交換の効力発生日
- 株式買取請求手続きの経過
- 新株予約権買取請求手続きの経過
- 債権者保護手続きの経過
- 交換した株式数
⑬株式交換無効の訴え
会社法第828条では、株主・債権者・取締役が株式交換の無効を求める訴えを起こす場合、効力が発生してから6か月以内であれば可能であることが定められています。
無効と認められる具体的なケースは法律で明確に限定されているわけではありませんが、例えば「株式交換契約の内容に重大な誤りや虚偽がある場合」や「株主や債権者の利益が著しく損なわれている場合」など、法的保護が不十分と判断されるケースでは、無効の主張が認められることがあります。
簡易株式交換と略式株式交換の手続きについて
先述しましたが、株式交換には株主総会を省略して手続きを進められるケースがあります。
ここからは、簡易株式交換と略式株式交換の手続きについて解説していきます。
簡易株式交換
簡易株式交換とは、完全親会社が交付する対価が純資産の1/5以下のときに株主総会を省略できる制度です。
ただし、反対株主が完全親会社の総株式数の1/6を超えている場合などは株主総会を省略できません。
また、簡易株式交換は完全親会社に適用される制度のため、完全子会社には適用されません。
略式株式交換
略式株式交換とは、親会社が子会社の議決権付き株式を90%以上保有している場合に株主総会を省略できる制度です。
ただし、子会社が上場企業で譲渡制限株式を交付される場合、この制度は適用されません。また、子会社が完全親会社になり全株式譲渡制限会社で株式の交付を行う場合も株主総会を省略できません。
株式交換の手続きの税務について
株式交換の税務では、完全親会社に生じる課税はありません。しかし、完全子会社は、適格株式交換か非適格株式交換のどちらに該当するかで異なります。詳しくは後述します。
また、完全子会社の株主は対価として現金などの資産が交付されるときには、課税対象となるので注意しましょう。
適格株式交換と非適格株式交換についてそれぞれ解説します。
適格株式交換
適格株式交換のときは、完全子会社も課税は生じません。
適格株式交換とは、子会社の株主に交付される対価が親会社の株式の場合で、さらに適格要件を満たした株式交換のことです。
適格要件を満たす条件は以下の3つとなっています。
- 株式交換による親会社と子会社が100%の資本関係で完全支配関係の場合
- 株式交換を行う時点で親会社と子会社が50%を超える支配関係の場合
- 株式交換の目的が共同事業の場合
非適格株式交換
非適格株式交換は適格要件を満たしていない株式交換のことです。非適格株式交換のときは時価評価が行われるため、完全子会社に課税が生じることがあります。
時価評価資産の評価損益が、株式交換を行った年度に、所得金額の計算の際、益金か損金の額に算入されます。時価評価資産は、固定資産や土地・有価証券・金銭債権及び繰延資産です。
しかし、以下のものは除きます。
- 前5年以内の各事業年度などにおいて圧縮記帳の規定の適用を受けた減価償却資産
- 売買目的有価証券
- 償還有価証券
- 資産の帳簿価額が1,000万円未満のもの
- 資産の時価と簿価との差額が資本金などの額1/2に相当する金額、または1,000万円のいずれか少ない金額未満のもの
株式交換の手続きをする際の注意点
株式交換の手続きをする際には注意点があり、以下の通りです。
- 子会社による親会社株式の保有期間
- 株主の保有株数
- 保有株式が単元未満になるリスク
- ストックオプションへの適切な対応
- 新株予約券の承継義務への対応
それぞれ詳しく解説していきます。
子会社による親会社株式の保有期間
会社法により、子会社は親会社の株式を保有することができません。そのため、子会社が親会社の株式を持っている場合は処分する必要があります。
自己株式を持っているときは、株式交換前に処分しておきましょう。
株主の保有株数
株式交換は、完全親会社と完全子会社の1株当たりの価値から、株式交換比率を算定します。
親会社の株主の中でも保有株数が少ない株主は、場合によって単元未満株しかもらえないこともあります。
そうなれば、議決権行使ができなかったり、株主優待がもらえなかったりするため注意が必要です。
保有株式が単元未満になるリスク
株式交換比率によって保有株式が単元未満株になった場合、売却することができません。この場合、親会社に買い取ってもらうか、足りない分を買い増す必要があります。
ストックオプションへの適切な対応
ストックオプションとは、あらかじめ定められた価格で自社の株式を購入できる権利のことです。完全子会社となる予定の企業でも、その従業員がストックオプションを保有している場合があります。
このような状況でも株式交換の手続き自体は可能ですが、株式交換の後に従業員がストックオプションを行使すると、その従業員が完全子会社の株主となってしまいます。つまり、完全親会社が全株式を保有する状態が崩れてしまうのです。
そのため、株式交換を行う際には、事前にストックオプションの有無をしっかり確認し、必要に応じて適切な措置を講じることが重要です。
新株予約券の承継義務への対応
完全子会社が新株予約権を保有している場合、親会社がその子会社を完全に支配するには、いくつかの重要な手続きが必要です。
まず、子会社の定款に新株予約権の取り扱いに関する規定を明記しておく必要があります。次に、親会社と子会社の間で株式交換契約を締結し、その中で新株予約権の承継についての取り決めを行います。そして最後に、子会社側で株主総会を開き、その承継内容について株主の承認を得なければなりません。
これらの手続きを適切に進めることで、親会社は子会社を完全子会社として取り込めるようになります。
株式交換の手続きによるメリット
株式交換の手続きをするメリットは以下の通りです。
- 少数株主の排除が可能
- 買収資金が不要
- 完全子会社化に株主全員の同意が不要
それぞれ詳しく解説していきます。
少数株主の排除が可能
株式交換は、承認を得ることができれば少数株主の株式を吸い上げることが可能です。もし、少数株主が反対していたとしても排除できるようになります。
少数株主は納得できない場合、会社に対して株式買取請求を行使できます。
買収資金が不要
株式交換は自社の株式で買収できるため、現金が不要です。そのため、資金が少ないときや借金をしたくないときなどには有効な方法と言えます。
借金返済のリスクや審査が通らないということもないため、選択しやすい方法でしょう。
完全子会社化に株主全員の同意が不要
株式交換は株主総会の特別決議で賛成を得ることができれば実施できます。
特別決議は議決権の2/3以上の賛成があれば良いため、株主全員からの同意を得る必要がありません
株式交換の手続きによるデメリット
株式交換の手続きをするデメリットは以下の通りです。
- 株価下落の可能性がある
- 株主比率が変わる
- 手続きに相応の時間がかかる
それぞれ詳しく解説していきます。
株価下落の可能性がある
上場企業を買収するときは、株価上昇のメリットもありますが、下落の可能性もあるため注意が必要です。
注目度が高い企業同士の場合は短期間で株価が大きく変動することもあります。子会社が赤字だったり負債を抱えていたりするときは注意しましょう。
株主比率が変わる
株式交換は完全子会社の株式を取得するため、株主比率が変わります。売り手企業の株主が加わることで既存の株主の持分比率が下がることになります。
株主構成が変わることで経営に悪影響になることもあるため、事前に対策しておきましょう。
手続きに相応の時間がかかる
株式交換はさまざまな手続きを行わなければならないため、あらかじめスケジュールを組んでおく必要があります。
効力発生までにおよそ2ヶ月かかるため、きちんと準備してから行うようにしましょう。
株式交換の手続きが行われた事例
ここからは、実際に株式交換が行われた事例を紹介していきます。
今回紹介する事例は3つで以下のとおりです。
- ヤマダホールディングスと大塚家具の株式交換
- IHIと明星電気の株式交換
- 東急とながの東急百貨店の株式交換
それぞれ詳しく解説していきます。
ヤマダホールディングスと大塚家具の株式交換
ヤマダホールディングスは大塚家具と2021年6月9日に契約の締結をし、同年9月1日が効力発生日となっています。これにより、ヤマダホールディングスは大塚家具を完全子会社化しました。
ヤマダホールディングスは家電の大手小売チェーンです。家電の他に住宅や家具、インテリアなどさまざまなサービスを提供しています。
元々、ヤマダホールディングスは大塚家具の株式を約52%保有しており、子会社という状況でした。
大塚家具は経営環境が厳しかったため、経営を改善することを目的に株式交換を行っています。
IHIと明星電気の株式交換
IHIは明星電気と2021年5月13日に契約の締結を行い、同年8月1日が効力発生日となっています。これにより、IHIは明星電気を完全子会社化しました。
IHIは資源やエネルギーなどの事業を行っている総合重工業会社で、東証1部にも上場しています。
明星電気は元々、IHIにグループジョインした形になっていました。明星電気は部分最適を図る中、IHIは全体最適を目指していました。
それに加え、明星電気には少数株主もいたことで、計画していた相乗効果が得られなかったため、株式交換に至った背景があります。
IHIは株式交換を実施したことでより一層のシナジー創出を目指しています。
東急とながの東急百貨店の株式交換
東急とながの東急百貨店は2021年3月16日に締結をし、同年6月1日が効力発生日となっています。これにより、東急はながの東急百貨店を完全子会社化しました。
東急は「持続的なまちづくり」に取り組む大手不動産企業です。東証1部にも上場しており、交通や生活サービスなどの事業を行っています。
株式交換を実施した背景としては、新型コロナウイルスやファッション感度の向上によって百貨店の経営環境が悪化したからです。地方百貨店では、高齢化の影響もあり特に厳しい状況となっていました。
そこで、事業構造の改革や急激な変化に対応するために今回の株式交換を行っています。
まとめ
株式交換の手続きは契約の締結から効力発生までに2ヶ月ほどの期間が必要です。その間にさまざまな手続きを行わなければならないため、スケジュールはあらかじめ決めておくと良いでしょう。
株式交換は基本的に株主総会を開催しますが、場合によっては省略できることもあります。省略できるなら時間の短縮にもなるため、有効な方法と言えるでしょう。
株式交換を実施することで完全子会社化できるため、メリットもありますが、注意点や失敗するとデメリットになることもあります。
株式交換を実施する際は、内容や流れを理解した上で手続きを進めるようにしましょう。