M&A最終契約書の遵守条項(コベナンツ)について
弁護士法人M&A総合法律事務所では、M&Aにおいて取り扱う主な契約書である秘密保持の契約書・基本合意書・最終契約書・附随契約書などのM&Aの契約書について、10年来、300件以上の豊富な経験を有していますので、契約書の契約者様の権利を守り、リスクを排除するため、適切なM&Aの契約書の作成及びアドバイスを提供させて頂いております。
その中でも、このページでは、M&Aの契約書のうち最も重要な契約書である最終契約書(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書等)の「遵守条項」について説明いたします。
なお、詳細な解説につきましては、以下の弊所書籍「事業承継M&Aの実務」をご覧ください。
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M&A最終契約書の遵守条項(コベナンツ)とは
次に、②の遵守条項とは、売主又は買主候補企業が、M&Aに際して、相手方に対して約束し遵守する事項を定めた条項である。
遵守条項は、M&Aのプロセスのどの局面において遵守すべきか否かという視点から、大きくは、クロージング前の遵守条項(プレクロージング・コベナンツ)、クロージングに伴う遵守条項(クロージング・コベナンツ)、クロージング後の遵守条項(ポストクロージング・コベナンツ)に分けられる。
英語ではCovenants(コベナンツ)と言われ、株式譲渡契約書を構成する主要な項目の一つである。
M&A最終契約書の多様な遵守条項(コベナンツ)について
最終契約書における遵守条項として重要なものとしては、最終契約書の締結日からクロージング日(株式譲渡実行日・事業譲渡実行日など)までの期間中における、重要な経営判断や重要な資産の処分を禁止する善管注意義務の遵守条項や、対象会社の企業価値を変動させる事項(後発事象)を認識した場合の買主への通知義務に関する遵守条項、対象会社の株式譲渡に関する承認を取得する義務を負わせる遵守条項、いわゆるチェンジ・オブ・コントロール条項(COC条項)の処理(この事業承継M&Aが実行され、対象会社の支配権が変更になったような場合に解除事由などが発生する取引先等との取引契約について、その取引先等の承諾等を取得すること)を定める遵守条項、事業承継M&A後の役員の在任及び退任や待遇に関する遵守条項、事業承継M&A後の従業員の雇用・処遇に関する遵守条項、M&A後の役員の免責に関する遵守条項、商号の取り扱いに関する遵守条項、事業承継M&Aと保証債務や抵当権の取り扱いに関する遵守条項、クロージング後(株式譲渡実行日・事業譲渡実行日など)には競業行為を行わない旨を定める競業避止条項、クロージング後適切に業務の引き継ぎをして頂く義務などがある。
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M&A最終契約書の遵守条項の重要性(コベナンツ)について
M&Aは、売主が株式を譲渡し、買主が株式譲渡代金を支払いさえすれば成功するわけではない。
売主から買主に対して、株式を譲渡するだけではなく、無事に、対象会社の経営権を引き渡し、買主において、無事、従前どおりの経営ができる状態で、株式の譲渡を受けることが必要であり、また、買主において、特別なことを検討している場合は、その検討している事項が実現できる形で、対象会社の経営権を引き継ぐことができる状態で、株式の譲渡を受けることが必要である。これができなければ、そのM&Aは、対象会社の企業価値を毀損しただけで終わることとなる。
そこで、最終契約には、各種の遵守条項が規定されるのである。
したがって、遵守条項といっても、対象会社の企業価値を維持しつつ売主から買主に対して対象会社を承継させるために何をする必要があるかは、対象会社ごとに個別具体的であり、かつ各種多様である。
M&A最終契約書の遵守条項違反(コベナンツ)の効果について
遵守条項に違反した場合、表明保証条項違反と同様、前提条件を充足しないため株式譲渡が実行されないこととなるし、損害賠償条項・補償条項に基づき、遵守条項違反に基づく損害について、補償義務・損害賠償義務を負うこととなるし、遵守条項違反は解除原因ともなり得る。
最終契約においては、遵守条項にこのような効果を持たせることにより、遵守条項の履行を確保し、事業承継M&Aの成功を担保しているのである。
M&A総合法律事務所では、基本合意書・最終契約書・関連契約書などのM&Aの契約書の検討・助言・交渉・作成を、ワンストップで支援いたします。