業務移管とは?目的、事業譲渡との相違点、メリット・デメリットを解説
業務移管とは、企業における業務の管轄を他の部署や事業体などへ渡す行為であり、別名「事業移管」とも呼ばれています。
この業務移管と類似する言葉の1つに、「事業譲渡」が挙げられます。事業譲渡も、企業における業務の管轄を他の部署や事業体などへ渡す行為であり、この点において業務移管と共通する特徴を持っているものの、これら2つの行為の間には大きな違いが見られます。
そこで本記事では、業務移管の概要や目的、業務移管と事業譲渡の違い、それぞれの行為の目的やメリット・デメリットなどを中心に幅広く解説します。
業務移管とは
冒頭でも説明したように、業務移管とは、企業における業務の管轄を他の部署や事業体へ渡す行為のことです。一般的に、業務移管を行う際は、移管の対象となる業務に関する権限・責任・財源などをすべて他の部署や事業体などに引き継ぐことになります。
業務移管先には国内のみならず海外を拠点とする部署や事業体が指定される場合もあり、海外に業務移管することを特に「オフショアリング」と呼ぶことがあります。オフショアリングを行う際は、海外の部署や事業体に業務を依頼する「委託」のほか、海外に現地法人を設立したうえで業務移管を行う場合も少なくありません。
もともと海外はコストが比較的安価であることを受けて、従来は製造業の単純作業・コールセンター業務・バックオフィス業務などをオフショアリングするケースがほとんどでしたが、近年は研究開発・法務・会計など専門的分野をオフショアリングするケースも増えています。こうして民間企業によるオフショアリングの成功事例が積み上がったことを受けて、アメリカでは1990年代より行政機関でもオフショアリングを行うケースが出始めました。このようにしてアメリカから始まったオフショアリングは、その後日本企業にも広まっています。
なお、業務移管と類似する言葉に事業移管が挙げられますが、これら2つの言葉は本質的に同様の意味を持っています。とはいえ、詳しく説明すると、事業移管は事業自体を移管する行為であり「事業」に焦点が当てられているのに対して、業務移管は業務の管轄を移す行為であり「業務」に焦点が当てられている点に相違があると考えられています。
また、後ほど解説する「事業譲渡」を行った結果として、業務移管が行われることもあります。
事業譲渡との相違点
業務移管と類似する言葉としては、事業譲渡も挙げられますが、これら2つの行為には違いがあるため把握しておきましょう。
そもそも事業譲渡とは、企業(譲渡側企業)が事業の全部もしくは一部を他の企業(譲受側企業)に譲渡する行為のことで、株式譲渡や会社分割などとともに、代表的なM&A手法の1つとして位置付けられています。
事業譲渡では、建物・在庫・社員・顧客・取引先など事業に関わる資産のすべてが取引対象となり得ますが、取引時に締結する契約の内容によって譲渡対象となる事業を選択できます。また、資産や負債についても、事業譲渡契約の内容によって、比較的自由に選別可能な点が特徴的です。
ここまで紹介した事業譲渡の概要を踏まえて、業務移管との違いをまとめると、これら2つの行為は「事業譲渡を行った結果として、業務移管により事業を他の会社へ移す」という関係性にあるといえます。
つまり、業務移管は何らかの特定の手法を意味する言葉ではなく、事業譲渡によって自社の事業が他の会社へ渡された場合に、業務移管という名称で取り扱われるのが一般的です。したがって、例えば、「事業譲渡を行ったことで、A社のBという事業がC社に業務移管した」と表現されます。以上のことから、事業譲渡と業務移管の違いは非常にささいなものだといえます。
業務移管の目的
業務移管と事業譲渡の間では、行う際の主な目的にも相違が見られます。そこで本章では、業務移管と事業譲渡が行われる主な目的をそれぞれ解説します。
まずは、企業が業務移管を行う目的として代表的なものを、以下にまとめました。
- 業務の一元化や効率化を図る目的
- 不採算事業を立て直す目的
- コストを抑制する目的
- 人員を確保する目的
- 働き方改革の一環として、社員の業務負担軽減を図るべく、自社の業務をコア業務とノンコア業務に分類する目的
- 医師の負担軽減を図る目的(タスク・シフティング)
なお、タスク・シフティングとは、厚生労働省により検討されている医師の働き方改革を目的とした動きのことで、医師でなくても行える業務を他職種に移管していくことです。世界保健機関(WHO)により、医療人材不足を部分的に解決する手段として提唱されました。
世界的に、今後の医療体制を維持するためには労務時間の短縮が求められており、これを実現するための重要な施策としてタスク・シフティングが位置付けられています。
事業譲渡の目的
続いて、事業譲渡を行う主な目的について、譲渡側企業・譲受側企業それぞれの立場に分けて順番に取り上げます。
譲渡側の目的
事業譲渡における譲渡側企業では、以下の目的を掲げていることが多く見られます。
- 自社の事業を承継する者を確保するため
- 自社の経営を再生させるため
- 自社の主軸事業に集中するため
- 法人格を継続させる必要があるため
これまで代々親族に承継してきた企業の経営者の方の中には、当然のように自身の子どもが事業を引き継ぐものと考えている方も少なからずいます。しかし、子どもには既に自身の仕事があり、事業を継ぐ意思がないケースもあるのです。また、たとえ事業承継の意思を持つ親族がいる企業であっても、社員との相性や本人の資質などを考慮したときに、安心して事業を任せられない場合もあります。こうした場合において、事業存続の方法として事業譲渡を選択するケースが見られます。
また、自社の経営再生を目的に、採算の取れていない事業の売却を検討する企業もあります。たとえ自力での再生が難しくても、事業譲渡によって資金を獲得できれば、事業再生の可能性が高まります。とりわけ資産価値の高い不動産・動産・ノウハウなどを持っている事業であれば、自社で事業を継続していくよりも、事業譲渡によって現金化した方が有用性が高いケースもあり、廃業せずに経営再生を目指す道筋を見つけやすいです。
さらに、事業の選択と集中を図り、採算事業と不採算事業を分類して不採算事業のみを売却し、事業譲渡代金を採算事業に集中することもできます。この場合、事業譲渡による利益だけでなく、その他のあらゆる資源をメイン事業に集中させられるため、売却前より収益性の向上が期待できます。
そのほか、事業譲渡では法人格を残せることから、会計上の問題・許認可の存在などを理由に法人格を手放せない企業の場合、事業譲渡によって新規事業を開始するといった活用方法もあります。
譲受側の目的
事業譲渡における譲受側企業の掲げる目的の代表例は、以下のとおりです。
- 事業成長のための時間を買う
- その他のM&A手法にあるリスクを避ける
- 節税効果を期待する
事業譲渡における譲受側企業は、譲渡側企業によってすでに完成させられている事業を譲り受けられることから、自社で事業をゼロから作り上げるよりも、事業を育成させるための時間を削減できます。
また、事業譲渡では、取引対象とする事業の範囲を選別できることから、株式譲渡など他のM&A手法で問題となる簿外債務や偶発債務などのリスクを回避できるうえに、必要な事業のみを獲得できます。
そのほか、事業譲渡では、取得した償却資産やのれんなどの償却によって資金流出のない損失を計上できるため、節税効果を期待することも可能です。
業務移管が行われる対象
業務移管が行われる対象となる業務と事業譲渡の取引対象となる業務の間にも、違いが見られます。そこで本章では、業務移管が行われる主な業務と事業譲渡の主な取引対象について、順番に解説します。
まず、業務移管の対象として向いている業務には、一般的に以下のようなものがあると考えられています。
- 生産性業務
- デスクワーク業務
- 専門性の高い業務
業務移管の対象として、多くの企業で最初に取り組みが進んだ業務として考えられているのが、定型業務です。その中でも、工場などで行う生産性のある業務がこれまで多く移管されてきました。業務移管の実施に際して、生産ラインの確立や、製造マニュアルの作成などを行っておくと、業務移管先でも比較的短期間で業務を十分にこなせるようになります。
また、いわゆるデスクワークと呼ばれる業務の中にも、単純作業に類するものがあり、業務移管の対象として適していると考えられています。また、バックオフィス業務についても、業務移管が可能です。特定のルールに沿った伝票の整理や会計データの入力というように、総務や経理などの管理部門の業務が対象となるケースが多く、コールセンターの業務移管を行うケースも少なからず見られます。
上記のとおり、もともと業務移管に向いているのは、軽微な作業や単純作業などであると考えられてきました。しかし、近年は、特定分野における専門企業が、その専門性の高い仕事を業務移管するケースも少なからず見られます。海外の部署や事業体に業務移管を行う場合も多く、開発センターなどの拠点を海外に移して研究開発が行われるケースもあります。
そのほか、現在では上記に限らずさまざまな業務の移管が実施されている状況です。なお、確実に業務の移管を完了させる目的で、その部門で勤務していた社員を相手方に出向させ、業務の引き継ぎを行うケースも見られます。
事業譲渡の取引対象
事業譲渡の取引対象となるのは事業に関する資産であり、非常に多岐にわたります。例えば、土地や建物などの不動産や掛金、買掛金などの債権債務のみならず、営業権・技術・ノウハウなど、無形資産も取引対象となり得るのです。
なお、事業譲渡の取引対象は事業譲渡契約書に明記することで、最終的な譲渡内容が特定されます。つまり、事業譲渡では、譲渡対象の内容は契約の当事者間で決められる点に大きな特徴があるのです。
そのため、事業譲渡の譲受側企業では、自社が希望する範囲の事業のみを譲り受け、不要と判断した資産や負債などについては引き継がないという施策を実施することも可能です。
業務移管と事業譲渡のメリット・デメリット比較
業務移管と事業譲渡には、それぞれ異なるメリット・デメリットが存在します。そこで本章では、業務移管と事業譲渡それぞれにあるメリット・デメリットを比較できるようにまとめました。
業務移管のメリット
業務移管を行う際の主なメリットは、以下のとおりです。
- 財産・負債・契約・社員に関して、個別に承継する必要がない(社内で業務移管を行うケース)
- 業務の一元化や効率化・コスト削減・人員確保・社員の負担軽減を実現できる
- 不採算事業の立て直しが狙える
同じ企業内で業務移管を行うケースでは、事業に関する契約・財産・負債などの承継および、事業に携わっている社員の転籍の問題などが生じないため、事業譲渡よりもスムーズに手続きを済ませられる可能性が高いです。
また、業務移管では社内での業務リストラクチャリングを図れることから、会計上・労務上の問題点の解決も図れます。これにより社員の負担が軽減されれば、モチベーションの向上につなげられるのです。
さらに、不採算事業を関連会社に業務移管することで組織再編を図れば、不採算事業の立て直しも狙えます。
業務移管のデメリット
業務移管に期待されるメリットはさまざま挙げられますが、その一方で、業務移管には以下のようなデメリットの発生が問題となるケースもあるため注意しましょう。
- 事業に関する契約・財産・負債の承継および事業に携わっている社員を転籍させるために、多くの手間・時間が発生する(他の企業に対して業務移管するケース)
- 業務移管の実施をきっかけとして、人材流出のリスクが生じてしまう
関連会社など他企業に業務移管する場合は、個別契約や労働契約を承継する必要があることから、事業譲渡のように手続きが煩雑になりやすく、多くの手間・時間がかかってしまいかねません。
また、業務移管に伴う転籍や部署異動を契機として、社員が大量に離職するリスクもあるため、場合によっては事前に以下のような対策を講じておくことが望ましいと考えられています。
- 退職する理由をヒアリングする
- 社内のコミュニケーションを活性化させる
- 長時間労働を削減する
- 適切な評価制度を確立する
- 柔軟な働き方ができる環境を構築する
- 福利厚生を充実させる
- 上司のマネジメントスキルを向上させる
- 研修制度を整える
- 面談を定期的に行う
- 採用活動や育成施策の見直しを行う
事業譲渡のメリット
続いて、企業による事業譲渡で期待される主なメリットについて、譲渡側企業・譲受側企業それぞれの立場に分けて順番に取り上げます。
譲渡側のメリット
事業譲渡を行う譲渡側企業に期待されるメリットは、主に以下のとおりです。
- 事業の一部を譲渡できる
- 残しておきたい資産・社員を確保できる
事業譲渡では、企業を存続させたまま、事業の一部を選択して譲渡できる点に大きなメリットがあります。不採算事業のみ切り離したいという企業や、採算事業を成長させたいという企業の場合、事業譲渡を用いることで、自由度の高い事業取引を行えるのです。なお、事業譲渡は取引であることから、譲渡側企業は譲渡利益として現金を獲得できます。このような事業譲渡の「現金化できる」メリットは、業務移管にはありません。
また、事業譲渡では、特定の資産・従業員について確保しておきたいという企業の場合、譲受側企業との間で、事業譲渡の取引対象・範囲について合意できていれば、資産や社員を残しておくことも可能です。
譲受側のメリット
事業譲渡における譲受側企業に期待されるメリットは、主に以下のとおりです。
- 自社にとって必要な事業のみを承継できる
- 節税効果が見込まれる
株式譲渡や合併などのM&A手法を採用する場合、譲受側企業にとって必要ではない資産や負債なども背負ってしまう可能性があります。ただし、事業譲渡であれば、譲受側企業にとって必要な事業のみを承継できるため、リスクを抑えつつ企業の成長を図れるのです。
また、事業譲渡を行う場合、のれん相当額については5年間の償却が損金として計上できるため、節税効果が見込まれる点も大きなメリットです。
事業譲渡のデメリット
次に、企業による事業譲渡で問題となりやすい主なデメリットについて、譲渡側企業・譲受側企業それぞれの立場に分けて順番に取り上げます。
譲渡側のデメリット
事業譲渡を行う譲渡側企業で問題となりやすいデメリットは、主に以下のとおりです。
事業譲渡を行う場合、これまで取引や社員との間で締結していた契約について、再び個別に結び直さなければならず、多くの手間・時間がかかります。とりわけ事業譲渡に否定的な考えを持つ社員がいる場合、その社員から事業譲渡の実施に対する同意が得られず、譲渡側企業である自社に雇用が残ってしまうおそれがあります。
また、会社法第21条の定めにより、譲渡側企業は、事業譲渡を行ってから20年間にわたり、同一の市町村の区域内および隣接する市町村の区域内で譲渡対象となる事業と同一の事業を行ってはなりません。なお、これは強行法規ではないため、事業譲渡契約において合意があれば、適用を排除することも可能です。譲渡側企業からすると、競業避止義務を負うかどうかは重要事項であるため、事業譲渡を行う際には念頭に置いておきましょう。
そのほか、事業譲渡を行うと譲渡側企業では譲渡益を得られますが、この譲渡益に対して法人税が課されます。特に事業譲渡のような大きな取引では、多額の税金が発生する可能性がある点に注意が必要です。
譲受側のデメリット
事業譲渡における譲受側企業で問題となりやすい主なデメリットは、以下のとおりです。
- 取引先や社員と個別に契約承継の手続きを行わなければならない
- 不動産や特許の移転手続き・許認可を取り直す手続きを行う必要がある
- 事業の融合が成功しないおそれがある
事業譲渡における譲受側企業では、譲渡側企業と同様に、必要な手続きに手間・時間がかかるうえに、取引先の喪失や人材の承継困難などのデメリットが発生すると想定されます。
また、譲受側企業では、運送業・建設業・私立学校や薬局など許認可手続きが必要な事業に関しては、都道府県・市役所などの行政機関で許認可手続きを再び取り直さなければなりません。
そのほか、事業の融合までに多くの時間がかかり、想定していたシナジー効果が得られない可能性がある点も、事業譲渡における譲受側企業のデメリットの1つです。
業務移管と事業譲渡で求められる契約書
前述のとおり、業務移管は事業譲渡の実施に伴い行われるため、業務移管および事業譲渡で求められる契約書は事業譲渡契約書です。
事業譲渡契約書とは、M&Aの検討にあたりスキームとして事業譲渡の採用を決定し、事業譲渡側と事業譲受側のマッチングや条件の交渉などのプロセスを経て、譲渡側と譲受側の合意内容を明確にするために締結される最終契約書のことです。事業譲渡契約書には、事業譲渡を実行する際の内容・承継する資産・禁止事項などが明記されます。
もともと事業譲渡は契約内容の自由度が高い分、当事者間の認識にズレが生じやすいです。したがって、事業譲渡契約の内容に関して細かい部分まで当事者間の認識を一致させるという意味合いにおいて、事業譲渡契約書は重要な役割を果たします。
昨今は事業譲渡契約書のテンプレートがインターネットで出回っており、作成自体は容易に行えます。ただし、インターネットで出回っている事業譲渡契約書のテンプレートが必ずしも自社が行う事業譲渡の実情とマッチしているとは限らないことから、安易にテンプレートを流用せずに、弁護士などの法律・契約に精通する専門家にリーガルチェックを行ってもらうことが望ましいです。
業務移管と事業譲渡を行う際の注意点
本章では、業務移管および事業譲渡を行う際の注意点として、経営統合(PMI:Post-merger integration)を徹底する重要性を取り上げます。
企業が事業譲渡の手法を採用する際は、たとえ契約が成立したとしても、経営統合を完了させなければ、事業譲渡の実施前に想定していたシナジー効果は獲得できません。
しかし、事業譲渡後の経営統合プロセスを怠っている企業は少なくありません。なぜなら、企業が事業譲渡を行う際は、事業譲渡の実施自体に体力を使い果たしてしまい、その後の経営統合プロセスを疎かにしやすいためです。
特に事業譲渡の実施経験が少ない企業の場合、必要以上に体力や時間を消費してしまいやすく、業務移管および事業譲渡の手続きで莫大な手間・時間を費やしてしまいます。とはいえ、経営統合は、事業譲渡において、異なるノウハウ・システムを持つ事業を融合させるために必要不可欠なプロセスです。
経営統合を入念に行わなければ事業同士の連携が取れず、業務移管および事業譲渡に失敗してしまい、これらの行為が自社にとってマイナスに機能するおそれがあります。以上のことから、業務移管と事業譲渡を行う際は、たとえ事業譲渡の効力発生に伴い業務移管が完了したとしても、想定していたシナジー効果が発揮されるまでの間、経営統合を実践することが望ましいです。
業務移管と事業譲渡の違い一覧
最後に、業務移管と事業譲渡の間に見られる主な違いを一覧表にまとめました。
業務移管 | 事業譲渡 | |
概要 |
|
|
主な目的 |
|
|
実施する対象 | 業務移管の対象として向いている業務は以下のとおり
| 事業譲渡の取引対象となるのは事業に関する資産であり、非常に多岐にわたる |
主なメリット |
| 【譲渡側のメリット】
【譲受側のメリット】
|
主なデメリット |
| 【譲渡側のデメリット】 【譲受側のデメリット】
|
まとめ
業務移管とは、企業における業務の管轄を他の部署や事業体などへ渡す行為であり、別名「事業移管」とも呼ばれています。業務移管と事業譲渡との間では、実施する目的や対象、生じるメリットやデメリットなどが異なるため、これらの行為を実施する前に把握しておきましょう。
また、業務移管および事業譲渡を行う際は、経営統合を徹底しましょう。経営統合を入念に行わなければ事業同士の連携が取れず、業務移管および事業譲渡に失敗してしまい、これらの行為が自社にとってマイナスに機能するおそれがあります。そのため、業務移管と事業譲渡を行う際は、たとえ事業譲渡の効力発生に伴い業務移管が完了したとしても、想定していたシナジー効果が発揮されるまでの間、経営統合を実践することが望ましいです。